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今日のアップはバーバリーテトラ(Mimagoniates barberi)です。南米のパラグアイに生息する体長5cmほどのテトラで、どちらかと言えば入手困難な部類に入るでしょう。昨日紹介した、チトブリコンsp.をゲットした際に隣の水槽をひっそり泳いでました。「おっ、久しぶりだね~。でも、君性格悪いからパス1ね!」とか独り言言ってたわりに、帰途に着くさかなおやじの右手にはしっかりとバーバリーテトラの入ったビニール袋が提げられていたのでした(笑)。 この魚の特徴を一言で言い表すと「病弱なくせに性格のねじれた乱暴者!」でしょうか(苦笑)。つまり、結構水質に敏感で、水温が低め(23℃前後)で酸素の豊富に溶け込んだ清浄な水でないと長生きできない根性なしなんです。そのくせ、縄張り意識が強く同種他種問わず自分のテリトリーに侵入したきた魚を攻撃します。体弱いんだからおとなしくしてればいいのに・・・ そう言ったところは、まるで若かりし事のさかなおやじにそっくりです(笑)。重度の喘息患者で過度な運動するとすぐに呼吸困難に陥るくせに、すぐにストリートファイト(つまり喧嘩)に巻き込まれてました。念のために言っておきますが、私自身はすごく平和主義者なんですからね。まあ、有名人に例えてみればインド建国の父、マハトマ・ガンジーかな?(笑)でも、昔から態度が横柄だったらしく、繁華街を歩いているとすぐに他校の悪い子たちにつかまってました。そして、人通りの少ない場所に連れて行かれてヤキを入れられる・・・はずなんですが、悪い子達にとって不幸な事に私、空手の黒帯です(笑)。しかも、世界最強を謳い文句にしている某実戦空手の・・・ 重度の喘息患者だった私は、呼吸困難になった時の特効薬として気管拡張剤持ち歩いてました。スプレータイプの薬なんですけど、これを口に咥えてスプレーすると・・・アラ不思議!苦しかったはずの呼吸がみるみる楽になっちゃいます。ちょっと経験ない人には信じられない光景のようですが、さっきまで呼吸困難で顔が紫色になっていた人間が30秒くらいで完全復活を遂げます(笑)。ただ、薬の効果で急激に気管を広げている訳ですから体にいいわけはありません。毎年、この薬を使いすぎて死亡する人が絶えないような劇薬でした(今は、ここまですごい奴はないみたいです)。 悪い人につかまって連行されている間に、気管拡張剤をしゅっとひと吹き!そうすれば、数分間だけですが常人と同じように・・・いや、それ以上に激しく運動する事が出来るのでした。悪友たちからは、地球上では3分間しか生きていられないと言う事で「ウルトラマンタロウ」と呼ばれていましたっけ(笑)。ちなみに、私の高校時代のあだ名「タロウ」はこの事に由来しております。 ところでバーバリーテトラのバーバリーですが、あの英国の高級ブランドバーバリー(BURBERRY)とは何の関係もありません。紳士服で有名なバーバリーの方はトーマス・バーバリー氏(Thomas Burberry)が創設したからこのネーミングなんですが、魚のバーバリーの方は学名のbarberiのカタカナ読みから来てます。もっとも、学名で最後に「i」が付くものは人名に由来してます。例えばbarberiであれば「Barberさんの」と言う具合です。以前紹介したミクロラスボラ・ブルーネオンのkubotaiも「久保田さん(発見者)の」と言う意味な訳です。まぁ、どうでもいいことですけど・・・
2005/10/23
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前回はショークラウンの尾開きについて少し考えてみましたが、今日はクラウンのクラウンたる由縁のヒレの切れ込みについて少し。毎日のように大量のショークラウンを眺めていると色々な事に気が付きます。今日のお題である「ヒレの切れ込み具合」もその一つ。 本来ヒレのレイ(軟条)にそって大きく切れ込みが入るのが特徴のクラウンテールですから、ヒレ先がギザギザになって当たり前!・・・でも、そのスリットの入り方はかなり個体差があります。1枚目の画像の個体はかなり切れ込みが深いタイプです。そして2枚目の画像の個体は逆に浅いタイプ。チャイナドレスのスリットは深ければ深いほど世の男性は嬉しくなるのが常って物ですが(笑)、クラウンの場合はね~。これは個人の好みの問題でしょう。 このような差が生じる原因には、元親に何を用いたかが大きく影響してきます。クラウンテール同士を交配すると1枚目の画像のように切れ込みが深い個体が生まれてきますし、どちらか片親にショーベタを用いると、2枚目の画像のようなタイプが多く出現する様です。 個人的には「せっかくクラウンなんだから、切れ込みは深い方が好みっ!」なんで、この辺に関しても昨日登場した「クラウンの尾開きは根性次第っ!」説を唱えるバンコクのブリーダーに尋ねて見ました。開き具合に関しては星一徹もビックリの根性論を唱えた彼ですが、この問題に関しては意外や意外、結構まともな返答が・・・ 「あまりクラウン同士で交配し過ぎてスリットが深くなりすぎると、尾開きが悪くなる」と言うのです。つまり、土台となる部分が無いと上手く扇形に開かないって事みたいです。おっしゃるとおりだ思いますけど、彼にはもっとこちらを楽しませてくれるような豪快な?返答期待してたのになぁ~(笑)。とにかくそういう事なんで、クラウンのスリットは1枚目の画像の個体くらいまでが限界みたいです。
2007/11/30
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今回のバンコク仕入れに腰痛で直接出向く事が出来ず、ピンチヒッターとして甥っ子を送り込んだ事は前に書きました。甥っ子はベタの事なんか全然知らないので、基本的に品種なんかは向こうのブリーダー任せにしておきました。もちろん、信用できそうなブリーダーを選び、あらかじめメールや電話で代理のものを行かせる旨を伝えておきました。その結果、概ね予想以上の成果を上げてくれた甥っ子なのですが、いくつかの反省点も。例えば、前に書きましたジャイアント系の幼魚を仕入れてきちゃった件もそうです。 そして、これは完全に私のミスなのですが(苦笑)、事前にブリーダーに指示した際に「ショーベタをパッキングする際は大きめの袋で!」と指示し忘れました。バンコクのブリーダー達は皆親切心からでしょう、ショーベタも実にコンパクトにパッキングして甥っ子に渡してくれちゃいました。でも、こうすると溶けるんですよね~、ヒレが(涙)。今回持ち帰ったショーベタは結構な数がヒレ先が裂けたり溶けちゃったりして、販売できませんでした。もちろん、すべての責任は指示を出し忘れた私にあるのであって、甥っ子やブリーダーたちには何の落ち度もありません。 ところで今回はっきりと感じたのですが、どうも品種によってヒレの痛みやすいもがあるようなんです。レッド系、ホワイト系そしてマーブル系でヒレの先端部分がクリアフィンの系統なんかはヒレが傷みやすい見たいです。逆にブルー系の品種はほとんどヒレが傷んでいません。よくよく考えてみると、以前からこの傾向がありました。これがどのような理由によるものなのかは今ひとつ判りません。ただ、ブルー系なんかは4層に分かれていると言われるベタの色素細胞の層の最上層に位置するらしいですから、これがベタの体表をコーティングしているのと同じ役目でもしてるんでしょうか?ってあんまりいい加減な事書いちゃいけないな(笑)。でも、確実に品種によってヒレの強度に差があるのは確か見たいです。 そんな中、ヒレの強度と言う点では最弱?と思われるのがイエロー系でした。今回、何故かイエロー系のショーベタをかなりの数仕入れてきてくれたのですが、そのほとんどがヒレにダメージ受けてました。確かに、根性なさそうな薄そうなヒレですもんね~(笑)。僅かに今日紹介した2個体のみがヒレのダメージなく我が国まで到着と言うかなり痛い結果となってしまいました。 不思議なもんで、これがプラカットだとヒレなんて全然溶けないんですけどね~。これじゃ、イエロー系のショーベタ仕入れるのこれからも躊躇しちゃいそうです。個人的にはかなり好きなカラーリングなんですけどね。
2008/03/30
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各国のベタ状況 その2 東南アジア 趣味の側面からのベタの中心地がアメリカであるならば、東南アジアは間違いなく生産側から見たベタのメッカという事が出来ます。まぁ、元々ベタの原産国なんですから当たり前と言えば当たり前ですが。安い労働賃金・保温の必要がない気候・むやみやたらと豊富で入手容易な生き餌・・・と、ベタの商業的生産には申し分のない環境がそろってます。主な生産地としては、タイ・シンガポールそして最近ではインドネシアも結構力を入れて生産しているようです。もちろん、これら東南アジア諸国にも純粋なアマチュア愛好家は存在しますが、ほとんどの場合はプロもしくはセミプロ的存在な様です。 これらの国では、盛んにベタコンテストが開かれています。規模の大きな大会になると1000尾以上のベタが出品され実に壮観です。その出品者の多くは「コンテストで上位入賞して名を売る」事を目的としたプロブリーダーであり、コンテスト会場に来る客の中にも多くの業者がいるのが特徴です。これがアメリカの大会だと、ほとんどの人が愛好家なんですけどね。東南アジアのコンテストでは、ベタを収容した容器に何やら長ったらしい番号が書いてある事がありますが、これはブリーダーの電話番号で、要するに「この魚が気にいったら電話してくれ!販売するぜっ!!」って言うサインです。 かつては「東南アジアのショーベタはクオリティが低い」と言う方が、特に我が国の愛好家の中にいましたが、大きな間違いか、少々厳しい表現になりますが負け惜しみです。正直、いまやクオリティでは世界一レベルと言って間違いないでしょう。ただ、クオリティは均質ではなく、それこそピンキリなのがこの東南アジア産のベタの特徴です。要するに、安い生産コストを生かしてとにかく大量生産!って言うスタイルですから。その点、国産のベタの場合、ブリーダーの方が選別淘汰してますからクオリティは平均して高いのが特徴と言えるでしょう。ただ、1万尾の中から1尾選ぶのと、100尾程度の中から1尾選ぶんじゃ、どっちが凄い個体をチョイス出来る可能性が高いかは・・・。その証拠に、私の所を初めとする国内のベタショップそして本家本元であるはずのアメリカの業者が毎週のように東南アジアから大量にベタを仕入れていますから。 もっとも、我が国のベタブリーダが東南アジアのブリーダーより技術的に劣るとは少しも思いません。むしろ、勤勉で細部にまで気の利く我が国のブリーダーの方が、間違いなく技術は上でしょう。生産する個体の平均的なクオリティと言う点では、圧倒的に我が国のブリーダーの方が上だと思います、ただ、人海戦術でアレだけの数を生産しアレだけの値段で販売されちゃあ、商売的に勝ち目はありません。もし、自分が日本国内でベタブリーダーやるなら手間隙考えると今の販売価格の少なくとも数倍の値段じゃないと売れませんからね~。クオリティに差がなくて値段が段違いに安いんじゃ、お客さんも東南アジア産を選ぶってもんです。 残念ながら、我が国やアメリカのブリーダーは、商業ブリーダとしてではなく、ベタの品質を採算度外視で徹底的に追求する純粋なアマチュアブリーダーとしてしか生き残れないのではないかと思います。まぁ、日用品なんかを見てみれば当たり前の流れで、国内生産業者は安い労働賃金のアジア諸国の製品に太刀打ちできなくなっているのと同じ事です。これが、技術力で製品に大きな差の出る精密機械や自動車の心臓部分とかだと話は別なんですけど、ベタではそこまでの精度は要求されませんから。
2012/01/10
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今日はクリスマスイブですから、それっぽい画像をと思いロングフィンアカヒレをセレクトしました。冒頭の写真って、クリスマスっぽい衣装を身にまとった2頭のトナカイがそりを曳いて、真っ暗な天空をこっちに向かってくるようなイメージありません?真ん中にサンタを乗せたソリがないのが本当に残念です。(笑)そんなこんなでメリークリスマス! それにしても、ロングフィンアカヒレは一体どこまでゴージャスになるんでしょう?原種ももちろん綺麗な魚ですが、フルサイズにまで育ったロングフィンは、数ある観賞魚の中でも確実に上位にランクインする華やかさだと思います。これで、丈夫・温和・低温OKとくればこれはもうお菓子のホームラン王です!(亀屋万年堂のナボナ知ってます?)じゃなくて観賞魚の三冠王ですよね。 アカヒレは保温なしでもOKですから、今日もクリスマスプレゼントとして小さな容器に入れられて「コッピー」として多数買われて行くのでしょう。でも、ちゃんとそれなりの容器で飼育してあげればここまで綺麗に育つんですから、「コップでも飼育できるコッピーちゃん!」じゃなくて、「小型水槽で飼育も繁殖も楽しめるアカヒレ」として飼育してあげたいものです。以上、日本アカヒレ普及協会からのお知らせでしたぁ~♪(笑) ところで、冒頭の2尾のロングフィンアカヒレ見て「アレッ?どこかおかしい??」と思った方はいらっしゃいますでしょうか。その方はかなり鋭い観察力持ってますね(笑)。そうなんです、この2尾の各ヒレのカラーリングが全然異なるんです。下のピンボケ画像ではこの2タイプを並べて撮影してみました。一方はノーマルのアカヒレ同様、ヒレの先端部分がライトイエローに縁取られるのですが、もう一方はオレンジ色に染まるのです。この違いって一体何?? 実は、以前紹介したようにわが国に始めてロングフィンアカヒレが輸入されてきた頃はすべての個体が、ヒレがオレンジに染まるタイプだったのです。噂では、旧東欧諸国が外貨獲得のため国家プロジェクトとして作出した改良種と言う事でした(笑)。事の真偽はともかくとして、当時我々はノーマルタイプしか知らなかったために、ロングフィンになっているだけではなくヒレのカラーリングが違い過ぎることから、元の種親自体別種なのではないかと考える人間もいたほどです(・・・って私だけかも)。 しかも、今回紹介したようにノーマルのカラーリングでロングフィンという個体も確実に存在するのですから不思議です。このオレンジフィンタイプは一体どういう過程を経て作出されてきたのでしょうか?すごくポピュラーで、誰でも入手可能なアカヒレにも、色々と謎はあるんですね~。どなたかしっかりとその辺追及してみません? それと、そうそう!「セルバスオンラインショップ」(http://selvas.jp)もよろしくね!!・・・と一応、応援しとかないとね(笑)
2005/12/24
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今日のアップはキロダス(Chilodus punctatus)と言う、アマゾン河に棲息する体長8cm位のカラシンです。この魚、英名を「ヘッドスタンダー」と言うだけあってトップの画像のように頭を下げているのがノーマルの姿勢です。決して水底に沈んだ餌を探しているからではありません。下の画像は、一見すると正しい姿勢のように見えますが、こちらは逆に何かに驚いたりした時くらいしか見せてくれない姿勢なのです。別に水中なので、頭に血が上ると言う事もないのでしょうが、見ている方は結構気になります(苦笑)。 キロダスは、現在ショップで見かけるものすべてが養殖物と言ってよいでしょう。体長3~5cm位の若魚が売られているのに出くわす事があります。地味な体色ですが、これで結構水草のグリーンにマッチしますし、動作とかも可愛いのでゲットする方も少なくないようです。かく言う私も、結構好きな魚の一つです。 非常に丈夫な魚なので、水質面で特に注意すべき点はありません。餌は人工餌中心のメニューでOKですが、たまには植物性原料を多く含んだ餌を与えるようにしましょう。・・・ん?植物性原料??そうなんです!、残念ながらキロダスはベジタリアンの傾向が強いのでした。ミクロソリウムやアヌビアスなんかは大丈夫ですが、柔らかい水草の新芽辺りは、キロダスのサラダと化す可能性は高いでしょう(笑)。 それと、一見するとユーモラスで温和そうなイメージですが、これでどうしてなかなかのファイターです。特に成熟した個体がテリトリーを持つようになると、同種だけでなく他種も縄張りに侵入するとこっぴどく追い掛け回されますから御注意ください。 と、ここまで書いてくれば今後キロダスを購入しようと言う方も激減しちゃうんでしょうね~(苦笑)。確かに、柔らかい水草は食べるは縄張り意識は強いは、と敬遠される要素をたぶんに持ち合わせていますが、それでも不思議な魅力のある魚なので外見が嫌いでなければゲットも十分ありだと思いますけどね。 キロダスはほとんどが養殖物と書きましたが、実はキロダスのブリーデングは結構難しいのです。まず、縄張り意識の強い魚なのでペアリングが難しいのです。産卵用水槽にペアを導入しても、ほとんどの場合縄張り争いに終始してしまいます。出来れば、90cmクラスの水槽を用意したほうがいいかも・・・。でも、キロダスの繁殖のために90cm水槽を用意できる人が我が国に何人いると言うのでしょう(笑)。東南アジアならばともかく「ウサギ小屋の住人」である日本人にとって、繁殖のためだけに90cm水槽を設置するのは、確実に家庭不和の原因となる筈です(苦笑)。 また、上手く産卵にこぎつけても卵の孵化率が悪いのです。卵自体はかなり大きめの卵なのですが、とにかくすぐにかびちゃいます。これは、ペアがアホで生物本来のお勤め(笑)を忘れているのか、卵が根性なしで水棲菌に犯されやすいのかはわかりませんが、過去2回の繁殖チャレンジはいずれも、産み付けられた卵がほとんど孵化せず、あえなく敗退しました。 まぁ、キロダスばっかり100尾もいても間違いなく持て余すはずなのでブリーディングなんて出来なくても構わないんですが、以前洋書でキロダスの稚魚達がビッシリと収容された水槽の写真があって、なんだか凄く可愛かったんですよね~。それ以来、体長1cm前後のミニキロダスが水槽内にワラワラ泳いでいる光景に憧れちゃって(笑)。でも、その後に成長してきたキロダスを持て余して途方に暮れる姿が脳裏にくっきりと浮かんでます。さかなおやじももう40過ぎの分別盛りなんですから、その辺を考慮してキロダスの繁殖はチャレンジしません!(笑)
2005/12/16
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ここの所、やたらにショークラウンテール、つまりショーベタの血を導入して尾開きを改善し観賞価値を高めたクラウンテール・ベタを扱う量が増えているせいで、かなり見る目が養われてきたのではないかと少しだけ自負しちゃったりしている今日この頃。 ところで、ショーベタと同じくショークラウンでも尾ビレをはじめとする各ヒレの形状はピンキリです。コレばっかりは、色彩と違って個人の好みと言う訳にはいかず、どなた様も少しでもヒレの開き具合の良好な個体がより素晴しいと言う認識で一致するんだと思います。 でもって、どうしてこのように個体差が生じてしまうのかと少し考えてみたりしました。尾ビレに限定して見てみるとショーベタの場合ですとヒレのレイ(fin ray)つまり、ヒレの中に骨みたいに見える細い筋があるじゃないですか、あれをレイ(軟条)と言うのですが、それが先に行くにしたがって分岐してるんですが、この分岐の回数が多ければ多いほど、つまり先に行くにしたがってより多くに枝分かれしているほど尾開きは良くなるとされています。・・・って言うか普通に言えば当たり前の話ですけど。 でも、ショークラウンの場合は個体によってあまりレイの分岐回数に差が見られないんですよね~。ちなみに、ほとんどの個体のレイは根元部分では11-13軟条で、しかも軟条の数と尾開きの相関関係があんまり認められない気がします。 でも、色は別にして全体の形で考えればどう見たって1枚目の画像の個体の方が断然イイですからね~。ここん所に関して、バンコクで親しくしているショークラウンのブリーダーに尋ねてみた所実に明快な回答が帰ってきました。「根性のある奴は尾開きがいい!」(笑)あんたね~、スポコンじゃないんだから根性って・・・。でも、その後の彼の話を聞いて少しだけ納得。つまり、根性のある奴っていうか闘争本能の強い個体はより多くの時間ヒレを広げて相手を威嚇するフィンスプレッディング(フレアリング)をしているので、おのずと尾の開きが良くなるというのです。以前、ピアノを極めた人の指は常人よりも大きく開くって聞いた事がありますが、コレと同じか・・・ってピアニストの方スイマセン(笑)。 彼の理論では、あくまでもヒレの開き具合は本人(ベタの事です)の努力次第って事でした。しかし、実際には尾開きの良好な系統って言うのは確実に存在するはずなんですが、彼の建物で言えばほぼ全壊状態の物凄いブロークンイングリッシュでそれ以上の会話を続ける気力がなかったので「おおっ、そうかぁ~、そうだったのかぁ~ッ!!」って感心しておくに留めました。
2007/11/29
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今日のアップはトランスルーセント・グラスキャット(Kryptopterus bicirrhis)と言うタイからマレーシア、インドネシアにかけて棲息する体長10cmほどのナマズ。もっとも、ショップで見かけるのは体長5cm前後の個体で、それ以上のものはめったに見かけません。今のところ100%採集個体なので、現地で余り大きな個体は日本には不向きという事で選別しているのかも。確かに、10cmオーバーのこのナマズを買おうって人はあまりいないかも?(笑) なんと言ってもこのナマズの最大の売りは透明なボディ!数ある魚の中でも、体の透明度では有数のこのナマズは、今回紹介した画像でもバックの水草が完全に透けて見えてます。本来であれば、この手の魚は結構苦手系のはずの私も、この透明感のせいかトランスルーセント・グラスキャットは嫌いじゃありません。ただ、この仲間のインドネシアン・グラスキャットのようにボディが褐色になっただけでもうダメです(笑)。あの長いひげが、フナ虫やゴキブリを連想させて・・・ その特異な外見から結構人気も高く、大量に東南アジアから採集個体が輸入されてきます。また、最近ではグラスフィッシュ同様体内に蛍光塗料を注入したカラーグラスキャットなるものも出回るようになりました。こちらは個人的にはあまり好きではありませんが、確かに一種独得の人工美って感じもします。 飼育書などでは丈夫で温和と書いてありますが、所詮ナマズはナマズ!長いヒゲに触れてなんとなく食べられそうな大きさと彼らが判断した(ナマズの判断力ですから)物はとりあえずすごいスピードで口の中にかっ込みます(笑)。したがって、口に入るサイズの小魚やビーシュリンプなどは間違いなく餌食になりますな。もっとも、確かに性格は温和なのでサイズさえ配慮すれば他の魚に危害を加える事無くうまくやって行きます。 水質は特に極端なものでなければ何でもOKです。餌は上記のような性質ですから口にさえ入れば何でも食べますが、冷凍アカムシやイトミミズ辺りが大好物です。普段は物陰に隠れてヘロヘロ泳ぎをしている彼らが、アカムシの匂いが水槽内に立ち込めるや否や猛然と開けた明るい場所にダッシュしてきて狂ったように右往左往しながら餌を探すのを見ると、ああこいつらもやっぱりナマズなんだなと変に実感してしまいます(苦笑) そんなトランスルーセント・グラスキャットのしらざれるもう一つの特徴は「頭のてっぺんに毛が一本ピヨ~ンと生えている事!」(爆笑)。もちろん、実際には頭髪ではなく背ビレが退化して痕跡的になってるだけなんですけど、とにかくこのナマズの背中には一本だけ毛のように背ビレが生えてます。よっぽど注意してみないと発見できないほど痕跡的ですけど・・・その有様は、まさにサザエさんの波平状態!(笑)とでも申しましょうか。そんな波平ナマズの命より大事?な背ビレですが輸送の途中にもげてしまうのか欠損した個体もよく見かけます。これが本物の波平だったら死活問題なのかもしれませんが(笑)、トランスルーセント・グラスキャットにとっては別にどうという事もないらしくて平然としております。 そう言えば、私が学生の頃通学に使っていた最寄り駅は日本でも有数の混雑で知られる都内の某駅だったのです。どれくらい混むかというと、電車の改札に入るために整列するほどで、まるでTDLの人気アトラクション並みでした(苦笑)。当然朝のラッシュ時などは電車の中はギュウギュウの箱詰め状態!乗客を無理やり押し込むためのおしくら饅頭専用駅員が各ドアの傍にスタンバイしてたほどですから。当時中学生で、背も低かった私などは周りの人間に押されて体が宙に浮いた状態(つまりはおしくら饅頭の中心部で足が地面から完全に離れているんです)で目的の駅まで行く事が常でした。内部の人間の圧力で?電車の乗降口のガラス窓が割れると言う事もたまにありましたね~。 ある日の事です。そんな殺人電車に乗ろうとアトラクションの整列をクリアし、やっと列の最前列(つまり乗降口の前)まで進んできて「さぁ、次の電車にやっと乗れるぞ!」っと考えているとホームに電車が入ってきました。目の前に自分が乗り込むべき乗降口が停止した時、入り口のドアに変なもの見つけました。なにかがドアに挟まっているのです。・・・って良く見ると人の髪の毛じゃありませんか。きっと、前の駅で無理やり押し込まれちゃった時に頭の毛の部分だけ外に忘れちゃったんだろうと考えるのが普通ですよね。でも、まもなくドアが開くととんでもない事が判明したのです!なんと、電車の中にいるはずの頭髪の持ち主がいないんです。 ドアが開くと、その物体(笑)はポトリと下に落ちました。そうなんです!それは1個のカツラじゃありませんか(爆笑)。普段はみんなむっとした顔で殺気だった駅の構内で、その一角だけ乗客の爆笑が響いてました。グラスキャットの波平ヘアを書いていたら急にその時の事を思い出してしまいました。あの時カツラの持ち主はどこにいたんでしょうね?さすがに、あの状況でカツラを取りに公衆の面前で名乗りを上げる勇気がなかったのでしょう。その場では持ち主はわかりませんでした。普段は無愛想で張り倒してやりたくなる、旧国鉄職員もその時ばかりは、その忘れ物(落し物か?)を手に笑いながら持ち主探してました。それにしても、あの持ち主はその後のどうしているのでしょうか?あまり幸せな人生送ってない気がします・・・
2006/01/27
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今日のアップはオオミジンコ(Daphnia magna)です。ミジンコと言えば金魚の餌としか思っていない方が大部分だと思いますが、これでなかなか可愛いもんです(笑)。さかなおやじは大学院でこのミジンコをお友達として日夜研究に励んでおりました。 ミジンコは単細胞生物と思っている方も多いのですが、立派な多細胞です。しかも、エビやカニと同じ甲殻類なのですよ!CRSがここまで人気になるならば、ミジンコの地位ももう少し向上させたいものです(笑) ミジンコの仲間の最大の特徴は単為生殖する事です。つまり、メスの背中の中にある卵はその場で発生を開始し、母親の体内から出てきたときにはもう立派なミジンコなのです。しかも、オス要らず!メス1匹だけでジャンジャン子孫殖やせます(笑)。当然、生まれてくる子供たちもすべてメス。まさに、アマゾネス状態ですな。 しかし、ミジンコにオスがいないのかと言うとそうではありません。水質の悪化や水温の低下など環境が悪化すると、メスは息子達も産むようになります。そして、その後は他の生物同様にオスメスで受精卵を作り、休眠卵の形で産卵します。休眠卵はブラインシュリンプエッグ同様、乾燥や低温・高温に耐え環境が改善されると、卵からまたミジンコが孵化して来ると言うわけです。つまり、田んぼなどで見かけるミジンコは、冬になる前に休眠卵を産み、そのまま冬越しして初夏の頃再び孵化して来るというサイクルを繰り返すのです。 また、ミジンコは体が透明なので倍率の高いルーペや顕微鏡などで観察すると、心臓の鼓動まで見えるから子供の教育教材としては最適なはず・・・。しかも、良く観察すると大きな目やオールのような両腕(実際には鰓脚と言う)など結構キャラ的にもいい線行ってると思うのだが・・・ しかし、それならばなぜ人気がないっ!それはサイズが小さすぎるからでした(涙)。良く我々が見かけるミジンコはせいぜい2mm程度。これでも結構大きな方で、もっと可愛らしい外見のゾウミジンコ(ゾウのような鼻を持つ)やマルミジンコ(まんまる)などは体長1mm以下と極小サイズ。これでは人気も出るはずない訳ですな! ところが、こんなミジンコ達にも期待のホープがいるのだ!それが、今回紹介するオオミジンコで、何しろこ奴は体長が5mmに達すると言う超特大サイズ!どれくらい大きいかは、上の写真を見れば一目瞭然でしょう。一緒に写っているのはアジアンランプアイの稚魚(メダカの稚魚とほぼ同サイズ)ですが、ほぼ同等のサイズです。写真の個体はもちろんメスで、まさに「肝っ玉母さん」状態です。撮影途中にも、大きな両方の腕をぶんぶん振り回して近くにいたランプアイの稚魚を張り飛ばしておりました(爆笑) さあ、今日から皆さんもミジンコフリーク!特にお子さんをお持ちのお父さんお母さんは夏休みの宿題に「オオミジンコの観察日記」をお奨めします。それこそ、小さなコップやプリンカップで家族中が楽しめますよ。
2005/07/26
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さて、皆様からノソブランキウス属の種説明もいいが何か肝心な事を忘れてんじゃないのか?と言うお叱りを多数頂戴いたしまして(笑)、急遽予定を繰り上げてノソブランキウス属の飼育について紹介する事にしました。まず、具体的な飼育方法に入る前にノソブランキウス属の棲息する環境について勉強しておきましょう。 ノソブランキウスの仲間はアフリカ大陸でも乾湿のはっきりとした地域の、どちらかと言うと海岸線近くに生息しています。我が国ではなかなか想像できませんが、この地域の雨季乾季の差は非常にはっきりしています。雨季にはあたり一面水浸しだったものが、乾季になるととことん雨が降りませんから、水がどんどんなくなっていき最後にはどこを見渡しても水が無いカラカラのひび割れた大地がどこまでも続く光景になってしまいます。皆さんも、TVなどで乾季にゾウやその他の野生動物が水場を捜してさまよい歩くシーンをご覧になった事があると思います。 そんな環境で、動物以上に困るのが魚達でしょう。何しろ、水の中でしか生きられない彼らにとって、水がなくなると言う事は・・・。ノソブランキウス属の魚達はこの苛酷な環境下で種の存続をすべく、驚くべき習性を身に付けたのです。つまり、雨季の内に産卵を終えた親魚達は水が干からびると同時に死んでいきます。しかし、残された卵たちは周囲にある僅かな湿気のみで過酷な乾季を耐え抜き、次の雨季が始まると一斉に孵化してきます。そして、また乾季が訪れるまでに成長し産卵をするというほぼ1年単位の生活サイクルを繰り返しているのです。 そんな過酷な環境に耐えるノソブランキウスですから、基本的に丈夫です。繁殖を狙わずに、ただ飼育を楽しみたいと言うのであればグッピーやネオンテトラと一緒に飼育したって何の問題もありません。そこで、今日は飼育の第1回目として観賞に主目的を置いた飼育方法について解説してみましょう。 先ず、飼育容器は20cm角程度のものを用意しましょう。もちろん、大きい分には3mでも10mでもOKです(笑)。水底には、砂利を敷き好みの水草を植えてレイアウトしてください。ちょうど、冒頭の写真は20cm角のオールガラス水槽にN.ラコビーのオスだけを複数入れて飼育している状態です。フィルターは、どんなものでも構いませんが余り水流が強い環境を好まないので、水流は弱めに調整しておきます。 飼育において一番気になるのが水質だと思います。しかし、ごく一部の飼育難種を除くとノソブランキウス属の魚達は水質に敏感じゃありません。どうも、我が国では卵生メダカは水質に敏感で、チョットでもあわない水質ではすぐ死亡するとか、水替えは極力しちゃいけないとか、うるさい事言いすぎだと思いますね。現に、旧東ドイツで温室を見せてもらった卵目ブリーダーも、バンコクの養殖業者も、120cmくらいの大きな水槽にそれこそ500尾位のノソブランキウスを収容し、バカバカ餌を与え毎日のようにジャブジャブ水替えしてます。そんな彼らに、日本の飼育方法を教えると、きまって馬鹿にしたように鼻先で笑われます。そして、少なくとも我家ではノソブランキウスは塩素中和した水道水で飼育して何の問題も発生してません。結論から言えば、ノソブランキウス属の魚は塩素中和した水道水で飼育して何の問題も無いと言う事です。ただ、日本全国の水道水がすべて我家の水道と同じ水質では無いと思うので、そこが少し心配ですが人間の飲料に適した水なんですから大丈夫でしょう!(笑)。また、以前も何かで書きましたが、水道水は塩素中和だけでなく重金属も無害化する効果のあるコンデイショナーで中和したほうが無難だと思います。別に、卵生メダカに限らずですが・・・。 それと、塩素中和した水道水で飼育して何の問題もないのですが、出来ればそこに少々粗塩を入れて置くとさらに良いでしょう。粗塩とは、精製塩ではなくにがりなどの成分も含んだ塩の事で、スーパーなどで「博多の塩」「赤穂の塩」などの名称で普通に売ってます。分量は水1リットルあたり1g程度を目安にしましょう。塩の分量は、あまり神経質になる必要はありませんから気合でエイッとぶち込んでください(笑)。この飼育水に粗塩を溶かすと言う行為には主に2つの目的があります。一つは、前述のようにノソブランキウス属は海岸線近くに生息しているので、生息場所も多少海水の影響を受けているのでしょうか?どちらかと言うと弱アルカリ性から中性付近の水質を好みます。粗塩を入れることで、水中にカルシウムやマグネシウムが溶出し飼育水の硬度やPHを心持上げてくれるという訳です。そして、もう一つの目的がコショウ病の予防です。どう言う訳か、ノソブランキウスはコショウ病に罹り易い傾向にあります。まぁ、ベタも同じなんですがこのような魚を飼育する際に、飼育水に多少の塩を溶かしておく事で病気の予防にかなりの効果が見られます。 水温は25~30℃位のやや高めの水温を好みます。今まで我が国では30℃を越える高水温はノソブランキウスにとって害があるというのが通説になっていたのですが、今回バンコクの卵目ブリーダーを訪ねて、彼の温室では32℃以上の高水温であった事から少々考え方が変わって来ています。少なくとも、30℃以上の高水温でも、まったく問題なく飼育可能だし、繁殖もバンバン成功させているんですか。でも、取り合えず夏場にむやみやたらな高水温になるような飼育環境は避けておいたほうが無難でしょう。 餌に関しては、生き餌や冷凍アカムシがベストでしょう。ただ、人工餌を食べないと言う訳でもなく、バンコクの養殖業者の所ではセラ社の顆粒フードを親魚のメインフードに使ってました。様々な事情で、冷凍アカムシ使えない方は一度お試しあれ!ただ、生き餌や冷凍アカムシしか食べた事の無い個体は、最初の内はなかなか人工餌に馴れてくれませんから、根気良くそして少量ずつ与える事が大切です。 また、卵生メダカとしてはアフィオセミオン属に較べると温和なので複数尾を同時飼育したり、他の熱帯魚と一緒に飼育する事も可能です。この場合、コミュニティタンクにありがちなのですが、あまりに多数の魚を収容する事で水が汚れPHが酸性に大きく傾く事があります。弱アルカリ性から中性の水質を好むノソブランキウスにとって、あまり酸性に傾いた水質は好ましくありません。水替えをサボらないようにして、飼育水を絶えず中性付近にキープする事がノソブランキウス混泳成功のカギだと思います。それと、飼育水1リットルあたり1g程度の塩分濃度はグッピーやネオンテトラなどにとってまったく害はありませんから心配無用です。 さて、あまり1日でどんどん解説を続けてしまうとブログの文字数が莫大なものになりますから、今日はこの辺で(笑)。明日は、水替えの仕方と繁殖を見据えた飼育方法について解説します。それと、卵生メダカもおさかな逸品堂をよろしくって書くように厳命されましたので、一応今後ともよろしく(笑)
2006/08/04
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キングクラウン ダンボと並び、最近になって登場した新たな品種で、クラウンテールの尾ビレのフィラメント状に伸長する部分が、上下互いに交叉するタイプの事です。たぶん、「王様の王冠」と言う意味じゃなくて、「クラウンテールの王様=King of Crowntail」って言う意味のネーミングなんだと思います。 個人的にも興味ある品種なのですが、作出が難しいようでダンボの様に瞬く間に普及と言う訳には行かないようです。私の知る限りでは、安定してキングクラウンを生産しているブリーダーはバンコクに一人だけ。彼のキングクラウンは基本的に「ブラックカッパー系」です。もちろん、彼としても色んなカラーリングでキングクラウンを作ろうと日夜努力を重ねているようですが、今の所他のカラーリングのキングクラウンはうまく作り出せていないようです。 私自身が試した訳ではないので確証はありませんが、そのブリーダの話によるとキングクラウン同士の交配でも次世代にキングクラウンが出現する確率はかなり低いとの事です。従って、キング×ノーマルの子供は間違いなく「キングクラウンじゃありません」。更に、次世代以降に関しても、どうしても片親をキングにする必要があるため、結局は「ブラックカッパー系品種」に逆戻りと言う事のようです。 まぁ、ショーベタブリーダーの方ならご理解いただけると思いますが「トラッド系の素晴しいカラーを移植する為に、ハーフムーン×トラッドの交配を」って言う試みが、如何に不毛な努力に終わってしまうかみたいなもんです。 今後安定したキングクラウンの生産の為には、「キングクラウンのメス」の見極めがポイントなんじゃないでしょうか。実際にブリーダーのファームにも行きましたが、彼は物凄い数のペアリングを行い、その中からキングクラウンの形質を持った個体を選別すると言うスタイルを採っていました。しかし、オスはまぁ誰が見てもキングクラウンを種親にチョイスできますが、メスの方はキングクラウン同士の子供の中から、意外と無造作に選らんで用いているような気がしました。個人的には、メスの選択こそ最重要ポイントだと思うんだけどなぁ。でも、そのブリーダはプライド高そうなんで、余計な事進言すると彼の機嫌を損ねちゃいそうですし、今の所メスは門外不出なんで自分で試してみる訳も行かず・・・。まぁ、そのうち彼か他のブリーダーからキングクラウン系のメスを入手して、自分で試してみたいと思います。
2013/08/28
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シーモンキーの飼い方?ブラインシュリンプその3 さてさて、皆さんの中にわざわざブラインシュリンプ育ててシーモンキー飼育を楽しみたいと言う方がいるかどうかは別として、今回は普段は孵化した途端に餌と化してしまう哀れなブラインシュリンプの飼い方講座ぁ~♪ ブラインシュリンプ、つまりアルテミア・サリーナ(Artemia salina)を孵化させる方法は前回紹介したのでその通りにすればよいとして、ここでいくつかのポイントがあります。まず、塩分濃度ですが餌として用いる時は2~3%程度の食塩OKと書きましたが、不思議な事に塩分濃度は薄めの方が稚エビ(正確にはノープリウス幼生)は早く孵化するようです。ところが、そのまま育成をしたいのであれば塩分濃度は濃い目にしておいた方が良い結果が出ます。なぜそうなるのかはよく判りませんが、とにかくシーモンキー飼育を楽しみたいのであれば、はじめから水1リットルあたり35g程度の粗塩を溶かしておく事をお薦めします。 それと、飼育するのであれば、大量の稚エビを孵化させる必要はありません。逆に、あまり大量の稚エビが一度に孵化すると、酸欠や水質の悪化で1~2日程度で全滅しちゃいます。1リットルのボトルで飼育するのなら50匹も孵化してくれれば十分です。また、極少量を孵化させるので、エアレーションなども必要ありません。さらに、一刻も早く大きくしたいっ!と言うのでなければ水温も20℃以下でも大丈夫! 孵化させる事自体は餌用に用いている時と同じなので問題ないとして、最大のポイントはブラインシュリンプの餌でしょう。自然界ではこいつらは水中に漂う植物プランクトンを摂取しています。したがって、飼育水の中にこのような植物プランクトンが発生していれば申し分ないのですが、特にセットしたばかりの水槽ではその期待も出来ません。そのような時には、人間様用のクロレラの錠剤を細かくすりつぶして、極少量を与えてください。また、本格的にやらない時がすまないっ!って言う方には、養殖用餌料を扱っている業者から生クロレラを購入する事も出来ます。こちらは、はじめからブラインシュリンプやワムシ、ミジンコの育成用とうたっており、1ヶ月程度であれば冷蔵保存も可能です。・・・ただ、問題なのはあくまでも業務用なので、容器が馬鹿でかい事です。うっかり、冷蔵庫にでも保管しておくと青汁と間違えて、飲んじゃう家族もいるかもしれません(笑)。まぁ、飲んだって体に毒って事はないですけどね。 我が国では、ブラインシュリンプを大きくしようって言う殊勝な奴はあまりいないのか(笑)販売されていませんが、さすが観賞魚先進国のヨーロッパではちゃんとブラインシュリンプのための餌が販売されています。2番目の画像の商品はその一つで、おそらくはクロレラかスピルリナの粉末が主成分なのでしょう。エライッって感心すべきなのか、暇だね~ってあきれるべきなんでしょうか??うーん・・・(笑) ところで、最近海水魚の繁殖を楽しむハイレベルのマリンアクアリストの中には、ブラインシュリンプに高度不飽和脂肪酸を含有した粉末を食べさせて、それを海水魚の餌にする人がいます。これは、ブラインシュリンプや人工餌では不足しがちな海水魚の必須脂肪酸を強制添加するために、ブラインシュリンプを動くカプセルとして使っている訳です。ただ、このパウダーはあくまでも海水魚に必要な栄養を補給するための添加剤なので、ブラインを飼育するんだい!って言う方は、わざわざここまでのものをそろえる必要はありません。クロレラの粉末で十分用が足ります。 水温や栄養状態によりますが、孵化後3~4週間もすれば、ブラインシュリンプは冒頭の写真の如く、なつかしのシーモンキ~に大変身してくれます。でも、改めてよく観察してみると別に可愛くもなんともない気がします。こうして、子供の頃の夢がまた一つ儚く消えていくんですね~(涙) それと、ついでですがブラインシュリンプの雌雄は、成体の頭部を見れば一目瞭然です。鼻?がゾウみたいに肥大化してる見るからに化け物っぽい奴がオス、比較的控えめな頭の形状なので少しはまともな生き物に見えるのがメスです。
2006/10/10
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今日からベタの品種名解説は「ドラゴン系」に進む事にしましょう。「ドラゴン」とは今日の画像の個体のように、鱗の大部分を白銀色の金属光沢のある大きな輝点が覆っており、その有様が我々の想像する所の「龍の鱗」みたいな感じだから、と言う事で付けられたネーミングです。まぁ、なかなかナイスなネーミングセンスと言えるのではないでしょうか。 品種としての登場はずいぶん前になりますが、当初はレッド系つまりは「レッド・ドラゴン」のみでしたが、次々とドラゴン系品種の作出がなされ、「地色+ドラゴン」と言う品種名で親しまれています。チョット思いつく限りでも「ブラック・ドラゴン」「イエロー・ドラゴン」「オレンジ・ドラゴン」辺りが上げられます。 この系統の特徴はボディは地色一色に染まっており、その上にベカベカに輝くドラゴンスポットが並ぶといったものです。その証拠に何らかの拍子でドラゴンスポットのある鱗が剥離すると、ちゃんと地色が顔を覗かせます。 どちらかと言えばドラゴンスポットの存在は優美と言うよりは精悍なイメージなのか、ブラック・レッド辺りの方が、淡い配色のイエロー・オレンジよりも人気が高いようです。
2015/03/15
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どうもメラノタエニア属のレインボーはドイツもコイツも体長10cm前後にまで達する奴らばかりで我が家の水槽にはでか過ぎるとお嘆きの諸兄に耳寄りの情報、ではなくて(笑)オススメの種類がいます。その名はネオン・ドワーフ・レインボー(Melanotaenia praecox)。コイツは成長してもせいぜい体長5cm止まりなので45cm位の水槽でも十分群泳楽しめます。しかも、色彩的にも非常に華やかで言う事なしのレインボーです。 元々繁殖の容易なレインボーで、小型で美麗種とくればブリーダーが手がけない筈も無く現在入手できるほとんどすべての個体が養殖個体です。市販されている時はまだ若魚である事が多く、色彩面ではパーフェクトな発色を見せていません。ちなみに、今日の画像の個体もまだまだこの魚本来の色彩から見れば地味~なもんです。成熟したオスは、ボディのメタリックブルーがよりいっそうギラギラ輝くばかりか、各ヒレが真っ赤に縁取られるようになりそれは見事なものです。・・・唯一の欠点を除けばね(苦笑)。 その唯一の欠点と言うのが、この魚は成熟するとメラノタエニア属の短所?(少なくとも私にとって)である体高が異様に高くなるのです。つまり背中が不自然と思えるくらいに盛り上がってきちゃうんです。以前も書いたように、私個人的にその手の体型が大の苦手でして(笑)。 まぁ、その点を我慢できる方(笑)であれば、サイズと言い色彩面といいそして飼育の容易さと言いさらには温和で協調性があることなどまったく申し分のない観賞魚と言えます。餌は人工餌でも喜んで食べてくれますからその点もまったく心配いりません。 ちなみに、この魚は繁殖も容易です。ビジネスとして大量繁殖させるのはともかく、趣味のレベルでの繁殖ならばメダカの繁殖させた事がある人ならば誰でもOKのレベルです。オスメスはその体色で簡単に判別できます。2枚目の画像の下の個体がオス、上の地味目の方がメスです。もう少し詳しく解説すると、ボディにべったりメタリックブルーが載る個体はオス、またヒレが赤く染まるのもオスです。メスはボディにはライン状か痕跡程度にブルーが存在し、ヒレもせいぜい淡いオレンジ程度にまでしか染まりません。 水草の繁茂した水槽でこの魚だけ飼育していれば、そのうち嫌でも(笑)水草に透明な卵を産み付けます。卵はメダカの卵のよう表面にある粘着質の糸のようなもので水草にしっかり絡まっています。この魚はあまり自分が産んだ卵を食べませんが、それでも見つけ次第取り出して別の容器に収容した方が確実です。受精卵は水温にもよりますが2週間もすれば孵化します。孵化した稚魚は小さいのですが、メダカと同じようにそのまましばらく放っておいても(笑)水槽内の微生物を食べて生きてますから、ある程度のサイズになったら粉餌を極少量与えれば十分です。もちろん、孵化後数日してから孵化直後のアルテミア幼生を与える事が出来れば申し分ありません。 まぁ、上記のように成熟したオスの体型さえ許せるなら(笑)、メラノタエニア属レインボーの入門魚としては申し分のない魚と言えるでしょう。
2008/01/25
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今日のアップはキャリスタス(Hyphessobrycon callistus)です。アマゾン河流域に生息する体長4cm前後のカラシンで、全身が鮮やかなピュアレッドに染まります。また成熟した個体では、各ヒレの先端が白く縁取られより一層艶やかな姿になります。 しかもキャリスタスはすごく丈夫です。普通に飼育してれば、どうやったら死んじゃうの??って言うぐらい(笑)。さらに、東南アジアで盛んに養殖されているために、価格面でも非常にお買い得!それなのに、キャリスタスはあまり人気がありません(苦笑)。理由は??もうお判りだと思いますが、このてのカラシンにありがちなパターンですが、とにかく性格がキツイ!複数匹を同時に飼育していると、ヒレ先が千切れていない個体を見つける方が大変なくらいです。しかも、この性格は同種にだけ向けられるのではなく他種や水草だって攻撃の対象となってしまいます(涙)。 色彩的にはレッドファントムやクリスタルレッドテトラなんてアウト・オブ・眼中!!なのに、残念な事です。でも、60cm水槽辺りにアマゾンソードでも植えて、その中に本種を群泳させるとすごくゴージャスな眺めなんですけどね~。一度、キャリスタスを飼育して懲りてしまったアクアリストはもう二度と見向きもしないでしょうね~(苦笑)。 それでも、需要はあるようで前述のように東南アジアから大量に輸入されてきます。しかも、ロングフィンタイプや全身が金赤に輝くゴールデンタイプなどの改良品種も作出されています。さかなおやじの周りには、キャリスタス飼育してる奇特なアクアリストなんて皆無なのに、大量に輸入されたキャリスタスは一体どこで消費されているんでしょう?うーん、不思議です!そして、裏読みするとすごく恐ろしいです・・・ 私も決して大好きな魚ではありませんが、以前ワイルド個体が輸入されて来た事がありました。この時のワイルド個体の色彩と来たら・・・。今までのキャリスタス感が払拭されてしまうほどの、壮絶な色彩を持った魚でしたよ。あそこまで綺麗なら、少々性格悪くても我慢できます。ほら、人間だって同じじゃないですか!すごく美人なら性格悪くても周囲は許してくれるみたいな・・・(笑)。残念ながら、養殖のキャリスタスにはそこまでの魅力は無いですけどね~。
2005/12/30
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今日のアップ第一弾はベタのメスについてです。皆さんはどうやってベタの雌雄を区別しているのでしょうか?よく書籍などではヒレの長いのがオスでヒレの短いのがメスとあっさり終わらせてますが、実際にはそれほど簡単ではありません。この判別法ではプラガットと呼ばれるヒレの伸びないタイプのベタのオスをはじく事が出来ません。また、体色もベタは比較的雌雄差が少ない魚なので判別方法としては使えません。 さかなおやじはいつも以下の3点に着目してベタの雌雄を判別します。◆尾ビレ、尻ビレが大きくそして長く伸長しない事。 これで、プラガット以外の雌雄をほぼ判別する事が出来ます。◆背ビレの幅が狭く、長く伸長しない事。 特に背ビレが人間の親指を折り曲げたような形状の場合、確実にメスです。◆鏡を見せた時、たとえフレアリングしてもエラ蓋を広げない事。 エラ蓋を広げて相手を威嚇するのはほぼ100%オスと思って間違いないでしょう。 ちなみに、一番上の写真のダークイエローの個体は上記の3点すべてにメスの特徴を示しています。上記3点に着目するだけで、かなりの確率でベタの雌雄を判別する事が可能だと思います。 さらに、繁殖期が近づくとメスは輸卵管が白く突出したり、下の写真のレモンイエローの個体のように卵が白く透けて見える事などからより容易に雌雄の判別が可能となります。 一番困るのが下の写真のような個体です。このマルチカラーの魚は一度繁殖に使った事があり確実にメスなのですが、最近とみにオス化が進んでいます。鏡を見せるとフレアリングまでするようになったので、おそらくもう繁殖には使えないでしょう。それでも、エラ蓋を広げて相手(鏡に映った自分自身)を威嚇する行為はしないため、上記3点の判別方法はここでも有効です。 さらに事態を混乱させるのがメス化したオス、いわゆる「根性なしのオス」の存在です。こいつらは、他のオスの攻撃を避ける為なのか、各ヒレもあまり伸長せずメスとの区別が結構困難です。ところで、「オス化したメス」と「根性なしのオス」を同一水槽に入れるとどちらが勝つのでしょうね?まぁ、和田アキ子vsカバちゃんみたいなものなので、結果は考えるまでもないと思われますが・・・(苦笑)
2005/06/22
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) 「黄金色に輝くベタ」と言えば、それはもう間違いなくゴージャス・・・な筈なんですが、現時点での改良ベタの「ゴールド」は、残念ながら本物の金色という訳には行きません。どちらかと言えば「金粉を吹き付けたイエロー」といった感じの発色です。おさかな逸品堂でご購入いただいた後のクレームと言うかお問い合わせいただくカラーリング栄えある1位なのが、実はこの「ゴールド」です。 「ゴールドって言うからには、もっとキラキラしてるんだと思ってました」と言った感じのお問い合わせが結構あります。なかには「この程度の発色でゴールドって名乗るから勘違いしちゃった」と言うお叱りも頂戴しますが、ベタの「ゴールド」はあくまでも金色ではなく、品種名ということでご理解を賜れば幸いでございます(苦笑)。 本当ならば「シルキーイエロー」とか言うネーミングにすべき所だと思います。実際に「シルキーホワイト×イエロー」の交配で「ゴールド」を得る事が出来ましたから(少なくとも私のところでは)、この品種のキラキラ感は「シルキー」由来と考えてよいのではないでしょうか。ただ、この「シルキーホワイト×イエロー」の交配は一度しか経験がありませんから、種親がどのような遺伝形質だったのかの確証がありませんし、種親自体自家繁殖の系統ではなくバンコクで仕入れた個体ですから、この両親の組み合わせでかならずゴールドが生まれる事を保証するものではありませんからお間違いなく。 もっとも、「ゴールド」は現時点ではオスメスともに入手が可能なので、この両親で交配すればほぼ間違いなく子供世代はすべて「ゴールド」になるはずです。ちなみにこちらは、過去に3回ほど自分で試していますので、かなり信憑性はあるのではないかと思われます。
2014/03/13
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今日のアップはゴールデンハニードワーフグーラミィーです。この魚はアジア原産のハニードワーフグーラミー(Colisa sota)の改良品種で、クリームイエローのボディの後半部分が鮮やかなオレンジに染まり、体長が4cm前後と小型でしかも温和な事から中々人気があります。 飼育は容易で、水質などに特別な配慮は必要ありませんが、本来沼や池などの止水に生息する魚なので水温は高目を好みます。また、あまり強い水流を起こすフィルターは不向きかもしれません。エサは人工餌でもよく食べてくれますが、どちらかと言えばフレークよりも顆粒タイプのエサを好むようです。 繁殖も容易で、成熟したペアを小型水槽やプラケースに入れておけば簡単に産卵します。産卵はオスが水面に作った泡巣で行われるため、水面には泡巣を作りやすいように水草を浮かべるとよいでしょう。また、せっかく作り始めた泡巣が崩壊するのを防ぐ意味でも産卵期間中はエアレーションやフィルターは止めておいたほうが無難です。この魚はベタほどオスがメスをひどく突きまわさないので、産卵終了後もメスを同じ水槽に収容しておく事も可能です。ただ、孵化した稚魚が遊泳を開始したら、両親ともに水槽から取り出します。ここまでは非常に簡単な魚なのですが、孵化した稚魚は非常に小さく、はじめから孵化したてのブラインシュリンプを食べる事が出来ません。したがって、通常は水槽内に自然発生したプランクトンに頼る事になりますが、数日後にはブラインシュリンプOKとなりますのでそこまでの辛抱です。このような方法でも10匹くらいの子供は十分得る事が出来ますが、ゾウリムシなどのインフゾリアを人工培養しているならば、一度に100以上の稚魚を得る事も難しくはありません。 観賞面から言っても十分魅力的なハニードワーフGですが、実はもう一つ隠れた特技?を持っているのです。それは彼らが水槽内に発生するヒドラを食べてくれると言う事です。皆さんはヒドラを御存知でしょうか?一言で言えば「淡水イソギンチャク」ですな。こう書くと「えっ、淡水イソギンチャク?一度見てみたいっ!」などという人も出てくるでしょうが、現物は期待するほど美しいものではありません。ただ、紛れもなくイソギンチャクなので稚魚や稚エビなどは捕獲されてしまう恐れがあり、水槽管理者にとっては招かれざる客です。また、グッピーマニアのように大量のブラインシュリンプをエサに与えている水槽では、水底にじゅうたんの様に猛繁殖するケースもあり、こうなるとただただ不気味です。 ハニードワーフグーラミーは、この水槽内の嫌われ者ヒドラを食べてくれるのです。ただ、好んで食べているようではなく、他においしいエサが豊富にある時はヒドラなんぞに目もくれません。彼らがヒドラを啄ばんでいるところを観察すると、口に入れた瞬間、ヒドラの触手に刺されているらしく、ビクッと体を震わせたりしているのですから、出来れば彼らも口にしたくはないでしょう。したがって、水槽内のヒドラを駆逐する目的でハニードワーフGを使う場合は、しばらくの間エサを与えないようにする必要があります。また、ヒドラの他にもヒルやミズミミズも食べるようです。 そういう訳で、さかなおやじの温室のハニードワーフ達は、定期的に水槽から水槽へそれこそ旅がらすの様に終わりのない移動を続けているのでした。御苦労様です・・・。
2005/06/14
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昨日紹介したところ、非常に反響が大きかったので少々驚きました。でも、反応があるって事は、ビジネス的に可能性が高いって事でもある訳で(笑)、結構嬉しかったりします。ところで、昨日のブログにてフレッシュウォーター・ブラインシュリンプってホウネンエビでは?と言うお問い合わせをいただきました。ハイッ!そこのあなた正解です!!(笑)。淡水ブラインの正体は、我が国の田んぼなどで見かける事の出来るホウネンエビだったんですね~(笑)。 ホウネンエビの仲間(Branchinella spp.)は名前の通りエビの仲間で、ブラインシュリンプ(Artemia salina)とは非常に近い種類です。我が国ではかつては水田などで普通に見られたようですが、最近は農薬の影響なんでしょうか?見かける事が少なくなってきました。昔の人は、このエビが水田に大発生するとその年は稲が大豊作だと言う言い伝えを信じており、そこからホウネンエビ(豊年エビ)と名付けたようです。海外にも何種類か存在するようで、英名はFairy-Shrimpつまり妖精エビと言うかなり名前負けするような(笑)素敵な名前が付けられてます。 ホウネンエビは自然界では初夏の田植えの時期に出現します。これは、休耕田に田植えのために水が引かれた事により、前年度に生みつけられた休眠卵が孵化して来る事によります。孵化したノープリウス幼生はサイズこそ小振りですがブラインシュリンプのそれにそっくりです。幼生は植物プランクトンなどを食べてメキメキと成長し、孵化後2週間もすれば親になります。冒頭の画像は生後10日ほどのホウネンエビですが、ちゃんとこまめに餌を与えていないせいか(苦笑)やや成長が遅いようです。完全に成熟すると全長は2cmを越えるのでブラインシュリンプよりも一回り以上大きなサイズにまで育ちます。画像の個体はまだ未成体なので体色が淡いのですが、成体はボディはうっすらと綺麗なブルーに染まったガラスのような透明、そして尾の部分がかなり鮮やかと言うか結構どぎついショッキングピンクに染まります。 ホウネンエビは自然界では孵化後約1ヶ月くらいの間に、成長し次世代を休眠卵の形で産卵しその一生を終えますが、なぜか飼育下ではもう少し長生きするようです。今回、我が社(笑)で販売しようとたくらんでいるのはこの休眠卵なのですが、通常は1年の極限られた時期に極少量しか採取できない休眠卵を通年安定して大量に採取できるようにした所がポイントでして、その方法は・・・ってここからはノーコメントでお許しくださいね(笑)。まぁ、大学院での研究材料がミジンコだった男ですから、この方面に関してはプロまでは行かないにしてもプロもどき(笑)位の知識はあるはずですからね~。 ところで、全長がブラインよりも大きくて見た目もはるかに綺麗!しかも淡水で飼育できるとあればこれはもうフレッシュウォーター・ブラインシュリンプ自体を愛玩動物としちゃうしかないっ!と言う訳です。実際、ブラインの方はシーモンキーだったりエビ伝説だったりしてすでに販売されている訳ですから、観賞面から考えればあらゆる面でブラインの上を行くと思われるこのエビが商品化出来ない訳がないっ!・・・と言う訳で、こちらの方もすでに国内の某玩具メーカーと商談が進んでおります。 でも、ここまで皆さんに披露しておいてお預けって言うのも酷い話なんで(笑)、愛玩用フレッシュウォーター・ブラインシュリンプを若干ですが皆様にプレゼントしようかな?と企画しています。実は、この企画があったのでブログ30万HITのキリ番プレゼントとかやらずに素通りした訳なんです。詳しくは悪夢のイギリス出張が終わってから考えますが、昨年の世界最大級のオオミジンコ無料頒布会(笑)に続く、キワモノ生物プレゼント企画の第2弾と言う事で、御期待ください! そう言えばどうも、日頃このブログを見てくださっている皆様の間には、私が仕事には余り熱心でない趣味にばかり目を向けているお気楽オヤジだと言う認識が強いみたいですが(笑)、さかなおやじだってやる時はやるんです!!・・・でも、なぜかこの商品を持ち込んだあらゆる会社の担当者に君はいいよね~、好きな事やって暮らしてるんだからって言われるのは何故?ほわぁ~い??
2006/11/22
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今日のアップはゴールデンアカヒレです。「日本アカヒレ擁護協会シリーズ」の第3弾という訳です。生き物の皮膚には色素胞と呼ばれる細胞が散在し、その中にある色素によって黒色素胞・黄色素胞・赤色素胞・白色素胞・虹色素胞の5つに分類されます。生物の体色は、これら5つの色素胞の配分によって決まっているわけです。例えて言えば、パレットの上にこれら5色の絵の具を混ぜ合わせて色々なカラーを作り出すようなものです。もっとも、実際にはすべての色素胞が一つの層に存在する訳ではなく、何層かに分かれていますのでイメージとしては絵の具を混ぜ合わせると言うよりは、何枚かの半透明のセロファンを重ねて色を作り出していると言う方が正しいかもしれません。 ゴールデンアカヒレはそのうち黒色素胞の中にある黒色素(メラニン)が欠乏している(もしくは少ない)突然変異を固定して作出した改良品種です。従って、アカヒレ本来の体色から黒いカラーを取り除いたオレンジや赤色が目立つ体色になっています。ゴールデンタイプは魚類の改良品種では決して珍しいものではなく、ヒメダカなども同様の原理です。 この体色の原理を利用すれば、あらゆるカラーバリエーションを作出出来そうな気がしますが、実際にはそれほど話は簡単ではないようです。例えば、エンゼルフィッシュやメダカには元々、赤色素胞が存在しないためどの様に改良しても本当の意味でのレッドエンゼルや真っ赤なメダカは作り出す事が出来ないとされています。アカヒレのカラーバリエーションとして今後作り出される可能性があるのは、アルビノ・ホワイト・ブルー(うっすらと青い程度)でしょうか? ゴールデンアカヒレと言っても、体色以外はノーマルタイプと同じであるため、飼育や繁殖に関してはまったく同様です。また、ゴールデンとノーマルタイプの掛け合わせもまったく問題なくできます。ただ、この掛けあわせで生まれてくる子供たちは汚れた感じのゴールデンと言った感じになってしまうので、できればゴールデン同士で子供を採る事をお奨めします。 ゴールデンアカヒレをノーマルタイプより美しいと見るか否かは人それぞれだと思いますが、ショップで見かけるゴールデンはまだ幼魚である事が多いので、本来の体色がここまで鮮やかだと御存じない方も多いのではないでしょうか。色素欠乏だの何だの、難しい話はさておきゴールデンアカヒレとノーマルタイプを水草レイアウト水槽に混泳させると、結構華やかな雰囲気を演出する事が出来ますよ。
2005/07/17
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今日は昨日に引き続きチョコレートグーラミィに関しての話題です。さすがに、隠れた人気魚種だけあって昨日のブログに対するコメントもほとんどがチョコグラに対して肯定的なものばかりでしたね~。確かに、外見も動作もほんとに可愛いですからね、こいつら。 ところで、チョコグラについては最近ある疑惑が生じています(笑)。一度は昨日、この話題も一緒に書いたのですが、あまりに文字数が多くなりすぎたので2回に分けることとなりました。チョコグラに関する疑惑、と言うか謎なんですが要するに産卵後卵を咥えるのはオスメスどっち?と言うものです。昨日、メスが咥えると書いていて今更なんだっ!と言う声が聞こえてきそうですが、皆さんにもわかるように説明していきましょう。 チョコグラのオスメスは成熟した個体ならば可能な事は昨日も書きました。そして、尾ヒレの上下や尻ヒレの先端がベージュに縁取られる個体がオスだとも書きました。しかし、最近になってこの色鮮やかでやや大柄な個体の方が実はメスではないかと言う話が浮上してきたのです。キッカケはチョコグラの近縁種バイランティが我が国に輸入されるようになった辺りからでしょう。このバイランティという魚は妙な事に、メスの方が断然色鮮やかな色彩をしています。そして、バイランティでは地味なオスのほうが卵を咥えるのです。 実は、マウスブブルーディングという口内保育を行うベタの仲間ではチョコグラを除くすべての種類でオスが卵を咥えて保育します。じゃあ、なんでチョコグラだけが?と言う事は以前から謎とされていました。でも、確かに我家でも数回チョコグラが卵を咥えていますが、卵を咥えたのはやはり全部メスでした。うーん、不思議だ・・・。と、そこに、バイランティという近縁種が輸入されメスのほうが断然綺麗という事がわかって、やっぱりチョコグラおかしいじゃん!(笑)となってきたわけです。 そこで、誰ともなしに言い始めたのがチョコグラって色彩鮮やかな方がメスなんじゃない?と言う仮説でした。ただ、メスの方が色彩鮮やかなだけと言う事ならば確かにバイランティだけでなく他の魚でも見られるケースです。だいたい、美しいなんて基準は人間の眼で見た基準に過ぎませんから(笑)。ただ、チョコグラの場合は色彩鮮やかな個体は尾ビレの上下端などが長く伸びたりどう考えてもオスであるべき性徴を示してるんですよ!うーん、個人的にはオスの性徴を表している以上体色鮮やかな個体がオスだと思ってますが、そうなるとなぜチョコグラだけメスが卵を咥えるのかという謎が残っちゃうし・・・ 我家での繁殖はすべて平日の日中に行われたため、私が帰宅した時にはすでに体色の地味なメスらしき個体が卵を咥えた後でした。つまり、産卵の現場は押さえてません(笑)。仮説が正しいとすれば、この地味めな個体はオスという事に・・・。うーん、どなたかこの謎にチャレンジしてみませんか?みんなでチョコグラ飼育して観察を続ければ、誰か一人ぐらいは産卵の瞬間を目撃できるでしょう。その時、卵を産むのは果たしてどちらの個体なんでしょうか?体色の鮮やかなどう見てもオスとしか見えない個体の方なんでしょうか?・・・と言う事で、よろしければ本日もブログランキングにご協力のほどお願い申し上げます。合言葉はぁ~!熱帯魚のブログが犬猫のブログ蹴散らしたっていいじゃん!
2006/04/16
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今日のアップはダニオ・エリスロミクロン(Danio erythromicron)です。この名前聞いて、えっと思った方は結構マニアですな(笑)。確かにしばらく前まで、以前紹介したエメラルドグリーンに輝く美麗種ミクロラスボラ・クボタイと一緒にミクロラスボラ属に分類されてましたから。それが、再検討されてダニオ属に移ったと言う訳です。もっとも、飼育するのに学名なんて何の役にも立ちませんから(苦笑)無視して構わないのですが、学名オタクからのツッコミがあると嫌なので一応・・・(笑) そんな七面倒くさい話は抜きにして、ミャンマーに生息するこの体長2cm足らずの魚は、体のブルーが本当に綺麗です。同種間では少々小競り合いをするものの、まずは温和な魚と言ってよいと思います。 以前は軍事政権下でほとんど鎖国状態だったミャンマーも少しずつその門戸を開放し始めたため、幻の魚だった、エリスロミクロンやレッドフィンレッドノーズなどミャンマー固有の美麗小型種が輸入されてくるようになったのはアクアリストとしては嬉しい限りです。ただ、そこで獲得した外貨を使って軍事政権が権力維持をしており、結果的にスーチー女史の軟禁につながっているかと思うと、少々複雑な気持ちになりますけど・・・ そう言った政治がらみの話はさておき、エリスロミクロンを上手く飼育するにはいくつかのポイントがあります。一つ目は水質について。大体においてラスボラやテトラの多くは弱酸性の軟水を好みますから、この魚も・・・と思っていると大間違い!(笑)。一般的にミャンマーの魚はどちらかと言えば中性から弱アルカリ性の水質を好みます。したがって、水換えをサボり気味の酸性に傾いた水質では、この魚を上手く飼育する事が出来ません。 第二に、餌について。この魚はあまり人工餌を好まないようです。特に、フレークフードなどは一度口に入れても吐き出してしまう事がほとんど。ここは、ブラインシュリンプを与えるか嗜好性の高い顆粒状の人工餌を用意してやりたいものです。また、肥満しやすい傾向にあるグローライトテトラや昨日のペルビカと正反対に、どちらかと言えば痩せやすい傾向にあります。ショップなどで見かける個体の多くの腹がへこんでいるのはその為です。対策としては、良質の餌を一日数回に分けて少量ずつ与えることでしょうか? 第三のポイントとしては、この魚は異常に臆病でちょっとでも異常を感じると水草の中に隠れてまったく出てこようとはしません。人の出入りが激しい場所などでは、怯えて餌を食べる事も出来ずそのまま餓死コース一直線と言う事もありえます(苦笑)。実は、今回この魚を撮影する際にも「この根性なし!」(笑)には泣かされました。水槽の前に立ってカメラを構えると、まったくと言ってよいほど姿を現してくれません。最後には、半ばぶちきれた私が水槽内にアピストのペアぶち込んでやりました。アピストのペアが、水草の陰に縄張りを持つようになると、必然的にエリスロミクロンはそこから追いだされると言う訳です(笑)。したがって、今回エリスロミクロンは決して気持ちよくモデルやってないと思います!(爆笑) そんな、飼育上の問題点の多いエリスロミクロンですが綺麗に発色したオスの個体を眺めているとそんな苦労なんてどこかに吹き飛んでしまいます。万人向けとは言いませんが、ちょっとマニアックな趣向の小型水槽造りたい人にはお奨めの美麗種です。
2005/10/13
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さかなおやじは、魚の飼育の他に多肉植物も楽しんでます。そのきっかけとなったのが今日紹介する、セダム達。と言ってもショップで購入してきたのではありません。道端や野原にはえているのを見つけると、一枝切り折って来て庭の隅に植えておいたものばかり。ですから、ショップで購入するエケベリア属などの多肉植物と比較すると美しさでは少々劣りますが、そのそれぞれに採集時の思い出があるので楽しいのです。 「ああっ、このセダムは下田の別荘近くの海岸で見つけたんだよなぁ。あの時は、下の息子が岩場で転んで足を切って近くの病院に担ぎこんだっけ・・・」とか(苦笑)。現在までのところ、「道端セダムシリーズ」は5種類が集まりましたが、これからも事ある毎にコレクションを充実させて行きたいものです。 でも、「道端シリーズ」(笑)充実させるのも結構大変なんですよ。まず、間違えて人様が大事に育てている園芸種をゲットしてしまわないようにする事(爆笑)と道を歩いている時、絶えず下を向いていなければならない事!この間なんか、社長と出張行った先の路上でセダム見つけていそいそとしゃがみこんだら、社長が一言「オレ、お前と一緒に歩いているの嫌だわ!」(笑)。確かに、スーツ着込んだ中年おやじがいきなり道端にしゃがみ込んで、何かを拾ってハンカチに包みポケットにねじ込んでたらかなり危ないかも(爆笑)「道端セダムコレクター」の道も、これでなかなかどうして険しいもんです。
2005/09/04
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