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シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。終わりました。いやー、すごかった…。最高にカッコいいドラマでした。日テレ史上5本指に入る作品です。わたし的に全ドラマ史上でも5本指に入るかなあ。(見終わった直後で興奮してるせいもあるけど)正直な話、この結末で納得できたかといえば、けっしてそうではないし、まったく不備のない脚本だったとも思いません。たとえば警察が何を隠蔽したのかは分からないまま終わってる。川田麻衣子がなぜ心変わりしたのかもよく分からないし、ウサギのぬいぐるみの意味もよく分からないし、なぜ囲碁夫婦がずっと姉妹を助けてきたのかも分からない。リコがみずからミスパンダになろうとしたことは分かったけど、リコが消えてレンが残るのは間違ってる気もするし、結局のところ、リコの人生は非常に不幸だったなあとも思う。そもそも、このドラマの登場人物のなかで、結果的に幸せになった人は誰ひとりとして存在しません。佐島家も、川田家も、森島家も、ほぼ破滅したと言っていい。唯一、直輝とレンだけが、かろうじて記憶をリセットして生き延びたにすぎません。だから、これはけっしてハッピーエンドではない。直輝の命を懸けた復讐はひたすら仇となって、物事のすべてはグレーのまま、ただ記憶だけを消し去って終わってしまう結末です。ドラマ自体に、まったくシロクロがついていない。しかし、それでもなお、この終わり方に不思議な充足感をおぼえています。直樹とレンの記憶が失われたことで、リコの存在は永久に消え去ってしまいました。これは、ありえないくらいに悲しい。でも、夢のなかのシーンとはいえ、レンとリコが一瞬向かい合ったときは涙が止まらなかったし、それだけで何かが報われる気がしてしまった。そして、レンとリコとミスパンダの記憶を消し去る瞬間に、直輝の目から流れた一筋の涙は、悲しくて美しかった。最後に、記憶を失くした直輝とレンが、ふたり並んでパンケーキにシロップをかける瞬間、また何かが起きるのではないかとドキドキしてしまった。何も知らない二人のあいだで、また新しい物語が始まっていく予感がありました。きっと、これは、永遠にシロクロつけられぬまま、なんども繰りかえし続いていく物語なのだろうと思います。なんど生まれ変わっても直輝はモテるわけですが(笑)。…それに、よくよく考えれば、檻のなかに戻っていったリコだって、いつまた何かの拍子に復活するかもしれませんよね。川田麻衣子も、囲碁夫婦も、リコの存在を忘れてないのだし、そもそも死んだのはレンであって、リコは生きているのだから。◇独創的で奇想天外な脚本。スタイリッシュな演出と音楽。清野菜名と横浜流星、そして佐藤二郎のすばらしい演技。すべてに大きな満足をもらえました。
2020.03.16
すべての元凶は、巨悪でも何でもなくて、ひとりの小娘の過剰なワガママだった…というオチでした。そのために父と兄は人生を狂わせられ、森島家の運命まで滅茶苦茶になったのですね。…その点はいいのだけれど、具体的な設定が、いまいち納得感に乏しい。多少は危惧してたことですが、ドラマの終盤になって真相が明らかになるにつれ、脚本の不自然さが気になってくる(笑)。◇あずさは、偽装誘拐の事実を世間に公表されたくなかったので、その真相を暴いたパンダ男を、兄に頼んで殺害したのですね。かなり子供じみた発想でやらかした犯罪です。しかし、今回のレンの誘拐は、8年前の犯罪よりも、さらに発想が子供じみてます。あずさは、愛する直輝に自分を選んでもらおうと、兄に頼んで、たくさんの人間を雇って、芝居がかった大掛かりな誘拐騒動を仕組んだ。そこでレンのことも殺すつもりだったのですね。万が一、直輝が自分を選ばなかったら、ニセの拳銃で撃たれたフリをして、レンだけ本物の拳銃で殺したあと、自分は一命を取り留めたことにする気だったのでしょうか?でも、そんな面倒な芝居をするくらいなら、最初からレンだけ殺せばいいのでは? …と思ってしまう。あまりにも無駄な大芝居なのでは?ちなみに兄妹は、レンが「リコ=ミスパンダ」だとは知らなかったようで、不意に反撃された結果、兄が自殺に追い込まれてしまいました。ずっと直輝を監視していたわりに、飼育員とミスパンダであることに気づかなかったのでしょうか?まあ、警察に顔が割れているはずの直輝が、ふつうに大学に出てきたりするのも不思議なのですが。リコは、ミスパンダとしてちゃんと戦えていましたね。危機的な状況に置かれると、彼女のなかの潜在的な「モンスター」が覚醒するのでしょうか?◇結局のところ、直輝パパが残したメッセージは、たいした内容じゃありませんでした。死に際に飲み込むほど重要なメッセージだったかというと、いまひとつピンときません。かえって直輝を翻弄しただけという気もする…。佐島家と森島家の謎は、おおむね解き明かされましたね。あとは、直輝パパの遺体を誰がどのように処理したのか。佐島と警察はどのような秘密を隠蔽したのか。そのあたりの話がまだ少し残っています。そして、このあとは、あずさの罪がどのように裁かれるのか。刺されたリコの運命はどうなるのか。そこらへんを描きながら、最終的に川田家の謎が明かされるのかな、と思います。
2020.03.09
レンとリコのどちらかが消えてしまうのは悲しい。ひとりの人間のなかに、2人の人格が共生することは不可能なのでしょうか?◇第8話で刑務所を訪れたレンに対して、面会した母は「恋人を殺せ」と言いました。なぜなら母はリコの復活を恐れているからです。(門田教授を殺したのも同じ理由)しかし、おそらくこれは逆のフラグになるのでしょう。直輝は最終的にリコの人格を復活させるはずです。ただし、それはレン自身が決めることですよね。自分の人格が移植されたニセモノだと知ったとき、レンは、自分の人格を消して、リコを復活させるように望むはずなのです。そしてレンが消えようとするとき、はじめてリコや母との関係が解き明かされるはずです。一方で、復活したリコは、レンが消えてしまうことを悲しみながら、自分がミスパンダであり続けるかどうかを決断することになる。その結末を想像すると、ちょっと辛いものがあります。
2020.03.03
考察系ドラマの場合、しばしば脚本の整合性じたいが疑わしくなったりもします。このドラマの場合、いまのところ目立った矛盾は感じませんが、終盤になるにつれて、脚本の不備が気になってくるかもしれません。そうならないことを祈ります(笑)。◇直輝は、コアラ男の真実を知るために佐島の娘(あずさ)に近づいたのですね。そして佐島のほうも、そのことを承知していた。承知のうえで、直輝を世直しのために利用していたわけです。なぜ佐島が直輝と関わっていたのか疑問だったのですが、それは、佐島にとっての「罪滅ぼし」であり、いわば長い時間をかけた「自殺」だったのですね。これはまったく予想していなかったことで、驚きました。◇佐島は、コアラ男の正体は「部下」だと言いました。それは、おそらく息子の一郎のことだと思いますが、まだ確定的とはいえません。佐島は最後にまだ何かを隠していた。息子を守ろうとしていたのかもしれません。しかし、父が失脚した時点で、息子の政治生命は絶たれてしまったように思います。◇そもそも、一郎とあずさは、すべての真相を知っているわけではないようです。もしも誘拐事件が兄妹による自作自演だったなら、あずさは「直輝のために何でもする」と告げたとき、その場でコアラ男の真相を言えたはずなのです。しかし、一郎とあずさは、わざわざ父の部屋に忍び込んんで、隠されてあった資料を盗み出しています。資料を公開してしまったら、父が失脚することも分かっているはずなのに、なぜ兄妹はわざわざ直輝に協力するのでしょうか?その動機は謎です。親子のあいだには確執があるのでしょうか?もうひとつ気になるのは、あずさが父の部屋を探したとき、引き出しの中のビデオカメラをスルーしたことです。佐島は、あのビデオカメラを使って、偽装誘拐のシーンを自分で撮影したと思うのですが…。◇佐島は、直輝パパを銃殺した後にパンダ男のマスクを外しました。ところが、来週の予告を見ると、直輝パパは殺される前に自分でマスクを外している。そして佐島は、直輝パパにむかって何かを懇願しています。そもそも、先週のラストで、佐島の目の前にパンダ男が登場したシーンは、現在の出来事だったのでしょうか?過去の出来事だったのでしょうか?録画を消してしまったので確認する術がありません…。いずれにせよ、まだ事件の黒幕は佐島と決まったわけではありません。事件の真相を知っているのは佐島だけではない。警察組織も、何らかの事実を知ったうえで隠蔽しているのです。まだまだ隠されている謎があるはずです。◇ミスパンダの人格はリコに一致したようです。自意識のなかったモンスターが、リコとしての自意識を回復した結果でしょうか?しかし、逆にいうと、ミスパンダはもはや「モンスター」ではないのです。リコの人格と一致してしまった以上、いままでのように激しく格闘したりはできないのかも。清野菜名のアクションはもう見れないでしょうか?レンは、収監された母親に会いに行きましたが、結局、過去についての詳しい話は聞けていません。囲碁喫茶の夫婦からも、まだ過去の話は聞けていない。そもそも囲碁夫婦の間でさえ情報は共有されていません。川田家の謎も、まだ残っている気がします。最終的に、人格が残るのはレンなのでしょうか?リコなのでしょうか?どちらかの人格が消えてしまうのは悲しいです。
2020.03.02
「ハムラアキラ」第6話。ものすごく濃密。そして事件の構図は、かなり複雑。不気味で、気持ち悪い。だけど、メチャクチャ面白い。◇どうやら麻薬取引だの援助交際だのはミスリードであって、真相は「68会」がやっているゲームに関係しているようです。マッチョな親父が動物を殺して楽しむゲーム…悪いうさぎって何?ラストシーンで、野原に倒れているカナの姿が映りました。◇岡田(間宮祥太朗)の存在が、急に怪しくなっきた。滝沢の娘が美和で、元家政婦の娘がカナ。(どちらも行方不明)平の娘がミチルで、その兄は誘拐犯に殺されたミツル。そして山辺の息子が 岡田正太郎 。 …なのですね。つまり、岡田は「68会」の関係者なのです。「岡田管理官のことよく分かってねえんじゃねえの?」という刑事のセリフは、その意味を含むものと思われます。「親と子の苗字が違う」というのは、カナのことだけでなく、岡田自身のことかもしれません。岡田が担当外の捜査に乗り出してきたのは、事件の秘密を暴くためでなく、むしろ秘密を暴かれないようにするためかもしれない。しかし、岡田は、うっかりハムラに「カナは元家政婦の娘」などと喋ってしまった。ハムラも当然そのことを知っていると勘違いしたからです。岡田は「どうやってカナに辿りついたのか?」とハムラに問います。美和のポケットの手紙からカナに辿りついたのですが、その内容は、おそらく岡田にとって「マズい情報」だったはずです。アヤがカナに紹介した、3日で200万円を稼げるというバイト。それは68会の「ゲーム」に関係しているのかもしれない。カナの部屋からパソコンを持ち出したのは、おそらく68会の人間ですよね。あるいは岡田本人なのかもしれません。そしてハムラも、岡田たちに命を狙われるのかも。岡田は、ミチルと顔見知りでしたが、彼女は、岡田にとって敵でしょうか?味方でしょうか?さらに行方不明の美和は、生きているのでしょうか?死んでいるのでしょうか?ミチルの母は、「美和の母が保険金目当てに娘を殺した」と疑っています。なぜなら、同じ68会のメンバーである野中が、「彼女の会社が倒産寸前なので、娘さえ殺しかねない」と言ったらしいのです。そうなると、ミチルの兄が誰に殺されたのかも気になる。68会の男たち。その周囲の女たち。親と苗字のちがう子供たち。謎めいた男女関係と、不穏な親子関係。彼らの実業と、怪しげなゲームとの関係とは何なのでしょう?◇不思議なことに、この図式って、日テレの「シロクロパンダ」にも似てるのですよね。虐待する母と双子の娘。政治家の父に利用されたっぽい息子と娘。殺された警察官と復讐を誓った息子。パンダとコアラとウサギ。偽装誘拐事件と、警察の陰謀。坂上忍みたいなワイドショー番組に、ウサギの着ぐるみが出てきたりするところも、なんだか「シロクロ」っぽいのです。
2020.02.29
放火事件と門田殺しの真相が解けて、レンの母親が逮捕されました。結局のところ、放火事件は、コアラ男の事件とは無関係だったのでしょうか?真相は分かったものの、母と娘の物語が終わったようには思えない。そもそも、なぜ母親がリコだけを憎んだのか。その理由は、まだ十分に解き明かされた気はしない。「私を檻から出して!」と助けを求めていたのは、自意識を持たないモンスターだった、と流星は言います。母親は、リコのなかのモンスターを憎んだのでしょうか?それとも、虐待によってモンスターが育ったのでしょうか?流星は、そのモンスターに、「ミスパンダ」という形を与えて飼い慣らしました。「ミスパンダはリコの願望を映し出した姿」だともいいます。いわばリコ≦ミスパンダのような関係なのでしょうか?母親はリコを憎みましたが、もし流星がリコを愛せるのだとすれば、それは自分のなかにも同じモンスターがいるからでしょうか?「門田先生から君の過去を聞いて全てがつながった」いったい何がどうつながったのでしょうか?そのことが、なぜ父親の復讐に結びつくのでしょうか?たんなる謎解きだけではなく、こうした因縁への決着をつけてほしいです。
2020.02.24
「シロクロパンダ」第6話。爆破事件のエピソードはもう終わり?ハブとマングースは、はやくも退場でしょうか?ついでに被害者遺族の姉弟も退場でしょうか?なんだか、まだ未消化な印象です…。◇爆破事件が警察内部の犯行だったことを隠蔽するために、無関係な人物に罪を着せたところまでは分かるのですが、なぜその死刑囚をわざわざ脱走させたのか、なぜ彼を殺害して、その罪を被害者遺族に着せたのか。冤罪にまた冤罪を重ねた理由が不可解です。かなり分かりにくい。警察の企てがあまりに無謀すぎる気もします。…これを警察側の視点から考えてみると、爆破事件の真相を隠蔽するために、無関係な人物に冤罪を着せたものの、法廷で無実が証明されることを恐れた警察は、ミスパンダを装って死刑囚を脱走させ、口封じのために彼を私刑によって殺害し、同時に、本物のミスパンダをおびき寄せて生け捕りにし、その罪を彼女に着せようとした。しかし、空手で抵抗されて取り逃がしてしまう。空手有段者がミスパンダだと思い込んだ警察は、わざわざ証拠(ミスパンダの衣装)を捏造して被害者遺族を誤認逮捕。ところが、その直後、本物のミスパンダが現れ、おびき寄せられたハブとマングースは生け捕りにされ、その結果、警察が隠蔽していた事実をすべて暴露されてしまった。…って感じでしょうか。ただ、ドラマ自体は警察側の視点で描かれているわけではないので、ふつうに見ていただけでは、ちょっと分かりにくいです。被害者遺族を本気で誤認逮捕してしまったのか、それとも冤罪を承知のうえで意図的に証拠を捏造したのかも、よく分からない。次週で、そのあたりを整理してくれればスッキリするのですが。◇メインのストーリーについてですが、いよいよMrノーコンプライアンスが黒幕っぽく見えてきました。彼は、コアラ事件のことで警察から弱みを握られている。しかし、その一方、警察の弱みも握っている。持ちつ持たれつの関係があるようです。ちなみに佐島家の兄妹は、父親ほど多くのことは知らないようです。精神科医が殺されたことで、レンの催眠は解けはじめ、リコの人格が覚醒しています。ここから清野菜名は「一人3役」ということになりそうです。レンの人格とリコの人格はたがいに葛藤するでしょうか?それとも両者は和解していくのでしょうか?それともレンの人格は消えてしまうのでしょうか?リコが復活したら、母親はどうするのでしょうか?リコは、虐待した母親への復讐をしていくのでしょうか?一方、流星は「自分は真っ黒だ…」と言いはじめました。
2020.02.17
「シロでもクロでもない世界でパンダは笑う」第5話。今回は「つなぎの内容かなァ」と思ってたら、後半になって、どんどん事態が動き、結果、2人の人間が殺されるという、今までにない凄惨な展開。あらたな謎がまた増えてしまいました。流星と菜名の格闘シーンも、ますますスゴかった!◇佐藤二郎の秘書の男(=きづき)は、彼の息子であり、白石聖の兄であることが分かりました。そして、彼こそがコアラ男である可能性が高まりました。兄妹はレストランで写真メールのことを相談しています。彼らが問題にしていたのは、「コアラ男からメールが来たこと」ではなく「流星と菜名が抱き合っていたこと」でした。妹の白石聖は「許せない」と言い、兄のきづきは「俺が何とかしてやるよ」と答えています。どうやら、この兄妹にとって、コアラ男は畏れるべき存在ではないのですね。兄自身がコアラ男なのだとすれば納得できます。彼らの父である佐藤二郎も、流星からコアラ男のことを問われたとき、「調子に乗るな」などと言って突き返しています。コアラ男の誘拐事件とは、選挙で世間の同情票を集めて勝つための、佐島ファミリーによる自作自演だったのかもしれません。だとすれば、佐藤二郎は文字どおり「ノーコンプライアンスな男」なのです。流星の父(=田中圭)は、その真相を追って殺されたのかもしれません。流星は、父の仇を討とうとしている。ジャーナリストの要潤も、流星のそのような立場を把握したようです。◇流星にとって、佐島ファミリーは宿敵なのでしょうか?佐藤二郎は、流星が田中圭の息子であるのを知っているはずです。それを承知のうえで彼を利用しているのでしょうか?兄妹(=白石聖ときづき)も、流星の出自を把握しているのでしょうか?今後、流星と要潤が手を組んで、佐島ファミリーの悪事を暴いていくのだとしたら、彼らは白石聖とも敵対することになるかもしれません。◇◎川田家 …山口紗弥加、清野菜名◎森島家 …田中圭、横浜流星◎佐島家 …佐藤二郎、きづき、白石聖双子のうちの片方を育児放棄するというのは、いかにも「パンダ的」な行為です。そう考えると、川田家がもっとも「パンダ的」に思えます。しかし、山口紗弥加が抱いているのはパンダではなく、ウサギのぬいぐるみです。パンダのぬいぐるみは、むしろ田中圭から横浜流星へと受け継がれています。そう考えると…◎川田家 …ウサギ◎森島家 …パンダ◎佐島家 …コアラという図式が見えてくる。ほんとうに白黒つけたがっているのは、やはり森島家の人間なのでしょうね。とはいえ、状況はますますグレーになっています。流星は、ミスパンダにむかって、「君は単純でいいね…」などと呟くようになっています。シロクロの背後には、巨大なグレーの領域が広がっているのです。◇もっとも怪しい存在だった精神科医の山崎樹範は、誰かに携帯で「待ってるよ」と話した直後、殺されてしまいました。今後、彼が隠していた川田家の資料などが明るみになり、レンとリコの記憶の入れ替えの事実や、放火事件の真相なども世間に知られていくでしょうか?そもそも山口紗弥加はなぜ入院してるのでしょうか?なぜ娘と自由に会えないのでしょうか?◇今回、新しい登場人物が加わりました。ハブとマングース爆破事件の被害者遺族いずれも男女のコンビです。おそらく、どちらかが「偽パンダと偽飼育員」だと思われます。ハブとマングースは現役警察官、被害者遺族は空手の有段者です。惨殺された死刑囚は、「あのとき俺は…」と言いかけたまま殺されましたが、彼は、ほんとうに爆破事件の犯人だったのでしょうか?ちなみに流星は、今回の格闘のなかで、警察にも顔が割れてしまったはずです。
2020.02.10
「3年A組」や「あな番」や「ノワール」は、真相を考察したいなんて気持ちにはならなかったけれど、今回の「シロクロ」にかんしては、物語の構造がどうなってるのか、とても興味がそそられる。◇この物語は、さまざまな面が対称的な(あるいは裏表の)構造になってます。「表の清野菜名」と「裏の清野菜名」。「白黒のパンダ」と「グレーのコアラ」。「死んでしまったレン」と「生き残ったリコ」。それぞれの表と裏は、たがいに反転してしまう可能性がある。そして、佐藤次郎にも、「法務大臣」と「ノーコンプライアンス」(非法令遵守)という二面性がある。◇パンダというのは、もちろん「白黒つけること」の隠喩なのですけど、同時に、自然界のパンダは、「双子のうちの1頭を育児放棄する動物」として知られている。だから、動物園では、親に棄てられたほうのパンダを飼育員が育てます。もしくは、親にバレないように子供を取り替えながら、2頭の子供を代わる代わる育てさせる。その意味でも、レンとリコは「パンダ的」な存在であり、山崎樹範と横浜流星は「飼育員的」な存在なのですね。そこも隠喩になっている。◇この物語の背景には、2つの事件があります。「コアラ男の誘拐事件」と「川田家の放火事件」です。「コアラ男の誘拐事件」には、佐藤二朗と、白石聖と、田中圭、そして横浜流星の4人が関係してます。「川田家の放火事件」には、山口紗弥加と、清野菜名と、山崎樹範と、喫茶店夫婦の5人が関係してる。2つの事件は、たがいに無関係だったはずですが、横浜流星が山崎樹範のもとで精神医学を学び、清野菜名に催眠をかけはじめたときから繋がりはじめた。流星は、もともと放火事件のことは知らなかったはずです。ただし、清野菜名をミスパンダに選んだのが佐藤二郎(あるいは秘書?)なのだとすれば、彼は最初から2つの事件について知っていた可能性が高くなる。一方で、かりに山崎樹範がコアラ男なのだとすれば、彼こそが最初から2つの事件に関わっていたことになります。一体だれが2つの事件を結びつけているのか。そこに焦点が絞られてきている気がします。◇佐藤二郎と横浜流星は、はたして同じ目的を共有しているのか。それとも敵対しているのか。それも、現時点では大きな謎です。彼らが取り組んでいる「シロクロ」の世直しは、いつだって「グレー」に反転してしまう可能性があるのです。
2020.02.05
シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。第4話。すごい…。かなり濃密な脚本。一話のなかで、いろんなことがどんどん展開していく。人間関係が複雑に錯綜して、もはや誰が誰の味方か、ぜんぜん分からない。一話完結パートの物語も一筋縄じゃなく、いじめの隠蔽問題にも「裏」の「裏」があるという内容でした。流星のアクションを見せながら、会話劇を展開していく演出も鮮やか。◇流星は最初から事件の真相を見抜いていて、佐藤二朗が「手出し無用」というのも構わずにシロクロをつけてしまいます。流星は、幼いときの父(田中圭)の教えを守っているようですが、佐藤二朗は「似なくていいところまで似てきた」と最後に呟いています。◇流星は、レンの正体が「リコ」だと気づきました。山崎樹範が「親子を救うために催眠をかけた」と明かすのですが、流星は「本当にそれだけですか?」と疑います。すると、山崎は「お前こそ彼女に何をしてる?」と訊き返します。要潤は、流星が「飼育員」だと気づいて、その情報を、取材先で山崎樹範に漏らします。すると山崎は、レンが「ミスパンダ」かもしれないことを升毅に告げます。椿鬼奴は、入院している山口紗弥加と面会します。椿が「レンは前向きになった。リコを思い出した」と言うのですが、その言葉を聞いて、山口紗弥加は表情を曇らせます。彼女はレンがリコであることを分かっているのでしょうか。母親なのだから、とうぜん見分けがつく気もしますが。白石聖には、コアラ男から写真メールが届きます。彼女は、コアラ男に監視されているのを知って激しく怯えます。あるいは、流星とレンが抱き合っている姿に衝撃を受けたのかもしれません。◇やっぱり山崎樹範が怪しい気はするけど、だれが白でだれが黒なのかまったく見えてこない。最終的には、すべてグレーになりそうな気もします。ラストちかくで佐藤二朗の秘書が映ったのも気になる。まだまだ中盤ですが、ここまでのところ、ダントツに出来が良い。今後の展開次第では、名作と呼べるものになりそうな気がします。
2020.02.03
「シロクロパンダ」第3話。今回も十分楽しめました。サスペンスとハードボイルドと笑いと胸キュンのバランスがいい。精神科医の山崎樹範が黒幕だろうと思ってましたが、次の回で早くも流星と対峙しそうだし、まだまだ裏の展開が隠れてるかもしれません。双子の謎と、放火事件と、入院してる母親と、コアラ男の誘拐事件がどう連動しているのか、まだ見えてきません。なにげに、白石聖との恋の三角関係がどうなるのかも気になる。いい意味で、複雑な期待要素がブレンドされています。◇このドラマには、2人の脚本家がクレジットされていますが、基本的なコンセプトは宇田学が作ってるのかもしれません。演劇畑の作家は、しばしばシンメトリックな物語を作りますが、このドラマの場合も、「白黒パンダ」と「灰色コアラ」の対照的な図式が、物語のダイナミズムの基礎を形作っていて、清野菜名の表裏の演じ分けがもうひとつの軸を作っています。そのうえで、いろんな演出上の遊びが可能になっている。台本のベースがしっかりしていると、かえって遊びの自由度が高まる好例だなと思います。ドラマ
2020.01.28
シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。第2話。やっぱり面白いです。このクオリティがどこまで保てるでしょうか。ダークな世界観とコメディタッチの按配がイカしてる。清野菜名と横浜流星の撃ち合いも本格的でカッコいい。少しずつ背景が明かされています。かつてコアラ男に誘拐された白石聖。その事件を追って殺された横浜流星の父親。放火事件で姉を失った清野菜名。それぞれの過去は、互いにリンクしているようです。横浜流星は、警察官の父が残した映像を通じて白石聖の父と接触し、法務大臣でもある彼の指示に従って清野菜名を操っています。精神療法によって抑えられていた清野菜名のトラウマは、横浜流星の催眠の作用によって少しずつ蘇っています。物語の構図そのものがシャレにあふれています。最終的には、清野菜名と横浜流星が戦うシナリオもあるのでしょうか? ジャーナリストの白石聖は、法令を遵守しない法務大臣(笑)を追及することになるでしょうか?シロクロパンダがグレーのコアラに立ち向かうとき、そのラスボス対決は、どちらの勝利に終わるのでしょうか?ミス・パンダが「白黒つけるパンダだよ」と言ったら、ミスター・コアラは「白黒つけないコアラだよ」と答えるのでしょうか?(笑)今のところ、期待がかなり大きいです。
2020.01.21
シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。なかなかキレはありますね。白い清野菜名は、あいかわらず昭和っぽくて可愛いけど、黒い清野菜名は、マジで回し蹴りとかが強そうで素敵。パンダだけでなく、囲碁の世界もどんどんマニアックに究めてほしいです。ビリー・アイリッシュの主題歌もカッコよかった。アフリカ音楽みたいな挿入曲も面白い。黒幕の法務大臣が佐藤二朗だったりする変なセンスも好き。◇ちなみに、最近の山口紗弥加って、あんな役ばっかりですよね。出てくるだけで、ちょっと不安な気持ちに襲われる(笑)。その一方、流星と圭が「あな番」風を吹かしてくるのは、ちょっと気に入らない。作品のエッジが、かえって弱まる気がします。今回の流星には、とことんダークな面を突きつめてほしいです。作品としても、せっかく読売テレビの制作になったんだから、「チート」みたいにクールな路線を攻めこんでほしいですね。
2020.01.13
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