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2013年03月24日
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カテゴリ: 邦画(12~)
さよなら原発.JPG
「渡されたバトン〜さよなら原発〜」

「日本の青空」シリーズ第三弾です。
新潟県の巻原発を阻止した経験を映画化したのだということだけが事前情報でした。監督は池田博穂さんに代わり、構成はどちらかと言うと、軟派の山本薩夫という感じ。

前半は原発推進派の視点から話が進む。どうやら主人公格は老舗料亭の家族(夫婦に女三人と男一人の兄弟姉妹)なのだが、父親は商工会議所の役員をしていて、原発推進派、子どもたちにも少しも批判的視点がない。補償金をいかに分捕るか、料亭の中、漁協、政治家、不動産屋などが相談する。このままだと原発出来ちゃうよ、と思っていると‥。英雄的な反対派の運動家は遂に現れないままに次第次第と原発の危険性を危惧する人が増えて行く。節目節目でスリーマイル、チェルノブイリで事故が起こり、数度の町長選挙のあとで反対派が勝利、それでも決着が着かず二度目の住民投票で勝利する。珍しい感動の仕方をした⁉

上関原発も30年の闘いだけど、巻町の原発も30年以上の闘いだったんだな。権力と金の力の前で、圧倒的不利な闘いをしているという共通点がある。
しかし、形成逆転のカギは「決して諦めないこと」そして「ともかく時間が住民たちに味方する」ということだった。真実は必ず勝つ、と言えば聞こえはいいが、こんなにも労力をかけないと「国策」である原発推進を止められないというのは、いったいどういうことなのだろう。

この映画では、原発の原理的な批判は一切されていない。だから、へそ曲がりが見れば「これは原発反対派のプロパガンダ映画なのだ」といわれるかもしれない構成になっている。もちろん、脚本のジェームス三木は確信犯的にそう書いている。
「話しあおうよ」
何時の間にか、反対派になった次女が云う。そのあとの、お父さんと次女の対話がこの作品のクライマックスである。
「戦争が終わって、二度と家族に惨めな想いをさせたくないと思った。町の発展を願うのがそんなにいけないことなのか?」

次女は静かに云う。
「その想いはよく分かる。お父さんの時代ではそれで良かったのかもしれない。でも、家族を幸せにするには、時代ごとに方法は変わるのではないか。私たちの時代では、核兵器や原発が出来た。それを本当に次の世代に残してもいいの?私たちにはバトンをきちんと渡す義務がある」
次の世代に託すバトン。

原発の原理的な理屈は一切なかったが、「日本で1番原発に詳しい住民(と町長がいう)」人たちが選択した事実の重みが何よりもの説得力である。

これから、日本全国へ順次巡回上映される。

2013年3月23日
★★★★☆

produced by 「13日の水曜日」碧猫さん





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最終更新日  2013年03月24日 23時30分20秒
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