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美人女性ジャーナリストの山本美香さんである。内戦が続くシリア北部アレッポで取材活動中に銃撃戦に巻き込まれ、ほぼ即死状態だったと言う。
一人の日本人が亡くなったところで、熱狂する50万人が集まった銀座パレードの大歓声で、彼女の悲鳴は掻き消され、誰一人その地に視線を向ける事はない。
くどい様だが、オリンピックが「平和の祭典」ならば、シリアの内戦を食い止めてみろと言いたい。スポーツに酔いしれるだけがオリンピックの役目なのか?そのメダルは平和のシンボルだろう。
オリンピック開催中にも、シリアでは多くの子どもや女性たちが戦争に巻き込まれ犠牲になっている。戦場ジャーナリストや戦場カメラマンたちは、命を賭けて世界中の紛争地帯に足を踏み入れ、戦争の悲惨さや愚かさをわたしたちに伝える「平和のメッセンジャー」でもあるのだ。
シリアでは既に27人ものジャーナリストが命を落としており、山本さんが銃撃戦に巻き込まれた当時の様子を、パートナーであり事実上の夫でもある佐藤和孝氏は、その状況を沈痛な面持ちで静かに語っていた。
政府軍、反政府勢力、そしてイスラム過激派が活動する現地では3方面から攻撃を受ける可能性が非常に高い。
銃撃事件発生時は、政府軍の戦闘機が上空を飛び交い空爆の真っ最中だったとも言う。シリア政府が自国の住民を無差別に攻撃すると言う、テロと何ら変わらない想像を遥かに超える権力と言う暴力がシリアでは日々平然と行われているのだ。
異常なまでの執念で反政府勢力を弾圧する国家、それがわたしたちと同じ人間なのである。山本美香さんは幼い頃に新聞記者であった父親の背中を見て育って来た事から、報道の道へと自分の人生を賭けたのであろう。
平和に対する情熱を人一倍持ち、紛争を通して平和の尊さを世界中に発信し続けた彼女の願いは届いているのだろうか。
報道の自由を擁護する民間団体の「国境なき記者団」は今回の山本さんの死に伴い、ジャーナリストを攻撃しないよう訴えてはいるものの、争いの当事者たちには自分たち以外は全て敵なのである。
個人の立場でボランティア活動に勤しんで来た「高遠菜穂子」さんを思い出してしまったが、皆さんの記憶からはすっかり消えている事だろう。
イラクで過激派の人質に合い、からくも無事に解放されたものの、そのイラクに再び戻りたいと発言したため、世論や当時総理大臣であった小泉純一郎氏からも批判を浴びた。
彼女はその後、PTSDに悩まされ続け眠れない日々を送っているという。わたしと同じ文芸社から「愛してるって、どう言うの ? ― 生きる意味を探す旅の途中で ― 」が出版されいるので、興味のある方は読んでみるとよい。
それにしても日本人の「平和ボケ」も此処まで来たかとつくづく思う。銀座のパレードには50万人もの人々が集まるのに、原発再稼働反対デモにはせいぜい10万人。
国の将来を左右する最も重要と思われる課題に対して、国民自身がこの程度の関心しか示さないのであれば、敗戦のどん底から不屈の精神で立ち上がった国民の意志は、きっと何処かに置き忘れてしまったのではないだろうか。
千代子だよ、おっ母さん。 2013.11.13
アンパンマンからの伝言。 2013.10.19 コメント(1)