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塩野義製薬が2月に承認申請した新型コロナウイルス感染症の飲み薬の審査を巡り、厚生労働省が頭を悩ませている。初の国産の飲み薬として注目が集まる一方で、臨床試験(治験)では、さまざまな症状を総合的に改善する効果が明確に示されていないためだ。同社は、迅速な審査が可能な「条件付き早期承認制度」の適用を求めているが、制度の趣旨に沿わないのではないかと疑問視する意見もあり、先行きは見えない。
【塩野義コロナ飲み薬】
▽評価できない
「今のデータでは評価ができない」。塩野義が承認申請した2月25日、症状改善効果を見極めるために設定した主要評価項目を治験で達成できていなかったことに、薬の審査に関わる政府関係者は頭を抱えた。
治験は軽症から中等症の新型コロナ患者約400人を対象に実施。主要評価項目のうち、薬を5日間投与したグループではウイルス量は減ったが、最も重要な発熱や吐き気など12の症状を総合的に改善する効果ははっきりと確認できなかった。
塩野義は12症状のうち、鼻水や喉の痛み、せき、息切れといったオミクロン株に特徴的な呼吸器症状が改善したことなどを理由に承認申請したと説明。しかし有識者からは「手放しでOKと言えるデータではない」との意見が出ている。
▽優劣
塩野義は早期実用化を目指し、通常なら必要な最終段階の治験結果がなくても審査を受けられる条件付き早期承認制度の適用を厚労省に求めている。ただ、この制度はもともと、患者数が少ない病気を念頭に、有望な薬をいち早く使えるようにするための仕組みだ。
制度を適用するには「治験が難しいか、実施できたとしても患者数が少ないため相当な時間がかかる」「治療法がないか、既存のものより優れている」など四つの条件を満たす必要がある。新型コロナの場合、患者数は多いほか「モルヌピラビル」や「パキロビッド」といった海外製の飲み薬が既に承認されている。
入院や死亡を減らす効果が示されている、この2種類と、塩野義の薬の優劣は分からない。ある政府関係者は「制度の仕組みを素直に読めば対象にはならない」と説明する。
▽圧力
塩野義は、与党議員らに薬の特徴や治験の結果をたびたび説明している。関係者によると、手代木功(てしろぎ・いさお)社長がオンラインで参加し「他の薬と比べて下痢の出現が少なかったと、治験をやった先生が言っていた」とアピールしたこともあった。
塩野義の説明を受けたという自民党の甘利明衆議院議員は2月4日「日本人対象の治験で副作用は既存薬より極めて少なく効能は他を圧しています」「石橋をたたいて渡らない厚労省を督促中です」とツイッターに投稿。公明党の議員も「強みが多い」と投稿した。
厚労省関係者によると、安定供給が見込める国産医薬品への期待から「審査を早くやれという省内へ政治的圧力は非常に強い」という。安全性と有効性を科学的に評価する審査の中立性が損なわれる恐れがある。
薬の審査制度に詳しい大阪大の山岸義晃特任准教授(規制科学)は「政治家が何かを言ったから承認されることはないと思うが、承認されることはないと思うが、承認するにしてもしないにしても、審査当局には世間が納得できるだけの説明が求められる」と話す。
【塩野義の飲み薬
臨床試験結果】
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● 症状改善効果
発熱や吐き気など12の症状を総合的に評価した結果、偽薬を服用したグループと比べ、明確な改善効果示されず
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12症状のうち、呼吸器症状(鼻水、喉の痛み、せき、息切れ)改善効果を確認
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● 抗ウイルス効果
偽薬グループに比べてウイルス量が減少
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安全性
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