【粗筋】
道具屋万屋清三郎の囲い者であるお藤の家で、一中節の師匠・松五郎が雨宿り。実は二人は相思相愛であることが分かったが、たまたま現れた清三郎の嫉妬から、松五郎は辱めを受け、悪態をついて出ていく。お藤は、この時に松五郎と会う約束をしていたので、母に留守を頼んで出掛けるが、途中で清三郎の幇間に見つかり座敷へ上げられてしまう。松五郎は約束をしたお藤が来ないので使いの者を送るが、お藤の母が清三郎からの使いと勘違いをして悪態をつく。使いの者の報告が信じられない松五郎は自分で出掛け、清三郎の座敷にいるお藤を見つける。名を伏せて呼んでもらうが、お藤の方では呼んだのがまさか松五郎とは夢にも思わず、これ幸いと裏から逃げてしまう。お藤が自分を嫌って逃げたと疑った松五郎はお藤の家に行くが、酔った母親が清三郎の使いと思ってまた悪態を付く。松五郎はこれがお藤の本心と思うと悔しくてならず、家へ帰ると箪笥からたしなみの一刀を取り出す。出ようとすると、二階でみちりッ、と寝返りを打つ音……ここから芝居口調で母への詫び……
「……なにぶん胸にすえかねまして、お藤をはじめ、恨みの者を、殺して無念を晴らしまする(つッと、ひとつすすりあげ)わたくしは、腹を切って死ぬ覚悟。あなたは駿河台の磯之進のところへおいでなされば、かならずお世話をいたしましょう(また、つッと、すすりあげ)寝ているおっかさんに、百万羅もかえらぬ繰りごと、子の無い昔とあきらめて、お許しなされて(手を合わせ、チョンと一つ柝がはいり)くださりませ……」
(『巽八景』浮名たつみの八景と、その一節を……と、この唄にて思い入れありて、のち、手拭いを前へ立てて、ゆっくり裏返して、舞台の廻る態を示し)
道具がまわる。これから、お藤をはじめ五人の者を殺害いたします。鳴物入り芝居噺にあいなります。『お藤松五郎恋の手ちがい』というお噺でございます。
【成立】
三遊亭円朝が演じたが、もっと古い時代に成立した噺だという。三遊亭円生(6)が見事な舞台を見せた。
【後筋】
落語「ほ」の18:星とり(ほしとり) 2026.07.27
落語「ほ」の17:星大名(ほしだいみょ… 2026.07.26
落語「ほ」の16:ポコンポコン(ぽこん… 2026.07.25
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