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歳三は底の見えない暗い海の底へと、ゆっくりと沈んでいった。 この世に生を享けてから35年間、なりふり構わず、ただ前だけを向いて生きて来た。どんなに辛い事があっても、ただがむしゃらに前進してきた。まるで嵐の海を征く船のように、歳三の前には次々と困難が立ちはだかった。だが、その困難を歳三は近藤や総司をはじめとする仲間達と共に乗り越えて来た。“トシ”“土方さん”いつも自分の傍には、近藤と総司、そして試衛館の仲間達が居た。しかし嵐の海が鎮まった今となっては、歳三の傍には誰も居なくなってしまった。(この先には、一体何があるんだろうな?) 暗い海を見つめ、歳三はそう思いながらゆっくりと瞳を閉じた。「・・さん、土方さん!」 誰かの声が聞こえ、歳三は低く唸って身体を反転させた。すると、誰かが自分の身体を大きく揺さぶった。「土方さん、そんなところで寝てないで起きてくださいよ!」 歳三がゆっくりと目を開けると、そこには労咳で死んだ筈の総司が自分の顔を覗き込んでいた。「総司、お前ぇ死んだ筈じゃなかったのか?」「何を言っているんですか?」総司は歳三の言葉を聞いた途端、そう言うと噴き出した。 彼の笑顔を見た歳三は、嬉しさを感じると共に何故か彼に違和感を抱いた。「おおトシ、目を覚ましたか!」「近藤さん・・」歳三が賑やかな声が聞こえた方を見つめると、そこには自分が生涯を共にした親友の姿があった。「どうした、トシ?幽霊を見たかのような顔をして?」「そうですよ、さっきから土方さん、様子がおかしいんですよ。頭を打っておかしくなったんじゃないんですかねぇ?」「俺が、頭を・・?」「もう、土方さんったら、あんな事があったのに全く憶えていないんですか?」総司はそう言って笑いながら、歳三の肩を力強く叩いた。「おや、何やら賑やかな声が聞こえたと思ったら・・漸く意識を取り戻されたみたいですね、土方さん?」 副長室にそう言いながら入って来た禿頭(とくとう)の男が誰なのか、歳三は暫く思い出せなかった。「松本・・先生?」「先生、丁度いい所に来てくださいました。トシがおかしいので、診てやってくれませんか?」「頭を酷く打ってしまったから、その所為で土方さん、酷く混乱してしまったそうなんですよ。早く診てあげてください。」「解りました。」 禿頭の男―松本良順医師の診察を受けた歳三は、近藤と総司に対して抱いている違和感が拭えずにいた。 本当にここは、現実の世界なのだろうかと。作品の目次はコチラです。にほんブログ村
2016年11月30日
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※BGMと共にお楽しみください。 1869年5月11日、箱館・一本木関門。「土方さん、大変です!弁天台場が敵の攻撃を受けて孤立しました!」「わかった。」 部下から新政府軍の攻撃を受けて新選組が居る弁天台場が孤立した事を聞いた元新選組副長・土方歳三は、すぐさま部下達と共に五稜郭を出て弁天台場へと向かった。「土方だ!」「奴を逃がすな、生け捕りにしろ!」 歳三の姿を見た新政府軍は、口々にそう叫びながら彼らに突進していった。「退く者は斬る、俺に続け!」馬上で彼がそう部下達に言った時、一発の銃声が空気を切り裂いた。 気が付くと歳三は腹を撃たれ、そのまま落馬して地面に叩きつけられた。「土方さん!」 遠くから、自分が愛する人の声を聞いた歳三は、ゆっくりと目を閉じた。(あぁ、もう俺は死ぬのか・・) 目蓋の裏に、次々と自分よりも先に逝ってしまった仲間達の顔が浮かんだ。 漸く彼らの元へと逝ける―そう思いながら歳三が天に向かって手を伸ばすと、誰かがそれを握る感触がした。それを最後に、歳三の意識は闇へと沈んでいった。作品の目次はコチラです。にほんブログ村
2016年11月30日
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「それで、君はどうしてこんな所に居るんだい?てっきり恋人と一緒に江戸に居るものだと思っていたけれど。」「俺の私生活をあんたに話す義理なんてねぇだろう。」「それはそうだね。ではまた会えることを願っているよ、土方君。」「寝言は寝て言いやがれ。」 歳三は桂を睨みつけ、彼に背を向けて部屋から出て行った。「相変わらず御し難い人だ・・まぁ、そこが彼の良い所なのだけれどね。」桂は溜息を吐くと、冷蔵庫からウィスキーを取り出し、それをグラスに注いだ。「おはようございます。」「土方さん、昨夜桂さんのお部屋に居たでしょう?桂さんとお知り合いなの?」「ねぇ、桂さんと昨夜何をしていたの?」 翌朝、歳三が出勤すると、同僚の仲居達が好奇心を剥き出しにしながら彼の元へと駆け寄って来た。(壁に耳あり障子に目あり、か・・)「あの、桂様って、有名な方なのですか?」「あらぁ土方さん、知らないの!桂さんって言ったら、今を時めく若手企業家よぉ!」「“一番結婚したい男”ナンバーワンに選ばれた事があるイケメンよ!」「でも桂さんが人妻に興味があるなんて初耳だわぁ~!」歳三を放っておいて、勝手に盛り上がる仲居達の姿を横目で見ながら、歳三が溜息を吐いた時、板場からの内線電話が鳴った。「はい、土方です。」『ちょっと、そろそろ朝食の時間だけど、まだ来ないの?』「解りました、すぐ行きます!」 歳三は内線電話を切り、同僚達に朝食の時間が迫っている事を伝えた。 旅館の朝はいつも慌ただしい。「あ~、もう忙しくて目が回りそうだわ!」「何で修学旅行生が来るのかしら!」宴会場で修学旅行生達の膳の用意をしながら同僚達が文句を言い合っていると、そこへ女将がやって来た。「土方さん、ちょっと来てくれないかしら?」「はい。」 宴会場から出た歳三は、女将に連れられて事務室へと入った。「女将さん、お話とは何でしょうか?」「土方さん、貴方わたし達に何か隠している事はない?」「いきなりなんですか、女将さん?」もしかして、東京で歳三が西城にした復讐がばれたのか―そう思いながら彼が女将の顔を見ると、彼女は一冊の週刊誌を歳三に見せた。「今朝、こんな物がうちに届いたのよ。」女将からその週刊誌を受け取った歳三は、そこに桂と自分がキスをしている写真と共に、『K社長、人妻仲居と熱愛発覚!?』という記事が載っている事に気づいた。「女将さん、これは誤解です。」「桂様の方も、この記事は出鱈目だとおっしゃっていたわ。でもさっき、マスコミがうちの旅館の前に殺到していて、事務所の電話もひっきりなしにかかって来て仕事にならないのよ。悪いんだけれど、土方さん暫く休んでくれないかしら?」「解りました。」歳三はそう言うと、女将に頭を下げて事務所から出て行った。「土方さん、今日は終わるのが早いわね?」「ええ。皆さんにはご迷惑をお掛けすることになりますが、暫くお休みさせて頂くことになりました。」「あの週刊誌の所為でしょう?あんまり気にする事ないわよ。」「では、わたしはこれで失礼いたします。」 歳三が支度部屋から出て旅館の裏口から社員寮の部屋に入ろうとした時、突然カメラの眩いフラッシュが彼を襲った。「貴方が桂社長の恋人ですか!?」「結婚されていると聞きましたが?」にほんブログ村
2016年11月30日
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歳三が露天風呂の岩陰に身を潜めながら大浴場の様子を窺っていると、そこへ東京から金沢観光に来ていた男子大学生数人が入って来た。「なぁ、さっき宴会場で見かけた仲居さん、今度デートに誘ってみようかな?」「雪絵さん?やめとけよ、彼女人妻だぜ?」「いいじゃん、そんなの関係ないって。不倫万歳!」彼らはそんな事を話しながら、やがて大浴場から出て行った。 歳三が安堵の表情を浮かべながら露天風呂から出ようとした時、露天風呂の入り口のガラス扉が開き、一人の男性客が入って来た。「奇遇だな、こんな所で君と会えるなんて。」「てめぇ・・」 歳三が男性客―桂小五郎を睨みつけると、彼はクスリと笑いながら歳三の濡れた黒髪を優しく梳いた。「新選組の鬼の副長が突然失踪したという噂は、本当だったようだ。まぁ、我々には関係のない事だけれど、わたしの仲間達にとっては色々とやりやすくなるだろう。」「へぇ、そうかい。あんたのお仲間は、あんたが消えて慌ててねぇのか?」「暫く旅に出ると言ったら、みんな納得してくれたよ。まぁ、みんなわたしの放浪癖を知っているから、何も言わないのは助かる。」 桂はそう言うと、榛色の瞳で歳三を見た。「何故わたしがここに居るのかという顔をしているね?まぁ、丁度いい機会だからそのことについてこれからわたしの部屋に来てくれ給え。」「わかった。」 風呂から上がった歳三は、社員寮には戻らずに桂と共に彼が宿泊している部屋へと向かった。「どうぞ、掛けてくれ。」 桂が泊まっている部屋は、この旅館の中で一番高価なスタンダードスイートだった。「こんな部屋に泊まれる金、あんたはどうやって手に入れたんだ?」「それを君が知る必要はないよ。だが、わたしがどうやって幕末(むこう)から現代(こちら)へ来たのかは知りたいだろう?」「ああ、是非知りたいね。いずれ俺と総司は幕末へ戻るつもりでいるからな。」歳三はソファの上に腰を下ろすと、そう言って桂を睨んだ。「時間はたっぷりある。わたしが二つの世界を行き来できるのは、暦と自然現象が関係しているからだ。確か君達が現代へタイムスリップしてきたのは、京の上空にオーロラが現れたからだろう?」「ああ、そうだが・・それがどうした?」「二つの条件が揃えば、“時空の扉”は必ず開く。これを見てくれ。」桂はそう言うと、持っていた鞄から一冊の大学ノートを取り出した。歳三が大学ノートを開くと、そこには“時空の扉”の開き方が図解つきで詳しく書かれていた。「わたしが計算したところによると、次に“時空の扉”が開くのは、大晦日だ。その日は、日本上空で流星群が見られる。」「それじゃぁ、大晦日に俺と総司は幕末へ帰れるってわけか?」「まぁ、そういう事になるな。但し、わたしを見逃してくれるのならね。」「てめぇ、一体何を企んでいやがる?」「それは言えないな。言ったら、君達が全力でわたし達の企みを阻止するだろう?池田屋の時のように。」「相変わらずムカつく野郎だな、あんたは。」「それは褒め言葉として受け取っておくよ。」桂は徐(おもむろ)に窓際から離れると、突然歳三を抱きしめて彼の唇を塞いだ。「てめぇ、何しやがる!?」「怒った顔も美しいね、君は。」 眉間に皺を寄せて自分を睨みつけている歳三を見ながら、桂は飄々(ひょうひょう)とした口調でそう言うと笑った。にほんブログ村
2016年11月30日
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今年1月に放送されたドラマの原作小説。原作の方が加奈子と直美の厚い友情を描いており、それと同時にDV夫・達郎と、陽子の性格の悪さもよく描かれています。加奈子みたいな境遇に置かれたら、相手を殺すか、逃げるかー選択肢が二つしかないとしたら、わたしは後者を選ぶかなあ。離婚したらもう夫婦ではなくなって自由だし、姻戚関係終了の手続きをしたら問題は解決しそうだけれど、現実はそれらに至るまで泥沼の愛憎劇が繰り広げられそうで嫌ですね。達郎を殺し、彼を失踪に見せかけるけれど、警察が二人を疑い、李社長の力を借りながら上海まで逃避行をするシーンを手に汗握りながら読みました。ドラマでは曖昧な結末を描いていましたが、原作では二人の逃避行が成功した事を描いていました。罪を犯したらいけませんが、生きる為に二人は達郎を殺すしかなかったーそう思うと、何故か彼女達を最後まで応援しながら読み終わりました。
2016年11月30日
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イオンで購入しました。前から気になっていたので、どんな物なのかなあと思って袋を開封してみました。チーズサンドクラッカーだけあって、余りしつこくなく美味しかったです。
2016年11月30日
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周囲に居た客達が、歳三に抱きついている総司の姿を指しながらひそひそと噂話を始めている事に気づいた千は、慌てて総司の肩を叩いて彼に注意を促した。「沖田さん、土方さんは今仕事中ですから・・」「ああ、ごめんなさい。お仕事の邪魔をしてしまって・・」「いいえ、お気になさらず。お部屋の方へご案内いたします。」歳三はそう言って千と総司を部屋まで案内した。「さっきは取り乱してしまって、ごめんなさい。お仕事中だったのに邪魔をしてしまいました。」「いや、気にするな。それよりもどうして、俺がここに居る事が解った?」「ネットの探し人専門サイトで、土方さんの事を書き込んだら、この旅館で仲居として働いている事を、親切な人が教えてくれたんです。」「そうか・・お前ぇの時代の情報網は、うちの監察方よりも優秀だな。」歳三は乾いた笑みを浮かべながらそう言うと、溜息を吐いた。「土方さん、わたしをレイプした男が自殺したと、千君から聞きました。もしかして・・」「ああ、俺があいつを殺した。お前ぇの復讐をしてやったのさ。あいつの人生の晴れの舞台に、あいつの本性をばらしてやった。あいつの幸せそうな顔がみるみる蒼褪めていく様子を見るのは、嬉しかったぜ。」歳三はそう言いながら、一本の煙草を咥えるとそれに火をつけた。「土方さん、わたしの為に罪人になることはなかったのに、どうして・・」「あいつがお前の心身を壊しておきながら、のうのうと幸せな結婚をするのが許せなかったし、あいつが何喰わぬ顔をして父親になるのも許しておけなかった。俺は密かにあいつが贔屓にしている店を調べ、そこで素性を偽って“ほすてす”として働いた。あいつが尻尾を出すまで時間がかかった。俺は仲間を募り、あいつを廃工場に拉致してお前と同じ目に遭わせた。」「それで、土方さんは満足なのですか?だったら何故、わたし達の前から姿を消したのです?」「警察は、いずれ俺があいつを殺した事に気づくだろう。その前に、お前達に迷惑が掛からねえよう、姿を消すつもりだった・・」歳三の言葉を聞いた総司は突然立ち上がると、彼の頬を平手で打った。「どうして貴方はいつも一人で問題を背負い込んでしまうんですか!わたしは貴方と生涯を共にすると誓い合ったんです!貴方が地獄に行くのなら、わたしも一緒に貴方と地獄に落ちます!」「総司、済まなかった。」自分の胸に顔を埋めて泣く総司の髪を、歳三は優しく撫でた。「随分短くなっちまったな・・」「大丈夫です、時間が経てばまた伸びてきますよ。それよりも土方さん、いつ江戸に戻るつもりなのですか?」「ここで暫く金を稼いでから、お前達の元に帰るさ。それまで離れ離れになるが、辛抱してくれねぇか?」「解りました。土方さん、女装が板につくようになりましたね?あの時はあんなに嫌がっていたのに・・」「馬鹿野郎、仕事だから仕方なくやっているんだ、勘違いするんじゃねぇ!」 総司が歳三の仲居姿を褒めると、彼は顔を真っ赤にしながら怒った。「土方さんが元気そうで良かった。」歳三が部屋から出て行った後、総司はそう呟いて饅頭(まんじゅう)の袋を一個手に取ると、それを美味しそうに頬張った。 一方、歳三はロビーでの出来事について同僚達から質問責めに遭っていた。「ねぇ、貴方に抱きついた人とはどういう関係なの?」「あの人とは、ただの幼馴染でして・・」「でも貴方が嵌めている指輪、あの人とお揃いのものじゃないの?本当に、あの人とはただの幼馴染の関係なの?」(女ってのは、つくづく噂が好きな生き物だな・・) 面倒な事になったとそう思いながら、歳三は宴会の配膳を手伝う為支度部屋から出て宴会場へと向かった。 この日は、東京のある会社が社員旅行でこの旅館に宿泊しており、歳三が宴会場に入ると、酒が入った社員達の何人かが大声で騒いでいた。「お客様、他のお客様のご迷惑になりますので、少しお静かに願えませんでしょうか?」 歳三がカラオケ機の前でがなり立てるかのように演歌を歌う男にやんわりと注意すると、彼は酒で赤らんだ顔を歳三に向け、突然歳三を自分の方へと抱き寄せた。「梓ちゃん、久しぶりぃ~!どうしてこんな所で働いているの?」 歳三が自分に抱きついて来た社員の顔を見ると、彼は以前働いていた店によく来ていた客だった。「あれぇ、課長この人とお知り合いなんですか?」「知り合いも何も、この子は俺が行きつけのクラブで働いていた梓ちゃんだよ!こんな所で梓ちゃんにまた会えるなんて、奇跡だなぁ~!ねぇ、何か一緒に歌おうよ。」「ええ、喜んで。」 自分を知っている社員を無碍にするわけにもいかず、歳三は仕方なく彼とカラオケでデュエットを歌った。 宴会場の掃除を歳三がしていると、そこへ同僚の仲居がやって来た。「貴方、歌が上手いのねぇ。」「ええ、まぁ・・前に働いていたお店で、良くお客様とカラオケをしていましたから・・」「ふぅ~ん、そうなの。何だかミステリアスな人ねぇ、貴方って。でも、それが魅力的だからお客様からモテるのねぇ。」(うるせぇババア、俺に構うんじゃねぇ!)何かと自分に絡んでくる同僚に対してそう心の中で毒づきながら、歳三は彼女に愛想笑いを浮かべた。「あ~、疲れた。」 誰も居ない男性用の露天風呂に浸かりながら歳三がそう呟くと、誰かが大浴場に入ってくる気配がした。(誰だ、こんな夜遅くに・・)にほんブログ村
2016年11月28日
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総司が意識を取り戻したことを知った千は、学校の帰りに彼が入院している病院へと向かった。「沖田さん、お身体の具合はいかがですか?」「もう大丈夫です。でも、赤子は駄目になってしまいました。」そう言って下腹を擦った総司は、悲しそうな顔をしていた。「先生から、流産した時に出血が酷くて、子宮ごと赤子を摘出するほかなかったと言われました。」「沖田さん・・」「わたしがあの時、もっと注意していれば、こんな事にはならなかったのに・・」「自分を責めないでください、沖田さん。悪いのは、自殺したレイプ犯です!」千の言葉に、俯いていた総司が彼の方を見た。「わたしを犯した男は、自殺したのですか?」「ええ。何でも、結婚が破談となって、失意のあまり焼身自殺を図ったそうです。」「卑怯ですね、そんな事で命を自ら絶つなんて・・」総司は悔しそうに唇を噛むと、左手薬指に嵌められた指輪を擦った。「千君、さっき土方さんに会ったんですよ。」「それ、本当ですか?」「ええ。“お前の仇は討った”とあの人は言って、何処かへ行ってしまいました。千君、土方さんが今何処に居るのか知りませんか?」「いいえ、知らないです。でも、土方さんをバイト先の近くで見かけた事があります。その時土方さんは女装をしていました。」「あの人が女装を?千君、その話、詳しく聞かせてください。」 千は総司に、バイト先のコンビニで女装をしている歳三を見かけ、彼が一軒のクラブに入っていくところを見た事を話した。「そのお店に行けば、土方さんの消息が判るかもしれませんね。」「そうですね。沖田さん、僕達で手分けして土方さんを探しましょう。」 こうして、千と総司は歳三を探すことになった。「でも探すにしても、どうやってすればいいのでしょう?」「そうですね。確か探し人専門のサイトがあった筈・・」 翌日、病室に自分のノートパソコンを持って来た千は、インターネットに接続すると検索エンジンで探し人専門のサイトを検索した。「こんなもので、土方さんが探せるのですか?」「ええ。ビラを配るよりも、お金も労力もかかりませんし、すぐに情報が入ってきます。」 千は総司にそう話しながら、『新規作成』のページに歳三の身長と容姿を書き込んでいった。「後は情報が入ってくるのを待つだけですね。」「ええ。」総司はそう言うと、窓の外を見つめた。(土方さん、貴方は何処に居るんです?) 総司と千が東京で歳三を探している頃、当の本人は金沢の温泉旅館で仲居として働いていた。 クラブで働いていた時に貰っていた給料が底をつき、一週間前にこの旅館で働き始めたのだが、女将や他の従業員たちは戸籍のない彼を最初不審がっていたが、客あしらいが上手いことや臨機応変な仕事ぶりに女将達は感心し、何も詮索してこなくなった。「土方さん、お客様がいらっしゃったわよ。」「解りました。」スキーやスノーボードといったウィンタースポーツのシーズンが到来し、旅館は連日ウィンタースポーツを楽しむ観光客達や修学旅行生達で賑わっていた。 歳三が鏡の前で身だしなみを整え、支度部屋を出てロビーへ向かうと、そこには一組のカップルの姿があった。 そのカップルは、千と総司だった。「いらっしゃいませ。」「土方さん、探しましたよ!一緒に江戸へ帰りましょう!」総司はそう叫ぶと、歳三に抱きついた。にほんブログ村
2016年11月28日
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8歳に起きた出来事が原因で、声が出なくなったマイクル。絵を描く事と、どんな錠でも開けることが出来る彼の才能に目をつけたプロの金庫破りの弟子となり、彼は「解錠師」として活躍するのですが、次から次へと彼の身に襲い掛かるトラブルの連続に、どうなってしまうのかとハラハラしながら最後まで読みました。マイクルの初恋の人・アメリアと彼との再会は果たせず、マイクルは初恋が叶いませんでしたが、何だか希望に満ちた終わり方で良かったですし、面白かった作品でした。
2016年11月28日
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「双つの鏡」を先日更新しました。総司を酷い目に遭わせたレイプ犯に復讐をする土方さん。実は初め考えていたプロットでは、土方さんがレイプ犯の前で彼の婚約者を総司と同じように遭わせる、というものだったのですが、土方さんの復讐の相手はレイプ犯だけなので、そいつの人生で最高の瞬間を最悪の瞬間に変える復讐方法に変えました。性犯罪は処罰が軽く、その上被害者が泣き寝入りをする事が多いし、挙げ句の果てには被害者の落ち度を周囲が責めるという二次被害もあり…こういった理不尽な現実を物語の中では晴らそうと思い、復讐シーンを書きました。残酷描写は少しソフトにしてみましたが、苦手な方にとってはキツイと思うので、読み飛ばして下さって結構です。復讐の為に罪人となってはいけませんが、加害者が被害者やその遺族に上辺だけの謝罪をしてきたら、きっとこんな言葉を返すと思います。己の罪を軽くする為、「取り敢えず」謝罪だけして反省しない輩を徹底的に叩き潰すことは法の下では無理です。これから土方さんが必殺仕事人をしながら全国津々浦々を歩く…というような展開にせず、そろそろ軌道修正することにします。復讐シーンを書き終えて少し疲れているので、更新が少し遅くなるかもしれませんが、ご了承ください。
2016年11月28日
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ネットで小説を発表してからもう10年以上が経ちますが、ネットには様々な考えを持つ人がいます。わたしも、苦手な作品やジャンル、嫌いなキャラとかが居ます。わたしはBLを主に書いているので、ブログのトップページには注意書きを載せています。嫌いなものをわざわざ見て文句を言う方はいらっしゃらないと思いますが、「嫌いなものは見ない」というのが、トラブル回避の為の方法だと思っています。それでもわざわざ嫌いなものを見て文句を言う方には、尾崎衣良先生の「深夜のダメ恋図鑑」より、この言葉をおくります。
2016年11月28日
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濃厚で美味しかったです。
2016年11月28日
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残酷描写が含まれます。苦手な方はご注意ください。「おい、起きろ。」 顔に冷水を浴びせられ、西城が目覚めると、何故か自分は全裸で鉄板の上に両手足を鎖で縛り付けられていた。「何だ、これ?おい、さっさとこの鎖を解けよ!」「てめぇ、誰に向かって舐めた口利いてんだ?」鉄板の上で西城がそう叫ぶと、彼の傍に居た右腕に龍の入れ墨を入れた男が彼を睨みつけ、鉄板を蹴った。「お前さぁ、自分が置かれている状況が解ってねぇようだなぁ?」「な、何だよあんたら・・俺が一体何をしたっていうんだよ?」「“何をした”だ?そりゃぁこっちの台詞だよ、この糞野郎。」ドスのきいた声が廃工場内に響いたかと思うと、梓が恐ろしい形相を浮かべながら西城を睨んでいた。「あ、梓ちゃん・・お願いだから、これ解いてくれないかな?」「この動画、撮ったのはてめぇだよな?」梓はクラッチバッグから西城のデジカメを取り出すと、あの時の動画を彼に見せた。「そ、それは・・」「どうだ、てめぇがここに居る理由が少しは解ったろ?」梓は口端を歪めて笑うと、西城の前に“梨”を翳して見せた。「てめぇはこの玩具で遊ぶのが大好きなんだよなぁ?だったらてめぇも、これで遊んでみるか?」「な、何をする気だ!?」「てめぇと同じように遊ぶって言っただろうが!」梓はそう叫ぶと、西城の肛門に容赦なく“梨”を奥まで突っ込んだ。「ひぃ!」「こんなのはまだ序の口だ、漏らしてんじゃねぇよ。」梓はそう言って笑いながら、“梨”のねじをゆっくりと回し始めた。「うぐぁぁ!」“梨”の棘と刃で内側をゆっくりと引き裂かれる激痛に襲われた西城が苦痛のあまり呻くと、入れ墨男がすかさず彼の顔に黒い袋を被せて袋の口を縛った。「これで静かになったな。」入れ墨男がそう言って梓に目配せすると、梓は再び“梨”のねじを回し始めた。「なぁ、こいつどうするよ?」「てめぇらの好きにしていいぜ。こいつの女には手を出すな。」「解った。」梓―歳三が廃工場から出ると、彼は朝日の眩しさに思わず目を細めた。「ねぇ梓、本当に西城さんの結婚式に行くつもりなの?」「ええ。彼に是非来てくれって言われたので・・」「ふぅん、あんた変に律儀なところがあるのね。」桜子はそう言うと、煙草を吸った。「西城さんには素敵なプレゼントを用意しているんです。彼、喜んでくれるといいんですけれど。」西城の結婚式は、東京都内にあるホテルで行われた。“不慮の事故”に遭って下半身不随となった新郎の西城が車椅子で新婦と手を繋ぎながら披露宴会場に現れると、招待客達は祝福の拍手を彼らに送った。『それでは、新郎友人からのビデオメッセージです。』披露宴が滞りなく終わろうとした時、司会者の挨拶と共に高砂席の後ろに設置されたスクリーンに突然ある映像が映し出された。「何、これ・・」「信じられない・・」「キモ~!」招待客達の顔がスクリーンに釘付けになっている事に気づいた西城がスクリーンの方を見ると、そこには自分が総司を残酷にレイプしている映像が流れていた。 その映像には、『この男はこの世に存在してはならない屑野郎です。新婦様、この度はご愁傷様でございます。』という字幕がつけられていた。「違うんだ、これは・・」「あたしに触るな、この変態屑野郎!」鬼のような形相を浮かべた新婦は、そう吐き捨てるように叫ぶと西城の手を邪険に振り払い、披露宴会場を後にした。 彼の結婚は破談となり、数日後西城は失意のあまり自宅で焼身自殺した。「ねぇ聞いた?あんたを気に入っていた西城さん、レイプ犯だって事がバレて結婚が駄目になって、自殺したってさ。」「可哀想に。でも、あいつみたいな屑野郎がこの世から居なくなって安心しますね。」 歳三はそう桜子に言いながら、数日前の出来事を思い出していた。「西城さん、結婚破談になってしまったんですってね、可哀想に。」歳三が西城と新婦が結婚後に住むはずだった新居を訪れると、西城は恐怖に顔を引き攣らせて叫んだ。「来るな、来るなぁ~!」「そんなに怯えなくてもいいでしょう?慰めに来たのに。」歳三はそう言って西城の顔を覗き込むと、彼に微笑んだ。「てめぇを楽に死なせねぇよ。総司が味わった苦しみを思い知りやがれ、この糞野郎。」「ひぃい~!」西城は灯油を頭から掛けられ、新居ごと炎に包まれた。「それよりも、あんたお店辞めるんだってねぇ?客あしらいが上手くてママにも気に入られていたのに、残念ね。」「わたしも、皆さんともう少し一緒に居たかったのですけれど、家庭の事情で辞めざるおえなくなりまして。」「そう。まぁ、あんただったら何処に行っても元気でやれるよ。」「桜子さん、短い間でしたがお世話になりました。」歳三は桜子と握手を交わした。 彼の送別会がクラブで開かれ、社員寮の部屋に戻った歳三は、がらんとした室内を見て笑みを浮かべると、キャリーケースを引いて夜の街を後にした。 タクシーで彼が向かった先は、総司が入院している病院だった。「ここで待っていてくれ。」運転手にそう告げた歳三は、ICU(集中治療室)へと向かった。「総司、お前ぇの仇は討ったぜ。」 ガラス越しにそう総司に呟いた歳三は、そのまま病院を後にした。「土方・・さん?」歳三が病院から去った後、総司の翡翠色の瞳がゆっくりと開いた。にほんブログ村
2016年11月27日
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「いいえ、今来たところです。」歳三がそう言って西城に愛想笑いを浮かべると、彼は安堵の表情を浮かべた。「良かったぁ、梓ちゃんがなかなか来ないから、俺梓ちゃんに嫌われたのかと思ったよぉ。」「そんな事、する訳ないじゃないですか。わたし、西城さんがお店に来るの、楽しみにしているんですから。」歳三が西城にしなだれかかりながら彼の耳元で偽りの愛の言葉を囁くと、彼は上機嫌になり、ドンペリのボトルを三本注文した。「いい飲みっぷりですね、何か良い事ありました?」「うん。実は、近々結婚することになってね、その前祝いで来たんだ。」「まぁ、それはおめでとうございます。」西城が結婚すると聞いて、歳三は憎しみの炎で胸が焼け焦げそうだった。だが激しい怒りの感情を彼はすぐさま押し殺すと、西城の結婚を祝福した。「有難う、そう言ってくれるのは梓ちゃんだけだよ。俺と彼女の両親は、結婚に猛反対でさぁ・・だらしがないだの、計画性が無いだのなんだのと色々と彼女の親父さんから結婚の挨拶に彼女の家に行った時に散々詰られたよ。」「まさか、西城さん・・」「でき婚だよ、でき婚。まぁ、避妊せずにいつも中で出していた俺が完全に悪いんだけどね。だから、このお店に来るのは今夜で最後かなぁ。」「え~、そんなに寂しい事を言わないでくださいよぉ。これから忙しくなるんですから、息抜きの為に毎日お店に来てくださらないと、梓困っちゃうなぁ~。」 西城に対して甘えた声を出した歳三は、そっと彼の股間に触れた。「あ、梓ちゃん・・今夜はやけに積極的だねぇ?」「そうですかぁ?西城さんが結婚するって聞いたから、梓少し自棄酒しちゃったかも。」「そ、そう。じゃぁ今夜はもう帰ったら?俺が家まで送るよ。」「本当ですかぁ?」「ママ、梓ちゃん酔っているようだから、俺が梓ちゃんを家まで送っていくよ。」「まぁ西城さん、申し訳ありませんねぇ。梓ちゃん、西城さんに失礼のないようにするのよ?」「はぁ~い!」タクシーで西城にクラブの社員寮であるマンションの一室まで送って貰った歳三は、彼を部屋に上げた。「梓ちゃん、大丈夫?」「はい。西城さん、何か飲みますか?」「じゃぁ、コーヒーをお願いしようかな?」「解りました。」西城の分のコーヒーカップに砕いた睡眠薬を入れた歳三は、それを笑顔で西城に手渡した。「有難う。」「ねぇ西城さん、この前湾岸地域のタワーマンションで起こったレイプ事件、憶えていますか?あれ、まだ犯人が捕まらないんですって。」「そうみたいだね。俺の彼女にも、最近戸締りに気を付けるように言ってるよ。最近物騒でいつ何時事件や事故に巻き込まれるのか解らないからね。」「ええ、そうですね。わたしも一人暮らしだから、気を付けないと。」「梓ちゃん、コーヒー飲まないの?」「後で飲みます。そうだ、冷蔵庫にお客様から頂いたシュークリームがあるんです。一緒に食べましょうよ。」「うわぁ、梓ちゃんって気が利くなあ。俺の彼女にも梓ちゃんの爪の垢を煎じて飲ませたいくらいだよ。あいつ気が利かないし、家事も出来ないし・・正直、身体だけの関係だったのにさぁ、貧乏くじひいちゃったかなぁ。」「そんな事言われている彼女さんが可哀想になってきましたけれど、西城さんが一番可哀想ですねぇ。」「だろ~、だから梓ちゃん、今夜は朝まで俺を慰めてくれよ~」コーヒーを飲んだ西城がそう言って歳三に抱きつこうとした時、彼は突然視界がぼやけ、そのまま意識を失った。「梓、居るか?」「ああ。こいつを例の場所に運べ。誰にも見られるんじゃねぇぞ。」薄れゆく意識の中で西城が聞いた梓の声は、紛れもなく男のものだった。にほんブログ村
2016年11月27日
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歳三が荻野家から突然姿を消して、一週間が経った。 千は歳三が総司をレイプした犯人を殺す前に一刻も早く歳三を見つけ出そうとしていたが、歳三の行方は杳(よう)として知れなかった。歳三のスマホに何度も掛けてみたが、既に彼はスマホを解約した後で、繋がらなかった。幕末に生きていた彼が、現代の都会の中で身を潜めるのは至難の業だ。戸籍もない彼は住むところも働くところも見つけられない。仮に犯人への復讐を歳三が果たしたとしても、その先に待っているものは無限に広がる闇だけだ。(どうしたらいい?どうすれば、土方さんを捜し出せる?)「おい荻野、何ボーっとしているんだ!」背後から教師に丸めた教科書で軽く頭を叩かれ、千は我に返った。「すいません、少し考え事をしていて・・」「ちゃんと授業を受けろよ。」教師はそれだけ言うと、教壇へと戻っていった。教室に同級生達の忍び笑いが聞こえる中、チャイムが昼休みの開始を告げた。 同級生達がグループでそれぞれ固まりながら昼食を取っている中で、千は一人自分の席で弁当を食べながらスマホで歳三の写真を見ていた。(土方さん、今何処に居るんです?) 放課後、千は学校を出てその足でバイト先のコンビニへと向かった。「あらぁ、久しぶりね。体調の方はどう?」「もう大丈夫です。店長、ご迷惑をおかけしてしまって申し訳ありませんでした。」「いいのよ。それにしても今日は冷えるわねぇ。」レジカウンターの中で千が店長とそんな話をしていると、店の自動ドアが開き、一人の女性客が入って来た。 繁華街近くにあるコンビニとあってか、この店には夕方や深夜に夜食やつまみなどを買いに来るスナックのホステスやホストといった水商売を生業としている客が多かった。 その女性客も近くのスナックかクラブで働いているホステスらしく、目の覚めるようなロイヤルブルーのドレスの上に高価な毛皮のケープを纏っていた。「ヴァージン・スリムひとつ。」レジカウンターでそうぶっきらぼうな口調で店長に言った彼女の声に、千は聞き覚えがあった。 思わず彼が商品の陳列棚からレジカウンターの方を覗くと、丁度彼女は会計を終えて店から出ようとしているところだった。 彼女の横顔を見た千は、そのホステスが紛れもなく歳三だという事に気づき、慌てて店から飛び出した。「土方さん!」千からそう呼ばれ、ホステスは一瞬華奢な背中を震わせて立ち止まったが、再びヒールの音を高らかに鳴らしながら歩き始めた。「待ってください、土方さん!」「俺に何の用だ?俺にもう構うんじゃねぇ。」そう言って千を睨みつけた歳三の紫色の双眸は、昏い光が宿っていた。「一体何処へ行っていたんですか、心配していたんですよ!?それにその格好・・」「俺の事はもう心配するな。坊やは早く家に帰ってクソして寝な。」「土方さ・・」歳三は軽く自分の腕を掴んでいる千の手を振り払うと、ネオンの光の中へと消えていった。「あら梓ちゃん、お帰りなさい。遅かったわね?」「すいません、ママ。お気に入りの煙草を切らしちゃって、出勤する前にコンビニに寄っていたんです。」「あらぁ、そう。今夜は冷えるから、あんまりお客さん来ないわね。」「そうでもないみたいですよ。」歳三がそう言って入り口の方を見ると、丁度スーツ姿の一人の男性が店に入って来るところだった。「ごめんママ、まだお店開いてなかったかな?」「丁度お店を開けるところだったのよ。佐伯さん、いらっしゃい。」ママがそう言ってスーツ姿の男性に微笑むと、彼は照れ臭そうな笑みを浮かべた後ボックス席に座った。「それじゃぁママ、ロッカーに荷物入れてきます。」「そう。」 歳三がフロアを通り抜け、ロッカールームに入ると、そこには同僚のホステス達が煙草を吸いながら鏡の前で化粧をしていた。「梓、あんたもう来てたの?」「新入りですから、皆さんが来られる前にここを掃除しようと思って。」「ふぅん、そう。」このクラブのナンバーワンホステスの桜子は、そう言うと歳三を見た。「ねぇ、今夜はあの人来るかなぁ?」「ああ、西城さん?梓ちゃんが出勤する日は必ず来てるよね?」「案外ママよりも梓狙いなんじゃないの、あいつ。まぁ、あたしはあんなの、お断りだけどね。」 桜子がそう言うと、彼女の周りに居たホステス達が彼女のご機嫌を取るかのように笑った。(どの世界にも派閥はつきものか・・)歳三は内心そう思いながらも、桜子と共にロッカールームから出てフロアへと向かった。「梓ちゃん、西城さんがいらっしゃったわよ。」「今行きます。」歳三は笑顔の仮面を貼り付け、自分目当ての客が座っている奥のボックス席へと向かった。そこには、総司をレイプした憎き犯人の姿があった。「梓ちゃん、待った?」にほんブログ村
2016年11月26日
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一部残酷描写ありです。苦手な方はご注意ください。 その動画は、総司が部屋のドアを開けて撮影者の男を招き入れるところから始まった。『何をするの、やめて!』 総司はリビングに入った途端男に突然髪を掴まれ、それをキッチン鋏で散切りにされた。『大人しくしろ、さもなければ殺す。』男は包丁立てから包丁を一本抜くと、それを総司の喉元に突き付けた。恐怖に怯える総司を前に男は笑い声を上げると、容赦なく総司が着ていたワンピースを乱暴に引き裂き、その裾を捲り上げて総司の下半身をカメラの前に晒した。『やめて、お腹に赤ちゃんが居るの!』男の目的が解った総司は男に必死に助けを乞うたが、彼は容赦なく総司に暴力を振るってレイプした後、作業服のズボンのポケットからある物を取り出した。 それは、鋼鉄製の洋梨のようなものだった。(※注)『ぎゃぁぁ~!』男が総司の膣内に“梨”を挿し込んだ瞬間、彼は苦痛のあまり絶叫した。それと同時に、彼が着ているワンピースと、彼の白い肌が徐々に赤黒い血によって染まっていった。 意識を失い、抵抗を止めた総司の膣から男が“梨”を引き抜くと、大量の血がどっとそこから溢れ出し、フローリングの床を血に染めた。男はカメラの方を自分に向けて床に倒れた総司と並んで記念撮影をすると、口笛を吹きながら惨劇の舞台を後にした。 三分間の動画は、醜悪で残酷、そして悍(おぞ)ましいものだった。 警察署でその動画を観た歳三は、観終わった後トイレの個室に駆け込むと、今朝食べた物を便器の中に戻した。 身体を何度も痙攣させ、漸く便器から顔を上げて個室から出た歳三は、怒りの余りトイレの鏡を拳で叩き割った。「畜生、糞っ垂れがぁ!」歳三の怒声と鏡が割れる甲高い音を聞きつけてやって来た警察官は、両手を血に染めながら何度も鏡を殴っている歳三の姿を見て慌てて彼を止めた。「畜生、許さねぇ・・あいつを八つ裂きにしてやる・・」医務室で怪我の手当てを受けている間、歳三はブツブツとそう呟いていた。その目は、何も映していなかった。「土方さん、お帰りなさい。両手、どうされたんですか?」「あぁ、ちょっとな・・」 荻野家へ帰宅した歳三の両手に巻かれている包帯を見た千がそう言って彼の方を見ると、歳三は虚ろな目を千に向けた。「お休みなさい。」「あぁ、お休み。」 ベッドの上で千が寝息を立てているのを確認した歳三は、彼を起こさぬようそっと部屋から出て行きリビングへと向かうと、便箋の上に筆ペンで千宛の手紙を認(したた)め始めた。『千へ、世話になった。俺の事を探さないでくれ。 土方歳三』 翌朝、千が起きると、布団で寝ていた筈の歳三の姿はなく、そこには畳まれた布団が積まれているだけだった。「土方さん?」 嫌な予感がした千がリビングへと向かうと、ダイニングテーブルの上に一枚の便箋が置かれている事に気づいた。「そんな・・」 千は歳三の手紙を読んだ後、暫く途方に暮れてその場に立ち竦んでいた。 部屋に戻った彼は、クローゼットに仕舞われてあった歳三の愛刀と脇差が消えている事に気づいた。(土方さんは沖田さんをレイプした犯人を殺そうとしている・・)※注釈:鋼鉄製の梨:「苦悩の梨」という、一種の拷問具です。詳しくはコチラをどうぞ(閲覧注意)にほんブログ村
2016年11月26日
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今回はカップル連続殺人事件の真相スカーペッターが解明しようとするのですが、彼女には悲しい別れが待っていました。最初から最後まで飽きさせない展開が続いて面白かったのですが、後味悪い結末を迎えてしまいました。
2016年11月26日
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どうやら栗山千明演じる理事長夫人は、悪女だったようですね。外見は同じだけど、性格は違いますからね・・旦那も怪しがるでしょう。ただ、娘は嬉しそうですね。一緒にたこ焼き作ったり、両親揃って食事をしたりという「当たり前」の経験がなかったのかな、この子・・そう思うと何だか、あの女は死んだ方がよかったんじゃないかなぁと思ってしまいました。
2016年11月26日
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総司が何者かにレイプされた事件が起きてから、数日が経った。警察は未だに犯人を見つけられずにいた。「てめぇらはまだ犯人を捕まえられねぇのか!?」「そうは申しましても、我々も必死に犯人を捜してはいるのですが、手掛かりがなくてですね・・」「だったら早く犯人を捕まえろ、それがてめぇらの仕事だろうが!」 警察署の受付でそう怒鳴る歳三の姿を、周囲に居た警官達が何事かと彼の方を見た。「土方さん、落ち着いてください。」「うるせぇ、落ち着いていられるか!」激昂した歳三を必死に千は宥めながら、彼を警察署から連れ出した。「お前ぇの時代の与力は、ちゃんと仕事をしているのか?」「ええ。でも沖田さんの事件の場合、現場が密室だし、犯人の手掛かりが何もないので、捜査はなかなか進んでいないようです。」「そうか。じゃぁ俺があいつらより先に犯人を見つけねぇとな。」そう言って自分の方を見た歳三は、鬼のような形相をしていた。「土方さん、お腹空きません?お昼僕が奢りますから、何か食べに行きましょう。」「あぁ、わかった。」 千は歳三を連れて、駅前の大型ショッピングモール内にあるファストフード店で昼食を取った。「面妖な食い物だな。お前ぇはこんなものを普段食べるのか?」 初めて目にするハンバーガーを珍しそうに見ながら、歳三はそれを一口頬張った。「どうですか?」「美味ぇな。牛の肉を食べたのは初めてだが、こんなに美味ぇもんだとは知らなかったぜ。それに、芋の揚げ物も酒の肴としていけるんじゃねぇのか?」「そうですね。ポテトは油で揚げるだけで簡単に作れるので、今度作り方をお教えしましょうか?」「あぁ、頼む。」平日の昼間とあってか、店内は制服姿の高校生達で混雑していた。「もうそろそろ、出ましょうか?」「そうだな。」歳三と千がトレイを持ってそれを捨てようと席を立ってゴミ箱へと向かおうとした時、何処からともなくスマホのシャッター音がした。歳三が自分の写真を撮った数人の女子高生達を睨みつけると、彼女達は悲鳴を上げながら何処かへ行ってしまった。「うるせぇ女達だったな。それにあいつら、さっきから俺の顔を見ていやがった。」「土方さんがイケメン過ぎるから、見惚れていたんですって。」「そうか?まぁ、否定はしねぇがな。」「土方さん・・」 ファストフード店を出た歳三達は、夕飯の食材を買いに大型スーパーへと向かった。「おい、これが全部買えるのか!?」「そうですよ。」「へぇ、お前ぇの時代は便利になったもんだな。」歳三がスーパーの商品棚に陳列された商品を、カートを押しながら興味深そうに見ていると、彼は女性を連れた薄井の姿を見かけた。「どうしたんですか、土方さん?」「あれを見ろ、千。」歳三は薄井と女性の姿を指すと、千は二人の姿を見て顔を顰めた。「どうします、話しかけますか?」「いや、やめておこう。」やがて薄井と女性は、カートにアイスクリームを入れた後何処かへと行ってしまった。「連れの女は一体誰だ?」「さぁ、解りませんね。」 歳三と千がスーパーの広い店内を歩いている頃、都内にあるネットカフェの一室では、一人の男がある動画を動画サイトにアップロードしようとしていた。「何度観ても抜けるな、これ。」男がそう呟きながらパソコンの画面を見ると、そこには恐怖で泣き叫ぶ総司の姿が映っていた。にほんブログ村
2016年11月26日
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歳三が千からの電話を受け、総司が入院している病院へと駆けつけると、そこには集中治療室のベッドに横たわっている総司の姿があった。 美しかった彼の顔は何者かに酷く殴られ、目蓋や唇は切れて腫れ上がり、腰下まであった艶やかな黒髪は無残にも散切りにされていた。「千、総司は大丈夫なのか?」「はい。沖田さんは一命を取り留めたのですが、下半身からの出血が酷くて、僕が沖田さんの発見が数分遅れていたら、命はなかっただろうって、お医者様がおっしゃっていました。」「そうか・・」歳三が安堵の表情を浮かべながら千の方を見ると、彼は何処か気まずそうな顔をしていた。 それは何か自分に知られたくない事を、隠しているかのような顔だった。「千、それだけか?」「え?」「俺に何か隠しているだろう、違うか?」千が歳三に何かを言おうと口を開いた時、向こうから総司の担当医・芦田(あしだ)がやって来た。「貴方が、沖田総司さんのご主人ですか?」「はい、そうですが・・」「少しご主人にお話ししたいことがあるので、わたしの部屋に来てください。」「わかりました。」 数分後、芦田の部屋で、歳三は総司が腹の子を流産した事、そして二度と彼が妊娠できない事を彼から告げられた。「先生、総司はもう、妊娠できないんですか?」「男性妊娠は、奇跡の賜物なのです。本来女性にしか出来ない妊娠を、男性である総司さんが出来たという事自体が奇跡そのものです。しかし女性とは違い、男性妊娠の場合出産までの過程や経過は流産や切迫早産といったトラブルがつきものです。」 芦田は一旦言葉を切ると、コーヒーを一口飲んだ。「先生、総司は一度妊娠できたのだから、流産しても妊娠は可能ではないのですか?」「それは無理です。何故なら彼が流産した時、胎児が宿っていた子宮ごと何者かに内側から酷く破壊された痕跡がありました。こちらへ運ばれた時、総司さんの命を助ける為には、子宮を摘出する以外ありませんでした。」芦田医師の話を聞いた後、歳三はこみ上げてくる吐き気を必死に堪えた。「土方さん、大丈夫ですか?」芦田医師の部屋から出て来た歳三が蒼褪めた顔をしていることに気づいた千が彼の方へと駆け寄ると、歳三は邪険に千の手を振り払った。「お前ぇ、どうして総司が流産していた事を隠していたんだ?」「それは・・」「あいつは知っているのか?子を失った上に、もう二度と妊娠できない身体になった事を?」「いいえ、まだ沖田さんはその事を知りません。」「そうか。なぁ千、お前が総司を見つけた時、お前の他に誰か居たか?」「いいえ。でも、部屋のドアの鍵は開いていました。まるで僕が来る前に誰かが慌てて出て行ったように。土方さん?」 千が歳三の方を見ると、彼は眉間に皺を寄せながら何かを考えていた。「千、もし俺の前に総司をあんな目に遭わせた奴が現れたら・・その時は、あいつと同じような目に・・いいや、それ以上の苦しみを味あわせてやりてぇ。」「そんな事を考えてはいけません、土方さん。復讐しても、何も得られるものはありません。」「綺麗事を抜かすんじゃねぇよ。お前ぇだって自分を苛めていた栗田の野郎に復讐してぇと一度は思った事があったんじゃねぇのか?」「ええ。でもあいつは死んでもう居ない。僕があいつの存在を忘れることが、あいつに対する最大の復讐だと思っています。」「そうか。だが俺はお前ぇみてぇにそんなに簡単に割り切れねぇよ。“目には目を、歯には歯を”っていう西洋の言葉があるだろう?総司の為にも、俺の為にも、何としてでもあいつを酷い目に遭わせた犯人を見つけ出してやる!」 そう叫んだ歳三の紫紺の瞳は、怒りと復讐の炎に燃えていた。 その姿はまるで鬼のようだった。にほんブログ村
2016年11月26日
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「検屍官」シリーズ第一作目。今から24年前に出版された作品ですが、やはり何度読み返しても面白いです。スカーペッターシリーズは「黒蠅」からちょっと中だるみしてつまらなくなっていましたが、初期の作品は事件の真相を追うスカーペッターと、彼女の同僚や家族、特に姪のルーシーとの関係を丁寧に書いています。この時、ルーシーはまだ10歳でありながら、コンピューターに詳しい天才少女として登場します。彼女の母親であるドロシーは男癖が悪く、児童文学作家でありながら自分の娘を蔑ろにしているところがあります。スカーペッターの事をドロシーは優等生で、不治の病で死んだ父親代わりの大黒柱だと思い、自分は劣等生であるというコンプレックスを感じています。しかし、男社会の中で生きる彼女を阻む「ガラスの天井」がリアルに描かれており、それと並行して連続殺人事件の真相が明らかになるところまで、夢中になってページをめくる手が止まりませんでした。
2016年11月23日
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NHKでやっていたドラマのノベライズ本です。活字で読むと、ユーリとアムロの絆などが描かれていて、それでいてカスミとユーリとの愛も凄く純真に描かれており、あっという間に読了してしまいました。ドラマは映像美がよくて毎週楽しみにしていましたが、本では美しい活字と描写に夢中になりました。
2016年11月23日
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一部性描写あり、苦手な方はご注意ください。「総司、これから何をする気だ?」 浴室に入った歳三は、そこにビニール製の枕のようなものと、その傍らには異国語で書かれた瓶が置かれていた。「土方さん、そこに横になって下さい。」浴室に入って服を脱ぎ、枕の上に横たわった歳三に、総司が自分の胸から股間に掛けて瓶の中に入っている液体を塗り始めた。「それは何だ?」「媚薬オイルです。薄井さんの会社で開発しているもので、これを塗ると夫婦生活が円満になるそうです。」「そうか・・」「土方さんだけが気持ちよくなってばかりじゃ、狡いですものね。」総司はそう言って笑うと、自分の身体にも媚薬オイルを塗りこんだ。 媚薬オイルを塗られた後、歳三は激しい快感が全身に襲って来て、頭がぼうっとなってしまった。「土方さん、これから朝まで楽しみましょう?」総司は歳三の上に跨り、彼のものを自分の蕾に宛がうと、ゆっくりと腰を下ろしていった。 浴室で総司と歳三が甘美で淫らな時間を過ごしていると、不意に浴室のドアが開いた。「誰?」総司が振り返ると、そこには誰も居なかった。「どうした?」「いえ、さっき誰かに覗かれている気がして・・」「気のせいじゃないか?」「そうですね。」総司はそう言うと、歳三の上で再び腰を振り始めた。「また来てくださいね。」「総司、ここには暫く来ることはやめる。」「どうして?」「お前ぇには、薄井が居るだろう?」「あの人とは形だけの夫婦です。本当に愛しているのは貴方だけです。」総司はそう言うと、歳三に抱きついた。「解っているさ、そんな事は。暫く我慢してくれねぇか?」「土方さん・・」 総司の部屋から出て荻野家へと戻った歳三は、溜息を吐いてそのままこたつの中で眠った。 一方、総司は帰宅した薄井を笑顔で出迎えたが、何処か彼の様子がおかしい事に気づいた。「貴方、どうなさったの、そんな怖い顔をして?」「わたしが、君達がここで何をしているのか、気づかないとでも思ったのか?」「何を言っているんですか?」「うるさい、黙れ!」薄井は総司を床に押し倒すと、彼が着ていたワンピースを引き裂き、彼の上に馬乗りになった。「やめて、やめてください!」「偉そうにわたしに口答えするな!」薄井は拳で何度も総司の美しい顔を殴った。 翌朝、千がベビーシャワーの打ち合わせの為に総司の部屋を訪れ、何度もインターホンを鳴らしたが中から返事がなかった。「沖田さん、お留守ですか?」千がドアノブに手を掛けると、それは難なく開いた。彼がリビングに入ると、フローリングの床に、顔を殴られ、下半身が血塗れになっている総司が倒れていた。「沖田さん、大丈夫ですか?」千が慌てて総司の元へと駆け寄ると、彼は低く呻いて千を見た。「たすけて・・」「しっかりしてください、今救急車を呼びましたからね!」 総司は病院に運ばれたが、彼は腹の子を流産してしまった。にほんブログ村
2016年11月23日
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「千、どうした?」「いえ、ちょっとボーっとしちゃって・・すいません。」キッチンで食器を洗っていた千は、突然歳三に話しかけられて我に返った。「あの西田っていう女、いつの間にかマンションから引っ越していったんだな。」「ええ。でも僕、西田さんに散々意地悪されたのに、彼女が居なくなったことを知っても何も感じないんですよね。ざまぁみろとかいい気味とか、面と向かって彼女に言いたかったのに・・」「いいんじゃねぇか、何も感じない方が。あの女の性格を考えれば、何処に行ってもあの女はお山の大将で威張っているだろうよ。」「まぁ、そうですね。居なくなった人の事は忘れます。」千が歳三に茶が入った湯呑をリビングのテーブルに置くと、彼は読んでいた雑誌から顔を上げた。「済まねえな。」「あの、さっきから何を読んでいらっしゃるのですか?」「ああ、これか?ちょっと今後の参考になるかと思って、近くの本屋で買って来たんだ。」 歳三がそう言って置いた雑誌は、育児雑誌だった。千がよく雑誌を見ると、雑誌には付箋(ふせん)が貼られてあった。付箋が貼られたページを千が開くと、そこには『性生活―夫婦の永遠のテーマ―』というタイトルと共に、『互いの愛を深める為の体位』がイラスト付きで紹介されてあった。「土方さん、これ・・」「あぁ、これか?昨夜総司とここでして以来、あいつよく誘って来て、困っているんだよ。」「そうですか。土方さん、沖田さんと仲がいいのは良いですが、ほどほどにしてくださいね。」「あぁ、言われなくてもわかっているよ。」千は溜息を吐きながら雑誌を閉じると、リビングテーブルに置いていた歳三のスマホが鳴った。「済まねぇ。」歳三はそう言ってスマホを掴むと、ベランダへと出て行った。「総司、どうした?何かあったのか?」『ねぇ土方さん、わたしが今何をしているのか知りたくないですか?』「一体どうした、急にそんな事を聞いて?」『今ベランダで、土方さんの声を聞きながら、一人でしているんです。ねぇ土方さん、早く部屋に来てわたしを抱いてくださいよ。』「わかった、直ぐに行く。」 歳三はスマホを無造作にスウェットのポケットに突っ込むと、ベランダからリビングに戻った。「千、少し出掛けて来る。」「また沖田さんの所ですか?」「ああ。」 少し呆れたような顔をしている千に見送られながら、歳三は部屋から出て総司が居る五十階の部屋へとエレベーターで向かった。 今頃総司がベランダで自分のものを慰めながら自分を待っている姿を想像していると、歳三は自分のものが硬くなっていることに気づいた。「総司、来たぞ。」 はやる気持ちを抑えながら歳三がインターホンを押すと、施錠されたドアが開いた。「土方さん・・」荒い息を吐きながら歳三を出迎えた総司が着ているマキシ丈のワンピースに白い染みを見つけた歳三は、そのまま床に彼を押し倒してワンピースの裾を捲り上げた。「本当に一人でしていたのか?」女物のパンティーにも、白い染みが広がっていた。「土方さん、今日はお風呂でしましょう。服が汚れたら、貴方も嫌でしょう?」総司はそう言って歳三にしなだれかかりながら、彼の股間をスウェットのズボンの上からそっと撫でた。「総司、悪ぃが今日はあれ、持って来てねぇんだ。」「あんなもの、必要ないでしょう?早くわたしを抱いてくださいよ。」にほんブログ村
2016年11月23日
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イオントップバリュのオニオングラタンヌードル。スープにコクがあって、細い麺と良くあって美味しいです。
2016年11月23日
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まるでキムチ鍋にラーメンを入れたように、麺とスープとの相性が良くて美味しかったです。余り辛くないので、辛い物が苦手な方でも食べられるかも。
2016年11月21日
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一部性描写あり。苦手な方はご注意ください。「ここが、千君の家なのですね?」「はい。屯所とは随分雰囲気が違うでしょう?」 四十五階の荻野家にお邪魔した総司は、驚きで目を丸くしながらベランダから見える外の風景を眺めた。「こんな高い所に人が住めるなんて信じられません。」「まぁ、俺も最初はそう思ったさ。だが、住めば都だ。総司、喉乾いてねぇか?」「では、泡のお水を頂けますか?あれを飲むと、吐き気が治まるんです。」「泡のお水?」「炭酸水の事ですね。今お入れしますから、沖田さんはそちらにお掛けになってお座りください。」総司がソファに座ると、歳三が彼の隣に座り、総司のまだ膨らんでいない下腹にそっと手を置いた。「総司、この子が生まれるのはいつぐらいになるんだ?」「お医者様によると、来年の六月位になるそうです。産まれてくるのは土方さんに似た女の子ですよ。」「そんなの、まだ解らねぇだろう?お前ぇに似た男の子が産まれるかもしれねぇし。」「いいえ、この子は女の子です。何だか勘で解るんです。」「そうか。」 総司はそう言うと、歳三にしなだれかかった。「沖田さん、炭酸水です。」「有難う、千君。」「ここには、出産までいらっしゃるつもりなのですか?」「ええ。ここだとかかりつけの病院が近いので、ここに決めました。」「そうですか。それよりも、今頃新選組の皆さんはどうされているんでしょう?」「わたしと土方さんが居なくなって、近藤さん達は酷く慌てているでしょうね。出来る事なら出産を終えてから、近藤さん達の元へ土方さんと一緒に帰れる事が出来ればいいのですが・・」「そうですね。新選組の皆さんの元に帰れる方法が判ればいいんですが。」千がそう言って溜息を吐くと、リビングの電話がけたたましく鳴った。「もしもし、荻野です。」『千尋、今夜はわたしとお父さん、九州へ一泊するから、留守番お願いね。』「圭太も一緒に居るの?」『ええ。今後の事をお父さんと二人で話し合ってみるわ。明日帰るから。』「解った。」 受話器を置いた千は、歳三と総司の方を見ると、二人は激しく互いの唇を貪り合っていた。 二人の邪魔をしないよう、千はそっと自分の部屋に入った。「千君に気を遣わせちゃって、悪いことをしてしまいましたね・・」「何を言っていやがる。こんなに濡らしやがって。」歳三はそう言うと、総司が着ていたワンピースの裾を捲り、蜜で濡れた彼のパンティーを素早く足から引き抜いた。 総司の蕾は既に蜜が溢れ出て、歳三がそこに指を這わせるといやらしい水音がした。「俺に抱いて欲しいのか、総司?」「抱いて欲しいです。土方さんの大きなマラで激しく奥まで突いてください!」「おめぇ、そんな言葉を何処で覚えたんだ?」歳三はズボンの前を寛がせ、自分のものを取り出した。総司は熱で潤んだ瞳で歳三のものを見つめると、その裏筋に舌を這わせた。「お前、何処でそんな事を覚えたんだ?薄井の野郎にでも仕込まれたのか?」「土方さんが、わたしに仕込んだんじゃないですか・・」 総司が空いた方の手で歳三の双球を愛撫すると、歳三は快感のあまり呻いた。自分の下半身が総司の愛撫によって急激に熱を帯びてきているのがわかった。「総司、もうやめろ・・」歳三は総司を止めようと彼の頭を自分の股間から退かそうとしたが、彼は自分のものを躊躇いなく奥まで咥えこみ、激しい音を立てながら彼は歳三のものを愛撫した。 限界に達した歳三は、ぶるりと身を震わせながら総司の口内に欲望を迸らせた。荒い呼吸をしながら歳三が総司の方を見ると、彼は喉を鳴らして自分の体液を飲み、口端にはその白い残滓がこびりついていた。「馬鹿野郎、飲むものじゃねぇだろうが。」「土方さん・・」総司は歳三の膝上に乗ると、ゆっくりと自分の蕾に彼のものを宛がった。「お前ぇ、いつの間に嫌らしくなったんだ?」「ねぇ土方さん、早く動いてくださいよ。」「腹の中に子が居るってのに、お前ぇってやつは・・」歳三はそう言って溜息を吐くと、総司の細い腰を掴んで激しく下から彼の身体を突き上げた。「土方さんのマラ、奥まで届いて気持ちいい!」「そんなに腰を振るんじゃねぇよ、出ちまうだろうが。」「お願い、出してください!」 歳三は総司の身体を抱き締めると、欲望を彼の中に迸らせた。「悪阻、大丈夫か?」「ええ。こんなに土方さんと激しくしたのは初めてです。」「そうか。」荒い息を吐きながら、歳三はゆっくりと自分のものを総司の中から引き抜いた。「ねぇ土方さん、お願いがあるんです。」「何だ?」「これから出産まで、わたしの事を抱いてくれませんか?」「あぁ、解った。」数日後、総司は薄井と共にタワーマンションの最上階に引っ越してきた。「千君、これから宜しくお願いしますね。」「はい、こちらこそ宜しくお願いしますね、沖田さん。」 引っ越しの挨拶に来た総司に、千はそう言って彼に微笑んだ。「ねぇ千尋君、さっきの方達とはお知り合いなの?」「はい。沖田さんには前にお世話になったんです。」「そうなの。ねぇ、今度ベビーシャワーを開かない?沖田さん、もう少ししたら安定期だし。」「いいですね、それ。それよりも弥生さん、西田さん達はどうしたんですか?最近姿を見かけませんが・・」「あぁ、佳奈子さん達だったら夜逃げしたみたいよ。何でも旦那さんの会社が倒産しちゃって、ここのマンションに住めなくなっちゃったみたいなの。」「そうですか。」 自分と母を馬鹿にし、散々貶(けな)してきた佳奈子が居なくなったというのに、千は何も感じなかった。にほんブログ村
2016年11月19日
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「てめぇ、何でここにいやがるんだ?」「愚問だね。わたし達は近々ここの住人になる予定だから、マンションの下見に来たんだ。」「何だと?」殺意に満ちた目で薄井を睨んだ歳三は、彼の言葉を聞いて眉間に皺を寄せた。「どういうことですか、薄井さん?」「言葉通りだよ。最上階の部屋が空いたから、そこでわたしと沖田さんは、夫婦として一緒に暮らすことになるんだ。」「てめぇ、ふざけるな!」 エレベーターの扉が閉まると同時に、歳三はそう叫ぶと薄井の胸倉を掴んで彼の身体を壁に叩きつけた。「総司と夫婦として暮らすだと?総司はお前ぇのもんじゃねぇ!」「土方さん、落ち着いてください。」総司は激昂する歳三を慌てて止めたが、彼の怒りは収まらない。「総司、何でこいつと夫婦として暮らすことにしたんだ?」「それには、深い事情があって・・」「ここで言い争うのは得策ではないから、何処か静かな場所で話そうか?」 そう言って薄井と共に歳三達が向かったのは、マンションの二十五階にあるライブラリーだった。「それで?総司、てめぇが言う深い事情ってのは何だ?」「実は、社長が今回極秘で進めていたプロジェクトを勝手にマスコミに公表してしまってね、社長から世間の目を誤魔化すために、僕と沖田さんは夫婦としてこれから暮らすことになったんだ。土方さん、沖田さんを貴方から略奪する気など全くないので、安心してください。」「どうかな、てめぇの言う事は信用できねぇ。」「そんな怖い顔をしては、折角のイケメンが台無しですよ?」 両手で拳を象っている歳三の姿を前に、薄井は飄々(ひょうひょう)とした口調でそう言うとホットレモンティーを一口飲んだ。「薄井さん、貴方が言っている事は百パーセント真実なのですか?今のお話を僕が若竹社長に電話して確認しますが・・」「その必要はないよ。まったく土方さんといい、君といい、何処までも疑り深い人達なんだ。」薄井は歳三と千の顔を交互に見た後、薄笑いを浮かべた。「まぁ、これから君達とは“ご近所さん”になる訳だし、こんな風に互いにいがみ合っていてもメリットはない。この際、仲良くしようじゃないか?」 薄井はそう言うと、手袋を外した右手を歳三に差し出した。「何だそりゃぁ?」握手といった西洋の風習などが浸透していない時代の人間である歳三にとって、それは奇妙なものにしか映らなかった。 暫く薄井は歳三が自分の手を握り返してくれるのを待っていたが、やがて大袈裟な溜息を吐くと右手を引っ込めた。「まぁ、君がわたしを信用してくれない事はわかったよ。」「そうかい。」歳三と薄井が睨み合っていると、薄井の隣に座っていた総司が苦しそうに顔を歪めて口元をハンカチで覆った。「総司、どうした?」「心配するな、ただの悪阻さ。沖田さん、今日は土方さんの所で一泊して来るといい。」「いいのですか?」「勿論さ。わたし達は夫婦の振りをするだけで、君の夫は土方さんだけだからね。ゆっくりとしてくるといい。」 薄井は総司に向かって優しく微笑むと、そっと彼の髪を梳いてライブラリーから出て行った。「やっぱりあいつは信用できねぇ。」歳三は薄井の背中を睨みつけてそう呟いた後、総司の肩を抱いて千と共にエレベーターへと乗り込んだ。「総司、大丈夫か?」「ええ。それよりも土方さん、わたしと離れている間浮気していませんでした?」「馬鹿野郎、そんな事する訳ねぇだろうが。」「そうですか。ならよかった。」 総司はそう言って歳三に微笑むと、彼の頬に軽く口づけた。にほんブログ村
2016年11月19日
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今回は天然痘ウィルスについてのものと、猟奇的な連続殺人事件が絡んだお話でしたが、第一作目に登場していたウィンゴーが亡くなってしまったのが悲しかったです。あと、スカーペッターの恋人であったマークの死の真相がわかり、何だか切ない気持ちになりながら本を閉じました。何だかこの作品で描かれているような事件が現実に起きたら怖いですね。
2016年11月19日
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「みんな何処に行っちまったんだ?」「さぁ。それよりも着替えましょう。」「ああ。」 ドレスから寝間着に着替えた歳三と千は、部屋から出て大浴場へと向かった。「こんな夜遅くまで開いている風呂屋は便利でいいな。」「二十四時間営業ですからね、ここ。」 大浴場から上がった千と歳三がドライヤーで髪を乾かしていると、そこへ優之が入って来た。「千尋、先に帰っていたのか。」「うん。さっき家に帰ったら誰も居なかったんだけれど、兄さん何か知ってる?」「ああ、そういえばお祖母ちゃんが倒れて病院に運ばれたから、父さんと千佳さんが病院へ向かったって、さっき父さんから連絡があったよ。」「え?どうしてそんな大切な事僕に連絡してくれなかったの?」「連絡しても仕方がないだろう?千尋とお祖母ちゃんは仲が悪かったんだから。」「そんな・・」千は何処か自分を冷たく突き放すかのような優之の言葉に傷ついた。「あんた、いくら何でもあんまりじゃねぇか?」「家族の問題に、赤の他人が口を挟まないでいただきたい。」 優之はそう言って歳三を睨みつけると、大浴場の中へと入っていった。「あいつの言う事なんか気にするんじゃねぇぞ。」「はい・・」 歳三が千を励ましながら彼と共に部屋に入ると、リビングの方から怒鳴り声が聞こえて来た。「あなた、一体どういうこと!?」「母さんが望んでいる事なんだ、仕方がないだろう!」「だからって、わたし達に何の相談もなくお義母さんを施設に入れるなんて、あんまりだわ!」「じゃぁ他にどうしろって言うんだ、君が母さんの介護をしてくれるって言うのか!?」「一体どうしたの、二人とも?」「千尋、貴方は歳三さんと部屋に行っていなさい。」「母さん・・」「母さんの言う事を聞いて!」千佳から睨まれた千は、リビングから出て歳三と共に自分の部屋へと入った。部屋に入っても、両親の怒鳴り声はまだリビングから聞こえて来た。「なぁ千、お前の祖母さんがどうなっているのかは知らねえが、何でお前ぇの両親はあんなに声を荒げて喧嘩してんだ?」「そんなの、僕にも解りません。それよりも土方さん、もう寝ましょう。」「ああ。」 翌朝、歳三と千が起きてリビングに入ると、そこでは千佳が溜息を吐きながら割れた皿を片付けていた。「母さん、それどうしたの?」「昨夜お父さんとお祖母ちゃんの事で喧嘩しちゃってね。あの人、わたし達に何の相談もなく、お義母さんを施設に入れちゃったのよ。」「そう。お祖母ちゃんはどうして施設に入れられたの?兄さんからは、倒れて病院に運ばれたって事しか聞いていないけれど・・」「詳しい事はわたしにもよく判らないんだけれど、どうやらお義母さん、認知症で近所を徘徊しているところを、車に撥(は)ねられたみたいなの。」「認知症?あのお祖母ちゃんが!?」千佳の言葉を、千は信じられなかった。あんなに溌剌としていた義祖母が認知症に罹っている事は、彼にとって受け入れ難い現実だった。「ええ。詳しく検査をしてみないと判らないみたいだけれど、隆さんはうちで介護をするよりも、お義母さんを専門の施設に入れた方がいいって勝手に決めたみたいで・・それでわたしが怒って、隆さんと怒鳴り合いの喧嘩になってしまったのよ。」「それで、これからどうするの?」「まだわからないわ。千尋、昨夜は貴方に怒鳴ってしまってごめんなさい。」「いいよ、もう。それよりも父さんは何処?」「さっき会社に行ったわ。夕方まで帰って来ないって。」「そう・・」千が母の言葉を聞いて溜息を吐くと、リビングの電話がけたたましく鳴った。「僕が出るよ。」「わかったわ、お願い。」「もしもし?」『ああ、誰かと思ったら君か。僕の事を憶えているかい?』「若竹さん、うちに何のご用でしょうか?」『少し君と話がしたいんだ、今すぐカフェに来てくれないか?』「わかりました。」受話器を置いた千は、部屋に戻って幸一と会う為に着替えた。「俺も行こうか?」「はい。」 歳三と千がマンション内のカフェへと向かうと、窓際の席に座っていた幸一が二人に向かって手を振っていた。「そちらの方は?」「僕の命の恩人です。あの若竹さん、僕に話したい事とは何でしょうか?」「君、瑠璃に何か変な事を吹き込んでいないかい?」「いいえ。何かあったのですか?」「実はね、さっき瑠璃ちゃんから電話が来て、僕と別れようって言って来たんだ。だから、君が何か知っていないかなと思って、ここに来たんだ。」「存じ上げません。瑠璃さんとの婚約が破談になる、ならないは若竹さん個人の問題でしょう?今うちは貴方の身の上相談を聞いているほど暇ではないんです。」「そうか。ではこれで失礼するよ。」幸一は伝票を掴んでそのままカフェから出て行った。「あの野郎、何で千に自分の婚約者の事を聞くんだ?自分で婚約者が浮気していないか確かめりゃぁいいじゃねぇか。」歳三はそう言うと、少し冷めてしまった日本茶を一口飲んだ。「多分あの人は瑠璃さんの浮気を知って居る筈です。だから、それを確認する為に僕の元に来たんでしょう。」「めんどくせぇ野郎だな。」 歳三と千がカフェから出て部屋に戻る為にエレベーターに乗ると、そこには薄井と総司の姿があった。にほんブログ村
2016年11月19日
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「その指輪、どうしたんだい?」「土方さんが、さっきここまでわたしを連れて来てくれたんです。変な人に絡まれていた所を助けて貰って・・」「変な女?」「ええ。わたしの事を泥棒猫と罵って来ました。」「そうか・・君に絡んできた女は、わたしの恋人だった女だ。一体何処から潜り込んできたのかは知らないが、彼女は君の事をわたしの新しい恋人だと勘違いしたようだね。」薄井はそう言うと、溜息を吐いた。「わたしはパーティーに戻るよ。何かあったらわたしのスマホに電話してくれ、いいね?」「解りました。」「良い夢を。」 薄井は総司の額に唇を落とすと、そのまま部屋から出てパーティー会場へと戻った。「土方さん、何処に行っていたんですか?」「総司に会って、指輪を渡してきた。」「そうですか。薄井さんと鉢合わせしませんでしたか?」「ああ。それよりも千、さっき甲板で社長とその連れに会ったんだって?」「はい。でも社長の婚約者の方から、余り自分達の事を詮索しないで欲しいと言われました。」千はそう言って料理を皿に載せながら溜息を吐いた。「その婚約者って、さっき俺が会った振袖姿の女か?」「ええ、そうですけれど・・それがどうかしたのですか?」「その女、さっき俺が会った時には別の男とイチャついていたぞ?」「そうですか。まぁ、僕達には関係のない事なので、放っておきましょう。」「そうだな。」 千と歳三がそんな事を話しながらパーティーを楽しんでいると、突然会場内が暗くなった。「なに!?」「停電か!?」周囲の客達がざわめき始めた時、突然舞台の上にスポットライトが当たった。「皆様、本日は我が社のクリスマスパーティーにお越しくださり、誠に有難うございます。これから、わたくし共の方で皆さんに重大な発表がございます。」若竹幸一はマイクを握ると、そう言った後深呼吸した。「大変私事ではありますが、わたし若竹幸一は、三条瑠璃さんと婚約したことを発表いたします!」 幸一の言葉と共に、瑠璃にスポットライトが当てられ、彼女は羞恥に顔を赤く染めながら、舞台に上がった。「おめでとうございます、社長!」「末永くお幸せに!」 舞台の上で社長の婚約を祝う彼らの部下達は一斉にそう言うと、完全にしらけている観客達に向かって拍手をするよう目配せした。「何だこの茶番。早く港に着かねぇかな。」「あと少しの辛抱ですよ、土方さん。」 歳三達を乗せた豪華客船は、クリスマスパーティー終了後に港に着いた。「あ~、やっと終わったな。」「道が混まない内に帰りましょう。」「ああ、そうだな。」 千と歳三がそう言いながら船から降りた時、突然彼らの背後で薄井の怒声が聞こえた。「しつこい女だな、君とはもう終わりだと言っただろう!?」「何よ、それ!」 歳三が振り向くと、そこには薄井と対峙している例の女が立っていた。「あの女、薄井の女だったのか。」「土方さん、どうかしたんですか?」「いや、何でもねぇよ。」 千と歳三は、港の入り口でタクシーに乗ってそのまま帰宅した。「ただいま。」 二人がリビングに入ると、そこには誰もおらず真っ暗だった。にほんブログ村
2016年11月19日
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「砂の塔」の裏番組的なドラマで、先週終わった「運命に、似た恋」の後番組。今回はラブサスペンスだそうで・・最初から画面に包帯を巻かれた千明さまのお顔がバーンと映って思わず悲鳴を上げました。主人公は千明さま演じる美容クリニックの理事長夫人整形されてしまい、その美容クリニックの医療ミスを暴くという週刊誌の記者・・なのですが、事故前の顔とは全く別人だったことに驚きました。何で主人公が理事長夫人の顔に整形されてしまったのかという謎もその時に解ったし・・まあ、ああいう状況で身元の確認をするためには、やっぱり本人がつけていた所持品を頼るしかないわけだから・・それよりも、何かがにおいますね、あの家。全6話でどうまとめていくのか、これから楽しみです。
2016年11月19日
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この前読んだ「白銀ジャック」の続編になりますが、初めて読む人でも読みやすいし、面白いです。今回は、巨大なスキー場に隠された生物兵器を捜すというストーリーなのですが、色々と展開が二転三転して最後までページをめくる手が止まりませんでした。26日に映画が公開されますが、予告編を観た時点で面白そうだなと思いました。
2016年11月16日
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随分前からこの作品に興味があって読んでみたいと思ったのですが、なかなか手に取る機会がなくて、ブックオフで見つけたので購入して先ほど読了しました。主人公のミチオ少年が思いっきり性格が歪んでいる。冒頭で彼が妹に話しかけていたり、近所のお婆さんに話しかけていたりしているところを見て、彼らが人間だと思い込みながら読み進めていただけに、最後の20ページあたりから真相が判ってきて驚きましたが、もっと驚いたのは意味深なラストシーン。この子、将来どんな大人になるんだろうか・・と思いながら本を閉じました。
2016年11月16日
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高校生の時に学校の図書室でシドニィ・シェルダンの作品を初めて読んで以来、彼の作品の面白さにハマり、いろいろと読んでいましたが、最近になって図書館に行く機会が減り、あまり彼の作品を読んでいませんでした。しかし偶然数週間前にブックオフでシドニィ氏の本が上下巻揃って108円で売られていたので、さっそく購入して先ほど読了しましたが、巨大企業から命を狙われた美女二人が友情を育みながら陰謀に立ち向かっていく姿、そして勧善懲悪なラストに最初から最後までページをめくる手が止まりませんでしたが、スカッとしました。シドニィ氏はもうお亡くなりになられていますが、彼の作品をまた移動図書館でリクエストして読もうと思っています。
2016年11月16日
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「土方先生、大変です!」「どうかなさったのですか、柴田先生?」 何処か慌てた様子で数学科準備室に入って来た柴田を見た歳三がそう尋ねると、彼は歳三に唾を飛ばしながらこう叫んだ。「荻野が階段から転落して怪我をしたんです!」「それは、本当ですか?」「ええ。土方先生も早く病院へ行ってください!」「わかりました!」 机の上に置いてある車の鍵を掴んだ歳三は、数学科準備室から出て駐車場に停めてある自分の車に乗り込んで素早くエンジンを掛けると、そのまま学校から出て病院へと向かった。 一体忍の身に何が起きたのか―そう思いながら歳三が車を病院まで走らせていると、突然彼の前に包丁を持った女が立ち塞がった。 歳三は急ブレーキを掛け、女を轢(ひ)かずに済んだが、女はそこから動こうとしない。「てめぇ、危ねぇだろうが、早くそこから退け!」「・・してよ。」女はブツブツと小声で意味不明な言葉を発しながら、歳三の存在を無視してそのまま闇の中へと消えた。「何だ、あの女・・」歳三はそう呟きながら車内に戻ると、そのまま病院へと向かった。「土方さん、遅いですよ!」「済まねぇ、途中で変な女に会っちまって・・忍の容態はどうだ?」「軽い脳震盪(のうしんとう)で済んだって、さっきお医者様が説明してくれました。」 歳三が病院で千華から真珠の容態を聞いていると、そこへ一人の女子生徒がやって来た。 女子生徒の姿を見つけた千華は、歳三が止める間もなく彼女の頬を平手で打っていた。「貴方が妹を階段から突き落としたのね!」「ごめんなさい、ただ彼女を脅すつもりだったの。殺すつもりはなかったの!」「妹は打ち所が悪かったら死んでいたわ!」「千華さん、落ち着いてください。」歳三が慌てて千華を女子生徒から引き離すと、女子生徒の方は激しく嗚咽しながら床にへたり込んだ。「荻野千華さんですか?」「はい。あの、妹は今何処に・・」「妹さんでしたら、病室に居ますよ。」 千華と歳三が看護師に案内されて真珠の病室に入ると、彼女はベッドの中で眠っていた。「今お薬を打ちましたので、妹さんは眠っておられますが、じきに目を覚まされると思いますよ。」「有難うございました。」看護師に頭を下げた千華は、そのまま歳三の方へと向き直った。「土方さん、さっき廊下に居た子なんですけれど、その子は土方さんの子を妊娠しているって言っているんです。」「何だって!?」「もしかしてその子の事、ご存知ないんですか?」「知っているも何も、廊下で会った子とは俺は初めて会ったぞ?」「そうですか・・じゃぁやっぱり、あの子が嘘を吐いているんですね。」千華がそう言って俯くと、歳三が握っていた真珠の手が微かに動いた。「沖田さん・・それに、土方さんも・・あの、ここは何処なんですか?」「真珠、一体何を言っているの?」「真珠って誰の事ですか?」そう言った真珠は、千華と歳三の顔を交互に見た。彼女の翠の瞳は、何処か遠くを見ているかのようだった。「忍、忍なのか?」歳三が真珠に向かってその名で呼ぶと、彼女は歳三に笑顔を浮かべた。「はい、忍です。」「まさか、そんな・・そんな事が・・」にほんブログ村
2016年11月16日
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今回の作品には、ある一人のジャーナリストの変死から、狂信的なカルト集団の存在が明らかになるというストーリーですが、そのカルト集団がなぜかオウム真理教を彷彿とさせました。カルト集団のメンバー達が原発を占拠する事件とその結末は、手に汗握りながら読みましたが、最悪の結果にならずに済んでよかったです。ですが、作品に登場するカルト集団のような過激な団体が存在するという事実に、私たちは目を背けてはいけませんね。
2016年11月16日
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「確かに、僕と瑠璃ちゃん・・三条瑠璃さんとは単なる幼馴染ではないよ。まだ正式には発表されていないが、僕と瑠璃ちゃんは近々婚約する事になっている。」「それは、おめでとうございます。」「有難う、そう言って素直に僕達の婚約を祝福してくれるのは君だけだ。」「それは、どういう意味ですか?」「若竹さん、部外者にわたし達の事を詳しく話さなくてもいいじゃないの。」若竹の隣に立っていた振袖姿の女性―三条瑠璃はそう言うと、彼の腕を掴んだ。「千尋さんとおっしゃったわね?これ以上、わたし達に深入りしないでくださる?行きましょう、若竹さん。」「ああ。」 若竹と瑠璃が甲板から消えた後、千は総司と歳三の姿を探しに船内へと戻った。 一方、総司は自分の部屋で歳三から傷の手当てを受けていた。「あの女とは知り合いか?」「いいえ。でも彼女の方はわたしの事を知っているようでした。恐らく、薄井さんの恋人かと。」「薄井の野郎、何だってあの女をこの船に乗せたんだ?あと少しで俺が助けなかったら、お前ぇあの女に海に投げ込まれていたぜ。」歳三はそう言いながら、総司の顔に残った傷を見た。「跡が残らなきゃいいんだが・・」「大丈夫です。消毒すればすぐに治ります。それよりも土方さん、わたし・・」「お前ぇが妊娠している事は、薄井から聞いた。総司、お前の腹の子は、俺の子なんだな?」「ええ。今八週目なんですけれど、まだ実感が湧かなくて。悪阻と貧血が酷くて、一日の大半は寝てばかりいます。」「そうか。なぁ、少し触ってもいいか?」「構いませんよ。」歳三がそっと総司のまだ膨らんでいない下腹の上に手を置くと、そこは何故か温かった。「総司、労咳の方はどうだ?もう治ったのか?」「ええ。薄井さんから抗生物質の点滴を打って貰ったら、急に良くなりました。千君の時代の医学は凄く進歩していますね。」「なぁ総司、今から俺と逃げねぇか?この機会を逃したら、俺は永遠にお前ぇを失っちまうかもしれねぇ・・そんな事は、したくねぇんだ。」「ごめんなさい、土方さん。貴方のお気持ちは解りますが、それは出来ません。わたしは、貴方の子を産むという仕事がまだ残っているんです。」「そうか。」「ここで別れても、すぐに会えますよ。だからそんなに落ち込まないでください、土方さん。」 自分の前で項垂れている歳三の頭を、総司はそう言って優しく撫でた。「お前ぇに、渡したい物があるんだ。」「何ですか?」「西洋の慣習で、夫婦は同じ指輪を嵌めるんだそうだ。」歳三はスーツの内ポケットからベルベッドの箱を取り出すと、それを総司の前で開けた。 そこには、一組のプラチナの指輪が入っていた。「よく似合っている。やっぱり千と一緒に選んだだけの事はあるな。」「有難うございます、土方さん。大事にしますね。」歳三から左手薬指に指輪を嵌められた総司は、感激のあまり泣き出した。「必ず、お前達を迎えに来る。その日まで、待っていてくれ。」「解りました。この子と一緒に貴方が迎えに来るのを待っています。」総司の涙を歳三が優しくハンカチで拭っていると、通路に誰かの靴音が響いた。「総司さん、居るのか?」「じゃぁな、総司。」「さようなら、土方さん。」 歳三が総司の部屋から出て行った後、入れ違いに薄井が中に入って来た。「総司さん、泣いていたのかい?」「ええ。妊娠してから、ちょっと精神的に不安定になってしまいました。」「ゆっくりと休んでくれ。」「解りました。」 総司をベッドに寝かせた薄井は、彼の左手薬指に見慣れない指輪が嵌められていることに気づいた。にほんブログ村
2016年11月16日
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(二人とも、何処に行ったんだろう?) 慣れないロングドレスの裾を捌きながら、総司は広い船内で歳三と千の姿を探しまわっていたが、二人の姿は何処にも居なかった。もう二人は船から降りてしまったのだろうか―総司がそんな事を思い溜息を吐きながら自分の部屋へと向かおうとした時、彼は誰かに肩を叩かれた。「あんたが、健介の女?」「あなたは、どなたですか?」 総司が振り向くと、そこには胸元を大きく開いた膝丈のドレスを着た女が立っていた。「とぼけるんじゃないわよ、この泥棒猫!」女は総司の言葉を聞いた途端激昂し、美しくネイルアートを施された両手で総司の顔を引っ掻いた。 頬に激痛が走り、総司が悲鳴を上げて女から一歩後ずさると、女は尚も総司に攻撃を加えようとして彼に向かって腕を大きく振り上げた。「総司、大丈夫か?」見知らぬ女に殴られそうになっている総司の姿を目にした歳三は、女を突き飛ばした。「はい、大丈夫です。」「あんた、あたしの邪魔をしないでよ!こいつはあたしの健介を奪った泥棒猫なのよ!」女はヒステリックにキーキーと喚きながら、歳三を睨みつけた。「こいつは俺の女だ。またこいつを傷つけようとするなら、てめぇを海に放り込んでやる。」 歳三の殺気に満ちた目を見た女は、意味不明な言葉を喚き散らしながらその場から逃げていった。「ごめんなさい、土方さんにご迷惑を・・」「謝るんじゃねぇよ、総司。それよりも傷の手当てをしねぇと。」「部屋に案内します。」 総司が歳三を自分の部屋へと案内している頃、千は船内のダイニングルームで豪華な料理に舌鼓を打っていた。(こんな豪華な料理、何処から頼んだんだろう?)そんな事を思いながら千が有名洋菓子店のケーキを食べていると、隅の方で若竹と薄井が何かを話している姿を彼は見た。 千はそっと彼らの方に忍び寄ろうとした時、若竹が突然薄井の胸倉を掴んで何かを彼に言うと、足早にダイニングルームから出て行った。 二人の様子が気になった千は、若竹の後を追ってダイニングルームから出て、人気のない甲板へと向かった。 若竹は甲板に一人佇み、夜の海を眺めていた。「若竹さん。」声を掛けようかどうか千が迷っていた時、一人の振袖姿の女性が若竹に話しかけて来た。「何だ、誰かと思ったら瑠璃ちゃんか。」そう言って女性の方に振り返った若竹は、彼女に柔らかな笑みを向けた。どうやら、彼と女性は親しい間柄らしい。千が暫く物陰で二人の様子を見ていると、彼は若竹と目が合ってしまった。「僕達の逢瀬を覗き見とは、悪趣味だね。」「すいません、貴方に声を掛けようとしたら、そちらの方が先に・・」「そうか。君は確か、さっき甲板で薄井と揉めていた男の連れだったね?」「は、はい・・あの、僕はこれで失礼します。」「待ち給え、僕はまだ君の名前を聞いていない。」「では、そちらから名乗って頂けませんか?そちらのお嬢さんも。」千の言葉を聞いた若竹は、口端を歪めて笑った。「そうだね。僕は若竹幸一、こちらは僕の幼馴染の、三条瑠璃さんだ。」「僕は荻野千尋と申します。先ほどお二人の様子を拝見した限りだと、お二人は親しい間柄のようですが?」千がそう言って二人を見ると、若竹は突然大声で笑い出した。「僕、何かおかしい事でもお聞きしましたか?」「いや・・君は案外鋭い所を突くなと思ってね。」にほんブログ村
2016年11月16日
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父が大阪出張土産にリクローおじさんのチーズケーキを買って来て貰いました。このチーズケーキは美味しいから大好きです。昔は500円で買えたのですが、今は値上がりして675円になっていました。
2016年11月16日
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進学、結婚、就職ー全てにおいて、強盗殺人犯の弟というだけで差別を受ける主人公・直貴。もしあなたが窃盗を犯し、その素性や自宅・職場や家族構成などがネット上に晒され、あなたの家族がいわれのない、理不尽な差別を受けたら?という問いを、東野さんは正面から読者に突きつけています。犯罪者の家族は、理不尽な差別を受けるのはおかしいと思いますが、たとえ窃盗という言葉を万引き問いう軽い言葉に変えても、罪は罪。「いじめ」も、言葉を変えれば暴行・恐喝です。犯罪者とその家族が社会的に抹殺され、世間から迫害されるのは当然だと思っています。答えが出ない難しい問題ですが、加害者家族を守る国の姿勢進学、結婚、就職ー全てにおいて、強盗殺人犯の弟というだけで差別を受ける主人公・直貴。もしあなたが窃盗を犯し、その素性や自宅・職場や家族構成などがネット上に晒され、あなたの家族がいわれのない、理不尽な差別を受けたら?という問いを、東野さんは正面から読者に突きつけています。犯罪者の家族は、理不尽な差別を受けるのはおかしいと思いますが、たとえ窃盗という言葉を万引き問いう軽い言葉に変えても、罪は罪。「いじめ」も、言葉を変えれば暴行・恐喝・殺人未遂・殺人教唆です。犯罪者とその家族が社会的に抹殺され、世間から迫害されるのは当然だと思っています。答えが出ない難しい問題ですが、加害者家族を守る国の姿勢に、わたしは甚だ疑問を感じています。被害者や被害者遺族のプライバシーが丸裸にされるのに、何故未成年の加害者やその家族は法によって守られるのか?「更生の余地が云々」といいますが、更生する振りをしている犯罪者も居るのでは?そう思いながら読み進めていきましたが、直貴が妻子を持ち、妻と娘がひったりに遭うことで、加害者の家族から一転して被害者の家族の立場に立つシーンがあります。彼がその時、加害者の家族に言い放った言葉が印象深かったですし、兄に対して絶縁をするという旨の手紙の内容も、今まで彼が受けて来た理不尽な差別の事を思うと、胸が切なくなりました。東野圭吾さんといえば、ミステリー小説が多いのですが、その中に深い人間ドラマが描かれている事が多いです。この作品は何度読み返しても、名作だと思います。
2016年11月14日
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ちょんまげプリンが面白かったたし、映画もよかったので、原作本を購入しました。原作では主人公が男性で、日本とロシア間を巡る陰謀があったりと、最初から最後まで飽きさせない展開が続いて、とても面白かったです。
2016年11月14日
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「土方さんって、昔からモテますよね。男からも、女からも。」「てめぇ、いきなり何言っていやがる!」 昼休み、数学科準備室に入ってきた真珠の言葉を聞いた歳三は、危うく飲んでいたコーヒーで噎(む)せるところだった。「そんなに動揺することないでしょう?」真珠はそう言ってクスクス笑うと、歳三の前に弁当を置いた。「これ、土方さんの為に作ったお弁当です。少し沢庵を多めに入れました。」「有難う。今朝はバタバタしていたから、昼飯を買いに行く時間がなかったんだ。」「土方さん、もしよろしければ、わたしが先生のお宅に行ってご飯をお作り致しましょうか?」「ああ、頼む。後で部屋の合鍵を渡しておくから、放課後ここに来てくれ。」「解りました。では、失礼いたします。」 真珠が数学科準備室から出て教室へと戻ると、沙月が彼女の手を引っ張って友人達が居る席へと座らせた。「ねぇ、本当に土方先生と付き合っていたの?詳しい話を聞かせてよ!」「そんな事を言われても、本当に昔の話だから、あんまり憶えていないのよ。」真珠はしつこく食い下がろうとする沙月の言葉をそう言いながら適当にあしらったが、彼女はまだ納得していない様子だった。「そういえばさぁ、来週だよね、校外学習。」「ああ。もうそんな季節かぁ。」真珠達が通う高校は、毎年六月になると校外学習と称し、町はずれにある久御山で一泊二日のキャンプをする行事がある。 キャンプといっても、久御山の山頂にある宿泊施設の敷地内でバーベキューやキャンプファイヤーをするだけのものなのだが、生徒達にとっては体育祭や文化祭といったメインイベントの次に楽しみな行事のひとつだった。それというのも、キャンプファイヤーの後にこの高校の伝統行事のひとつである、愛の告白イベントがあるからだ。「ねぇ、真珠はイベントに参加するの?」「参加しようかしら。勿論、告白する相手は決まっているけど。」「余裕綽々な態度がちょっとムカつくんですけど~!」「あら、ごめんなさい。」そう言いながら友人達と笑い合う真珠の姿を、憎悪が込められた目で彼女を睨んでいる女子生徒の姿があった。「じゃぁ真珠、バイバイ。」「バイバイ、また明日ね。」 放課後、部活に出る為帰宅する沙月達と教室の前で別れた真珠が道場へと向かおうとした時、一人の女子生徒が彼女の前に立ち塞がった。「荻野さん、話があるんだけれど、いいかしら?」「わたしに話したい事って何かしら?」「貴方、土方先生と付き合っているって本当なの?」「本当よ。それが貴方と何か関係があるの?」「関係があるわよ、大ありよ!」女子生徒はそう言うと、真珠の胸倉を掴んだ。「どうして貴方が、土方先生と付き合っているのよ?貴方なんか、土方先生に相応しくない!」「何をするのよ、離して!」「土方先生と別れてよ、あの人はわたしだけのものなの!」「何を訳の分からない事を言っているのよ!」「貴方は何も知らないようね、じゃぁ教えてあげる!わたしは、土方先生の子を妊娠しているのよ!」 真珠が驚愕の表情を浮かべながら女子生徒の方を見た時、彼女は階段から真っ逆様に落ちていった。(・・忍の奴、遅ぇな・・) 歳三が数学科準備室で真珠を待っていると、学校の外から救急車のサイレンの音が聞こえて来た。にほんブログ村
2016年11月14日
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セブンイレブンのとろ〜りチーズソースカレードリア、食べたくて近所のセブンイレブンに入ったら、一つだけだと残っていたので書いました。チーズソースと、ハンバーグ、そしてごはんとの相性が良く、ハンバーグの肉汁とカレーのスパイシーな味が口の中肉汁広がって美味しかったです。
2016年11月14日
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テンプル・ゴールトとスカーペッター達との戦いに漸く終止符が打たれましたね。キャリー・グレセンの極悪非道ぶりも怖かったのですが、テンプル・ゴールトのサイコパスぶりが更に怖かったです。彼が死んだことで、彼の被害者達が生き返ることはありませんが。
2016年11月13日
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ネットで話題になっていたカップヌードルの謎肉祭。お肉がゴロゴロしていて美味しかったです。
2016年11月13日
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「母さん、そのドレスは誰の?」「貴方のドレスに決まっているじゃないの?」「ねぇ、どうして僕だけが女装しないといけないの?」「貴方男の子にしては華奢だし、女顔だから女装しても大丈夫かなと思って。それよりもドレスを試着してみて。」「わかったよ。」千は渋々と、千佳が作ったドレスを試着した。「ピッタリね。このドレスに合う靴とバッグはもう用意してあるわ。」「有難う、母さん。」千がそう言って歳三の方を見ると、彼は肩を震わせて笑っていた。「何がおかしいんです、土方さん?」「いや、お前ぇの女装姿が似合っていると思ってな。」「そうですか。土方さんの女装姿、母さんにも見せたかったです。」「まぁ、何の話?」「ううん、こっちの話。母さん、ドレス作ってくれて有難う。」「どういたしまして。パーティー、楽しんできてね。」 石田製薬主催のクリスマスパーティーは、豪華客船を貸し切った華やかなものだった。「土方さん、何処もおかしくはありませんか?」「ああ。それよりも足元、滑りやすいから気を付けろよ。」 歳三にエスコートされ、彼と共にパーティー会場である豪華客船へと乗り込んだ千は、一組のカップルが甲板へと向かって行くのを見た。 そのカップルは、薄井と総司だった。「沖田さん!」千は総司を呼び止めようとしたが、薄井と総司は人混みの中へと消えてしまった。「どうした、千?」「薄井と沖田さんが、さっき甲板の方へ・・」「俺達も行くぞ!」「はい!」歳三と千が甲板へと向かうと、丁度そこでは石田製薬社長の若竹と、薄井が談笑していた。二人の隣には、サファイアブルーのドレスを着た総司が立っていた。「総司!」「土方さん、どうしてここに?」「やっと見つけた。一緒に帰ろう。」歳三がそう言って総司に向かって手を差し伸べると、薄井が二人の間に割って入った。「久しぶりですね、土方さん。それに、千君も。」「てめぇ、総司を俺に返しやがれ!」「それは出来ません。彼は我々にとって貴重な存在なのですから。」「そりゃぁどういう意味だ?」「おや、ご存知ないのですか?彼は今、貴方の子を宿しているのですよ。」薄井の言葉を聞いた歳三は、驚愕の表情を浮かべながら総司の下腹を見た。「その様子だと、ご存知なかったようですね?」薄井はそう言って薄笑いを口元に浮かべ、総司を自分の方へと抱き寄せた。「てめぇ、総司から手を放しやがれ!」「申し訳ありませんが、貴方に彼を戻すことは出来ません。ここは諦めてお帰り下さい。」 歳三は悔しそうに唇を噛みながら薄井を暫くの間睨みつけていたが、千の手を乱暴に取って彼に背を向けて甲板を後にした。「いいんですか、土方さん?沖田さんがすぐ目の前に居るのに・・」「ここであいつと争っても、俺に勝ち目はねぇ。だが、総司を諦めた訳じゃねぇさ。あいつとは必ず決着を着けてやる!」(総司、俺は必ずお前ぇを薄井の野郎から取り戻す!)「やれやれ、折角のパーティーだというのに嫌な奴に会ってしまったよ。」「薄井さん、わたしもう失礼しても宜しいでしょうか?ここは寒くて、少し気分が悪いので・・」「解ったよ、部屋に戻ってもいい。」「有難うございます。」 甲板から船内へと降りた総司は、歳三と千の姿を探し始めた。にほんブログ村
2016年11月12日
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「千尋、お帰りなさい。今日は圭ちゃんの社会科見学に付き合ってくれて有難う。」「ただいま、母さん。今日はカルチャースクールでのお仕事、早く終わったの?」「ええ。今日は余り忙しくなかったから、早く終わったの。圭ちゃんは?」「圭太なら、塾の友達と遊びに行ったよ。それよりも母さん、弥生さんからクリスマスパーティーに誘われたんだけれど、行ってもいいかな?」「クリスマスパーティー?」「うん。弥生さんの旦那さんの会社で、今週末にあるんだって。」千はそう言うと、千佳にパーティーの招待状を見せた。「石田製薬さんだったら、優之さんの職場ね。わたしも行きたいところだけど、この時期は色々と忙しいのよ。」「じゃぁ、行ってもいいんだね?」「勿論よ。でも弥生さん達にはご迷惑をおかけしないようにしなさいね。」「解った。母さん、今日は夕飯僕が作るね。」「有難う、助かるわ。」「母さんは仕事で疲れているんだから、たまにはゆっくりと休んでいて。」千佳がリビングのソファに座るのを見た千は、冷蔵庫からハンバーグ用の挽肉(ひきにく)を取り出した。「只今帰りました。」「あら土方さん、お帰りなさい。貴方も圭ちゃんに付き合ってくれて有難う。」「こっちで世話になっているから、当然の事をしているまでだよ。それよりも千、何を作っているんだ?」「ハンバーグです。宜しかったら土方さんも一緒に作りませんか?」「ああ。」 千がキッチンで歳三にハンバーグの作り方を教えていると、リビングに優之が入って来た。「ただいま。千佳さん、父さんから連絡はあった?」「ええ、さっきあったわ。向こうでトラブルが起きたから、こっちに帰るのが遅くなるって言っていたわ。」「そう。そういえば今週末にうちの会社でクリスマスパーティーがあるんだけれど、千佳さんも来ない?」「行きたいのはやまやまだけれど、仕事が忙しくて行けそうにないわ、ごめんんなさい。あぁ、そういえば土方さんと千尋がそのパーティーに誘われたんですって。」「そうか。じゃぁ俺もそのパーティーに出るから、そのついでに千尋達を会場に連れて行くよ。」「有難う。」「それじゃぁ、俺はもう行くから。」「夕飯は食べて行かないの?」「これから大学時代の友人達と会うんだ。」「そう、気を付けてね。」 優之がリビングから出て行こうとした時、彼は歳三と目が合った。「余り俺に迷惑を掛けないでくれよ。」「解ってるよ。あんたの手を煩わせるような事はしねぇ。総司が見つかり次第、ここから出て行くさ。」「そうしてくれると助かるよ。」 歳三と優之との間に、見えない火花が散った。「なぁ千佳さん、あいつはどうしてあんたの事を名前で呼ぶんだ?血が繋がらないとしても、普通はあんたの事を母さんって呼ぶはずだが・・」「優之さんは、小さい頃に実の母親と死別したのよ・・その人は、若くしてガンで亡くなったの。わたしとあの子の父親が再婚して、わたしは懸命にあの子の母親になろうと努力したんだけれど、あの子はわたしの事を未だに母親とは認めていないんだと思うの。」「済まねぇな、立ち入った事を聞いちまって。」「いいのよ。それよりも後で千尋と土方さんに、見せたい物があるの。」「見せたい物?」「今週末のクリスマスパーティーで貴方達が着る物を、急ぎで作ってみたのよ。」 夕食後、歳三と千尋が千佳の部屋に入ると、アクアグリーンのドレスと、タキシードがクローゼットのハンガーに掛けられた状態でベッドの上に広げられていた。にほんブログ村
2016年11月12日
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マンションの七階にあるカフェレストランのソファ席で、弥生と歳三達は向かい合う様な形で座った。「あの、話したい事とは何でしょうか?」「実はね、西田さんの所の大地君の事なんだけれど・・あの子、今このマンションには居ないのよ。」「え?」「詳しい事はわたしも知らないんだけれど、西田さんのご主人、株取引で失敗して色々と大変みたいよ。近々ここから引っ越すんじゃないかって噂よ。」「そうですか・・西田さんも大変ですね、最上階に住んでいらっしゃるのに・・」弥生には佳奈子を心配する素振りを見せながらも、千は何処か嬉しそうな顔をしていた。 彼が抱える黒い感情を、歳三は少し垣間見たような気がした。「ああそうだわ、今週末主人の会社でクリスマスパーティーがあるのよ。千尋君と土方さんも是非いらして。」弥生はそう言うと、ブランド物のクラッチバッグの中から二通の招待状を取り出し、千と歳三にそれを手渡した。「これは・・俺の家紋だ!」「え?」歳三の言葉を聞いた千が招待状を見ると、そこには『石田製薬』という社名と共に、土方家の家紋である左三つ巴が印刷されていた。「あら土方さん、主人の会社をご存知なの?」「ええ、まぁ・・」「弥生さん、石田製薬ってどんな会社なのですか?」「そうねぇ・・明治初期に創設されて、最初は自家製の丸薬を作って行商をしていたそうよ。そういえば最近、不妊治療の特効薬を開発中だとかこの前主人が言っていたわね。」「そうですか・・」「ごめんなさい、これ以上は企業秘密にかかわる事だから余り喋るなって言われているのよ。」「弥生さん、パーティーに誘ってくださって有難うございました。それじゃぁこれで失礼いたします。」「ええ、またね。」カフェレストランの前で弥生と別れた歳三と千は、エレベーターで四十五階の自宅に戻った。「千、石田製薬の事を調べられるか?」「ええ、今調べます。」千が自分の部屋からノートパソコンを持ってくると、歳三は目を丸くしてそれを見つめた。「何だ、そりゃぁ?」「これはパソコンといって、解らない事がすぐに調べられる道具なんですよ。」「そうか・・お前ぇの時代には、あのすまほとかいう小せぇ箱といい、便利な道具があるんだな。」「ええ。」 千がインターネットで石田製薬の事を調べると、石田製薬の公式サイトが検索結果のトップに表示された。「間違いねぇ、やっぱりこれは俺の家紋だ!」パソコンの画面に映し出された左三つ巴の家紋を凝視した歳三は、そう叫ぶと首を傾げた。「石田製薬っていう名前も、もとは俺の実家で作っていた石田散薬から来たもんだろう?」「そうでしょうね。会社の歴史を紹介しているページにもそう書いています。え~と、石田製薬創設者の名前は・・え、嘘!」「どうした、千?」 千が突然ノートパソコンの画面を見て叫んだので、歳三がそう言って彼の肩越しに画面を覗き込むと、石田製薬創設者のページに、自分の名前と顔写真が載っていた。「どうして、ここに俺の名前と顔写真が載っているんだ?」「それは解りません。でも、この会社と土方さんとは何らかの繋がりがあると思います。」「そうだな・・社章といい、会社名といい、偶然とは思えねぇよ。」歳三がそう呟いた時、リビングのドアが開いて圭太が入って来た。「二人とも、何見てるの?」「圭太、お帰り。ちょっと調べ物をしていたんだ。」「ふぅん・・」圭太はこたつに入って千が見ている画面を覗き込んだ。「あ、この会社知ってるよ!明日社会科見学でこの会社の研究施設に行くんだ。」「圭太、それ本当!?」「うん。でも保護者同伴が必須なんだよね。パパは出張中だし、ママはカルチャースクールでのお仕事が忙しいし・・」「じゃぁ、僕と土方さんが一緒に行ってあげようか?」「え、いいの?」「いいよ、暇だし。土方さんも、いいですよね?」「ああ、構わねぇよ。」 翌日、千と歳三は、圭太と共に石田製薬の研究施設を訪れた。「かなりデカいな・・」「土方さん、逸れないようにしてくださいね。」「ああ、解ってるさ。」圭太達と共に施設内に入った歳三達は、ガイドと共に施設内を見て回った。「これで社会科見学は終わりだそうです。土方さん、どうしました?」「いや・・あの向こうの部屋がどうなっているのか、気になってな。」歳三はそう言うと、ガラス扉で仕切られた部屋を指した。「あそこは、社員以外は立ち入り禁止区域になっているそうです。入るには、社員証が必要なんですって。」「そうか・・何かにおうな。千、これは俺の勘なんだが・・あそこに、総司が居るような気がしてならねぇんだ。」「何とかして、あそこに入る方法を考えないといけませんね。」 歳三と千がそんな会話を交わしながら来た道を戻っていると、丁度ガラス扉の向こうに総司が立っていた。「土方さん、千君!」二人の姿に気づいた総司がガラス扉を叩いたが、彼らは総司の姿に気づかないままエレベーターの中へと消えていった。「どうしてこんなに近くに居るのに、気づいてくれないの?」そう呟いた総司は、涙を流しながら扉の前に蹲(うずくま)った。にほんブログ村
2016年11月09日
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「なぁ千、聞きてぇことがあるんだが・・」「何ですか、土方さん?」「お前ぇの家族は、いつも飯の時間はあんなに静かなのか?」 夕食後、歳三が洗濯物を畳みながらそう千に尋ねると、彼はアイロンがけをしていた手を止めた。「土方さんにはおかしいと思われるかもしれませんが、うちではあれが普通なんです。元々、うちは仲がいい家族ではなかったし、生活パターンがそれぞれ違いますから、共通の話題がないんです。」「そうか。何だか悪い事を聞いちまったな。」「いいえ。それよりも、僕達が居なくなった後斎藤さん達はどうしているんでしょうか?僕はともかく、土方さんが突然失踪してしまったとなれば、色々と大変なのではないかなぁと思って・・」「斎藤の奴が上手くやってくれると思うが、副長の俺が新選組を長い間留守にしていたら、色々と問題が起こりそうだな。早く総司を見つけて、新選組に戻らねぇと・・」歳三がそう言ってタオルを畳もうとした時、玄関のチャイムが鳴った。「俺が出る。」ドアを開けた歳三の前には、昼間エレベーターホールの前で会った主婦・西田佳奈子が立っていた。「こんばんは。貴方、荻野さんのところでお世話になっていらっしゃる方よね?」「ああ、そうだが・・俺に何か用か?」「明日、貴方の歓迎会をこちらで開こうと思っているので、是非いらしてくださいね。」佳奈子はそう言うと、一通の招待状を歳三に手渡した。「それでは、ごきげんよう。」リビングへと戻った歳三の手に招待状が握られている事に気づいた千は、それを見て溜息を吐いた。「もしかして、歓迎会に来てくれって西田さんから言われたんですか?」「ああ。俺一人じゃ不安だから、お前ぇも一緒に来てくれねぇか?」「解りました。あの人は苦手ですけれど、土方さんの為だと思えば少し我慢します。」「そうか、有難う。」 翌日、マンションの十五階にあるパーティールームへと歳三と千が向かうと、そこには美味しそうな料理がビュッフェ台に並んでいた。「あら、いらしてくださったのね。」ママ友とシャンパングラスを片手に談笑していた佳奈子は、そう言って歳三に微笑んだが、彼の隣に立っている千の方を見てその笑みを消した。「千尋君、わたしは土方さんだけをお呼びしたのよ。」「土方さんは一人では不安だから一緒に行ってくれと頼まれたので、来ただけです。それよりも西田さん、大地君はお元気ですか?最近こちらでは見かけないので、どうしていらっしゃるのかと思って心配なんですよ。」「そんな事、貴方には関係ないでしょう!」佳奈子がそうヒステリックに叫ぶと、何事かと周囲の女性達が彼女の方を見た。「まぁ、折角いらしたのだから、ゆっくりとしていってちょうだいね。お母様にも宜しくとお伝えしてね、千尋君。」「ええ、必ず伝えますよ。そちらこそ、大地君に宜しくとお伝えくださいね。」歳三は二人の会話を聞きながら、二人の間の空気が二度下がったように感じた。「なぁ千、さっきお前ぇが言っていた大地君って誰だ?」「西田さんの息子さんで、僕と同い年なんですけれど、通っている高校が違うんです。まぁ、通学路が同じだから毎朝会うんですけれど、最近彼の姿を見かけないんです。西田さんのあの反応を見る限り、彼女にとって都合の悪い事があるんでしょうね、きっと。」そう言った千は、何処か嬉しそうな顔をしていた。 二時間後、歳三の歓迎会が終わった後、パーティールームから出ようとしていた千と歳三を佳奈子のママ友の一人である弥生が呼び止めた。「ねぇ千尋君、少し話がしたいのだけれど、いいかしら?」「ええ、構いませんよ。」「じゃぁカフェに来てくれないかしら?丁度空いている時間帯だから、誰にもわたし達が一緒に居るところを見られないわ。」「解りました。すぐに伺いますね。」にほんブログ村
2016年11月09日
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