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日曜日の4日に行われた2つの小規模な選挙の結果が、世界で注目を集めた。
◎ドイツ北東部の小州で経済「難民」受け入れ反対のAfDが大躍進
まずドイツ北東部メクレンブルク・フォアポンメルン州の州議会選挙である。同州は人口がわずか約160万人に過ぎないが、メルケル首相の選挙区のある州でもある。
ここの議会選挙で、経済「難民」受け入れに反対する新興右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が大躍進し、メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)の得票率を上回ったのだ。AfDは、社会民主党(SPD)に次ぐ第2党に躍進した( 写真
=大躍進に歓声を上げるAfDの陣営)。

自身の選挙区もある州だけに、同州での反経済「難民」の党に敗北したことは、メルケル首相にとってメンツを失う大きな痛手となった。
◎ムスリム難民によるテロへの恐れが波及
最新の開票によると、AfDの得票率は21.9%で、中道右派のCDUの得票率が23%から19%に低下したことからも、AfDに浸食されたことが分かる。
ただ、中道左派もAfDに食われ、メルケル連立政権に参加するSPDは、30.2%に留まった。前回2011年の選挙時の35.6%から低下した。
7月にドイツ南部でムスリム経済「難民」によるテロ事件が相次いだことから、はるか離れた北東部州でも、メルケル首相の進める難民積極受け入れへの批判が、左派であれ、右派であれ、中道の間で高まり、その票がAfDに大量に流れた。
◎経済「難民」への反感の広がり
この影響を思わぬ小党が受けた。ネオナチとも言われる極右の国家民主党の得票率が議席獲得に必要な5%に届かず、同州で議席を失った。
ドイツ北東部の同州は、かつては東ドイツに属し、東西ドイツ統一後も、長く高失業率と貧困に喘いできた。それが、四半世紀も経ち、どうやら一息ついた直後に、ドイツに入国直後に経済「難民」が手厚い保護を受けることに不満が高まっていた。ある調査によると、AfDの支持者の83%もが「政府は地元住民よりも難民を優遇している」と考えているという。
メルケル首相の経済「難民」受け入れ政策は、大きな抵抗に直面している。同首相の支持率も45%にまで低下しており、この5年で最低の水準となっている。
◎香港立法会選では若者主体の「本土派」が躍進
やはり4日に投票が行われた香港の立法会(議会、定数70)選挙は、5日、徹夜の開票作業を終え、中国からの独立を訴える急進的な「本土派」の若者3人が初当選を果たした。本土派を含む民主派勢力は、改選前より3議席多い30議席を獲得、重要な法案を否決できる3分の1超を維持した。
香港を意のままにしようとするスターリニストに忠実な親中国派は後退し、共産党一党独裁中国には手痛い打撃となった。
◎香港の「共産化」の懸念から盛り上がった選挙
選挙は、行政長官の公選制などの民主化を求めた2014年の大規模デモ「雨傘革命」以降、香港で最大の選挙となり、投票は時間を延長して5日未明まで行われた。およそ220万人が投票し、投票率は2012年の前回選挙を5ポイント上回る58%と過去最高を記録した。
警察から教育、銅鑼湾事件に象徴されるメディアまで、香港のあらゆる分野でスターリニスト中国が「共産化」を強化しているとの懸念が広がる中、香港こそ「本土(中国語で故郷という意味)」と考え、中国からの独立志向が強い若者主体の「本土派」の複数の新政党から、活動家出身者の若者が初めて出馬、香港の将来への懸念から、選挙は盛り上がった。
一時は本土派の台頭で、従来の民主派と競合が起き、共倒れで議席を減らすのではないか、とも懸念されたが、本土派と合わせて3議席上積みして30議席を獲得し、親中国派を3議席減(40議席)に追い込んだ。
◎23歳の「雨傘革命」の元学生指導者が当選
この選挙では、香港の「世代交代」も鮮明になった。1997年の中国返還前から活動してきた民主派の現職議員が相次いで落選した。6.4市民運動(「天安門事件」)の犠牲者追悼集会を香港で長年主催してきた李卓人議員も落選した。
代わって台頭したのが、前記の「本土派」である。
雨傘革命の学生指導者だった羅冠聰(ネイサン・ロー、Nathan Law)氏(23歳)は、定数6の選挙区で親中派の候補者に次ぐ高得票で議席を獲得した( 写真
=初当選に喜びのデモをする羅氏の支持者)。香港立法会で史上最年少の議員となる。

◎若手女性候補者も当選
羅氏らが結成した新政党「香港衆志(デモシスト)」は、香港の自決権を主張し、中国からの独立を問う住民投票の実施を要求している。羅氏は「香港人は心から変化を求めた。若者は未来に関して緊迫感を持っている」と、勝因を語った。
ただ羅氏とともに雨傘革命のリーダーを務め、香港衆志(デモシスト)の創設者の1人の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏は、立候補資格を満21歳以上とする規定に阻まれて立候補できなかった。
別の新党「青年新政」からも、若いリーダーらが当選する見通しだ。九龍西選挙区では、同党の女性メンバー游□禎(ヤウ・ワイチン)氏が接戦を制して当選した( 写真
=当選を決めた游氏)。

◎直接選挙枠では民主派+本土派が親中国派を圧倒
今回の選挙で、直接選挙枠(定数35)に限れば、民主派と本土派は合わせて19議席を獲得し、親中国派の16議席を上回った。スターリニストの息のかかった親中国派が当選しやすい職能別選挙枠が同数あるため、民主派+本土派は過半数をとることができない仕組みとなっている。
しかし香港住民の民意がどこにあるかは、この選挙ではっきりした。2014年にスターリニスト中国が決して認めようとしなかった行政長官公選制だが、民主派の行政長官の選出を恐れたのは、まさにこの点にある。当時は本土派はいなかったが、もし民主的な公選が行われれば、独立派の行政長官が誕生するだろう。ただしスターリニスト中国は決して認めないだろうが。
昨年の今日の日記 :「ドイツに押し寄せる『難民』洪水でシェンゲン協定危うし、受け入れは本当に人道的か」