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2009年10月11日
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一本の茎の上に
詩人茨木のり子のめずらしい散文集である。エッセイ集というのには、少し抵抗がある。散文を書いていたら、いつの間にか一篇の詩になった、という種類の作品がこの中にはたくさんあるが、それをエッセイと言うと文が繋がらないからである。

茨木のり子の詩は物事に対する発見が満ちているが、この散文もやはりそうだ。韓国の史書「三国史記」を読んでいると、ずっと事実の羅列でびっくりしたと書いている。その一方で 、「我が「日本書紀」を思い巡らせば、なんとまあ詩歌の多いことよ。「記紀歌謡」として取り出せるほどに」 と、書いていてなるほど思う。本当に日本のあらゆる書物はなぜか途中で詩歌が挿入されている 。「悪く言えば、散文だけで押し通していけない弱さであるかもしれないし、良く言えば平板な叙述に耐え切れず、詩歌で飛躍し、また気を取り直し叙述に戻る―つまり詩心の芳醇とどめがたし。いいんだか悪いんだか分からない」

ロシアの諺でこんなのがあるらしい。
「百年生きて、百年学んで、馬鹿のまま死ぬ」
「それはそうでしょうねえ。深い真実を突いていて、この諺も思い出すたびに、はればれとおおらかな気分にさせてくれる。」 と茨木さんは言う。深く同意する。

20代のころから親しくしていた山本安英について茨木さんはこのように書いている。
「世阿弥は、能役者の心得を説いた「花伝書」のなかで「花」ということをいい、50歳過ぎて尚、残った花かがあるならば、それこそが真の花であるという意味のことを言っている。視点を一寸ずらせば舞台人ばかりでななく、普通の生活人にも当てはまり、そこがなんともおっかない書ではあるけれど、山本さんの舞台には、世阿弥の言うところの「真の花」がある。」

そして私は思う。茨木さんの詩には、世阿弥が言うところの「真の花」がある。





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最終更新日  2009年10月11日 11時47分09秒
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