
野手を使い果たした阪神は、投手を守らせるしかない。真弓監督や木戸ヘッドコーチ、山脇守備走塁コーチらが、輪になって協議を始め、リリーフ陣のリーダーである藤川球にも意見を聞いた。出た結論は、プロ2年目右腕投手の西村を守備につかせる事。「誰に聞いても、一番うまいというから」と真弓監督は説明した。ブルペンから呼ばれた西村はいつものマウンドではなく、右翼のポジションに走った。外野の守備に就いたのは、福岡工大城東高以来だという。「2、3年生のときに、外野の3つすべてを経験した」。とはいえ、プロの試合は別次元。投手用のグラブをつけて、立つ姿は違和感たっぷりだった。・・・だって。
首脳陣はさらに思案した。西村をいかに守らせないか。「一番飛ばないところを考えた」と真弓監督は言った。藤川球らの球を引っ張るのは難しいと判断し、打席に右打者が立てば、左翼。左打者ならば、右翼。合計4度も西村の守備位置を入れ替えた。そのたびに西村は外野の芝生を横断する。「打撃練習のときに、打球を見ているんで、それをイメージした」。緊張しっぱなしで、11回からの2イニングを守った。藤川球、福原の力投もあって、守備機会はなし。ドラマはこれで終わらない。12回の攻撃では、打席が回ってくるおまけつき。新井の盗塁死でゲームセットとなったが、“最後の打者”になった。「次はピッチャーで貢献したい」と胸をなで下ろした。
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