賢治と農

PR

×

プロフィール

馬場万磐

馬場万磐

カレンダー

バックナンバー

2026.08
2026.07
2026.06
2026.05
2026.04

コメント新着

健康を目的@ Re:ゴッホと宮沢賢治 その8 独身 AIイラスト(02/11) 健康を目的については、 0896240183 をど…
胸元コイルシステム@ Re:宮沢賢治「十月の末」 その14 兵隊さん? AIイラスト(01/21) 胸元コイルシステムは、0896241455 をど…
毎日をやさしく包む@ Re:宮沢賢治「十月の末」 その6 松と楢の林 AIイラスト(01/13) 毎日をやさしく包むは、0896236553 です…

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2021.07.14
XML
カテゴリ: 羅須地人協会時代
1927(昭和2)年7月14日の詩です。
高温と日照不足で伸びすぎた稲が倒伏してしまいます。
当時の稲の品種は、現在の稲の品種に比べて、草丈が長く、倒伏しやすかったものと思われます。
倒伏した稲に、乾いた南風が吹き、稲が起き上がります。
葉についた露が落ちて軽くなったのでしょう。
作者の自然への感謝が感じられます。

後にこの詩は、「和風は河谷いっぱいに吹く」へと推敲されます。

(本文開始)

一〇八三

         一九二七、七、一四、
南からまた西南から
和風は河谷いっぱいに吹く
七日に亘る強い雨から
徒長に過ぎた稲を波立て
葉ごとの暗い露を落して
和風は河谷いっぱいに吹く
この七月のなかばのうちに
十二の赤い朝焼けと
湿度九〇の六日を数へ
異常な気温の高さと霧と

その茎はみな弱く軟らかく
小暑のなかに枝垂れ葉を出し
明けぞらの赤い破片は雨に運ばれ
あちこちに稲熱の斑点もつくり
ずゐ虫は葉を黄いろに伸ばした


雲は騰って青ぞらもでき
澱んだ霧もはるかに翔ける
森で埋めた地平線から
たくさんの古い火山のはいきょから
風はいちめん稲田をゆすり
汗にまみれたシャツも乾けば
こどもの百姓の熱した額やまぶたを冷やす

あゝさわやかな蒸散と
 透明な汁液(サップ)の転移
 燐酸(ホス)と硅酸(シリカ)の吸収に
 細胞膜の堅い結束

乾かされ堅められた葉と茎は
冷での強い風にならされ
oryza sativaよ稲とも見えぬまで
こゝをキルギス曠原と見せるまで
和風は河谷いっぱいに吹く

(本文終了)

#宮沢賢治 #南からまた西南から #和風は河谷いっぱいに吹く





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2021.07.14 17:25:54
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: