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2024.05.12
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九三

曠原淑女

一九二四、五、八、

日ざしがほのかに降ってくれば

またうらぶれの風も吹く

にはとこやぶのうしろから

二人のおんながのぼって来る

けらを着 粗い縄をまとひ

萱草の花のやうにわらひながら

ゆっくりふたりがすすんでくる

その蓋のついた小さな手桶は

今日ははたけへのみ水を入れて来たのだ

今日でない日は青いつるつるの蓴菜を入れ

欠けた朱塗の椀をうかべて

朝の爽やかなうちに町へ売りにも来たりする

鍬を二梃たゞしくけらにしばりつけてゐるので

曠原の淑女たちよ

あなたがたはウクライナの

舞手のやうに見える

……風よたのしいおまへのことばを

 もっとはっきり

 このひとたちにきこえるやうに云ってくれ……






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最終更新日  2024.05.12 05:18:42 コメントを書く


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