うたのおけいこ 短歌の領分

うたのおけいこ 短歌の領分

2022年11月02日
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カテゴリ: 百人一首



藤原忠通(ふじわらのただみち、 法性寺入道前関白太政大臣 ほっしょうじにゅうどうさきのかんぱくだいじょうだいじん


わたの原漕ぎ でて見れば
   ひさかたの 雲居 くもゐ にまがふ沖つ白波



詞花集 382

大海原に漕ぎ出して見てみれば
大空の白い雲に見紛う沖の白波。


平明でシンプルな表現ながら、伸びやかな調べの雄大な叙景の秀歌。

小野篁 おののたかむら 「わたの原 八十島 やそしま かけて漕ぎ出でぬと人には告げよ 海人 あま の釣舟」( 古今和歌集 407 / 小倉百人一首 11 )の本歌取りだが、山部赤人の叙景の名歌「田子の浦ゆうち出でてみれば真白にぞ富士の高嶺に雪はふりける」( 万葉集 314 / 小倉百人一首 4 )の発想・言い回しの影響も感じられ、作者が大らかな万葉調のレトロスペクティヴ(擬古的・懐古趣味的)な表現を意図したことがうかがえる。

わた:上古語で「海」の意味。「わたつみ(海つ霊)」(海の霊、ひいては海)などの古い語彙に残る。

ひさかたの:天、空、月、雲などにかかる枕詞(まくらことば)。

雲居 くもゐ :雲のあるところ、すなわち空。転じて雲そのものをいう。

(沖)つ(白波):後世の「の」に当たるきわめて古い格助詞。「秋つ島」(秋津島、日本)、「天つ乙女」、「下つ毛の国」(下野国、野州、現・栃木県)、また上記の「わたつみ」など、成語・固有名詞として用例が多い。





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最終更新日  2022年11月02日 14時36分16秒
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