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March 25, 2021
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テーマ: 読書メモ(89)
カテゴリ:
「沈黙の叫び」マーシャ・マラー著 
原題「LISTEN TO THE SILENCE」
訳=古賀弥生 2004年3月15日発行

【中古】 沈黙の叫び 講談社文庫/マーシャ・ミュラー(著者),古賀弥生(訳者) 【中古】afb
■著者マーシャ・マラー
1944年、ミシガン州デトロイト生まれ。
ミシガン大学でジャーナリズムを専攻し修士号を取得。
ロス・マクドナルドの作品を読んだのがきっかけで

77年にシャロン・マコーンが主人公の『人形の夜』を発表。
82年の第2作『タロットは死の匂い』以降はシリーズ化され、
本作が21作目。
他に美術界を舞台にした2つのシリーズを持つ。
93年にシェイマス賞の巨匠賞、
94年に『影の中の狼』でアンソニー賞を受賞し、
サラ・パレツキー、スー・グラフトンと合わせて
女性私立探偵小説御三家として高い評価を得ている。
ビル・プロンジーニの配偶者でもある。


■あらすじ

父の死をきっかけに自分が養子だったことを知ってしまう。
ショックを受けた彼女だったが、
自分のルーツを確かめようと母方の一族である
アメリカ先住民ショショニ族の保留地を訪ねる。
しかし、彼女の生い立ちには



■感想(最後にネタバレ注意)
訳者あとがきに、
1980年代にすばらしい女性探偵がぞくぞくと登場し、
そのブームのさきがけとなったのがマーシャ・マラーの
シャロン・マコーンシリーズ第1弾
『人形の夜』だと書いてあった。

私はその頃、SFと科学誌ばかり読んでいたので、
女性ミステリ作家による女性探偵の活躍を
全く知らなかった。
図書館でも見つけられなかったなあ。
結局見慣れた名前ばかり
見つけてしまうのだろうなあ。

五十代になってから本屋さんで、
たまたまパレツキーの『サマータイム・ブルース』を見つけて
買って読んだんだけど、
当時の私には刺さらなかったのだった。
だから、表紙が妙に今どきイラストの
『サマータイム・ブルース』が本棚にはある。
スー・グラフトンは昔『アウトローのO』を
記憶なく2回も読んでしまった。
こちらも他作品を読んでいないところを見ると
私にはピンと来なかったらしい。
でも最近は、
女性作家の緻密な設定や描写が
とても読み応えを感じると思い、
女性作家を探していた。


本書『沈黙の叫び』は
マコーン・シリーズの長編第21弾目だそうで、
驚く長期シリーズだ。
ウィキペディアには、
2011年に29作目まで出ているとある。
日本語訳では本作で最後となっているようだ。

内容は、40歳になったマコーンが
ルーツ探しに奔走して
隠された腐った膿を掻き出してしまったけど、
最後に事実にたどり着いたお話というところかな。

マコーンは車や飛行機、自家用セスナを駆使して
東奔西走しているので、
グーグル地図と風景写真で確認しながら、
馴染みのない南西部アメリカを一緒に旅した。

アメリカ先住民の習慣や世界観が織り込まれた
異文化の織り込まれた一冊だった。

コツコツと事実を拾い集めるマコーンの
誠実で愛情深く、理知的で行動的な人柄が
とても好感が持てた。

小さなパーツを拾い集める謎解きとしては
調べるほど謎が深まり面白かった。



ここからネタバレ注意。

ただね、読後しばらく経ってから
なんかもやもやしてる感じがした。
マコーンは最初に育ての母に向き合って
しっかり事情を聞けば良かっただけなんじゃないの?
あんなに粘り強い人が1回で諦めるかな?
何もあんな危険な目に合わずに済んだんじゃないの?
育ての母に聞いたら、
人が傷つけられたり、殺されたりせずに済んだんじゃないの?
あの人も無駄に暴れて人を殺さずに済んだんじゃないの?
って、思っちゃうんだよね。

あんなに丁寧に調べまわる事ができるなら、
始めに母親を口説けば良いんじゃなかったの?
感情的な母親に対して、
うまく情に訴える事だって出来たんじゃないの?

と感じると言う事は、
最初の導入部分に無理やり感があると
私は感じているらしい。

知的で計画的な所と
無謀で出たとこ勝負な所が、
私の頭の中では1人の人として
うまく混ざらないみたいなんだよね。

う~ん、75点てところで。
第1作目の『人形の夜』を読んでみようかな。
時代と熱量の違いを感じるかもしれない。


―2020年12月12日頃読了―





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Last updated  March 25, 2021 08:36:32 AM
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