気まぐれ屋。

気まぐれ屋。

2016.07.23
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カテゴリ: ヒトコトモノ
これが二度目の体験だけど、彼女は毎回が「はじめて」のことだから、

今日からの数日は、相当なストレスや恐怖との闘いになるだろう。

念願の【自由】をようやく確保。
姑が退院してから今日まで。まだ一ヶ月も経たないのに、毎日がもの凄い疲労感。
【好きに使える時間】がこんなにも長く奪われるとは、思ってなかった。

それなりの覚悟をして対策を考え臨んでいても、相手は根っからの自己中の老婆なだけに、
日々の体調や気分の不安定さは、実際にその場にならないと、いや、その場でも実は
意味不明理解不能なことばかり繰り返すので、まるで役に立たない。



前に1週間ステイした施設は、本人的に物足りなかったらしい。それは、スタッフさんが皆
他のもっと大変な利用者さんにかかりっきりで、当時まだひとりで何とかできていた姑を
手取り足取りしてくれる『もてなし』が、なかったせい。ホテルに泊まりに行くわけじゃないと
念を押したところで、理解するような人じゃないから、チヤホヤされない不満が溜まり
「つまんなかった」と文句を言った。

それから一年くらいは経つが、もうあの施設での出来事全部、彼女の脳の引き出しには、
一切れのカケラも残ってないだろう。それ程、想い出が定着することがない。
若い頃からわりとそういう所があったとダンナは言うから、脳の機能の問題と言うより
生まれつきのものかもしれない。こっちはねちっこいから、結構要らんことまで鮮明に
覚えすぎてる気もするから、あの思いっきりのいいリセット力が羨ましい時もあるけれど・・・

前置きが、相変わらず長い。こんな自分が嫌になる。


大勢に囲まれ、ショートステイを体験中。

周りに無関心で、手術した足や体を少しでも強くしようと努力する気もない彼女には
もったいないくらい立派な施設。次々と挨拶にやって来たスタッフのひとりひとり
さすが!というくらい皆、明るく元気で仕事も熱心。
やる気のないこんな老婆のため、複数人が担当となり、24時間体制で見守りをしてくれる。

おそらく心では「なんで私をこんな目に遭わせる?」とでも思っているのだろう。

「捨てないでください」
この夏から長期で施設にお世話になり、機能回復と足の脱臼や再度転倒を防ぐリハビリを
徹底的に体に叩き込んでもらう、とダンナが説明をした際に、急に気弱になり漏らした言葉。
彼女のこういう所が、だいたい私は好きじゃないのだ。
こういう人の好意を踏みにじる発言。これがどうにも許せない。
「自分は何も悪くないのに、施設に入れられる。私を家族が【見捨てる】んだ」と、
彼女の言葉はいつだって、「私は悪くない。相手が悪い」と責めるのだ。

そんな人だから、今日施設に付き添って彼女を置き去りにした私は、相当な【悪(わる)】。
しかも帰る際、スタッフと話していたから彼女に声もかけぬまま、こっそりと去ったから。
彼女にしてみれば、姥捨て山に捨てた酷い嫁、と今頃恨んでいるかもしれない。

でももう、そんな恨み節まで寝たら忘れそうな勢いで、記憶が定着しない状態にある。

この前手術後の入院生活で、後半リハビリに時間を費やしてはいたものの、それ以外
ほとんどTVにも関心を示さず、昏々と寝続けていたらしいから。
聞くところによると、そういうケースは脳の異常が考えられるとか。

歳をとると誰でもそこそこ物忘れはするものの、彼女のここ最近だけ見ても
怖いくらいに衰えているから、きっと何かが起きているのは確か。
さらにもっと怖いのは、数日前から急に、ベッドで寝返りも打てず起き上がるのも困難になり、
毎日のように「起きれないから起こしてくれ」と頼まれ、顔も見たくないワガママな姑を
この私が尿臭にまみれた姑を、ハグするように抱きかかえる日が続いている。
近々、専門医に診てもらう予定はあるが、おそらく何らかの重い病に侵されているだろう。
そのくらいもう、一日一日勝負みたいに急激に症状が変化していて、この人の先が
あまり好い方に向かっていないのが、何となく判る。

今日預けた施設でも、宿泊フロアに入ったとたん、どこからともなくオムツの便臭が漂ってきて
繰り返し延々と「おねえさん、おねえさん」と悲しげに声をあげる人もいて、かと思えばにこやかに
普通に楽しく暮らしている方達も居て・・・様々な老い方があり、色々と思うことがあった。

そこにポツンと座らされた姑は、目を見開き口をポカンと開け、かなり驚いた様子で
周りのご老人達を隅々観察していた。彼女の曇った瞳には、一体何が映って何を思っただろう?
「自分の現実を受け容れることができず、あんなに腰が曲がってもいまだ
自分を30や40代くらいの若者と同じと、本気で思うようなところがある。
ここで周りの皆さんから学んで、現実を受け容れ、努力してほしい」
担当スタッフさんに託して、そこを出た。
行きは自由に入れるのに、帰りは特殊なキーで開錠しないと出られないと聞かされ、
ちょっと動揺してしまった。
私は、こんな所に義母を置いてきてしまった・・・・・・と。

帰り道。心地好い風も吹き、湿度もなくさらりとした晴れ間が広がってはいたが、
心はそれ程、クリアじゃなかった。
彼女は今頃、入って間もないあの場所で、いきなり出された昼食を
きちんと味わい食べられただろうか? 周りにお話し相手を集めますと、
スタッフさんが気を利かせてくれた人達と、人見知りせず話せたかしら?

などなど、余計な心配をまたしつつ、頭の中にあの歌が響きながら
駅までの道を歩いて行った。

★  ★  ★  ★  ★
今日のひとこと。「集団心理の謎。そのゲームに世界じゅう老若男女ハマる意味が、まったく解らない。解らなくても困らないけど。」





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最終更新日  2016.07.24 01:12:38
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