A氏が話す制度改正とは、2015年4月に導入された新人事制度のこと。10年ぶりに改定される新たな人事制度の下では、管理職から一般社員まで給料を査定する上での年功要素を完全に排除。「社員が現在果たしている役割」だけを厳密に評価する仕組みになる。
本誌が独自に入手した社内資料によると、社員のおよそ6割以上が減収の可能性があり、徐々にではあるが最終的に月収で最大13万円、年収にして同150万~160万円減るケースもある。
A氏の背中を押したのは、このドラスチックな制度改正と、それに伴い社員の間で一気に広がった「大盤振る舞いの早期退職制度は2014年度で最後になる」という噂だった。
約20年前から始まった構造改革による早期退職は、業界内でも「大量の人材を一気に減らしたい意図が丸見え」と揶揄(やゆ)されるほど、辞める者に破格の好条件を提示したものだった。一時は、通常の退職金に積み増される割増金は72カ月。50歳超の課長クラスで退職金は8000万円に達し、地方工場勤務者などの間でも“退職長者”が出現した。その後、割増金は徐々に下がったものの、まだ36カ月分が支給される。
「平井さんは事あるごとに2014年度で構造改革を完了させると発言している。ならば、早期退職制度は今回で最後で、中高年は今後、新人事制度にいじめられ自発的に辞めていく形になる。すぐ辞めて数千万円の割増金をもらった方が得だと子供でも分かる」(A氏)
実際、A氏と同じく、ヒット商品を生み出した往年の名物エンジニアや、新規事業を立ち上げるために社外から招へいしたキーパーソンなどがここへきて、続々と退職しているという。
新人事制度は現役社員のモチベーションにも暗い影を落としている。
2015年2月から3月にかけて、新人事制度での給与水準を決めるグレードが、全社員に通知された。上司との面談後、青ざめて帰ってくる社員が続出した。
「人を減らしたい、人件費を削減したいという経営陣の意図は分かるが、もう少しうまくできないものか。」。こう話すのは技術系社員のB氏だ。
出典: http://www.nikkei.com/article/DGXMZO85712850V10C15A4000000/?dg=1
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