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今年二月に完結した「「蒼―lovers―玉」ですが、全330話のところを全300話にしました。前世編・現世編の二つに分けて物語を進めて参りましたが、前世編のままで綺麗に終らせた方が良かったのでは?と、完結後に思うようになり、今日編集した次第です。読者の皆様を混乱させてしまいますが、どうかご了承くださいませ。
2016年06月30日
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先週BSジャパンで放送されていた映画です。実話を基にした映画で、白人に父親を殺されたセシルは、ひょんなことからホワイトハウスに仕える事に。モデルとなった方には息子が一人だけ居ますが、映画では二人の息子達が登場します。1950年代から、アメリカ建国以来初の黒人の大統領が誕生するまでの2008年までを、セシルと彼の長男・ルイスの視点で描いています。公民権運動をテーマにした作品で、作中で黒人に対する差別がいかに激しかったかを描かれていて、途中で目を背けたくなるようなシーンがありました。この作品のもう一つのテーマは、長年絶縁状態にあったセシルとルイスが和解するまでを描いた親子愛の物語でもあります。とても良い映画でした。
2016年06月29日
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毎年この季節になると始まる夏の文庫フェア。写真は集英社文庫のナツイチフェアで貰ったしおりです。集英社のナツイチフェアでは可愛いしおりを貰いましたが、角川文庫ではブックカバーを貰いました。全5種類あり、アリス・イン・ワンダーランドのカバーに一目惚れしました。学習漫画セットよりも、図書カードが欲しいです…
2016年06月28日
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近所のブックオフで購入しました。何というか・・天使とか悪魔とかがテーマの、ゴシックロマンス小説ですね。ただ、全四巻の内の一巻目なので、全体の世界観が明らかになっておらず、ちょっとわかりづらい部分がたくさんあるし、主人公のルースがなんだか周りの空気に流されているような気が・・それに、この本が出版されてもう5年経ちますが、続きは出なさそうですね・・まぁ、映画化されたのだから、いつか出るのでしょうか。
2016年06月27日
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前から読みたいと思って購入しました。ある事件を境に、前科のある男と、一人の女の過去が炙り出されるのですが、何だか残酷というか、何というか…集団レイプの被害者の女性が悲惨な人生を送り、それと比例しているかのように加害者の人生も悲惨なものに…まあ、加害者には同情しませんが、被害者の女性には同じ女性として尊厳を傷つけられ、周囲から好奇の視線に晒され…言葉にはし難い屈辱を味わった彼女の、加害者への復讐心が芽生える事に共感しながら最後まで一気に読みました。吉田修一さんの作品、結構残酷描写とかがありますが、何故か抵抗なく読めてしまいます。機会があれば、『パレード』を読んでみようと思います。
2016年06月26日
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2年前に一度読んだ本ですが、また購入して再読しました。 序章から意味深な独白が始まり、それぞれ敦子と由紀の視点で物語が進んでいくのですが、読み進めるごとにパズルのピースがひとつずつはまっていくような気がしました。 ある出来事がきっかけで気まずくなった2人の関係が再び修復に向かうラストを爽やかな気持ちで読み終わった後、最後にあの人の独白がくるなんて…最初と最後の独白が全て繋がり、見事だなと思いました。 湊かなえ作品は、後味悪い作品が多いですが、それでも面白いです。
2016年06月26日
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英国貴族でFBI捜査官・ニコラスと、女性捜査官・マイクが、盗まれたダイヤモンドを追いながら敵と戦うシーンは、さながらアクション映画を観ているようでした。アクションとロマンスのバランスがとても良かったです。ニコラスとマイクの美男美女カップルの今後の活躍ぶりが楽しみです。
2016年06月25日
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男子だけのチアリーディングに青春を懸ける青年達の物語ですが、まさに青春といった感じの作品でした。個性的なメンバーだけが集まったチーム。それぞれの悩みを抱えながら成長してゆく彼らの姿に読み終わった後、胸が熱くなりました。
2016年06月21日
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綾辻行人さんのベストセラー。孤島の洋館で起きる連続殺人事件の真相と結末が分かったとき、あ~、犯人あの人だったのか!と、読み終わった後思わず叫びそうになりました。最初から最後まで面白くて、目が離せなかったです。
2016年06月19日
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高層マンションの一室で、殺人事件が発生。偶然事件に居合わせた男女の証言は矛盾に満ちていた・・というストーリー。純愛ミステリーと帯ではこの作品の事を銘打っていましたが、事件の真相は余りにも暗澹たるものでした。読み終わってから、この作品のタイトルの意味がわかりました。
2016年06月19日
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何度も映画化・舞台化された名作。 狼に育てられ、ジャングルで暮らすモーグリ。 人間と動物という、違う種族同士の絆の深さと強さとは対照的に、人間の狡猾さと残酷さが描かれています。 成長するにつれ、人間であることに葛藤するモーグリ。 ラストは、モーグリに新しい家族が出来たシーンで物語が終わりますが、一冊読了した後モーグリと彼の新しい家族がジャングルの中を駆け回る姿が浮かびました。
2016年06月19日
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ハーパーブックスの公式サイトで昨年夏に紹介されてから、ずっと気になっていた本でした。犯罪のテーマがテーマなだけに、残酷描写が多かったのですが、テンポよく物語が進むのであっという間に上下巻を読了できました。主人公・クレアとその姉・リディアの目線で物語が進むので、ちょっと読み辛いところがありましたが、下巻は突然失踪した彼女達の長姉・ジュリアの消息や、強盗に刺殺されたクレアの夫・ポールの本性などが判り、まさにジェットコースターストーリーといった感じでした。アマゾンのレビューでは酷評されていましたが、残酷描写が多いと読む人を選ぶ作品でしょうね、この本は。
2016年06月19日
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タイトルの意味が、読み進めてゆくうちに解りました。65歳のハロルドは、元同僚を見舞いに1000キロ離れた元同僚が入院するホスピスまで歩いて向かうことに。はじめは無謀な試みかと思われましたが、旅の途中で様々な人に出会うハロルド。二転三転する展開に、ページを捲る手が止まりませんでした。残酷で、ほろ苦い結末を迎えましたが、ハロルドと彼の妻・モーリーンの絆が深まった希望に満ちたラストに胸が打たれました。
2016年06月15日
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今日はブックオフから、自転車でイオンへ行きました。帰りに以前利用したアルティジャーノのパンを購入し、帰宅後に食べました。左のパンは、店長のおすすめというPOPにひかれて購入した玉ねぎパン。玉ねぎがたっぷり入っていて、美味しかったです。右のパンは、チーズがたっぷり入ったパン。チーズの旨味がパンの生地との相性が抜群で美味しかったです。
2016年06月14日
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空気が読めないトラブルメーカーだけれど人の心を些細な仕草から読むことが出来る冬彦が主人公のシリーズ第二作目。今回は謎の自殺が相次ぐ高校を舞台に、一人の少女の存在が捜査線上に浮かびあがる・・といったストーリーです。その少女・美咲が出てきたところから何だかオチが判ったのですが、彼女は超能力者なのですね。こういう人が実際に居たら怖いですね・・公には出来ませんし。冬彦の妹・千里の登場で、彼の家庭環境がどんなものだったのかが明らかになりました。冬彦と千里の兄妹がこれからどうなるのか、気になりますが、ラストはいつもハッピーエンドで良いですし、読みごたえがあります。
2016年06月10日
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ハンセン病の差別の激しさを描いた作品で、最初から最後までページを捲る手が止まりませんでした。途中何度も読むのを止めたくなる描写がありましたが、終盤辺りで意外なラストを迎えて良かったです。
2016年06月10日
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大手飲食チェーン店専務誘拐事件の裏に隠された、一組の男女の物語。 「ストロベリーナイト」シリーズのように派手ではないものの、村瀬と瑶子という一組の男女が抱える事情を丁寧に描いていて、それでいて誘拐事件の被害者である男の悪辣さも描かれていました。 最初から最後まで面白かったのですが、気になるところで終わってしまったのが残念でした。
2016年06月10日
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はじめ青春ラブストーリーかと思ったのですが、中盤になるにつれ、謎めいた少女・玻璃が抱える秘密が明らかになり、あっという間に読了しました。 途中でいじめの描写が入りますが、加害者達はただ玻璃をいじって笑いを取っていたというのがゾッとするし、彼らに罪の意識がまったくないことも恐ろしい。 玻璃の父親はそんな彼らよりも恐ろしいです。 最初から最後まで何処かで話が繋がっているという伏線の張り方と回収が見事だと思った作品でした。
2016年06月07日
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4月にアニメ化する田中芳樹氏の歴史ファンタジー小説。序盤の戦場のシーンや、アルスラーン達が敵の包囲網を突破するところとか、謎の銀仮面の男とダリューンとの死闘の場面など、かなり読み応えのあるシーンが幾つかありました。これから続きを読んでいきたいと思います。今回は、パルスやルシタニアを巡る各諸国の陰謀や、銀仮面の男の正体などが徐々に明らかになり、小説のシーンが頭の中で浮かんでくるかのようでした。アルスラーンの出生の秘密が気になりますし、ヒルメスの目的も気になります。目が離せない展開が続きますね。アルスラーンが国王として即位し、パルスの周辺国はよからぬことを考えているようですね。何やら、ルシタニア軍の虐殺が、イスラム国のように見えました。国王として国を治めるアルスラーン、初陣の頃と比べると、精神的に成長して貫禄がつきましたね。ファランギーズとアルフリードが神殿で出会った女神官見習いの少女・レイラは、タハミーネ王妃の娘なのでしょうか?手に汗握る展開が続きますね。蛇王ザッハークの眷属たちが、人間達に襲い掛かる。その眷属の描写が、気持ち悪すぎて想像すると怖いです。魔導師の挿絵が、痛々しかったなぁ・・これからまた、面白くなりそうな予感。また色々ときな臭い展開になってきましたね。蛇王復活の日は近そうです。エステルが亡くなり、蛇王ザッハークが復活して、ますます波乱の展開になりそうですね。アルスラーン達が心配になってきました。一気に血生臭くなってきましたね。挿絵も恐ろしいものが多くなってきましたし・・アルスラーンはどうなるのでしょうか?まさかナルサスとアルフリードがあんな事になるなんて思いもしませんでした。 次巻で完結予定ですが、どうなるのでしょうか?
2016年06月05日
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久しぶりにマクドへ行き、期間限定のロコモコバーガーを食べました。チーズと目玉焼き、そして野菜と肉がたっぷり入ったボリュームあるランチでした。写真と実物の違いが酷すぎるといわれるマクドですが、今回は運良く写真と同じような商品が食べられました。
2016年06月05日
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ある高校で起きた女生徒の交通事故死と、女性教師の絞殺事件ーふたつの事件の真相が明らかになるにつれ、主人公の妹の病の原因が大企業が起こした公害によるものと判り、単なる学園ミステリーの枠に収まらない、読み応えのある作品でした。主人公・西原壮一の性格が好きですし、彼と共に事件の真相を探る楢崎薫や野球部の部員達も魅力的な登場人物でした。被害者である女性教師は「殺されても当然」のような性格の持ち主ですが、ちょっと可哀想な死に方でしたね。ラストが意味深でしたね。
2016年06月05日
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「兄者、これからどうするんだ?」「シャワーを浴びて来るよ。」「そうじゃない、今後の事について聞いているんだ!」「それは後で考えるよ。」青年はそう言うと自分を険しい目で見つめている弟に微笑むと、部屋から出て行った。「貴方、こちらにいらしていたのね。」青年と入れ違いに、一人の女が仏頂面を浮かべながら部屋に入って来た。「こんな夜中に何の用だ?」「あら、妻であるわたくしが貴方に会いに来るのにわざわざ理由をつけなければいけないのかしら?」女―青年の弟であるレオンハルトの妻・シュティファニーはそう言うと夫を睨んだ。「今日、お義父様に子供はまだかと催促されてしまったわ。」妻が不機嫌な理由はそれだったのかと、レオンハルトはそう思いながら彼女に背を向け、窓の外を見た。「子供は天の授かりものだ、催促して出来るようなものではないだろう?」「わたくしもそうお義父様に言いましたわ。お義父様は結局、子供が出来ない事をわたくしの所為にしたいのよ。貴方、もしかしてここに女を連れ込んでいるのではなくて?」「馬鹿な事を言うな。兄者が来ているだけだ。」「またお兄様がいらっしゃっているのね。本当に貴方達は仲がよろしいのね。」夫の口から“兄”という単語が出た時、シュティファニーの眉間に皺が寄った。「兎に角、子供の事は真剣に考えてくださいな。わたくしに落ち度がなくても、結局お義父様達に責められるのはわたくしなのですから。」シュティファニーはそう言い捨てると、そのまま居間から出て行った。「誰か来ていたのかい?」居間のドアが開き、素肌にガウンを纏ったレオンハルトの兄・エドアールが入って来た。「シュティファニーだ。どうやら、子供の事で父達に色々と嫌味を言われたらしい。」「そう。ねぇレオンハルト、僕の事が心配で堪らないのは解るけれど、少しは自分の奥さんの事を構ってあげないと駄目だよ?」エドアールはレオンハルトの隣に腰を下ろすと、そう言って彼を見た。その時、ガウンの合わせ目からエドアールの豊満な乳房が見え、レオンハルトは慌ててそこから目を逸らすと、エドアールはクスクス笑いながら弟にしなだれかかった。「今更恥ずかしがることではないだろう?」「だが・・」「お前が僕の家に来た目的は、一つしかない。そうだろう、レオンハルト?」エドアールは血を分けた弟の前でガウンの腰紐を外し、美しい裸身を晒した。「あ、兄者・・」「身体は正直だね、レオン。」深紅の瞳で弟を見つめたエドアールは、彼の主張し始めた股間をそっとズボンの上から触ると、レオンハルトは堪らず兄をソファの上に押し倒した。「ふふ、慌てん坊だね。夜はまだ長いよ。」「兄者・・」「この事は、お前の奥さんには秘密だよ?」エドアールは人差し指を唇の前に翳すと、弟の愛撫に身を委ねた。 生まれた時から、エドアールは両性具有の身として生を享(う)けた。名家の御曹司として生まれた彼は、己の身体の忌まわしい秘密を抱えながら、「男」として25年間生きて来た。 しかし、双子の弟・レオンハルトにその秘密が露見したのは、15歳の時だった。英国の名門寄宿学校へ進学し、寮で同室となったレオンハルトにエドアールは入浴中の裸を見られてしまったのだった。 その時から、二人は一線を越え、その関係はレオンハルトがシュティファニーという妻を迎えた今になっても続いている。 幼少期のトラウマの所為で、男から身体を触られることに激しい嫌悪感を抱くエドアールだったが、血を分けた弟と手を握ったり、キスをしたりといった行為は平気だったし、セックスも苦痛ではなかった。「ねぇ、もし僕が妊娠したらどうする?」「その時は、俺が兄者を守る。」「そう・・」 情事後の気怠い空気の中、全裸になったエドアールは、弟の言葉を聞いて笑顔を浮かべ、彼の裸の胸にしなだれかかった。「ねぇ、あの子は無事解放されたかな?」「あの子とは誰だ、兄者?」「僕と同じ身体を持ったアレクサンドラ皇女から生まれたお姫様さ。名前は忘れてしまったけれど、また会えるといいな。」「俺も一度会いたいものだな、そのお姫様とやらに。」 暖炉の前で兄弟が再び睦み合っている頃、無事王宮へ戻ったガブリエルは、眠る前に寝室でアレクサンドラから絵本を読み聞かせて貰っていた。「貴方が無事に帰って来てくれて良かったわ。怪我がなくて良かった。」「お母様、わたしね、天使様を見たのよ。」「天使様?」「うん。わたしと同じ紅い瞳をした綺麗な顔をした天使様だったよ。いつかまた会えるといいなぁ。」「そうね。きっと会えるわよ。さぁ、今夜はもう疲れたでしょう、お休みなさい。」「お休みなさい、お母様。」 ガブリエルは寝室でゆっくりと目を閉じると、自分と同じ瞳をした天使と遊ぶ夢を見た。(天使様と、また会えるかなぁ?)―第一部・完―にほんブログ村
2016年06月04日
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隣室でセルビア語の怒鳴り声が聞こえ、ガブリエルは恐怖で身を竦ませた。 王宮から一人の女官に外へと連れ出され、薬品が染み込んだハンカチを押し当てられて気絶した後、ガブリエルは目が覚めるとウィーンの貧民街にあるボロアパートの一室に監禁されていた。“監禁”といってもガブリエルを拉致した犯人グループはガブリエルの手足を拘束したり、目隠しをしたりしなかったし、ガブリエルにトイレへ行く許可をやり、食事を与えたりするなど、ガブリエルを丁重に扱っていた。 隣室で彼らが何を言い争っているのかは解らないが、ガブリエルは早く誰かがここから連れ出してくれればいいのにと思いながらゆっくりと目を閉じて眠った。『あら、眠っているよ。可愛い寝顔だねぇ。』 ガブリエルの部屋のドアが開き、ガブリエルを誘拐した女官・クレアがそう言ってベッドで横になって眠っているガブリエルのブロンドの髪を優しく梳いた。『クレア、宮廷からの連絡はまだか?』『焦ることはないさ。すぐに向こうは5万ユーロを用意してくれるだろうよ。いくら怜悧狡猾な皇太子様だって、自分の息子の命は惜しいだろうからね。』『何を馬鹿な事を言っている、クレア。こいつの父親は不明の筈だろう?』『それは表向きの事で、あたし達は皇太子様とアレクサンドラ様が実の親子でありながら男女の関係になっていること位知っているのさ。』『お前、まさかそのことを公にする気で、この餓鬼を攫ってきたっていうのか?』『ああ。まぁ、あたし達も大人しく宮廷が動くのを待つとしようか。』クレアはそう言って共犯者に向かって笑みを浮かべた。「ルドルフ様、5万ユーロの用意が出来ました。」「そうか。」 ルドルフが執務室で犯人からの連絡を待っていると、机の上に置いていたスマートフォンが着信を告げた。『5万ユーロは用意できたか?』「ああ。次は何をすればいい?」『その5万ユーロを持ってプラーターに来い。』 数分後、ルドルフは5万ユーロを入れたアタッシュケースを抱えてプラーターへと向かった。 昼間は観光客や家族連れで賑わうプラーターは、深夜になると不気味な程静まり返っていた。「すぐに来たね。もう来ないのかと思ったよ。」 霧の中から、ガブリエルの首筋にナイフを突きつけながら誘拐犯の女官が現れた。「お父様!」「大きな声を出すんじゃないよ!」「ごめんなさい・・」 ガブリエルは真紅の瞳に涙を溜めながら俯いた。「ガブリエルには手を出すな、ここに金が入っている。金はお前達の好きにするといい。」ルドルフはそう言うと金が入ったアタッシュケースを女官の方に蹴ると、彼女は満足そうな笑みを浮かべながらそれを拾い、ガブリエルの背中を押した。「さようなら、可愛いお姫様。」「また会える?」「会えないよ。さぁ、あたしの気が変わらない内にお父様の元へお行き。」「さようなら。」ガブリエルはクレアに別れを告げ、彼女に背を向けルドルフの元へと駆けていった。「お父様!」「ガブリエル、無事で良かった。さぁ、おうちへ帰ろう。」「はい。」ルドルフとガブリエルがプラーターを後にするのを見たクレアは、大金が入ったアタッシュケースを提げ、霧に包まれたウィーンの街を歩いていた。 あと少しで自宅アパートの部屋に辿り着こうとした時、彼女の前に一人の青年が現れた。 「金は?」「こちらに。」「そう、有難う。」クレアに微笑んだ青年は、そう言って彼女に近づき、躊躇いなく隠し持っていた短剣で彼女の頸動脈を切り裂いた。「・・・様、何故?」「お前はもう用済みだからだよ。そんな事も解らないなんて、最期まで馬鹿な女だ。」 形の良い、桜色の唇から紡ぎ出される言葉は毒と棘を含んでいた。 血溜まりの中で息絶えるクレアの姿を冷たく見下ろした青年は、アタッシュケースを掴んで霧の中へと消えていった。「兄者、何処へ行かれていたのだ、心配したのだぞ?」「ああ、ごめん、ごめん。ちょっと用事を済ませてきたのさ。」「そうか・・兄者、怪我をしたのか!?コートに血がついているぞ!」「大丈夫、これは返り血さ。」青年はいつも自分の身を案じる過保護な弟に向かって屈託のない笑みを浮かべた。「あ~あ、これじゃぁもう着られないね。」「俺が外へ捨てて来る。」「有難う。」にほんブログ村
2016年06月04日
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豊後関前藩主の正室・お代の方の変貌ぶりに、関前藩の内紛の気配を感じる磐音様。世継ぎ問題は、いつの時代にもありますね。豊前関前藩主の子息・俊次が尚武館に入門したことにより、また新たな陰謀に巻き込まれる磐音様。俊次は爽やかな青年でいいですね。彼ならいい藩主になれそうです。毒矢に刺された霧子の意識が回復して良かったです。修太郎の新たな旅立ち、そして佐々木家再興の鍵でもある短刀の存在が明らかになり、これから磐音様がどう活躍されるのかが気になります。霧子が全快して良かったものの、また今回も様々な騒動に巻き込まれる磐音様たち。まだまだ戦いは続きそうですね。辰平とお杏の縁談が調い、久しぶりの慶事に喜ぶ磐音様達。戦いの中でも、束の間の安らぎの場面を読んだ後頬が弛みました。 弥助が何処へ消えたのか気になりますが、田沼意知の死を機に磐音様と田沼一派との戦いが終わるのでしょうか。 養父母の墓前で田沼意次と対峙した磐音様。 まだ戦いは終わらなさそうですね。 そして子ども達を連れて奈緒が江戸へ。 これからどうなるのか気になります。 江戸で紅屋を開いた奈緒の商売が順調で良かったです。 田沼意次が老中を罷免され、時代が大きく変わろうとする中、田沼一派と磐音様の戦いに終わりは来るのでしょうか。 田沼意次が死に、長い間続いた田沼一派と磐音様の戦いに終止符が打たれました。 これから、穏やかな時が磐音様達に流れるのでしょうか? 尚武館道場が神保小路に再興し、穏やかな暮らしを送る磐音様達の日常を読んでいたら、金兵衛さんが亡くなってしまいました。 誰しもその時が来るけれど、何だか寂しいです。磐音様の父・正睦も亡くなり、一気に寂しくなりました。 正睦様が最後の大舞台に臨んだ姿、凛々しくて格好よかったです。 磐音様の嫡子・空也の旅立ちでこの物語が完結してしまい、寂しいですが、良い終わり方を迎えたと思いました。 約半年間、磐音様の魅力に惚れました。 佐伯先生、お疲れ様でした。
2016年06月01日
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