ちょっと本を作っています

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Jan 31, 2005
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カテゴリ: 本を作る
出版業界でメシを食う方法(その二十三)



その経緯を紹介する前に、ある女性との再会のことを書いておいたほうが、出版業界の裏事情も分かりやすいと思います。今日の話は私の会社の倒産後半年ほどたってからのことです。
(ゆりさ~ん! あんたの話だよ。勘弁してよね。出演料は払わないけどね)。



ある日、道の真ん中で

事業を続けることは出来たのですが、返品在庫を抱えていました。

そんな時です。道でバッタリと昔の知り合いの男性と出くわしました。

虫プロ(手塚治虫プロダクション)の元営業責任者のKさんです。


お茶でも飲もうよと喫茶店に入って、彼の近況を聞きました。

虫プロの倒産後、以前から付き合いのあった古書問屋に勤めているそうです。

「オレも在庫を抱えて困っているんだ。協力してよ」


「いいですよ。昔お世話になったんだし、出来るだけのことをしますよ」

デッドストックの在庫を彼の勤める古書問屋に引き取ってもらいました。

一週間ほどたって、「集金に来て下さい」と言われて出掛けて行きました。


ある再会



紹介された古書問屋の女社長が叫びました。

「そうだけど、会ったことあったっけ?」

私は思い出せません。


「山崎の娘ですよー、私。 山崎書店って覚えていない?」

「エッ、山崎の親父さんの娘さん? じゃあ、ここが山崎書店?」

一瞬、その時より二十年ほど前のことを思い出しました。

窓もないような、汚いアパートの一室の情景です。


今から三十年前の出来事

当時私は出版労連の組織担当中央執行委員をやっていました。

ある出版社の倒産事件で、労働債権充当分として在庫を確保しました。

協定書を交わしたものの、その出版物を現金化しなければなりません。


その時、会いに行ったのが「山崎の親父」さんです。



特価本とは、分かりやすく言えば、大量に流出するバッタ本です。


「こんなもんだな」。神保町の汚いアパートの一室です。

在庫表と見本を見ながら親父さんが数字を示しました。

「いやー、彼らの退職金としてせめてこれくらいの金額は……」


意外と意外で、すぐに親父さんはこちらの言い値を了解しました。



ニコリともせず、「分かった。いいよ。おい、出してやれ」

今から三十年前当時のお金でも百万円以上でした。大金です。


あれが、ゆりさんだったんだ

出版業界には、表の世界と影の世界がありました。

表の世界とは、出版社と出版取次と新刊本屋の世界です。

影の世界とは特価ルートと呼ばれる古書の世界です。


当時も今も、古書の世界の最大手は八木書店です。

この八木書店に対抗していたのが山崎書店でした。

八木銀行、山崎銀行と言う人もいました。


今では上場する会社も増えてきましたが、出版は水商売と言われてきました。

経営が不安定なので、当時は銀行も金を貸さなかったのです。

資産は在庫だけです。銀行は担保として認めません。


だから特価卸です。在庫を担保に金を貸してくれるのは古書問屋だけです。

貸し金が焦げ付けば、担保の在庫を自分のところで捌くのが特価卸です。

私が知る限りでも、著名な出版社が日参していました。資金繰りです。


特価卸は古書としての値段を崩さないように一括で在庫を抑えます。

そんな山崎の親父さんの娘が「ゆりさん」でした。でも当時は知りません。

そういえば親父さんのところに女の子がいたなぐらいの記憶です。


「エヘ、オレってそんなにカッコ良かったかなー」

「あの時、お父さんが骨折していたので私が手伝っていたのよー」

「学校休んで行っていたときに、○○さんが来たのよー」

「へー、こんなに若い人が。それも名門の○○出版出身だって言うし」


「だから覚えていたのよー」

二十年も前の私との一瞬の出会いを、彼女は覚えていたのです。

聞くと、数年前に山崎書店は倒産したそうです。

親父さん、面倒見が良過ぎて、ある出版社の倒産で窮地に陥ったそうです。


「しょうがないから私が代表になって新社を興したのよー」

正直なところ、そんな昔のことはハッキリとは覚えていません。

でもあのとき、汚い事務所に女の子が居たのは覚えていました。


この再会がキッカケになって、行動を共にすることが多くなりました。

二人であちこちの出版社の倒産劇に出演することになります。

今日の日記も長くなってきたので、続きはまた明日。


書きづらいんだよね。ゆりさんは時々オレの日記を見てるみたいだし、ついこの前、家賃が払えなかったときに「しょうがないわねー。相変わらずなんだからー」って振り込んでくれたし、それもまだ返していないし、その前にも借金があるし……。まあ、いいか。諦めてるよね、オレの破天荒ぶりは。







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Last updated  Feb 1, 2005 11:53:16 AM
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聖書預言@ Re:ネットを再開するぞーっ! と思ったとたん(04/28) 神の御子イエス・キリストを信じる者は永…
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38万円で本ができた


第一章 もっと手軽に自分の本を作れたら


第二章 協力出版と懸賞募集の甘い罠


第三章 自分の本を作りたい理由を考えよう


第四章 本にする原稿をまとめよう


第五章 自分の本を売ってみよう


第六章 安く本を作る方法を考えよう


第七章 物書き稼業と編集者稼業の裏表


第八章 昨今の出版業界のお寒い事情


第九章 いまどきの本屋さんと物流事情


第十章 出版業界こぼれ話


【出版後記】


負けてたまるか


その1


その2


その3


その4


その5


その6


舞台裏からの独白


すぐそこの田舎暮らし


第一章 先住民/黒猫の『タンゴ』


第二章 山里「コンタ」発見


第三章 知らないってことは


第四章 竹の子で仲間を釣り上げる


第五章 森の天使の小さな落し物


第六章 小悪魔『チビクロ』参上


第七章 チビクロ砦とチビクロ王国


第八章 まったくもう、田舎暮しってヤツは


第九章 チビクロ、チビコゲへ変身中


第十章 隠れビーチで日向ぼっこ


第十一章 チビクロ、何処へ行こうか


第十二章 何で、お前まで行ってしまうの


第十三章 ムジナに見送られ、街へ帰る


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第十話 スパイにされちゃった


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