ちょっと本を作っています

ちょっと本を作っています

Jan 13, 2005
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カテゴリ: 本を作る
出版業界でメシを食う方法(その六)

2回程度で終わらせるつもりだった話がなかなか終わりません。この際だからもうしばらく昔話に付き合って下さい。今日の話は20年ちょっと前のスキー場での出来事です。


スキー場の夜はふけて

この年の参加者も200人以上はいました。

夜のパーティもいつしかディスコパーティに切り替わっていました。

30代半ばになっていた私は、もう親父扱いです。


「それじゃ、○さんのは盆踊りだよ」なんて冷やかされて踊っていました。

「今晩は」と声を掛けてきた女性がいます。小学館の女性編集者でした。

「あれ、○ちゃんも来てたの?」

「うーん、私は仕事よ」


テレビ情報の週刊情報誌の副編集長をやっている女性です。

聞くと、奥志賀高原まで取材に行くそうです。




「ワールドカップの取材よ」

「それが何で志賀高原なの? 場所が違うんじゃない」

確か日本で始めてワールドカップが開催された年です。


「奥志賀にスキー用具の整備やワクシングの先生がいるのよ」

「ワールドカップの舞台裏ってテーマでまとめようと思って」

「明日の予定なんだけど、みんなに会いに来たのよ」


ヒマを持て余していた私です。

若い連中にはもう付いて行けません。

「オレも連れて行ってよ。面白そう」


杉山進さんとの出会い、そして林壮一さん

翌日の昼近く、奥志賀高原のスポーツハイムというロッジに着きました。

杉山進さんはスキー界の大御所です。




取材が始まりました。実演をするのは林壮一先生です。

当時、林壮一さんは奥志賀のスキースクールの主任でした。

エッジの調整、ソールの研磨、ワクシングと手際よく撮影です。


一通りの取材と撮影が終わりました。

そうなると、でしゃばりの私は黙っていられません。




「ありますよ、そういうことって」

林壮一さんとの掛け合い漫才のような会話が延々と続きました。

帰ろうと思ったら、もうバスもありません。


「すみません。タクシーを呼んでもらえますか?」

「ムリですよ。呼んでも来るまでに2時間はかかりますよ」

「いいですよ。ボクがクルマで送って行きます」


またまた一冊、本の企画がまとまった

送ってもらうクルマの中での話です。

「今日説明して頂いたようなことの本は出ていますか?」

「三浦敬三先生と土方先生の本ぐらいかな。ちょっと古いけど」

「何で古いんですか?」

「スキー用具ってどんどん進歩しているでしょう」

「整備のやり方も変わっていくんですよ」


その翌日の夜行バスで東京に帰りました。帰着は翌朝です。

そのまま会社へ直行です。

「明日、取材に行きます。志賀高原へ。スキーの本を作ります」

「えっ、スキーに行ってきたんじゃないの」

編集部長の常務は目を白黒させていました。


こんなときの行動の速さだけは誰にも負けません。

林壮一さんに電話して、ロッジも確保してもらいました。

夜行バスも確保して、その足で志賀高原にユーターンです。


出迎えた林壮一さんは大喜びです。

初めての自分の本が出来るのですから、当然と言えば当然です。

でも杉山進さんはそうでもありませんでした。


失礼ですが、堅実かつ着実を絵に描いたような性格の方です。

忙しいこともあって、なかなか時間をとって頂けません。

しょうがないので昼間はスキーで遊び、夜は飲んでいました。


オジサン、写真集なんて売れないよ

スポーツハイムはスキーヤーズベッドです。

私と同じ部屋にあと二人の人が同宿していました。

お一方はいいお年のようです。


毎晩三人で雑談に花を咲かせていました。

「ボクの写真集を出したいんだけど」

お爺さんが話しかけて来ます。


「売れないですよ、写真集なんて」

「ムリ、ムリ。止めたほうがいいですよ」

そんな話をしていたときです。


「杉山校長が、ぜひお出で頂きたいと言っているのですが」

あれどうした風の吹き回しだろうと、いそいそ出かけました。

校長室にはワインと料理が用意してありました。


杉山校長と並んで、くだんのお爺さんが座っています。

「いやー、あなたが奈良原先生とお知り合いだとは知らなくて」

めったに笑わない杉山進さんがニコニコしています。


とんでもないお爺さんだったのだ

「私がオーストリーに行っていたとき、お世話になったんですよ」

杉山進さんは日本人で初めてオーストリーの国家検定に受かった人です。

聞くと奈良原さんという方は世界的に有名な写真家でした。


日本人の海外旅行が制限されていた時代に欧米で活躍されていたそうです。

奈良原さんから、面白い人がいますよと言われて私を呼んでくれたのです。

もうここまで来れば一気呵成です。トントン話は進みました。


それにしても奈良原一高さんを知らなかったとは恥ずかしい。

帰ってから何冊か写真集を買い漁りました。

朝日新聞社や岩波書店から何冊も出版されていました。


「写真集なんて売れないですよ」「止めたほうがいいですよ」

奈良原さんも人が悪い。教えてくれないんだもん。

ニコニコしながら私の話を聞いていたんですよ。



続きます。ここまで来ると、読んで下さる人の顔色を覗っていられません。書かせて下さい。お願いしま~す。





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Last updated  Jan 14, 2005 10:53:30 AM
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いい話だなあ!  
KURA宙  さん
ご隠居!ボクもスキー大好き人間です。あっ!このお方はお仕事なんだなあ!・・・ご存知でしょ、あの38豪雪のこと。あの年ボクは三日間の講習を受けて受験、見事に一級に合格しました。スキーの本も随分買いましたよ。一昨年までは蔵王とか北海道に遊びに行っていましたよ。でも、もう怖いからダメですがね。殿はスノボーの名手らしいですよ。 (Jan 13, 2005 12:13:03 PM)

Re:出版業界でメシを食う方法(その六)(01/13)  
てまりねこ  さん
なんか、ご隠居さんの専門○○を絵に描いたようでおかしいです。
私も作品集の夢は見たことがありますが・・・
ご隠居さんの出版状況のお話を聞かせていただき、完全に夢はあきらめた状況です。

だって・・・
まぁ、てまりの本はメインはマコー社です。
皆さん、作品が凄いですから。
私なんて、とてもとても・・・

あとはヴォーグ社で1冊、主婦の友社(で良かったはず)で1冊、ケイユウ社(字忘れました)で1冊出ています。(もちろん品切れ絶版多しですが)
でも、やっぱり若手で先生と呼べるレベルの方は本当に数が少ないのです。
皆さん御歳で。
ああいう作業を喜んでする若手も少ないですからね。
要するに需要が極端に少ないわけで。 (Jan 13, 2005 12:14:21 PM)

毎日楽しみに・・  
ひなまんま  さん
拝読させていただいております。どんどん書いちゃってください。お願いいたします(^◇^) (Jan 13, 2005 12:47:45 PM)

うーん さすがだなあ・・  
Mikku@  さん
日記を毎日書くのに、アクセス数を気にしている小心者です。読む人を飽きさせないナイスセンス!文章にリズムもあるし、ドラマがあるし、そして励まされる! さすがだなあ・・・尊敬だなあ・・・ (Jan 13, 2005 05:29:23 PM)

なんとも・・・  
まっく   さん
>ニコニコしながら私の話を聞いていたんですよ。
-----
素敵な話ですね。

うぅ~ん・・・このシリーズ、面白いです!!
書いて、書いて書きまくって下さい!!
(Jan 13, 2005 06:34:21 PM)

Re:出版業界でメシを食う方法(その六)(01/13)  
きらら子  さん
いつも続きを楽しみにしています。がんばってください! (Jan 13, 2005 06:44:28 PM)

Re:出版業界でメシを食う方法(その六)(01/13)  
スキー未経験者です。
明日の日記も楽しみです! (Jan 13, 2005 07:50:17 PM)

Re:出版業界でメシを食う方法(その六)(01/13)  
続きを期待してます!
(Jan 13, 2005 11:28:22 PM)

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38万円で本ができた


第一章 もっと手軽に自分の本を作れたら


第二章 協力出版と懸賞募集の甘い罠


第三章 自分の本を作りたい理由を考えよう


第四章 本にする原稿をまとめよう


第五章 自分の本を売ってみよう


第六章 安く本を作る方法を考えよう


第七章 物書き稼業と編集者稼業の裏表


第八章 昨今の出版業界のお寒い事情


第九章 いまどきの本屋さんと物流事情


第十章 出版業界こぼれ話


【出版後記】


負けてたまるか


その1


その2


その3


その4


その5


その6


舞台裏からの独白


すぐそこの田舎暮らし


第一章 先住民/黒猫の『タンゴ』


第二章 山里「コンタ」発見


第三章 知らないってことは


第四章 竹の子で仲間を釣り上げる


第五章 森の天使の小さな落し物


第六章 小悪魔『チビクロ』参上


第七章 チビクロ砦とチビクロ王国


第八章 まったくもう、田舎暮しってヤツは


第九章 チビクロ、チビコゲへ変身中


第十章 隠れビーチで日向ぼっこ


第十一章 チビクロ、何処へ行こうか


第十二章 何で、お前まで行ってしまうの


第十三章 ムジナに見送られ、街へ帰る


エピローグ みんなで遊ぼうよ


両国・千夜一夜物語


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後編


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第一話 私の出版屋事始め


第二話 ちょっぴり生意気だった理由


第三話 出版企画会議の話


第四話 土木から資格試験へ


第五話 工学書転じて実用書に 


第六話 なぜかスキー書


第七話 退職、そして創業


第八話 行け行けドンドンの始まり


第九話 原稿は役員専用車で届く


第十話 スパイにされちゃった


第十一話 ただ酒、ただ飯、お土産は仕事


第十二話 閃いた


第十三話 出版から映像へ


第十四話 ヒットチャートに載っかった


第十五話 思えば、いろいろやったもんだ


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第二章 したたか女はイイ女


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第二話 やっぱり巻き込まれてしまった


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