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2022.08.22
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カテゴリ: 徒然なるままに
Milkywayです。お元気ですか?

                                                              20220822

前回のブログ2回では、 DAISY Digital Accessible Information System )という電子書籍フォーマットについて書いた。このフォーマットでは、書籍を音声のみにしたり、しかもその速度を自由に変えたり、音声とテキストの組み合わせで読み上げを聞きながらテキストを目で追っていったり、あるいは、そのテキストをハイライトしてどこを読んでいるか明示したり、あるいはテキストと音声と画像を組み合わせたりして、どのような障害のある方でも読書ができるような、さまざまな配慮がなされた電子書籍システムであることを述べた。

そして、このシステムが援助できる障害領域は、非常に広範であることも紹介した。

しかも、このシステムを使えば、障害のある方たちが自分たちのニーズに適った図書を作ることもできるのである。

​今回のブログはこの画期的システムの創始者河村宏さんの「命を救う DAISY 」の一側面を紹介する。​

【命を救う DAISY ​​
​​ 河村宏先生が所属する「日本 DAISY コンソーシアム」が主導した「浦河プロジェクト」という例を紹介する。 ​​

http://www.rehab.go.jp/ri/event/image/shoufuku06.pdf

​これは、北海道の浦河町にある「べてるの家( 英語 : Bethel's house 」という 精神障害 等をもつ方々の地域活動拠点のことで、生活介護、 訪問看護ステーション ヘルパー テーション グループホーム 、有限会社福祉ショップ「べてる」などの活動をする社会福祉法人の総体で、そこで暮らす当事者の方々にとっては、生活共同体であり、働く場であり、ケアも提供するホームという 3 つの性格を持っている。 ​​

https://ja.wikipedia.org/wiki/ べてるの家

​​

かつてこの「べてるの家」を NHK 番組で観た時に、その活動内容に私は目が開かれる想いをした。

精神障害がある方たちは、一般的には災害時には救援を受けるだけ、という先入観を持たれているのだが、ここの方々はそうではない。自ら上に書いたマルチメディア DAISY を使って、 地震発生時の『防災マニュアル』 を作り、それに基づいて避難訓練をし、そして実際に、 2010 2 28 日のチリ津波の際は速やかに、 安全に避難しただけでなく 、町役場や自治会との連携を実行し、他の住民の方々も安全に避難できたのである。まさしく 「命を救う DAISY でありうることを実証した。

【べてるの家で実証】

「べてるの家」は、日本でもっとも地震の発生頻度の高い日高地方にある。そのため、いつ地震や津波が起きても避難できるように備える必要があった。さらに、 1995 年の阪神淡路大震災や 2004 年のインドネシア・スマトラ沖地震の大津波から、避難は喫緊の課題となっていた。

河村宏先生は、 2003 年から浦河に入り、「べてるの家」の避難における DAISY 活用に取り組まれた。 DAISY は、 音声・テキスト・画像を同時に表示するデジタル録音図書なので、同時に複数の感覚器官を通じて情報を提供できるため、認知に障害のある精神障害者などに対する情報伝達ツールとして有効という実証研究を始め、 2010 年までの間だけでも60回も浦河入りし べてるの家」の方々と続けられたのである。

具体的には、 不安があっても「学べばいい」「練習すればいい」「研究すればいい」という共通認識を確立 し、自分たちの生活の中での課題を、仲間たちと話し合い、メンバーそれぞれが対処方法を編み出した。避難場所を「地震発生後、 4 分以内に 10 メートル」と、具体的な目標を設定。当事者それぞれの方々が居住している所から、実際に自分達で避難場所まで歩き、その道筋を文字と写真と音声で示した『避難マニュアル』をマルチメディア DAISY で製作したのだ。

(出典:「障害者と災害」 報告書  2010 3 12 日)

​https://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/resource/disaster/sympo20100312/ikematsu.html​

​​ その結果が、前述の、 2010 年チリ津波の避難勧告がでた時の 安全な避難と 、町役場や自治会との連携の成功だったのである。 ​​

【自治体での導入を】

私は、この前例が全国各地の精神障害のある方々の避難用に、自らが DAISY を使って『防災マニュアル』を作れることの前例、好例になると思った。さらに、彼らの地域社会への参加を促し、社会貢献をすることにつながるとも思った。救援されるだけの人でなく、救援を援助する方々にもなるのである。

近年被災地では障害のある方々、高齢者の逃げ遅れによって亡くなる、あるいは助けに行った方々が犠牲になるなど、痛ましいことが起きている。その場所にあった避難ルートの確保と、避難方法の徹底のための独自のマニュアルが、マルチメディア DAISY だったら自分たちで作れるのである。

ぜひとも各自治体はこの DAISY を活用した「べてるの家」での試みを、参考にしていただきたいと願う。

障害のある方々が災害で命を落とさないために。






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最終更新日  2022.08.22 15:44:40
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