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2026.06.16
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カテゴリ: 現代史
 旧ソ連構成国のアルメニアで7日実施された総選挙で、親欧米路線を掲げ、EU加盟を志向するパシニャン首相の率いる与党の「市民契約党」が49.8%の得票を獲得し、ロシア系アルメニア人の億万長者サムベル・カラペティアン率いる親ロシアの「強いアルメニア」連合の23.3%を大きく上回って勝利した( 写真 は投票するパシニャン首相、 は選挙後に勝利を報告するパシニャン首相)。
 アルメニアの選挙制度では、議会(一院制、101議席、任期5年)の過半数を確保するのに十分な水準となる。





◎経済制裁やフェイク拡散でも与党を崩せなかったロシア
 親ロシア派の野党は、ロシアの圧力を借り、さらにプーチンのロシアもSNSでフェイクを盛んに宣伝して選挙に介入した。さらにロシアは、アルメニア特産のコニャックや切り花、農作物に輸入制限を課したりして、政権与党の足を引っぱった。
 しかしアルメニア国民のロシア離れは顕著で、与党の親欧米路線を覆せなかった。
 もともと旧ソ連時代から親ロ的だったアルメニアだが、与党と国民がロシアに愛想を尽かす原因となったのは、2022~23年の隣国アゼルバイジャンとの紛争だ。かねてからの係争地でアゼルバイジャン国内にあった飛び地のナゴルノカラバフ(ここだけアルメニア系住民が多数を占めていた)を失い、10万人近いアルメニア系ナゴルノカラバフ住民は故郷を追われることになった(23年9月22日付日記:「プーチンの権威の完全失墜を見せつけたナゴルノカラバフでのアゼルバイジャンの完勝」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202309220000/を参照: 下の写真の上 =戦争で破壊されたアルメニア系住民の家、 下の写真の下 =着の身着のままでナゴルノカラバフの故郷を捨てアルメニアに避難したアルメニア系住民)。





◎ナゴルノカラバフ戦争で役に立たなかったロシアに見切り
 この戦争で、アルメニアはアゼルバイジャンも加盟していたロシア主導の軍事同盟CSTOの規定に基づき、盟主のロシアに介入を懇請したが、プーチンはこれに応えず様子見に終始した。
 ロシアが不介入に終始したことで、圧倒的に軍事力で勝るアゼルバイジャンの完勝・アルメニアの完敗とナゴルノカラバフ領土の失地と至った。アルメニア国民は、これでCSTOとロシアを見限ったのだ。
 パシニャン首相は、CSTOの会合に欠席したりして、関係を凍結している。いずれは脱退も視野に入る。
 アメリカの調査機関によるアルメニア国内での世論調査の結果では、「ロシアと友好関係にある」と答えた割合が戦争前の19年の93%から戦争後の23年の約3割と急落している。

◎国境を接していないアルメニアにロシア軍は攻め込めない
 総選挙前からプーチンは苦々しい思いでアルメニアを睨み、また恫喝を繰り返してきたが、実は経済制裁以外、打つ手がない。 下の地図 でもお分かりのように、幸いにもアルメニアはロシアと国境を接していない。ウクライナのように、攻め込むことはできないのだ。



 できるとすれば、以前、干戈を交えたアゼルバイジャンをたきつけての紛争だが、25年3月に両国はアメリカの仲介で和平条約に合意しているから、それも望み薄だ。
 ロシアと国境を接していないのはアルメニアには大きな地政学的利点だが、逆にEU諸国とも国境を共にしていないのはマイナス点だ。
 したがってEU加盟はまだ先の話だろうが、アルメニアが元の親ロシアに戻ることはあるまい。

※以下の過去日記も参照されたい。
・24年3月15日付日記:「アルメニア首相がロシア主導の軍事同盟CSTOからの脱退を示唆、ロシアの軍事介入を懸念」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202403150000/
・24年2月28日付日記:「アルメニア、ロシア主導の軍事同盟CSTOへの参加凍結、揺らぐ中央アジアのロシア支配」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202402280000/
・24年2月27日付日記:「テロ国家ロシアがウクライナ侵略にかまけている間にザカフカス地方の一角で静かに進むロシア離れ;国家・民族の安全保障とは」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202402270000/

昨年の今日の日記





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Last updated  2026.06.16 05:02:47


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