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2002年07月16日
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あまりにも時間の流れが速すぎて、ときどき、あらっ?あの事件はどう解決したんだっただろうと、記憶を探すことがありませんか。

その事件が起こった時には、世界が震撼し、世界が耳目をその一点に集中したものも、次から次へとそれを上回る恐ろしい事件が起こってくると、いつの間にか一つずつの出来事は、まるで映画の中のことだったような臨場感を失っているという思いになることはありませんか。

神戸で起きた事件も、和歌山で起きた事件も、あの事件も、あの事件も、こうして列記しようとしても、正確にその事件をあらわす名前すらも曖昧になっているのは、私だけなのでしょうか。

あなたはこの10年間に起きた事件の中で忘れることの出来ないものを一つあげるとしたら、なにを思い出すでしょう。
私は自分が正確に思い出すことの出来ない事件簿の中で、一つだけ忘れることのできないものがあります。それは「旧石器捏造」の事件です。

子ども虐待でもないし、いじめによる自殺でもないし、精神障害者による無差別の殺人でもないし、テロでもないし、抗しがたい天災でもないので、いのちとの関わりで考えるなら、これは事件ともいえないほどのものかもしれません。

でも、思い出すたびに心の中がじくじくと疼きます。その人の発掘は百発百中でした。「神の手」と言われたその人の手は、人類学の歴史を次々に更新していきました。一気にではなく、徐々に徐々に塗り替えていきました。その人はいったいどんな気持ちで生きていたんだろう・・・。その人の気持ちを想像すると、私の心の中はじくじくとします。

テロを実行することは「多分」ないでしょう。隣の家の人を気に食わないからと殺すことは「多分」ないでしょう。祭りのカレーに毒を入れることは「多分」ないでしょう。

初めは小さな出来心だったこの事件は、もしかしたら、私もしてしまうかもしれないという恐れがあるからなのでしょうか。みんなに期待される。なんとかして期待に応えたい。ふっと、ふっと頭をよぎった捏造という行為が成功してしまった。自分自身で歯止めが利かなかったことは、もちろん、その人本人の罪です。許されることではありません。たとえ、この何十年という時間を、怯えながら暮らしてきたとしても、決して許されるものではありません。



「その人は今、どうしているんですか?」

もう数年前にリタイアなさった大学の先生が、心から手繰りだすようにして話されたお話しに、若い人が尋ねました。

「病院にね。入院しているそうですよ。なんの病気だろうね。どんな気持ちで寝ているんだろうね。」





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最終更新日  2002年07月16日 20時07分59秒
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