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2021.06.24
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カテゴリ: 農学校教師時代
1924(大正13)年6月21日の詩です。

1羽あるいは複数のカッコウが飛ぶようすを、物理化学的な数や量の遷移にたとえつつ、亡くなった妹を追慕する詩です。

1922(大正11)年11月27日に最愛の妹、トシは、結核で亡くなりました。それから約1年半たっても、何を見ても亡き妹が思い出される賢治です。

鳥や自分という生命体を、個体ではなく、物理化学的な現象としてとらえる考え方や感覚は、「春と修羅」序文にも通じるように思われます。

「序/わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です/(あらゆる透明な幽霊の複合体)/風景やみんなといつしよに/せはしくせはしく明滅しながら/いかにもたしかにともりつづける/因果交流電燈の/ひとつの青い照明です/(ひかりはたもち、その電燈は失はれ)」

(本文開始)

二七
  鳥の遷移
        一九二四、六、廿一、

わたくしは二こゑのかくこうを聴く
からだがひどく巨きくて
それにコースも水平なので
誰か模型に弾条(バネ)でもつけて飛ばしたやう
それだけどこか気の毒だ
鳥は遷り さっきの声は時間の軸で
青い鏃のグラフをつくる
  ……きららかに畳む山彙と
    水いろのそらの縁辺……
鳥の形はもう見えず
いまわたくしのいもうとの

  ……その墓森の松のかげから
    黄いろな電車がすべってくる
    ガラスがいちまいふるえてひかる
    もう一枚がならんでひかる……
鳥はいつかずっとうしろの

あるひはそれはべつのかくこうで
さっきのやつはまだくちはしをつぐんだまま
水を呑みたさうにしてそらを見上げながら
墓のうしろの松の木などに、
とまってゐるかもわからない

(本文終了)




#宮沢賢治 #カッコウ #トシ #遷移 #鳥の遷移





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最終更新日  2021.06.24 03:31:56
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