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カテゴリ: 風の詩
 「65歳以上による刑法犯が増加を続け、治安全体に暗い影を落とし出した。高齢化社会を背景にしているが、高齢人口の増加よりもペースが速い。諸外国と比べても突出した傾向だ。
 高齢者の犯罪は90年代末から急増し、一昨年の刑法犯は4万人を超して刑法犯全体に占める高齢者率は約11%と初めて2けたになった。80年代末のレベルの5倍強、10万人当たりの検挙者は46人から165人へと3倍強に増えている。罪種別では万引きをはじめとする窃盗が7割近くを占めるが、殺人、強盗、暴行、強制わいせつ、占有離脱物横領なども増加している。つい最近も、長崎県で75歳の父親が息子を保険金目当てに殺害したとして起訴されたばかりだ。」 Mainiti

 高齢者による犯罪の増加は高齢化社会としては当然とも言えるが、幼児虐待と背反一律の関係にあるような気もする。幼児を含む子供と高齢者、つまり年寄りの関係が、幼児虐待や虐めや自殺と言った子供の問題と高齢者の犯罪増加へ繋がっている。直接関係ないような子供と年寄りの犯罪どうかは根幹部分で密接なつながりがあるだろう。

 社会学とか、幼児教育とか難しい問題ではない。
 単純に大家族時代の家族構成とその役割などを考えると、
 お年寄りと子供の関係(祖父母と孫の関係)が浮かび上がってくる。

 社会の表舞台から引退した年寄り達の役目は子供達の遊び相手であり教育係であった。そこでの年寄りと子供達には、反社会的な、所謂子供からみた大人社会との距離感においての連帯感があった。


 子供達の好奇心を十分に満足させ、
 新たな興味を引き出し冒険心を養った。

 子供たちの底知れない行動力は、
 年寄りの肉体的衰えを補い、
 自らの人生と検証し、
 そして、新たな希望を子供達に託した。

 子供と年寄りはある意味で反社会的な同士関係にあり、
 互いに補い合い庇いあう関係にあった。

 自分が誰かを保護すると言う、
 保護者意識は人間を強くする。

 保護者的意識は責任を持つことである。


 単純な責任感は大きな意味を持つ。
 子供は年寄りの肉体的衰えを認識し、
 年寄りは子供達の将来への道標的自分の役目を認識する。
 双方が自分の責任と義務を自然に認識する。

 子供は親に言えないことでも爺さん婆さんには素直に話す。親の言うことは聞かないでも爺さんばあさんの言うことは聞く。自然に生まれた老いへの尊崇は肉親の関係を超越した社会の秩序とさえなる。老若の関係が社会秩序となる。


 都会では殆んど消滅し、あるとすれば田舎の大家族だけである。

 老若関係の消滅は、
 年寄りを単なる社会の厄介者にし孤独な生活を強いる。
 年寄りは何もする事がなくなったのだ。

 それでも田舎の百姓や漁師などは体の続く限り働くこともできるが、サラリーマンしか経験のない、所謂、宮仕えでの定年退職者には寂しい老後が待っていることになる。

 熟年離婚なども取り沙汰されている。
 熟年離婚が増えると孤独な老人は増える。
 孤独な老人にとっては犯罪さえも、
 自己主張になるのかもしれない。

 例えば息子を殺すなどの尊属殺人などもあるにはあっても、
 自己主張的な単純犯罪の比ではない。
 老人たちの犯罪には自己主張的な犯罪が多いだろう。
 社会との唯一のコミニケーションが警察への厄介であれば、
 何とも悲しい年寄りの現実である。

 増加する老人犯罪の第一の理由は子供達の断絶である。
 自分の孫との関係さえ認められない年寄りには、
 やる事がなくなり、社会の隅に追いやられる。

 一応は年金もあり、
 生活は何となくやっていけても、
 希望のない人生である。
 唯一の自己主張が犯罪となる。

 懲役太郎と呼ばれる老人の話を聞いたことがある。
 長いこと刑務所暮らしの老人である。凶悪な犯罪での長期刑ではない。軽犯罪による短期刑の繰り返しでの刑務所暮らしは、出所後の孤独にあった。身内と呼べる人間は少ないがいないことはない。しかし、前科者を受け入れる身内は少ない。働いても親しい人間も出来ず、寂しさを実感するだけだ。

 刑務所では否応なく人間と接する。人間との精神的接触もない生活は耐えられるものではない。彼はそれを求めて刑務所に逆戻りする為に犯罪を重ねる。

 特殊な話であるが、他の年寄りの犯罪者も精神的触れ合いを求めて、孤独感からの脱却を求めて犯罪を犯すのだろう。

 老人社会のこれからは、
 ますます増えるであろう老人犯罪者は、
 孤独な社会的疎外感を抱えた寂しい年寄りだ。

 やがて、年寄り達の反乱さえ起きるかもしれない。

 政治的力が年寄りにはある。
 選挙で政治が変わると実感した参議院選挙は、
 老人たちへ何らかの示唆を与えただろう。

 老人達の政治的反逆は当然予想される。
 年金問題も老人の切実な問題であり、
 もし年金ももらえなくなったら、
 老人達は犯罪へと進むしかない。

 等と、とりとめもなく考えてくると、
 老人の犯罪者は大きな社会的なうねりとなりそうな恐怖も感じる。

 何時か行く道である。






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最終更新日  2007.08.20 08:57:05
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