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岡本かの子桜ばないのち一ぱいに咲くからに生命(いのち)をかけてわが眺めたり狂人のわれが見にける十年まへの真赤きさくら真黒きさくらおのづからなる生命のいろに花さけりわが咲く色をわれは知らぬに美しき亡命客のさみえるに薄茶たてつつ外(と)は春の雨あはれあはれ寒けき世かな寒き世になど生みけむと吾子見つつおもふ歌集「浴身」(大正14年)
April 2, 2007
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岡本かの子(1889・明治22年-1939・昭和14年)力など望まで弱く美しく生れしままの男にてあれ歌集「かろきねたみ」(大正元年)註岡本かの子:歌人、作家。漫画家・岡本一平の妻。画家、造形作家・岡本太郎の母。
April 2, 2007
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与謝野晶子春三月(みつき)柱(ぢ)おかぬ琴に音立てぬ触れしそぞろの我が乱れ髪みだれ髪春の三か月間放りっぱなしの琴に音を立てた。触れたのは、恋にそぞろで気が触れた、あたしの乱れ髪。(拙訳)
March 27, 2007
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与謝野晶子やは肌のあつき血汐に触れも見でさびしからずや道を説く君みだれ髪このやわ肌の、熱い血潮に触れてもみないで、寂しくないの?・・・熱心に人生哲学を語っている、あなた。(拙訳)
March 27, 2007
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土岐善麿(1885-1980)春の夜のともしび消してねむるときひとりの名をば母に告げたり「遠隣集」(昭和26年)註歌人、新聞記者。読売新聞社会部長時代に、東京・京都間の長距離リレー競争を企画し、「駅伝」と名づけて大成功させるなど、モダーンなアイディアマンで知られた。今でいうコピーライター、イヴェントプロデューサー的素質があったのだろう。短歌の作風は、洒脱な中に肺腑を抉る重厚さを秘めた名歌が多く、僕くまんパパは非常に尊敬している。
March 27, 2007
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釈迢空(しゃく・ちょうくう、1887-1953)山ぐちの桜昏(く)れつゝほの白き道の空には鳴く鳥も棲(ゐ)ず註民俗学者、国文学者、神道学者の折口信夫(おりくち・しのぶ)と同一人物。一言でいうと、江戸時代の賀茂真淵や本居宣長などの「国学者」の衣鉢を継いだ全人的な学者であった。
March 26, 2007
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与謝野晶子血ぞもゆるかさむひと夜の夢のやど春を行く人神おとしめなみだれ髪血が燃える、ひと夜の夢が嵩(かさ)んで宿る聖なる場所(サンクチュアリ)。春を行く人よ、この神の意思を貶(おとし)めるな。(拙訳)
March 26, 2007
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与謝野晶子その子二十(はたち)櫛に流るる黒髪のおごりの春のうつくしきかなみだれ髪二十歳(はたち)とはロングヘアーをなびかせて畏(おそ)れを知らぬ春のヴィーナス(俵万智「みだれ髪 チョコレート語訳」)註与謝野晶子、二十歳の自画像。明治の人々を驚嘆させた。
March 26, 2007
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与謝野晶子髪五尺ときなば水にやはらかき少女(をとめ)ごころは秘めて放たじみだれ髪たっぷりと湯に浮く髪のやわらかき乙女ごころは誰にも見せぬ(俵万智「みだれ髪 チョコレート語訳」)
March 26, 2007
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与謝野晶子歌にきけな誰(た)れ野の花に紅(あか)き否(いな)むおもむきあるかな春罪もつ子みだれ髪歌に聞きなさい。誰が野の花に紅いことを否定する根拠があるのだろうか?・・・春、罪を持つ娘に。(拙訳)
March 26, 2007
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北原白秋(明治18年-昭和17年)春の歌 五首春の鳥な鳴きそ鳴きそあかあかと外(と)の面(も)の草に日の入る夕(ゆふべ)ヒヤシンス薄紫に咲きにけりはじめて心顫(ふる)ひそめし日かくまでも黒くかなしき色やあるわが思ふひとの春のまなざしあまりりす息もふかげに燃ゆるときふと唇はさしあてしかな廃れたる園に踏み入りたんぽぽの白きを踏めば春たけにけるな鳴きそ鳴きそ:鳴くな鳴くな。たけにける:爛漫、酣(たけなわ)だったよ。歌集「桐の花」(大正2年)より抜粋。
March 10, 2007
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