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2026.06.25
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カテゴリ: 古病理学
 これまで新石器時代が初源と考えられていたペスト(黒死病)の流行が、遅くとも5700年前のシベリア南東バイカル湖付近の中期完新世の狩猟採集民に始まっていたことを示すDNA証拠が明らかになった。ロシア、イギリスなどの研究チームがイギリスの科学誌『ネイチャー』6月18日号に報告した。

◎ヨーロッパ人口の3分の1を減少させた14世紀半ばのアウトブレイク
 1926年(昭和元年)以降、日本国内でのペストの感染例はなく、ペスト(黒死病)は日本では根絶された感染症と考えられている。そのせいか、一般の関心はほとんど無い。しかし世界史では、ヨーロッパでの14世紀半ばの大流行が生々しく語られる。
 1347年から1351年にかけてピークを迎えたペストのパンデミックは、当時のヨーロッパ人口の約3分の1(2500万~5000万人といわれる)の命を奪った人類史上最悪のアウトブレイク(集団発生)であった( )。




◎5500年前の狩猟採集民コミュニティーを襲った致死的ベスト
 例えばペストの原因菌であるペスト菌( Yersinia pestis )のこれまでに発掘調査された人骨で発見された古代株には、病原性に必要とされる古典的な遺伝子が欠けている。このため、この疾患の初期の形態がどれほど致死的だったのかという点で疑問が生じていた。
 今回の報告で、著者たちは、放射性炭素年代で約5500年前まで遡る先史時代のコミュニティーにおける致死的なペストの集団発生の証拠を明らかにした。
 著者たちは、シベリア南東部、バイカル湖西部、北部地域の4カ所の墓地遺跡で発掘された遺骨(ウスチ・イダIの31個体、ブラツキー・カメン8個体、セロヴォ2個体、シュミルハ5体)に残されたDNAを分析した( 写真 =ウエチ・イダⅠの墓にペスト犠牲者と共に埋葬されていた9~11歳の女児; 地図 )。





◎家族の間でペスト感染、人から人への感染証拠
 その結果、18個体でペスト菌の証拠が見つかり、さらにそれらの個体が近縁の家族集団に属していたことが示された。これは、ヒトからヒトへの伝播が起きていたことを表している。検出されたペスト菌のこの株は、他の既知の古代株および現代株とは異なっており、研究チームは、この株が少なくとも5700年前に出現したと推定している。
 だとすると、この結果は、高い人口集中と農耕への移行がペスト流行の前提条件だったという考えに異議を唱えるものとなる。

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Last updated  2026.06.25 05:11:14


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