LIVE IN HOLLYWOOD/AL HAIG ①THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOU。んーっ!いい曲。チェット・ベイカー、ソニー・クリス、ジャック・モントローズ各人のアドリブも、曲のよさからか、最高によく歌っているように聴こえてしまう。この曲には完全に脱帽。②BARNEY’S TUNEもまたこれがGOODな曲だこと。こいつらはこの盤ではいい曲しか演奏していない。ライブなので各人の演奏したいうち最大公約数的な選曲をするとこうなったのだろうか。とにかく昔の52年のライブなので、例の「時代のオーラ」が感じられる。チェットは若い。若さは宝だ。音の瑞々しさがいとおしい。③MY OLD FLAMEを吹くチェットは、二度と戻らぬ青春時代の切ない感傷を吹く音にこめているようだ。本人はただ吹いているだけかもしれないが、聴く私にはその「はかなさ」が感じられてならない。そしてつくづく青春というやつから完全に足を洗ってしまってはいけない、それが放ちつづける美の永遠なることを忘れてはならないと感じ己に諭し聞かせるのだ。二度と繰り返されることのない「はかなさ」がすなわち青春の定義である。従って、ジャズとはまさに青春そのものの体現化なのである。昔のライブ音源には、一回性の「はかなさ」が満載されている。太平洋戦争当時の特攻隊パイロットの写真を本で見たときに感じるものと似たものがある。二度と戻らないものへの感傷。記録されたジャズメンの人生の僅かな一部としてこれらの録音が奇跡的なものであり無限の価値を持つこと。それと同じく、記録されることのなかった膨大な音楽の存在に思いをはせるとき、同様に、記録されていない我々の人生の大部分、また何も記録すらされることなく散っていく数多くの命の存在にも気づく。ジャズは一期一会。