再出発日記

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2013年09月06日
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カテゴリ: 憲法
財界人の世界から改憲反対を力強く訴えてこられた品川正治さんが亡くなられた。享年89歳。ご高齢なので、仕方ないとは言え、改憲策動が本格化する今、本当に残念です。ご冥福をお祈りいたします。三年前ブログに書き写した講演の速記録を再録したい。驚くほどに言っていることは、現代ますます必要なことばかり。

品川正治講演2010.5.3


今年の5.3憲法集会は品川正治さんの講演だった。初めて品川さんの話を聞いて大感激したのがもう3年前だった。品川さんは今年86歳になられるけど、以前と同じように全く老いを感じさせない歩き方、講演の間、全然原稿を見ずに区切るようにわかりやすく話される‥‥‥、そして最後に深々とお辞儀をして帰られる。やはり凄い人であった。

(以下講演)
高校(京都三高)に入ったとき徴兵猶予がなくなった。いくら頑張っても学問できるのはあと二年、全員が思っていた。

授業が終わると、先生が学生に向かい、深々と挨拶をするのです。最後の授業に出てくれた学生がいつも1-2名いたからです。

学校が遂に授業を止めてしまった。いっそ、授業を止めて学生が本当に聞きたい先生の授業をしてみようと学校が決意したからです。「死ぬまでに聞いてみたい先生」のアンケートをとり、全国から先生を呼ぶ。私は生徒総代をしていたので、三好達治先生を呼んだときにお世話をした。先生は今まで講壇に立ったことが無かった。5日の講義。自分の詩にどういう思いがこもっているか話された。講義を終わったとき、壇上で激しく号泣された。うずくまって泣いていた。傍に駆け寄ると、泣きながら「若い人を死なせて、俺が詩を作れるか」と呟いていた。

私は入学したとき、カントの「実践理性批判」をドイツ語で読み上げてから死にたいと思っていた。いい先生に恵まれて(岩波文庫の翻訳をした人)なんとか自分の翻訳を作った。召集の10日前だった。私の目的は二つあった。
一つは、この国は「国家理性」を失ってはいないか、確かめたかった。
一つは、国家が戦っているとき、国民の本当に正しい生き方、死に方は何か。


召集を受けて中国の最前線で戦った。白兵戦二度、迫撃砲を受けて九死に一生、私は戦場の体験をした男であることはまちがいと思う。しかし、80歳になるまで一切口外できなかった。ひとつは、南方戦線のほうが餓死で死んだ人が八割にも上ったことからわかるようにひどかったこと。そういう方の前で「戦争に参加した」などと口はばったかくて言えなかった。しかし、ほかにもトラウマがあった。

中国の戦場で私は壕から飛び出すことが出来なかった。戦友の「品川!品川!」という声は聞こえていた。もうひとりの戦友が私をとどめて首を振った。実際飛び出していれば、私の命は無かっただろう。戦後東大にいたとき、死んだ戦友の母が尋ねてきた。普通、私の下宿先などはわからない。村総出で調べて、切符を手配したのである。母親の前で私はしばらく頭を上げることができなかった。これが私の最大のトラウマである。講演会でも、このことはいつも通り過ぎて話していた。去年松江の講演会のとき「遠いところからバス3台で来たグループがある」と事前に聞いた。壇上からすぐにわかった。あの村の人々だ。おぶさってきた者は戦友だし、他の人たちもあの人の親戚なのだろう。手をついて謝った。会場全体が泣き出した。私のトラウマはそうやって消えた。

私は哲学青年として「国家が戦争をしていたとき、国民はどう生きたらいいのか」ずっと考えていた。「本当の戦争」を体験し、憲法九条を知った男として、今言わないといけないことがある。
私は哲学生としてなんという愚問を発していたのか。
戦争は抽象的な国家が起こすものではない。地震や天災などでもない。
戦争を起こすのは人間である。起こそうとする者が起こすのである。
そして、戦争を止めるのも人間なのである。
お前はどっちなのだ!
これをハッキリと座標軸としてもっていなければならない。私は戦時中、「ものの問い方」を間違っていたのである。

今皆さんはすぐにわかるはず。憲法の下で生きている皆さんにはすぐに答える事ができるはずです。戦争を誰が始めようとしているのか。

戦後、日本に帰って上陸前に憲法草案を読んだとき、仲間みんな泣いた。「よもや、成文憲法でここまで踏み込んで書いてくれるとは」これならば、死んだ戦友たちも浮かばれる。




コスタリカも戦争放棄の憲法を持っている。しかし、日本の憲法とは違う。コスタリカは国益上戦争をしない国なのだ。しかし、日本は「戦争は人間として許せない」と書いている。知らず知らず60年間守ってきたために身につけた国民の信念になっている。今は戦争をすれば必ず爆撃がある。無人飛行機まである。必ず母親や子供が死ぬ。「たったひとつ、日本のみが人間の目で戦争をしないと決めている国なのです」
確かに、憲法の旗はボロボロである。けれども、まだ誰一人、外人を殺してはいない。自衛隊員は戦争で死んではいない。

いまさら、この旗をはずせるか!それが人間という意味だ。

もうひとつ、難しい問題がある。

戦争を人間の目で見ている国が、どうして経済を人間の目で見ることが出来ないのか。人間の目どころか、国家の目でさえも見てていない。会社でさえ商品になっている。


いま民主党は「成長」「国際的競争力」ということで批判にさらされている。それほどに成長の呪縛に囚われているということだ。

日本は国債はべらぼうに出している。しかし、日本は外国から一銭の金も借りてはいない。国民の個人の家計簿から借りているのである。

財政局は困って、個人の家計からのみ借りれないから今度は消費税を上げたり、年金を切り下げたりして、さらに金を移そうとしている。家計簿から企業部門に金を移してきたのが赤字国債を乱発したいざなみ景気だった。この個人家計を実質下げようとして法人税をさらに下げろ、と言われて「わかりました」というのが今の政府。

怒るのが当たり前である。

国民の怒りを国民の運動までにさせない、というのがマスコミのやり方だ。普天間にしても、政治と金、政局の問題にすり替えている。マスコミは財政問題でも本当のことをぜんぜん書かない。

日本が変われば、アメリカも世界戦略を変えざるをえないのです。そうすれば、世界が変わるのです。皆さんは、主権者としてそういう位置に立っているのです。

もう一度、岡山の地で皆さんにお会いしたい。
(以上講演)





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最終更新日  2013年09月06日 14時41分10秒
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