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2023.08.16
XML
カテゴリ: 愛to米澤穂信

​必ず発売直後に購入する米澤先生の新作!​
お盆休み中にじっくり読むつもりが、半日で爆読してしまいました。

小説感想



​『可燃物』​
(2023年・米澤穂信先生・文藝春秋)

彼ら は葛(かつら) をよい上司だとは思っていないが、
葛の捜査能力を疑う者は、一人もいない。
群馬県警捜査第一課 葛警部の推理・5編の短編集。


​非常に面白かったです!​
葛警部カッコいい!


*以下、発売直後のミステリー小説に関するネタバレあり感想です。
未読の方は、お気をつけください*




今回のシリーズは、終始 「警察」の観点で様々な事件にアプローチしていく、 という​
言葉で書き出すと、 ものすごーくスタンダードな「事件モノ」 だと思います。

何が面白いかというと、 ​これまでの米澤先生の作品への反転​ というか、​
​​​逆説的なアプローチの部分​​ かな、と感じました。
米澤先生の従来の作品は、特に「犯人」が多いですが、
『感情』をミステリーとして解き明かしていく部分が、
一番の見どころになる作品が圧倒的に多い印象 です。

感情というか、人を追い込み、突き動かす 『激情』 ですね。

激情が鮮やかになる・理解できる瞬間がクライマックスとして描かれて、
ただ、 起こった事象が「当然、刑事事件として捜査され、
司法で裁かれるべき」出来事だったとしても、
主人公が最終的に、気づかなかったふりをしたり、
世間一般には事実と異なる筋書きで認知されたり、
…といった帰結に収まるものも少なくない印象 があります。

激情が理解できれば、なんとなーく起こった出来事の全体像も想像できるのですが、
​『なんとなく想像』以上には立ち入らない、​ というか。​

また、『氷菓』・『追想五断章』に見て取れるような、
何十年も前の文章の断片から、そこにある激情に触れに行く、 といった
「今更、どうにもならない」んですけど、
​残した意図を汲みとることに意義がありそうな気がする、
そういった作品群の印象も強いです。​

こういった従来の米澤先生の作品を知っていると、
本作は、「感情・激情」は二の次で、組織体・権力を用いた、
極力短時間での「事実」解明のへ向けたアプローチが見どころなんだな、
とよく分かります。

葛警部が、部下たちを(恐らく非常に根気の必要な)情報収集に散らして、
各所から上がってくる情報を頭の中で一気に組み立てます。

その過程で引っかかる部分が出てきた場合には、そのままにせず、
(周囲に顔をしかめられながらも) 納得がいくまでとことん追求する。

本当に細かい部分の情報収集をし始めると、
自然と別の曖昧だった部分や、ほかにも考えられうる可能性が潰すことが出来ていく…
​その過程を楽しむ、​ という作品だったな、と受け取っています。




以下、各編の簡単感想です。

​​​■崖の下 ​​ ​​
雪山で、男女4名が遭難した。
最初、崖の下で発見された男性2名のうち、1名は重症で病院に搬送された。
しかし、一緒に居たもう1名は、頸動脈を刺され死亡していた。
犯人は重症の男性と考えるのが自然で、調べを進めると動機となりうる事実も見えてきた。
捜査が進み、別の可能性をどんどん潰していけているものの、
どうしても見つからないものがある…凶器だ。

上述してきたような「事実」解明へのアプローチ部分が、
一番端的に表現されていた1編だったんじゃないかと思います。

かなり地味で、どんでん返しが来そうでいて、最後までどんでんなく終わる…
それが「事実」解明アプローチの一番凄いところ、という作品だと思います。

1冊読み終わって、一番好きな短編と言われると、これかもしれないです。


​■ねむけ ​​
強盗傷害事件の容疑者が、交差点での交通事故を起こした。
深夜にも関わらず目撃者が複数現れ、容疑者の信号無視を主張したため、
県警は危険運転致傷罪で容疑者の身柄確保を画策するが…。

これも、警察組織ならではの話回しが楽しめる作品でした。
強盗傷害再犯防止のため、別件で容疑者の身柄確保をしたい気持ちはすごく分かるのですが、
交通事故案件の釈然としない点について、
細かい引っかかりにひたすら突っ込む葛警部が見ものです。


​■命の恩 ​​
榛名山麓のきすげ回廊で、男性のバラバラ遺体が発見された。
ほどなく歯形より被害者の身元は判明したが…
何故、バラバラ遺体は、観光客にも目につきやすいきすげ回廊に放置されたのか?

絵面が一番劇的な作品だったかと思います。
従来の米澤先生の作品の主人公たちなら、最後気づかなかったふりをしちゃいそうな作りで、
あえて淡々と「事実」への対処が羅列されるラスト、エピローグを含め、
「情<事実」という構図が心に焼き付く作品でした。


​​ ■可燃物 ​​
住宅街で立て続けに起こる不審火。
いずれも小規模ではあるが、放火事件の可能性があるとして、
捜査第一課の葛班が捜査に当たり始める。
しかし、捜査開始の夜から、不審火はぴったりと止まり…。

表題作になっている作品です。
やはり、一番まとまりの良い作品だったかな、と思います。

消防管轄と捜査第一課管轄の価値観というか、
観点の違いをあぶり出すような展開・犯人像が見どころでした。
ラストの、結局何も進展・発展せずに凶悪犯罪だけが残るやるせなさは、
流石な米澤先生の作品の醍醐味という印象でした。


​■本物か ​​
ファミリーレストランで立てこもり事件が発生した。
現場へ急行した葛班は、店内で犯人が拳銃らしきものを手にしているのを目撃する。
「……本物か?」

現在進行形の重大事件…
下手を打てば、人命にかかわる重大被害が出てしまうという緊迫な状況下において、
短期間での情報収集と、事実・全体像(仮)の組み立てを行い、冷静に対処する…
緊迫場面を「平常」なメンタルで取り扱う、
警察組織体へのリスペクトを感じられる作品でした。



​​従来の米澤先生作品とは一風変わった読後感​​ …のようでいて、
やっぱり米澤先生の醍醐味! も存分に味わうことのできる短編集
だったと思います。​

​​ 私は、今回の葛警部のシリーズ、大好きです。 ​​
ゆっくりと書き溜めて、いつか続刊があると嬉しいな、と思っています。

by姉





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最終更新日  2023.10.08 20:17:36
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