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今日は母親の通っている教会について行ってみた。こちらの皆さん、僕がオーストラリアに行っている間、その身の無事を祈っていて下さったのだ。そのお礼を言いに行った。知り合いの息子とはいえ、ほとんど見ず知らずの人間のために心から祈る。尊いことだと思う。不勉強なのでキリスト教の考え方はよくわからないが、神様の視点から見て物事を判断するということらしい。自分の欲をかかず、合理的な視点から物事を観るということだろうか。正直、最初は行くのが億劫だった。というか、人と話すことが面倒だった。怯えていた、という方が適当かもしれない。ものすごいストレスだったのだ。脳がよく回らず、言葉もうまく出てこない。半思考停止状態に陥っていた。軽いうつ状態だったのかもしれない。なんだか頭がずーっともやもやもやもやとしていた。キリストの力で頭のモヤモヤが晴れたとは思わない。ただ、教えを信じて行動していた人々と会話をして、変なストレスから解放されたのは事実だ。月並みな言葉ではあるが、「神の前では皆が平等なのだ」ということの意味を、少しは理解することができた。オーストラリアを走っていた時の自分。人間として最高だったし、最低だったともいえる。ただ、心境はどうあれ、僕はオーストラリアをたった一人で自分の力で走ったという事実は、まぁ事実に違いない。バタバタとパースを出発し、スローパンクと慣れない寝床、身体を鍛えながら走ったグレート・イースタン・ハイウェイ。ノースマンで万全を期し、最高の走りをしたナラボー平原。達成感から緊張が解けて苦しい思いをしたポート・オーガスタまでの道。新たな冒険に心を躍らせながら出発し、砂漠気候の厳しさと美しさを体感したスチュアート・ハイウェイ。向かい風と赤い砂のレスター・ハイウェイを突き進んでたどり着いた、中学生のころから憧れであるエアーズロック。ウルル編をなぞりながら帰ったグレンハウンドバスの旅。二つの砂漠を超えて緩んだ兜の緒を締めなおして出発したポート・オーガスタ。美しい街と美しい家族に囲まれて過ごしたアデレード。平坦続きの脚にはとてもきつかったオールド・プリンセス・ハイウェイ。半分走ることに飽きていたデューク・ハイウェイ。ビクトリア州に入って道の両脇に牧場が増え、道も綺麗で走りやすくなったウェスタン・ハイウェイ。ついついYHAに泊まってしまったバララト。都会的な雰囲気の中過ごし、レ・ミゼラブルを観て最後まで頑張ろうと思えたメルボルン。おお、意外だね。やはり街の数だけ書くことがあるのかね。記憶としては、砂漠地帯の道の記憶が圧倒的なのだけれど。砂漠地帯を表現する言葉が僕には足りないということなのかね。いやいや、そんなことはない。道の記憶、道に対する覚悟、道との戦い、道への感謝。寒さに凍えながら走ったヒューム・ハイウェイ。高速道路の路肩は素晴らしく走りやすく、そして走りにくかったぜ。やんちゃな友達と過ごしたキャンベラ。ラストラン300kmもしっかり走った。チェンさんの家で過ごした完璧な日々。大して観光もせず、ただひたすら街中をふらふらとしたシドニーの日々。オペラハウスの到着は意外とあっけないものだったなぁと感じた。しかし、旅は終わったと思っていたけれど、実は終わってはいなかったんだ。それは日本に帰ってきてもそうだった。旅の終わり。それはついさっき感じた。写真を見直して、まとめて、チェンさんとルエラとルイズにメールをして。就職活動をして、就職を決めて。それが本当のオーストラリア自転車横断の旅の終わりだ。旅の終わりは、新たな旅の始まりだ。旅を人生にはしたくはない。根を張って生きたい。しかし、人生は旅だという考え方に、今は少なからず賛成できる自分がいる。明日は専大鋸南の飲み会らしい。オーストラリア自転車横断のお疲れ会もしてくれるらしい。ちょっと楽しみで、ちょこっと怖い。胸を張って行きたい。胸を張って行こう。綺麗な言葉を使うのは恥ずかしいことではない。夢を見るのは恥ずかしいことではない。四年間の氷は、確実に融け始めている。
2014.08.31
先週の月曜日。もうちょうど一週間前。オーストラリア自転車横断の旅を終えて、日本に帰ってきた。中部国際空港からは自転車に乗って出ることはできないので、自転車を段ボールから出して輪行袋に詰めなおした。自転車と小さいメッセンジャーバッグと再度バッグ4つ。しんどかった。名鉄に乗って二駅、常滑で下車。駅の隅でゆっくりと自転車を組み立てた。途中、高校生くらいの男の子が興味ありげにこちらを見たので、話しかけてみた。改札口の前で、友達を待っているのだという。彼は陶芸の高等専門学校の生徒で、陶芸品をつくる事務所のようなところに所属しているらしい。修行を重ね、店舗に作品を売り込み、生計を立ててゆくのだという。早くに自分の将来を見据えて未来を語る姿に、なんだか自分が情けなくなった。国道沿いのマクドナルドで一晩過ごした後、名古屋市内へ。とにかく暑い。蒸して、不快で、たまらない。日本の夏だ。冬の国から来た身体には堪える。日本一周の奴らはこんなに暑い中毎日自転車を漕いでるのか。ファッキン尊敬するぜ。牛丼を食べて東京まで帰れるという気になるも、おやつに食べたガリガリ君で冷静さを取戻し、名古屋駅に到着。結局、新幹線を使って東京に帰った。東京駅、吉祥寺、拝島と、それぞれで友人が出迎えてくれ、横断の達成と無事の帰国を祝ってくれた。ありがたいことだ。良い友人を持った。節目節目にかけつけてくれる、気兼ねなく会いに行けるという関係は、とても大事だ。オーストラリアを自転車で横断した、という事実。まるで嘘のようだ。あまり現実味がない。それはきっと、極端に自分の価値を自分で落としているからだと思う。ふわふわとしている。もっと自分を誇っていい。自信を持ってよい。俺は自分の身体と自転車、それに少しの荷物と勇気をもって、一人海の向こうの大陸へと渡った人間だ。もっと誇っていい。一週間。英語に触れる機会を増やした。意識的に動くようにした。怠慢の影は相変わらず靴底についたガムのようなねちっこさで張り付いてくるけれど、振り切れる時も増えた。合理的な自分を取り戻そう。脳を使わず欲に従ってばかりいるのでは、動物と同じだ。そんなもんは女の子と一緒にベッドに入ったときだけでよい。汗をだらだら流して、心臓が裂けるほど血液を循環させて、唸り叫ぶ。そうやって自転車を漕ぐように、生きてゆきたい。オーストラリアから帰ってきたぜ。
2014.08.25
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