図書館で偶然娘が引っ張りだしてきた本。
これがすばらしくよかったです。
『 生きてこそ光り輝く
』
(石橋幸緒、2000年出版:現在絶版)
この本があったのは「将棋コーナー」。
僕は将棋が好きなので、よくこのコーナーのところに行っています。
将棋の棋士が書いた本なのですが、サブタイトルに惹かれました。
「 19歳、養護学校から女流王将へ 」
最初の数ページを読んでみると、おもしろい!
漢字にはすべて振り仮名が振ってあり、
短文言い切りの文体がほとんどなので、
非常に読みやすい。
ユーモアのセンスも抜群で、
書かれてある事実はかなり重く厳しい現実だったりするのですが
ある時は笑いながら、どんどん読み進めていくことができます。
「試し読み」がAMAZONのページからできるのでぜひ最初のページを読んでみてください。
▼ amazon石橋幸緒『生きてこそ光り輝く』
(商品画像クリックで試し読みが可能)
ラストまで読み、今の感想ですが、母親の子を思う愛情に非常に心打たれました。
また、著者の石橋幸緒さんには、将棋への愛や周りの人への感謝、自分の道を自分で切り開く信念を感じました。
病院で暮らす子どもたちや養護学校で学ぶ子どもたちについて
なかなか世間で知られていないところを詳しく描写しているところも
他の本にはなかなかない、貴重な点だと思います。
10年前の本で、書店ではすでに手に入らないようですが、図書館で借りるなどして、ぜひ子どもたちに読んでもらいたい本です。
この本が図書館の「将棋」コーナーだけに置かれているなんてもったいない!
障がいについて学ぶコーナーや、児童書のコーナーにもおいてもらい、広く多くの子どもたち・大人たちに読んでほしいと思いました。
この本の魅力をお伝えするため、最後にこの本の一部を引用します。
150ページ目。
小学5年生の11月、初めて誕生日にケーキを食べることができた
シーンから。
============================
11本のローソクを立てて、母はしみじみと言った。
「サッちゃん、初めてだね。こうやってケーキにロウソクを立てるのって・・・・・・」
言われてみれば、私には誕生日にロウソクを立てて祝ってもらった記憶がない。
今までの誕生日は、ほとんど病院で過ごしていた。
病院で誕生日を迎えても、入院中は何も食べることはできなかったからだ。
母は、私の誕生日を数えることなどできなかった。
毎日毎日、私がこの1日を生きていられることだけを願い、
日々を送ってきたのだ。
お母さんとのやりとりについて、この本ではかなり詳しく書かれています。
特に第6章「再びの緊急入院」のときの
お母さんの鬼気迫る懇願のシーンは、
涙なくして読めませんでした。
母親の愛に勝るものはない、と強く思いました。
最後にもう1回引用。
============================ 私は、小学部1年生から高等部3年生までの12年間、
養護学校に通っていた。
初めて聞いた人は、ほとんど「エッ」と驚く。
「養護学校に行った子が、将棋のような難しいゲームをできるのだろうか?」
と思うらしい。
そう思う人は、少なくとも2つ誤解している。
(第7章「人には必ず光り輝くものがある」よりp215)
============================
ここで言われている2つの誤解。(「将棋」への誤解と「養護学校」への誤解)
ここの部分は、ぜひ皆さんに読んでいただきたいと思います。
p215から220までの「万物生きて光り輝く」のところは、
道徳の授業で子どもたちに読み聞かせたいぐらいの名文だと思います。
ブログを読んでいただいて、ありがとうございます。
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