うたのおけいこ 短歌の領分

うたのおけいこ 短歌の領分

2007.08.22
XML
カテゴリ: アフィリエイト
福田和也 大丈夫な日本




この国の将来を心配する貴兄、また、この国でこれからどう生きていくべきか迷っているあなたにとって、必読書といっていいだろう。

現在、日本人の多くは自信を喪失しかけている。
いちいち具体例を列挙しなくても、この同時代に生きていれば、共通感覚として誰もが感じている不安だと思うが、日本を取り巻くあらゆる分野で、内憂外患の嵐が渦巻いており、出口が見えない。

この国は、そして、この国に生きている僕たちの未来は大丈夫なのか?

慶応大学教授・福田和也氏は、「ダイジョウブイ」だと言明する。

むろん、無条件に、ではない。いくつかの条件はある。
では、どこをどうすれば大丈夫なのか?

歴史や哲学・文学に対する該博な知識を背景に、まず文芸評論で売り出したが、今や政治、経済、社会、etc.あらゆる領域に、研ぎ澄まされた言説で切り込む「戦う知識人」である。氏の名前を雑誌の広告などで見ない日はないほどだ。

まさに福田氏の慶応の先輩に当たり、戦後知識人の旗頭であった江藤淳氏の全盛時代を彷彿とさせ、衣鉢を継ぐ人物である。

一見、けっこうごっついコワモテな顔をしているが、テレビ(たまにNHK総合・教育などに出演している)などで拝見すると、きわめて温厚で穏やかな紳士である。

新書版とはいえ、中身は非常に濃く、けっこう速読の僕としては珍しく(夏バテのせいもあるが)、読み通すのに実に半月も掛かってしまった。
それだけ、熟読玩味、読書百遍に値する内容である。

その濃い中身を、ここで簡略に要約するなど、土台無理な話であることはご了解願いたい。

きわめて粗っぽい要約で、骨子だけ書くと、以下のごとし。


――近代は行き詰まっている。ついに終焉の時を迎えた。

近代とは、「無限」への信仰である。しかし今、皆が気づき出したように、地球環境は有限である。人間精神も有限である。
「右肩下がり」の時代が世界に到来した。

近代は終わりつつあり、また、近代に引導を渡さなければ人類の未来はない。

アメリカの日没の兆しも見え始めた。9.11は、その象徴的な事件であった。
かつて七つの海を支配したイギリスの覇権(パックス・ブリタニカ)は海を渡ってアメリカに移ったわけだが、その大英帝国の落日は米国において再現される。
パックス・アメリカーナの終わりの始まりである。

これは、日本の自立のモメンタム(契機)になる可能性がある。
安全保障などは、国民の腹の据え方一つであり、自分の安全は自分で守るという覚悟を決めれば、ほとんど解決する。

今や愛国主義だけで辛うじて持っている中国が行き詰まることは明らかだ。
現在の中国は、「明(みん)」の末期に酷似してきた。
遠からず、大きな破局は訪れる。

中国に対しては鎖国政策でいい。
中国にかまうな。少なくとも距離を取れ。
これは歴史の教訓であり、確実に言えることである。
日本が中国にコミット(関与)して、いい結果がもたらされた験しはない。
経済界も考え直すべきである。煮え湯を飲まされるのが関の山である。

これは、外務省主流派の、いわゆる「チャイナ・スクール」一派や、親中派の朝日新聞の論調などとは著しく異なり、180度真逆ともいえるが、もちろんそっちが間違っているのである。

マルクス・レーニン主義をはじめとする近代思想は破産し、新しい思想はもう生まれない。

しかし、思想が死に絶えたわけではない。

歴史という思想が横たわっている。

歴史の縦糸を基に構築される「垂直論理」から見ると、近代とは「現在」という座標軸しかない「水平論理」の時代である。

「垂直論理」と「持続可能性」は分かちがたい関係にある。

日本人は、かつて「持続」という価値観を大切にしてきた。
持続のためにこそ、大胆な自己変革も成就させてきた。

その伝統は、今も滅びたわけではない。
それを改めて思い出せばいい。
それを体現するものは今なお数多いが、その価値観の総本山は、言うまでもなく皇室である。

江戸時代の先進性を思い見よ。
まさに江戸期の日本は「環境先進国」であった。

少子化の進行などで、日本の人口の減少は緩やかに進み、2050年に1億を割り、2100年に6400万に半減すると見られるが、これは憂うべきことではない。

6000万人というのは、石油輸入が完全に途絶しても、国内で食料が自給できる水準だという。むしろ悦ばしいことである。

そして、結語。

 「そのとき、われわれ日本人は、毎年クルマを買い換えるのとは異なる豊かさを、生活文化や自分らしい人生、ゆるやかで濃密な時間、といった豊かさを、ひょっとしたら、取り戻しているかもわかりません。
 大量生産、大量消費、大量移動の社会、エントロピーの高い社会にはなかった“退屈さ”をしのぐために、仲間で集まって句をひねり、評し合いなどをしながら。」

・・・この「句をひねり」のところを、「短歌をひねり」に直せば、ほぼ同感である

読むべき本である。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008.01.27 11:52:12
コメント(2) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

プロフィール

くまんパパ

くまんパパ

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

くまんパパ @ 呪文の言葉 手熊区魔夜混さん、ありがとうございます…
手熊区魔夜混@ Re:新説? 万葉集「下野ぬ安蘇の河原」は「渡良瀬川」か(05/06) マハリクマハリタ ソラユト キヌヨ アブ…
くまんパパ @ 示唆に富むご意見と思いました 安蘇山つづらさん、ありがとうございます…
安蘇山つづら@ Re:新説? 万葉集「下野ぬ安蘇の河原」は「渡良瀬川」か(05/06) AIさん見解 安蘇山 →(禿山時代)  三鴨…
くまんパパ @ 学問の進展に伴って解釈が変わったのかもしれません 2525さん、詳細な論考、ありがとうござい…
くまんパパ @ 戦国三英傑の逸話は、いつ見てもわくわくします やすじ2004さん、いつもありがとうござい…
くまんパパ @ ユニークな視点のご指摘ありがとうございます 小ナラNOート🎶さん、いつもユニークな視…
くまんパパ @ 全く分からないでもありません 聖書預言さん、ブログ本文とは関係ない話…

サイド自由欄

*このブログサイトは、ご覧の端末によっては管理者の意図するフォント(書体)やレイアウトが正確に表示されない場合があります。ご了承下さい。
なお、フォント表示の設定は、(ウィンドウズの場合)左下のスタート・アイコンから入って、設定(歯車)→個人用設定→フォント入力の画面で出来ます。


新宿会計士の政治経済評論
アトリエぺんちゃん
山下達郎 サンデー・ソングブック
松村邦洋 DJ日本史
東洋経済オンライン
世界は数字で出来ている
お料理速報
パンドラの憂鬱
Forbes スピリチュアルババア
goo 教えて!goo

お気に入りブログ

和紙によせて New! しぐれ茶屋おりくさん

なんだかんだしっか… New! ナイト1960さん

自分を見直す時間も New! masatosdjさん

自宅療養記・消化器… けん家持さん

だけど大丈夫 G. babaさん

久しぶり~ ミセスkarimeroさん

沖縄戦線異状あり !? 背番号のないエースGさん
システムエンジニア… モモンガ2006さん
こだわる男の「モノ… こだわる男の「モノ&ファッション」さん
マリリンワールド まりりん824さん

カレンダー


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: