全6件 (6件中 1-6件目)
1
再び、読書記録です。日本では、山崎豊子がはやっているらしい。「華麗なる一族」が、木村拓也主演でドラマになるとか。でもぼくが、広州で読んでいたのは山崎豊子の、別の本だ。「二つの祖国」第二次大戦中、アメリカで育った日系人たちがなめた苦難を描いた物語だ。日本からは敵国アメリカの手先として敵扱いされ、祖国と思っていたアメリカでも、敵国の人間として強制収容所にいれられたり、差別を受けたり。主人公はそんなアメリカで育った日系人の兄弟である。彼らは身のよりどころのない不遇の運命の中で、兄はアメリカ軍として、弟は日本軍として第二次大戦に巻き込まれていく。そして・・・・僕がまだ小さかった頃、NHKの大河ドラマ化されていたのを見た。「山河燃ゆ」という題名だった。最近はぜんぜん見なくなってしまったが、この頃のNHK大河ドラマは本当に面白かった。主人公の兄役に松本幸四郎、弟役に西田敏行。彼らのイメージがあまりに強く、小説を読みながら、僕はこの二人の役者の顔が常に浮かんできた。他にもいろいろこのドラマについて語りたい気もするが、見ていない人にはつまらないと思うので省く。山崎豊子の多くの作品がそうであるように、入り組んだ人間関係の中で展開する物語は、重苦しいが、読者をぐいぐいと引き込んでいく。この人の本は面白い。物語のクライマックスは、東京裁判。兄である天羽賢治は日本語と英語に堪能な通訳モニター、つまり裁判の通訳に誤訳がないかをチェックする役割を任命され、アメリカ側として日本を裁くことに加担する立場となり、まさしく日米の狭間で苦悩していく。そして・・・・全三冊の前半二冊はさくさく読み進めたが、三冊目、この裁判の部分がとても長く、ちょっと疲れる。はっきり言って僕は挫折しかけた。が、辛抱強く少しずつ読んでいくうちに、またあるところから勢いを取り戻し、読み終えることができた。主人公の悩みの一つが、翻訳。英語から日本語への翻訳で、少しでも言葉の選び方を間違えると、裁判の結果にすら影響することがある。しかも、専門的な法律用語である。東京裁判の通訳に挑んだ人々の苦労は、想像を絶する。僕も海外で働いているので、ときどき通訳らしき事をやらざるを得ないが、通訳は本当に難しい。言葉の選び方で、同じ内容でも、相手が肯定的になったり、首をかしげたりするのだ。言葉ができるんだから通訳なんて簡単だろうとばかりに、無神経に通訳を僕に投げてくる人間がときどきいるが、これが非常に迷惑である。機械的に訳せないことが多いのだ。通訳は実に神経を使う仕事だ。特に、大切な会議であればあるほど。この小説を読んでいると、その通訳の難しさがひしひしと伝わってきて、すごく共感できる。もちろん、東京裁判と自分の境遇は比べることなどできないのだが。という、本の話でした。
2007.01.29
コメント(5)
今回は広州と関係のない読書記録です。アメリカで育ったインド系の女性作家による短編集。アメリカで生きるインド人を描く短編と、完全にインドで展開する短編が一緒に収められている。300ページあまりの薄い文庫の中に、9つの珠玉の短編が収められている。僕が最初に読んだのは4年前、インドネシアで働いていた頃だ。ジャカルタの丸善だったか、とにかく日本語の本を売る店があり、そこでなんとなく目に付いて買った。それがこの本との出会いだ。たまたま他に読みたくなるような本がなかったから、という偶然の出会いだ。僕は忘れっぽい性質で、物語を結構忘れてしまうが、読んだときの鮮烈な印象だけは覚えていた。それでまた、久しぶりに読み返してみたのだが、実に良かった。冷静な筆遣いで、淡々と人々の心理を描写していく。インドやアメリカという舞台と、インド人という、あまりに自分と背景の異なる人たちの物語なのに、引き込まれるのは、そこに描かれている人の心の動きが普遍的なものであるからだと思う。そして、その、誰もが持つ心の揺らぎを冷静に描ききるこの作者は、やっぱりすごい人なのだと思わされる。読んで悲しくなる短編や、ちょっと幸せな気持ちになれる短編、実にさまざまの味の話が収められている。とりわけ好きな短編がいくつかあるが、読もうと思っている人に先入観を与えたくないので、ここでは書かない。(読んで気に入った人がいたら、どの話が好きか教えてください。)作品としての評価は高く、文庫本の注釈によれば、短編の中には、ヘミングウェー賞、O・ヘンリー賞、そして、ピュリッツァー賞と数々の賞を受賞したものがある。まあ、賞はどうあれ、読んで損はない短編集です。ふらりと異国へ旅立つときに、何か手ごろな本がほしい。でも、何も思いつかない。そんなときには、この本を手にとって見るのも、良いのではないでしょうか、と思います。
2007.01.17
コメント(6)

今回は食べ物の話題です。朝、ふらふらとごみの散らかる細い路地を歩き、道端に列ができているのが目に付いて近寄る。餃子を焼いている。早速ためしてみる。厚い皮をかじると、中からスープがじゅわっと湧き出てくる。そのおいしさといったら。。。餃子四つがお皿にポンとのっただけ。お値段3元、日本円で50円弱。本当にちょっと汚い感じの路地の、見た目がさえない店だが、味は確かだった(・・・ただし、人に言わせると、僕の「おいしい」の合格ラインは普通の人よりかなり低いらしいです・・・)場所は人民広場からやや近い、南京西路と茂名路が交差する辺り。小さな食堂や屋台が並ぶ小さな路地があるのですが、あとで地図を探してみても、路地の名前は探せませんでした。お店の名前は「盛記一品鍋貼」。これだけでは読んでいる方にはあまり役に立つ情報ではないですね・・・すいません。上海の朝、おいしい餃子の店を見つけたのがうれしかったという、それだけの話です。
2007.01.14
コメント(2)
空港を出た瞬間に、冷え切った冬の小雨が顔にかかり、ウインドブレーカーをしっかり羽織る。広州より、さらに寒い。久しぶりの上海への出張。路行く人がちょっとおしゃれだったり、建物がより現代的で洗練されていたり、そんな些細なことだけど、やっぱりここは広州と違うと思う。路上に、広州では見かけない、赤い電話ボックスが並ぶのを見つけて新鮮な気持ちになったそんな一月の、上海の夜でした。
2007.01.11
コメント(4)

「コートはいらない寒さ」とこのブログで何度か書いてきましたが、撤回しなければなりません。1月に入ってから、外に出ると、やけに寒いのです。新聞を見たら、明日の朝は6度になるとか。コートが要る寒さになってしまいました・・・。広州付近にお出かけの方、ご注意ください。けっこう寒いです。(ところで、写真の新聞で「好冷!」とありますが、「好」は「とても」と程度を強調する意味です。別に「冷たいのが好き」、という意味ではありません。)
2007.01.07
コメント(0)

30日の夜まで仕事が入り、広州でしんみり迎えるはずだった新年。しかし、ものすごい思いつきで、31日の朝便で、中国のハワイと呼ばれる海南島の三亜へ飛んだ。広州から、飛行機で南へ一時間半。香港より、さらに南。中国最南端の地だ。思い切って訪れた三亜は、よかった。まさに、ビーチリゾート。同じ中国の南部でも、広州とは別世界。パームツリーと、夏の日差しと、青い海。個人的印象としては、海の透明度は、サイパンやグアムなどに及ばない感じ。ダイビングできる場所はあるらしいし、市内から離れた場所にまだ数箇所ビーチがあるので断定的な事はいえないが。あと水温も若干低いので、長時間泳ぐと、結構寒い。まあそれでも中国にこういうビーチがあるから見てみたいという興味で一度訪れる価値はあるかもしれないし、もし中国南部に暮らしているなら、ふらりと訪れるには素晴らしい場所だと思う。しかし・・・ビーチリゾートに一人で来てはいけない、と思うのだ。 そして僕は一人で来てしまっていた・・・。ドラマ「結婚できない男」のノリで「一人でビーチリゾートに来てわるいか!」といきがってみたが、やっぱり恋人や、家族や、友達と来るのが正しいと思う。まあ僕はといえば、砂浜でごろごろしながら、ひさしぶりにヘミングウェーの「老人と海」を読み返したり、たまに泳いだりしながら、のんびり考え事ができたので良かった。三亜のことをもう少し書くと、シェラトンなどの高級ホテルが立ち並ぶ亜龍湾エリアと、もっとローカル色の強い三亜湾エリアがある。亜龍湾エリアは、完全な高級エリア。浜辺は各ホテルがプライベートビーチとしてしっかり押さえ、パラソルが並び、外国人や金持ち中国人が闊歩する世界だ。これに対して、三亜湾エリアは、日本の地方にある旅館みたいなローカルホテルが建ち、ビーチに人影はまばら、パラソルなんてどこにもない、という感じ。高級な亜龍エリアのほうが、海はよりきれいだし、ビーチリゾートを満喫したいなら、やはりこちらのエリアを選ぶことになると思う。(追加情報: ガイドブックなどよれば、市街地の南3キロくらいに大東海というビーチがあり、また三亜から西に20キロ以上離れた天涯海角風景区という美しい海岸もあるとの事)でも、僕個人の好みはというと、三亜湾だ。ホテルの質は落ちるが、ビーチは静かでのんびりしている。ちょっと寂れたビーチと、パームツリーの並木は、昔訪れた中米の国々のビーチを思い出させる味わいがある。そういうわけで、僕はこちらに宿を構えた。(・・・僕は基本的にマイナー志向の人間なのでご注意を。快適なビーチリゾートを求めるなら、やっぱり高級エリアのほうがいいですよ。)ただ年越しの夜だけは、高級エリアのほうが、イベントなどが豊富である。そこで、ふらりと亜龍湾エリアに出て行って、とある高級ホテルに滑り込み、バンド演奏とカウントダウン、そして打ちあがるいくつもの花火を見た。除夜の鐘も、「行く年来る年」もない大晦日。この底抜けに明るい年越しも、これはこれで、楽しくていいと思う。そして僕は変わらず衝動まかせに生きて、この中国という土地で、馬鹿やってます。今年も、どうぞ宜しくお願いします。
2007.01.01
コメント(7)
全6件 (6件中 1-6件目)
1


