全6件 (6件中 1-6件目)
1
[1] 読書日記 青春18切符を片手に、旅行に行ってきました。 目的は、「おわら風の盆」。 といっても、前夜祭(本番は9月1日~3日)ですが。 良かったです。 ベタですが、その時に携帯し、目的地までの列車内で読んでいたのが、 高橋治 「風の盆恋歌」(新潮文庫) 旅行に、良い感じに花を添えられました。 「ああ、なるほど」や「おお、これが」と、本の舞台や情景と重ね合わせることで、 倍、旅行が満喫できた気がします。
2007年08月28日
コメント(0)
[1] 読書日記 個人的には、今年の夏もよく動き回った方という印象があるので、その夏休みの最後を 締めくくるべく、明日から旅行に出かけることにした。 そのこととは何の脈絡もないのだけれども、 ほしおさなえ 「ヘビイチゴ・サナトリウム」(東京創元社・ミステリフロンティア) を読了。 (文庫も出ているようなので、上の写真は文庫版のものを採用) <「辻褄っていうのは、まちがってても合うんだよ」 「え?」 「内部で矛盾がないことイコール真実ってわけじゃない。 そんなのあたりまえのことだろう? たいていのことは、 まちがった前提からでも辻褄が合うように話を組み立てられるんだ。 たとえば宇宙は三角形だとかさ。 人間はずっとそうやって勘違いの歴史を歩んできたんじゃないか。 いい加減に学んでほしいよ、まったく」> 【目次】(文庫版ではなく、私が読んだ単行本版の方の目次) プロローグ 第一章 幽霊 第二章 鍵のかかった部屋 第三章 アルファベット・ビスケット 第四章 遺書 エピローグ 探偵小説と「自分と他人の境界のくずれ」 / 笠井潔 【ジャンル】 学園ミステリ。 巻末の笠井潔いわく、 <物語の前半、 サスペンス小説的な雰囲気で二つの謎を追求する『ヘビイチゴ・サナトリウム』は、 後半で一転、 密室殺人を焦点とした本格ミステリに変貌する> <二〇世紀小説としての探偵小説の精髄を、作者は的確に捉えている> とのこと。 【簡単な内容説明】 中高一貫の女子校で起きた連続墜死事件。 高三美術部員の二件の墜死から、間を置かずに起こった男性国語教師の墜死。 はたして、彼らの死の真相とは? 男性教師の書いた新人文学賞受賞原稿に、自殺した女生徒の登場する官能小説の原稿、 そしてP・オースターの小説『鍵のかかった部屋』に、ネット・サイト『ヘビイチゴ・ サナトリウム』……と、謎を深めるべく様々なテキストが、物語内を錯綜する。 【感想・印象】 折原一の作品をはじめ、様々なテキストが作中内を入り乱れる作品が好きなので、 物語であり、構成は結構好き。 探偵役として動く、墜死した女生徒の後輩と、同じく墜死した国語教師の同僚が、 被害者に対する覗き見趣味的好奇心だけで事件を調査する様子は、結構うっとうしい。 逆に言えば、調査に乗り出す動機があまりに軽すぎて、読んでいる側としては感情移 入もできず、彼らの新たな発見も、推理も、それほど感動に結びつかない。 実際はそんなに数はないのだろうが、新本格以降のミステリにおいて、女子校という 舞台は、雪の山荘や嵐の孤島などのクローズド・サークルに次いで、事件が起こっている イメージがある。 東野圭吾「放課後」、綾辻行人「緋色の囁き」、乾くるみ「Jの神話」、京極夏彦「絡 新婦の理」、西澤保彦「猟死の果て」etc、etc。 【作中登場書籍】 ポール・オースター「幽霊たち」 ポール・オースター「鍵のかかった部屋」 ポール・オースター「シティ・オブ・グラス」
2007年08月24日
コメント(0)
[1] 読書日記 キリが無いので、このブログでは取り上げないことにしていた漫画を、あえて。 山名沢湖 「レモネードBOOKS」<1~2>(竹書房) を読了。 <「それに趣味に深入りするのもそれなりにキュークツなもんだよ 自分で作ったルールに縛られちゃうみたいなとこもあるし」 「ルール?」 「…古本市を見かけたら寄るのがさだめ☆みたいな」> 【目次】 古本とレモネード 第1話 扉を開けて 第2話 ゴドーを待ちながら 第3話 いつか晴れた日に 第4話 彗星問答 第5話 ノンちゃん雲にのる 第6話 趣都の誕生 第7話 おもいでエマノン 第8話 明るい部屋 第9話 浮世風呂 第10話 われは幻に棲む 第11話 ゆっくりさよならをとなえる 第12話 夏の栞 【ジャンル】 ほのぼの恋愛マンガ。 【簡単な内容説明】 普通の女の子と、読書オタクの彼の、始まったばかりの恋愛を中心に描いた物語。 【感想】 引用部分をはじめ、他人ごと、あるいはマンガの登場人物とは思えないエピソード ばかり。ただ同じ作品を「読む用」「保存用」「布教用」と3冊も持っていながら、 割と片付いた部屋に住んでいる彼を、既に蔵書の「整理」も「検索」も行き届かない 生活をしている身としては、羨ましいと同時に、「これは嘘だ~」と思った。 世の中で「オタク」というと、割りとディープでネガティブなイメージがついてま わるものだが、これが「読書オタク」となると、愛書家・ビブリオマニアや、活字中 毒という前々から存在する言葉の方が、底知れぬ深い闇を感じさせ、むしろライトで ポップなイメージを抱いてしまう。あくまで、私の場合ですけども。 やまじえびね「お天気といっしょ」(YOUNG YOUコミックス)のたみら君と、みるこ さんを、このマンガの主人公ふたりを見ていて、思い出した。雰囲気が似ている。 【作中登場書籍】 笙野頼子「片付けない作家と西の天狗」 キャシー・アッカー「血みどろ臓物ハイスクール」 美内すずえ「ガラスの仮面」 細川智栄子「王家の紋章」 海野十三全集 各話タイトル分は、目次と重複するので省略。
2007年08月22日
コメント(0)
[1] 読書日記 「夏」も終わったので、ブログを再開。 西澤保彦 「笑う怪獣 ミステリ劇場」(新潮文庫) を読了。 <この物語には「怪獣」が登場するのだ。 さらにお断りしておけば、これは文字通りの意味であって、 それ以上でもそれ以下でもない。 社会の巨悪を告発するシンボリズムとか、そんなややこしい深読みは、 どうかしないでいただきたい。 ここで言う「怪獣」とは、そのままなのだ。 怪獣なのだ。 爬虫類系で、おまえ、 ちょっとダイエットしたほうがいいんじゃないのと突っ込みたくなるような体型。 全長約八十メートルの巨大生物。 そう。もう何度も国会議事堂や東京タワーなどを破壊している、 かの国民的特撮映画の主人公を思い浮かべてもらえば、一番判りやすかろう> 【目次】 怪獣は孤島に笑う 怪獣は高原を転ぶ 聖夜の宇宙人 通りすがりの改造人間 怪獣は密室に踊る 書店、ときどき怪人 女子高生幽霊綺譚 解説 石持浅海 【ジャンル】 ミステリ。 特撮のパロディ。 【簡単な内容説明】 ナンパに明け暮れる主人公たち3人組(アタル、京介、正太郎)が、毎度、怪獣だの、 宇宙人だのと遭遇すると同時にミステリに巻き込まれる物語を集めた短編集。 【感想】 巻末にある石持浅海の解説が、この作品の魅力を余すことなく語っている。 ただ、トリオでありながら、正太郎のキャラが弱い。イマイチ、ひとりだけキャラ像が 読み終わっても、曖昧模糊としたまま。 ひとつの短編がケラリーノ・サンドロヴィッチ脚本・演出のドラマ「おいしい殺し方」 と同じトリック(発表順は言うまでもなく、本書が先で、ドラマが後)。 「金田一少年の事件簿」やら「ケイゾク」のときにも感じた、トリックのプライオリティ の問題について、再び考えさせられたり。 西澤保彦らしい作品であり、西澤保彦ファンならその期待を裏切られない短編集。 【作中登場書籍】 斎藤綾子 「ルビーフルーツ」 斎藤綾子 「ヴァージン・ビューティ」 宮部みゆき 「魔術はささやく」 小野不由美 「屍鬼」 北村薫 「ターン」
2007年08月21日
コメント(0)
[1] 読書日記 <「人を人とも思わない。 自分のことしか考えない。 ぶつぶつ文句ばかりいって、まわりにあたって、楽しいか。 後で鏡をチェックしてみろ。 その目は死んだ魚の目だぞ。 生きていることがつまらないって人間のする目つきだぞ。 いいか、生きてることがつまらないのは、他人のせいじゃない。 おまえのせいだ。 なにやったってつまらないのは、おまえがつまらない人間だからだ」> 笹生陽子 「きのう、火星に行った。」(講談社文庫) を読了。 児童文学。 少年が成長し、周囲との協調を覚えていく物語。 あさのあつこ「バッテリー」などと同じく、大人だろうと読んで楽しめる作品。 というか、中身のない「純愛小説」の看板を掲げている諸作品なんぞよりも、内容も 面白し、文章も読める。 同作者の「楽園のつくりかた」や「ぼくは悪党になりたい」、「バラ色の怪物」も、 同様に知り合いに対して「面白いよ」と薦めたいし、夏休みの宿題として読書感想文で 読む本を探している子供たちに押し付けてでも読ませたい。
2007年08月02日
コメント(0)
[1] 読書日記 <探求という行為がゲーム性を帯びてしまうのは仕方ないんだ、 僕らの脳がそういう仕組みなんだから。 現実をありのままに認識するような器用な真似は、僕らの脳にはできない。 考えてみて。 僕らが他人の話を聞いていて『そんな莫迦な』と感じるのは、 その話が納得しやすい『物語』から大きく逸脱しているときだよね。 そこに解釈の光を当てて、誰もが納得しうる『物語』を照らし上げるのは、 脳にとって快楽だし、僕らが生きていくためには必要なことでもあるんだ。 赤ん坊は絵本に人の顔を探すのが大好きでしょう。 でも彼らが見つけているのは現実の顔ではなく、 顔として納得しやすい図像に過ぎない。 いうなれば顔という『物語』だ。 純粋無垢の象徴である赤ん坊からして『物語』を見出すゲームをおこなっている、 つまり人間にとって必要な行動ということだよ> ジャケ買い、 津原泰水 「ルピナス探偵団の当惑」(創元推理文庫) を読了。 ミステリ。 倒叙一編、クローズド・サークル(吹雪の山荘)もの一編を含む三編からなる短編集。 <なぜ、犯人は冷えたピザを食べなくてならなかったのか> <なぜ、被害者はルビの付いたダイイング・メッセージを遺したのか> <なぜ、急死した老女優の右手が切断されて消えたのか> 探偵役以外の主要人物各人に見せ場(活躍ではない)のあるキャラクター小説とも。 続編を是非書いて欲しい作品。
2007年08月01日
コメント(0)
全6件 (6件中 1-6件目)
1