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2012年06月23日
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カテゴリ: 邦画(12~)
だんだんと近代思想史シリーズになりつつありますが‥‥‥。

12.8平和のつどい或いは「坂の上の雲」
なぜ「坂の上の雲」か
「坂の上の雲」を観た
 去年三年がかりの上映が終わったNHK「坂の上の雲」を、私がなぜあんなにも何度となく取り上げたか、と言うと、靖国史観「勢力」のある意図を感じたからである。
意図とは何か。私見ではあるが、
?中国侵略、太平洋戦争は正しかった。という史観は戦後教育で通用しなくなっている。
?日露戦争までは日本は健全だったということは、司馬史観のお陰で、まだ通用する。
?明治を理想化する事で、改憲、特に9条改定の地ならしをする事が出来る。
?資本主義の黎明期を理想化する事で、新自由主義の思想的バックボーンを強化する事も出来るだろう。
と、いうところだろうか。

結果はどうだったか。それを検証するためには、

?連動キャンペーンの広がりはどうだったか
?キャンペーンを批判する運動の広がりはどうだったか
?キャンペーンの受けてはどうだったか。特に視聴率、本の売り上げ等
?前と後では、世論調査に変化はあったか
等々を分析しないといけないだろう。

残念ながら、その全てで、私には準備がない。(誰かやっていないかしら)

印象のみを述べたい。番組は、事前の一定の批判の元であからさまな明治礼讃にはなっていなかったと思う。私は原作は読んでいないが、原作に忠実に映像化しようという努力は感じられ、明治群像の英雄視や歴史的事実の改変は気がつかなかった。しかしながら、私はあまり熱心にはこの番組を観たわけではなかったけれども、肝心要の処で私はこの主人公たちの行動原理が理解出来なかった。兄の好古は福沢諭吉の「一身独立して一国独立す」を信条に青春時代を生きる。それが何故「軍人」なのか、説明されない。(福沢諭吉の歴史的評価は、また別問題だとは思うが当然展開されない)真之もやはり何故「軍人」なのか、さっぱりわからない。子規は病気のために従軍記者になれなかった。それを大変悔しがる。その思想的説明も、やはり一切されない。

日清戦争は淡々と描かれるが、反対に言えば、どうしようもなく始まったという印象しか残らない。また、ミンピ殺害事件や日韓併合の批判的視点は見つからない。

結局視聴率は15%前後だった。悪くもないが、良くもない。国民的ドラマになったとは言い難い。

一つは戦争場面に、女性子供から「避けられた」という意見がある。また、第三部は大震災があり、余計そうなった、という意見がある。後者は製作者の誤算だっただろう。

それでも「古き良き明治」のイメージは少しは向上したかもしれぬし、しなかったかもしれない。その辺りの検証はこれから成されるべきである。






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最終更新日  2012年06月24日 00時36分15秒
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出発点  
まろ0301  さん
 司馬の出発点は、戦車兵としての戦争体験にあります。『歴史と視点』の中の「石鳥居の垢」にその思いが凝縮されています。
 彼は、「日本はどこからおかしくなったのか?」と問いを立てます。彼は、『日露戦史』という本について、「何の価値もない」と切り捨てていますが、それは、戦術、用兵についての批判的視点が決定的に欠如しているからです。それを立案し、実行した軍の上層部に遠慮し、毒にも薬にもならないことをかいたわけです。
 日露戦が「辛勝」であったという事実は糊塗され、「不敗日本軍」神話の起点となってしまいます。ここから日本軍は現実感覚を喪失したというのが司馬の評価ですから、それ以前は健全であったということになります。
 ただ、司馬は『坂の上の雲』を書き終え、それが「新しい教科書を作る会」の連中にさんざん利用されるという光景を目にしおそらく自作の抱えている欠陥に気が付いたと思います。
 で、映像化を禁じます。
 そして山ほど昭和史に関する資料を集めながら書けませんでした。書いたら最後、幕末と明治を舞台とした作品の大半に手を加えざるを得なくなるからです。
 明治の中にすでに血塗られた昭和が胚胎しているからです。そこが、吉村昭と司馬遼太郎とを決定的に分けるところであると私は思います。
 両者の作品のほぼすべてを読んでの私の感想です。
 「日本人は何を考えてきたか」は、NHKのバランス感覚でしょう。あれを見ていると不勉強を痛感させられます。 (2012年06月24日 21時22分18秒)

Re:出発点(06/23)  
KUMA0504  さん
まろ0301さん
なるほど、司馬は自分の間違いに自覚的であったという「説」ですね。それに対して、私は司馬の本をほとんど読んでいないし、この「坂の上の雲」も読んでいないので、コメントできません。

私の問題にしたいのは、NHK並びにこの「坂の上の雲」キャンペーンを仕掛けた側の意図がどれだけ成功したのか、ということです。ある程度は効果があったが、思ったほどではなかった、というのが私の「印象」です。 (2012年06月25日 00時11分36秒)

Re:NHK「坂の上の雲」とはなんだったのか(06/23)  
ももたろうサブライ さん
軍学校を出て軍人になるというのは、今で言えば東大を出てキャリア官僚になるというのと変わらない、エリートの道だったのでしょう。
司馬史観についてはよくわからないのですが、司馬が戦後民主主義を歓迎したというのは事実のようです。
(2012年06月26日 20時04分28秒)

Re[1]:NHK「坂の上の雲」とはなんだったのか(06/23)  
KUMA0504  さん
ももたろうサブライさん
>軍学校を出て軍人になるというのは、今で言えば東大を出てキャリア官僚になるというのと変わらない、エリートの道だったのでしょう。
>司馬史観についてはよくわからないのですが、司馬が戦後民主主義を歓迎したというのは事実のようです。
-----
なぜか、コメントが今まで表示されませんでした。何だったのだろうか。返事遅れてすみません。

と、なれば司馬遼太郎という人は、知識人という自覚の元に生きた人なのかも知れません。加藤周一が司馬遼太郎の「天才史観」を昭和30年代に早くも批判していて、それを読んでものすごくガッテンいった以降、ほとんど彼の作品は読んでいない。読んでいないものを評価するのは、私の主義に反するので、あまり言及したくないのです。
(2012年06月27日 13時18分06秒)

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