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2010/03/16
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カテゴリ: 歴史

います。ちょっとかわいそうなくらいです。
しかし私はこの乃木さんの融通の利かない実直さとそれに反するダメさ加減の人間性に
引かれて、司馬氏の乃木論とも言える「殉死」まで読むことになりました。そこには、
小心で、潔癖で、虚弱で、戦下手で、自虐的で、寝るときまで軍服で寝た無骨な人物が
描かれています。

そして日本の歴史小説でも空前のベストセラーともなった「坂の上の雲」によって、
かっては世界の名だたる名将だった乃木希典は愚将として一般の人々にも印象付けられ
てしまいました。


私としては、乃木さんという味のあるキャラクターを強調するための誇張のように思い
たいのですが、司馬氏は乃木将軍と伊知地参謀の言動記録から無能と酷評しています。

ところが歴史研究家によると司馬氏にはいくつかの事実の誤認があるということです。
福井雄三氏著の「『坂の上の雲』に隠された歴史の真実」もそうです。
福井氏は司馬さんの作家としての才能は高く評価していますが、集めた資料の不備、軍
事的知識の欠陥などによりその視点は偏っており、史観としても認めがたいとしています。
また小説としてまとめるための事実の簡略化や、人物の善玉と悪玉の書き分けも加わっ
ているのでそれを歴史の事実と見誤る危険性があるというのです。

旅順攻撃に対しても司馬氏の見解では、二百三高地さえ落とせばさっさと決着は付いた
のに、堅固な要塞に対して無駄な突撃を延々と繰り返し、挙句の果てに6万もの死傷者
を出してしまったと書いてます。その責任は全て乃木将軍と伊知地参謀の無能のせいで

アンに広く浸透しています。

しかし福井氏によると、当時の日本軍は状況に応じて様々な攻撃を仕掛けたりして非常
な努力をしていたのに、海軍と陸軍の対立、参謀本部の統制ミスなどにより乃木軍は翻
弄されていたようです。
またこの攻撃の目的は二百三高地でなく旅順要塞そのものであり、旅順港のロシア艦隊

消耗が激しく、大砲も兵士も全て陸揚げされた抜け殻だったとのこと。これはロシア軍
の少将も認めています。司馬氏の言うように艦隊を破壊してさっさと引き上げることは
実際には出来なかったようです。

旅順要塞への攻撃も当時としてはもっとも正攻法であり、その後の欧州でも同じような
要塞攻略でまったく同じ攻撃が行われています。75万人もの犠牲者を出した戦いもあり、
要塞戦の中では旅順は当時の最良記録と評されています。(Wikipediaにもありました)

だから砲弾や物資が不足する中、これだけ戦った乃木さんたちは決してアホ扱いされる
ゆわれはないと言うのです。これを読んで乃木フアンの私はほっとしました。

もちろんこれらの本の真偽も私にはわかりません。ただ、戦争や様々な出来事を結果論
から評価し、一方的にその責任者を断罪してしまうのにはちょっと疑問に思いますね。
だいたい歴史の真実なんて誰にもわからないことです。様々な文献や見解を交えてああ
だこうだと推測するのが歴史フアンの醍醐味なんじゃないでしょうか。

それにしても司馬遼太郎氏の作品は面白い。それは確かです。





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最終更新日  2010/03/16 08:55:01 PM コメントを書く
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