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みなさん、こんばんは。小説 「もうひとつのラスト」さきほど、アルファポリスさんで掲載させていただいているコンテンツで少し更新しました。「In a bathroom 3 からの修司と香瑠の二人きりでのお話しの中に『二人にとって必要のないことならば、そっとお互いの記憶のフォルダから削除してしまう』とか『二人の想いがいつまでも新鮮である為のソフト、かな?』 とか「わたしってほんとは毛深いのはダメなの、でも修司がそうなら、わたしの目にはシルクの糸に見えるはず。あなたの為だけに私の中に構築されたソフトが、私の目にフィルターをかけちゃうの・・・それって『ふたりの想いが、つまらない事で醒めてしまわない為のソフト』 じゃない?」 とか、今までにない言い回し?が好きです」とメッセージをいただきました。嬉しいですね、励みになります。”ヨーコ”さん、ありがとうございました!これからも応援してくださいね^-^ by 沢田 佳
2010.12.20
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もうひとつのラスト 沢田 佳 In a bathroom 2 「私はもう若くはないのね・・・」予想外な科白、おまけに香瑠の声は明らかに湿り気を帯びていた。ぼくはなにも言えないままでいた。なにか一つだけでもヒントをもらえないと、頭の中の検索ボタンをクリックする事さえ出来やしない・・・「だって、私はこんなに勇気を出して、あなたに全部見てもらおうって頑張っているのに!恥ずかしいのよほんとは!でも・・・あなたは今、目をそむけた・・・やっぱり見た目は、ティ-ンエイジャーのようでなければだめなの?」言い募る途中で、彼女は俯いてしまったが、だめなの?言ったところで再び顔を上げた。今度こそぼくは本当に驚いてしまった!香瑠の目から涙が、上質なケント紙のように艶々したその頬に流れ、伝わってゆく。ぼくの頭は、ますます混乱してしまい、検索の項目に(香瑠、泣いてる、ブラ、若くない・・)とにかく思いつく言葉を片っぱしから入力して、ボタンをクリックした。けれども「見つかりませんでした」と表示されるだけ・・・ここは、やっぱりメインコンピュータである香瑠に直接答えを求めるしかない、ぼくがそう決めたそのとき・・・「もう少し、女心をわかって欲しいものね・・・私は今、いくつだか憶えてる?あなたと同じ、40歳・・・」彼女は溢れた涙を、その長い指で拭った。「今よ、今見てもらわなきゃ!今なら10年間あっちにいたおかげで、30そこそこの私を見せてあげられる。でも、そのうちあなたの視線に耐えられなく・・・」 ぼくは、香瑠の言葉を遮った・・・「そんなことないよ!絶対にそんなことない!」僕は、ほんとうにそう思ってる。13歳の、あの心ときめく香瑠との出会い・・ぼくの世界は一変したんだ・・・ぼくは、水辺の生き物たちより、ずっと魅力的な女の子と出会った!そして14歳の冬、僕と香瑠の切なく、甘く、そして大胆なファーストキス・・プラスα!アメリカ映画の青春もの+ラブコメにありそうな、輝くようなあのシーン!!それから、10年前の香瑠との、ほとんどセックスな交わり・・・あの13歳からの思い出だけでも、僕は生涯幸せに生きていけただろう。誰にも信じてもらえないだろうけれど、あの思い出たちは、いつだって僕が頭の中のスイッチをオンにすれば、すぐさま映像となってぼくの周りをいつまでもグルグルと回り続けるんだ。そして反復記号のすぐ手前には、いつも香瑠と僕との『ほとんどセックスな交わり』があった・・・ 「本当に!」「え?」「あー!ひどい!聞いてなかったの!?こんな大事なときに、いったい誰のこと考えていたの!!」返答次第じゃ、絶対に許さない!香瑠の細くなった目と硬く閉じられた唇がそう言ってる。「ち、違うよ!他の誰かじゃなくて14歳の時の君のことだよ」そう言うと、僕はダイニングのテーブルの上に置いてある二人を写したフォトスタンドを指さした。香瑠の14歳の誕生日を我が家で祝った時のものだ。香瑠の硬かった表情が見る間に解けていく。「いいわ、そういうことなら許してあげる。じゃあ続けるわね、大丈夫?」「うん、大丈夫・・」 たぶん?「私が 『そのうちあなたの視線に耐えられなくなるわ』と言ったの」あ!「そうそう!」思い出した・・・「続けていい?」僕は深く頷く・・・「で、あなたは『そんな事ないよ』って言ったの・・・それで私は『本当に?』って聞いたわ、さあ答えて」 香瑠は腕を組み、やや上目遣いで僕を見てる。「そ、ああ、そうだよ、そう言ったんだ」 僕がそう言うと、「怪しい」と香瑠が言った。「うん、・・・たとえ君が60歳になっても70歳になっても、僕は何処へ行く時も君と手を繋ぐことを忘れないし、例の誰かさんだって生涯、君のお尻のナイトで居続けるって言ってる」「本当なの?」 香瑠は僕の左手を見ながらそう言った、嬉しそうにね。「うん、そう言ってた」僕がそう言うと、香瑠はくすっ、と笑い「嬉しい」と言った・・・そしてなんだか急に明るい声で「ありがとう」って・・・ん?なんか変だよ香瑠・・・「じゃあ、しっかり見ててね」「何か変だよ、香瑠、さっきまで泣いてたカラスが・・・」「まあ、ひどい!私はカラスなの?」「いや、ほら・・白くてキュートなカラスだっているんじゃないの?」そんなこと聞いたこともない、けど口には出せず飲み込んだ。
2010.12.02
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