ちょっと本を作っています

ちょっと本を作っています

Jan 12, 2005
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カテゴリ: 本を作る
出版業界でメシを食う方法(その五)

昭和30年代から40年代にかけて実用書の出版社が次々と出来ました。その多くが理工学書専門出版社で編集を経験した創業者によるものです。理工学書の図表などビジュアルに紙面を構成する編集技術が実用書に活かされたのです。私が働いていた会社の先輩が創業した実用書出版社も数多くありました。


行政改革前夜

特に土木は親方日の丸です。官庁の発注工事がほとんどです。

それまではお役所回りをして、工事誌などを請け負うだけでいい稼ぎでした。

詳しくは書けませんが、官庁の推薦文一枚で売上げは十倍にもなります。


あるとき国鉄の内部資料を本にしたことがあります。工事指針解説です。

本が出来上がる寸前になって著者を誰にするかという話題になりました。

「○○総裁の息子さんがいいんじゃない。そろそろ著作ぐらいもたせないと」

それまで私は、著者ってのは書いた人と思っていました。


「売れるよー。業者は争って買うよ。登録業者には俺がすべて連絡しとくよ」

確かに売れました。信じられないぐらい。




ちょうど引越しの最中なので段ボール箱5個分なんて注文までありました。

本の注文を冊数でなくてダンボール箱の数で受けたのはこのときぐらいです。

調子のいい私は、ちょっとやり過ぎだとは思いながらも流れに乗っていました。


行政改革の波

そのような土木や建築の工学書や資格試験の受験参考書を作っていた頃です。

土光さんという経団連の会長が中心となって行政改革が進められました。

国鉄の民営化をはじめ、さまざまなうねりが出版社にも影響を及ぼしました。


仕事は半減なんてものではありません。壊滅状態です。年商は大幅ダウンです。

私は他人事で「当り前だよ。今までがおかしかったんだ」とうそぶいていました。

でもそればかりも言っておれません。次の仕事を探さないと。


そこで実用書です。今までの編集技術の応用です。さまざま提案しました。

どうせなら楽しいもののほうがいいだろうと趣味の本に走りました。




私の課は、資格試験の受験参考書と趣味の本の編集部になってしまいました。

釣りをやってみたいなと思えば釣りの本です。やりたい放題です。

企画調査名目で遊び歩きました。常務を巻き込んで温泉巡りもしました。


印税が払えない

そこそこの著者を見つけるものですから、売上げも伸びてきました。

ところが印税支払いが追いつかないのです。どんどん貯まり始めました。




本を出すことで学者としての箔がついたり出世できるのです。

「いやー、出してもらったことだけで十分だよ」と言ってくれます。

ところが趣味の本は、著作を唯一の収入源にしている人も少なくありません。


電話が架かってきます。「どうなってんの? 払って下さいよ」

経理に言ってくれ、会社に言ってくれと言っても当然納得しません。

「ボクはキミから頼まれたから書いたんだよ」と言われてしまいます。


そのような著者と会社の板ばさみ状態が続いていたときのことです。

志賀高原にスキーに行きました。ご招待を受けたのです。

私が始めた出版スキー祭典の10周年記念のイベントでした。


毎月「第一回」をやろうよ

話がまた10年前に遡ります。出版の青年組織の議長をやっていた時です。

労働組合の暗い雰囲気に反発していました。

「楽しいことやろうよ。そのための組織だろ」これが私の口ぐせでした。


「歴史は今から始まるんだよ」なんて調子に乗って言っていました。

「第一回スケート祭典」「第一回歌声祭典」「第一回キャンプ祭典」……。

「第一回」と銘打って次々とイベントを仕掛けました。


「ゴルフ祭典」も企画したのですが、「お前、何考えてんだ」でポシャンです。

「スキー祭典」も「けが人が出たらどうする」など中執会議で激論でした。

「死人が出たら、あんた責任が取れるか」とまで言われました。


確かにその頃は、まだスキーはブルジュアの遊びと見られていたのです。

労働組合とは関係のないものと思われていたのです。

押し切りました。それもスキー場を貸し切ってしまったのです。


将来の独立のきっかけになるなんて思ってもいなかった

竜王小丸山スキー場。小さなスキー場です。丸ごと借りてしまったのです。

夜行バスを何台も仕立てて乗り込みました。

こんなイベントは前代未聞です。町長さんまで挨拶に見えられました。


リフトだって貸切です。初心者が多かったのでスキー教室は満員です。

当時はナイター設備はありません。それでも夜もリフトを動かしました。

リフト乗り場にたいまつをワンサカ用意しました。


そこそこ滑れる人はたいまつを持って滑走です。

滑れない人はふもとのロッジからお酒を呑みながらの見学です。

ご近所の農家で杵と臼を借りてきて、餅つき大会もやりました。


あとで、スキー場が監督官庁から厳重注意を受けたと聞きました。

夜中にリフトを動かしたことがばれてしまったのです。

このようなイベント(事件かな)をやった十年後のことです。



ちょっと長くなって来たので残りは明日にしますね。






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Last updated  Jan 13, 2005 01:25:46 AM
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聖書預言@ Re:ネットを再開するぞーっ! と思ったとたん(04/28) 神の御子イエス・キリストを信じる者は永…
KURADON @ Re:ネットを再開するぞーっ! と思ったとたん(04/28) わあっ❗️ いきなり KURADONさん とでた!…
マリア4415 @ Re:会おうね。関西の人、中国地方の人(08/05) はじめまして。突然お邪魔して申し訳ない…
秦野の隠居@ Re:よかった(04/28) のりのりさん ----- 完全復活です。 アメ…
のりのり@ よかった 久しぶりにのぞいてみたら、ご隠居さん本…
秦野の隠居@ 引っ越しました 楽天ブログを再開しようと思ったけど、ど…
秦野の隠居@ Re[3]:秦野の隠居です(04/28) パパイヤさん ----- 後ほどご連絡させて頂…
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38万円で本ができた


第一章 もっと手軽に自分の本を作れたら


第二章 協力出版と懸賞募集の甘い罠


第三章 自分の本を作りたい理由を考えよう


第四章 本にする原稿をまとめよう


第五章 自分の本を売ってみよう


第六章 安く本を作る方法を考えよう


第七章 物書き稼業と編集者稼業の裏表


第八章 昨今の出版業界のお寒い事情


第九章 いまどきの本屋さんと物流事情


第十章 出版業界こぼれ話


【出版後記】


負けてたまるか


その1


その2


その3


その4


その5


その6


舞台裏からの独白


すぐそこの田舎暮らし


第一章 先住民/黒猫の『タンゴ』


第二章 山里「コンタ」発見


第三章 知らないってことは


第四章 竹の子で仲間を釣り上げる


第五章 森の天使の小さな落し物


第六章 小悪魔『チビクロ』参上


第七章 チビクロ砦とチビクロ王国


第八章 まったくもう、田舎暮しってヤツは


第九章 チビクロ、チビコゲへ変身中


第十章 隠れビーチで日向ぼっこ


第十一章 チビクロ、何処へ行こうか


第十二章 何で、お前まで行ってしまうの


第十三章 ムジナに見送られ、街へ帰る


エピローグ みんなで遊ぼうよ


両国・千夜一夜物語


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後編


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第四話 土木から資格試験へ


第五話 工学書転じて実用書に 


第六話 なぜかスキー書


第七話 退職、そして創業


第八話 行け行けドンドンの始まり


第九話 原稿は役員専用車で届く


第十話 スパイにされちゃった


第十一話 ただ酒、ただ飯、お土産は仕事


第十二話 閃いた


第十三話 出版から映像へ


第十四話 ヒットチャートに載っかった


第十五話 思えば、いろいろやったもんだ


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プロローグ


第一章 身も心も捧げた女は飽きられる


第二章 したたか女はイイ女


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第四章 私の出会ったイイ女列伝


エピローグ


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第一話 なぜナタマメ茶を作ったのか?


第二話 やっぱり巻き込まれてしまった


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