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2010年09月29日
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「呉子」中公文庫 尾崎秀樹訳
戦国時代初期、楚の宰相をつとめて、兵法書としては非常に有名な書。「孫子」ほどには哲学的な洗練は無いが、とても具体的で、「三国志」「水滸伝」その他あらゆる戦争物を書こうとしたならば、たぶん一度は紐解くべき内容が入っている。気になった部分のいくつかをメモする。



「斉の人間は剛毅で国も富んでいるが、主君も臣下も驕りたかぶって、人民をなその政治は寛大ですが、人民をないがしろにしております。俸禄は公平でなく、軍の内部は統一がつかず、第一線の部隊がしっかりしているかと思えば、後方部隊は手薄だといった按配で、充実はしているが堅固とは言えません。この斉を討つためには、味方の兵を三つに分け、敵の左右を脅かした上で追撃することです。そうすれば斉の軍隊はつえいえざるにちがいありません。
 秦の人間の性格は強靭で、地勢は険しく、その政治はきびしくて、賞罰も適切だから、人々もまたほかに奪われまいとして譲らず、勝手に闘おうとする傾向があります。この秦の軍隊を攻撃するためには、まず利益があることを見せびらかして釣り、兵を引くことです。兵は功をあせって統制を乱し、指揮官の命令を聞かず攻めてきたところを、伏兵を用意しておいて、うまくチャンスを捉えれば、敵の指揮官を討ち取ることも可能です。」


敵を知り己を知らば百戦危うべからず、とかいう曖昧な言葉ではなく、極めて具体的です。もっともこれを実行に移そうとすれば、「そんな理屈通りいくか!」と現場から不平不満は出てきそうではありますが、極めて高所から全体を眺めた「戦略」だと思います。いまから2000数百年前の日本にはこのような複雑な思考をする人はいたでしょうか。いなかったと思います。日本列島には文字が無かったからです。頭のいい人はいたと思います。そうでないとあんな見事な文明は築けない。しかし、文字が無いと、やはり高度に洗練された思考はできないのです。





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最終更新日  2010年09月29日 08時45分49秒
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