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文芸春秋四月特別号の衝撃の新発見「小倉侍従日記」:「昭和天皇 戦時下の肉声」を読む。これまで「昭和天皇独白録」などを同誌で読んだが、小倉侍従の日記は、昭和天皇の生のお声が聞こえるような感じがする。特に太平洋戦争勃発までの軍部(政府)の動きと天皇のご対応は、臨場感があり、12月7日から8日にかけての天皇のご動静には読んでいて胸が押しつぶされるような感じがする。そして昭和20年の敗戦までの4年間は「針の莚」に座らせられたようであったに違いないと思った。これは、「高松宮日記」と併読するべきところであると思う。なぜならば、ご兄弟であった、天皇と高松宮との間には、必ずしも同意見ではなかったことが分かるからである。しかし、天皇というお立場は、たとえそれが正論であったとしても、それを強制することができなったのであろう。そこに昭和天皇のご心痛が察しられる。そして、昭和20年の敗戦を迎える天皇皇后両陛下の苦悩はさらに深くなっていく。この日記の続きがあれば、さらに読みたいと思う。最近に読んだもののなかでは、この「小倉侍従日記」ほど、衝撃を受けたものはない。
2007年03月19日
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久しぶりに「方言」シリーズを始めます。小学校(正確に申せば、国民学校)5年生~6年生の一年三ヶ月間、私は和歌山(紀ノ川北部)に疎開をしていたことがある。いわゆる縁故疎開だった。ちょうど同じ年頃の従弟がいたので、すぐに和歌山県人に溶け込んで、大阪へ戻った時には「いっかどの和歌山人」になっていた。と、そんなわけで、脳の隅っこに残っている記憶を辿りながら、「和歌山弁」に挑戦したい。《和歌山弁の主語》「私」「ぼく」「おれ」→ いずれも「わえ」「自分」→ 「あが」 例:「このペンは、私のです」→ 「このペン、わえのんじょ」。 例:「自分のことは自分でしなさい」→「あがのことはあげでせぇ」。「あなた」「お前」→ 「おまん」「おまはん」「てきゃ」「おんしゃ」「あんてきゃ」と、自分と相手との関係に応じて呼び方が違う。指示語(「これ」「あれ」など)は、「これ」→「こえ」。「それ」→「そえ」。「あれ」→「あえ」。「どれ」→「どえ」。「だれ」→「だえ」となる。 例:「あれはだれだい、あなたの友達かい?」→「あえ、だれよぉ、おまんの友達かぁ?」。《和歌山弁の語尾》語尾というか、文章の終わりがたいへん特徴的である。「~だ」という断定の場合、「じょ」になる。 例:「これはあなたの本である」→「これは、おまんの本じょ」。現在進行形の場合は、「ちゃぁる」になる。 例:「車が走っている」→「車、走っちゃぁる」。自分の主張を相手に訴えるような場合、「やん」「らいしょ」「いしょ」をつける。 例:「この書き方、間違ってるじゃないか」→「この書き方、間違っちゃぁるやん」。「この書き方、間違っちゃぁらいしょ」。 「そんなの、だめじゃないか」→「そんなん、あかんやん」「そんなん、あかないしょ」。 例:「その服、似合ってるよ」→「その服、似合てるやん」「その服、似合(にお)てらしらしょ」。また「して」を使う。 例:「この書き方、間違ってるよ」→「この書き方、間違(まちご)てらして」。「それじゃ、だめですよ」→「そんなん、あかなして」。「そんなん、あかないて」「そんなん、あかないてよぉ」。人を誘う時に「ら」を使う。 例:「映画を見に行こう」→「映画見にいこら」。「お昼をいっしょにたべよう」→「お昼いっしょに食べよら」。人に何かを勧める時に「なぁ」を使う。 例:「遠慮しないで食べなさい」→「遠慮しやんと食べなぁ」。出来ないという否定は「やん」を使う。 例:「今日は行けない」→「今日は行けやん」。 動詞+「ちゃる」は「~してあげる」の意味がある。 例:「肩をもんであげましょう」→「肩もんじゃらそ~」。「本を持ってきてあげよう」→「本持ってきちゃら」。動詞+「と」は「「~した」「~してしまった」の意味がある。 例:「祝打破もう終わりました」→「宿題、もう終わっと」。「電車はもう行ってしまった」→「電車、もう行って もと」。《和歌山弁の発音》「ざ・じ・ず・ぜ・ぞ」が言えない。 例:「ぞうきんをしぼる」→「どうきんをしぼる」。「心臓がどきどき」→「しんどうがどきどき」。「雑貨や」→「だっかや」。「ぜったいぜつめい」→「でったいでつめい」ネット友人のおこたさんから、実際的な例を教えていただいたので、追加します。<これ、奈良県の南の方もあります。高校時代の友達が「ざっきちょう(雑記帳)」の事を思いっきり「だっきちょう」と書いてあった!!白浜に遊びに行った時、カキ氷のみぞれを「みどれ」と思いっきり書いてあった!!うわさには聞いてたけど、ほんまやった事にカルチャーショック!!を受けましたぁ~。中学の先生に「でんでん」と言われた先生がいて、必ず「紀元前」を「きげんでん」と言う先生でした。全然も「でんでん」って言うので、言うたびに笑われてたな~>
2004年11月10日
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いまのお方には通じないギャグの一つに、「オノネ、おっさん、わっしゃ、かなわんよ」というのがある。これは、高勢実乗という喜劇役者が、1935年、日活映画「怪盗白頭巾」の中で出たギャグである。これが戦時中の流行文句となる。私の幼いころ、高勢実乗を「アノネのおっさん」と呼んでいた。時代はだんだん軍国化に進んでいくなかで、やや厭世的なこのギャグが流行したのは分かるような気がする。当節の日本は便利で快適な生活を謳歌し、言論の自由が保障され、「かなわん」ことなど、何一つない時代である。あのころは、言論も統制され、ちょっとでも反体制な発言をしようものなら、直ちにひっくくられる時代であった。「オノネ、おっさん、わっしゃ、かなわんよ」には、ある種のペーソスがある。声高にはものが言えない時代の哀愁が感じられる。これも「古き良き日」の一面である。
2004年03月09日
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本当は「三重弁」にしたかったが、代表的な「伊勢弁」を取り上げてみることにする。「あ行」あえ→燃料用の小枝。あいさ→間。例:「机のあいさにしもといて」(机の間に仕舞っておいて)あいべ→行け。例:「はようあいべあいべ」(早く行け行け)あこや→餡入りの餅。あざれる→肉や魚が腐る。例:「この魚あざれとるで」(この魚腐っているよ)あたたい→わざとらしい。あたんする→仕返しをする。あばえる→甘える。例:「いつまでもあばえとんな」(いつまでも甘えるな)あばばい→眩しい。例:「この新車、あばばいな」(この新車、眩しいな)あまめ→ごきぶり。あも→餅。あらくたい→荒々しい。ありこくたい→あるだけすべて。あらける→整理する。例:「部屋をちゃんとあらけないな」(部屋を綺麗に整理しなさい)あんき→安心。例:「あんきしなさい、ちゃんと合格しとるよって」(安心しなさい。見事に合格しているから)あんご→アホ。馬鹿。いけた→違った。いしかけ→石垣。いじくさり→意地悪。いせこやま→南西の風。いびこし→鬱陶しい。いっぷり→短期。いなう→担う。いまし→今。例:「兄貴、いつ出てったん?」「いまし」(兄貴、いつ出て行ったか? 今。)いろう→触る。うちあいこんば→出会い頭。うてかえる→転ぶうてる→死ぬ。うちゃる→壊す。例:「外へほらくっといたら、うちゃれてしもたがな」(表に放置していたら、壊れてしまった)うるくそ→青あざ。えずい→薄情な。むごい。えせむ→妬む。えらい→疲れた。例:「今日はようけ歩いたでえらいわ」(今日はたいへん歩いたので疲れた)おいでなして→よくいらっしゃいました。おいない→来い。例:「はようおいない」(早く来い)おうべっとう→秋に東北から吹く大風。おおきんな→有り難う。おくんない→ください。おげおげ→でたらめ。おじくそ→臆病者。おしきせ→晩酌。おたい→私。おちん→おやつ。おとしゃい→びっくりする。「おとしゃいよぉ、まぁこの子は」(びっくりするなあ、この子は)おもしゃい→おもしろい。おめく→叫ぶ。おわえる→追いかける。「か行」かぁどぉど→これはどうですか。例:「かぁどぉど」「いまいちゃなぁ」(これはどうですか。いま一つだな。)かいだりい→疲れてだるい。がいな→大きい。かざ→臭い。かずいき→老人。かせわし→忙しい。かだもん→怠け者。かっぱしゃぐ→乾いている。「かっぴんたん」は干乾びていること。からくる→かき混ぜる。がり→悪がき。がんがん→洗面器。かんつ→癇癪持ち。きっしょかええ→気持ちいい。きづつない→恐縮する。きばる→おごる。きりもん→着物。きんにょう→昨日。くさぐ→つぶる。例:「怖かったんで目くさいどった」(怖かったので目を瞑っていた)くうろい→黒い。くちなわ→蛇。げ→家。例:「昼からのぉげいってもええか」(午後、家へ行ってもいいか)けぇもない→少しもない。けった→自転車。けなりい→うらやましい。けんない→おおっぴら。例:「このことはけんないせんといてな」(この話はおおっぴらにしないでね)こいさ→今晩。こぉちく→頑固。強情。こぉちくもん→頑固者。ごうわく→腹が立つ。こぉた→買った。こぉとる→買ってある。こそばい→くすぐったい。ごっつぉう→ご馳走。こっつい→大きい。こどら→なまこ。米かす→米を研ぐ。ごめんして→許してこやま→西南の風。こわい→固い。「さ行」さいら→さんま。さおぐ→騒ぐ。さいそけない→情けない。~さかい→~だから。ささって→明後日の翌日。さちごい→怖い。例:そんなさちごい顔せんといて」(そんな怖い顔しないで)さぼす→乾かす。さむつぼ→鳥肌。例:「さぶつぼ立ってきた」(鳥肌立ってきた)~さんす→~なさる。例:「今日は何なんす」(今日はなにをなさいますか) しと→人。しまりする→洗い物をする。しゅむ→沁みる。じゃぁすぞ→殴るぞ。しょうずくなる→しゃがむ。屈む。しゃんかれ→しなさい。例:「早う仕事しゃんかれ」(早く仕事しなさい)じょんじょろ→とても。例:「じょんじょろ長い着物やなぁ。(とても長い着物だね)しょずむ→つまむ。~じょ→~ですな。しょうしな→恥ずかしい。すこい→ずるい。こすい。「すれこい」とも。すじょぼになる→雨に濡れる。ずつない→苦しい。ずっとか→よほど。はるかに。すばくら→小賢い。すま→隅。すんどる→生活している。せえさい→精一杯。せこ→露地。せきせき→しきりに。せせる→つつく。ひほじくる。せやに→そうよ。せんど→いっしょけんめい。せんじどこ→台所。そそこし→そそっかしい。ぞうさい→気侭。そやもんで→それだから。そばえる→じゃれる。ぞろこす→あふれる。
2005年02月12日
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「た行」たあら→俵。たつぼ→田螺(たにし)。だだくさ→大雑把。たてらかす→立てかける。たとむ→たたむ。たらわん→足りない。届かない。たなもと→炊事。だんだ→お風呂。だんない→かまわない。大丈夫。だんぼらほしとる→ゴロゴロしている。ちびこい→小さい。ちみぎる→つねる。ちゃっと→早く。直ぐに。ちょける→ふざける。ちんちん→とても熱い。例:「お湯ちんちん沸いとるよ」(お湯がとても熱く沸いているよ)ちゃらちゃら→派手。ちょぼっと→ちょっぴり。少しばかり。「ちょびっと」とも。つおい→強い。つくねる→紙などを丸めて押し込む。例:「いらんチラシはその辺につくねときない。」(不要のチラシはその辺に丸めて押し込んでおきなさい)つんどる→混んでいる。つぼる→裾をあげる。例:「ズボンの裾つぼっといて。」(ズボンの裾をあげておいて)つめる→挟む。例:「ドアで指つめた。」(ドアで指を挟んだ)つらい→気の毒な。つる→持って運ぶ。例:「ちょっと、そこつって」(ちょっと)、そこを持って運んでください)つるくす→吊り下げる。つるむ→協同する。てんご→いたずら。でこん→出来ない。例:「その格好では何もでこんなぁ。」(その格好では何もできないな)ててこしい→まめ。例:「あいつ、ててこしくメールくるなぁ。」(彼はまめにメールしてくるな)てんすか盛り→大盛り。てんぽもない→とんでもない。例:「こんなこと私にさすなんて、てんぽもないわ」(こんなこと私にさせるなんて、とんでもない。)どうまん→なまけもの。どえらい→すごい。どける→除ける。とごる→下に沈殿する。どしゃくる→怒鳴って怒る。どしゃげた→ぶつかってしまった。例:「昨日、車どしゃげたった。(昨日、自動車をぶつけてしまった。)どべ→びり。とちくる→あわてて、まごつく。どないした→どうした。とぼす→火を点す。とわい→遠い。どむならん→始末におえない。とめる→なぞる。例:「お手本通りにとめたでぇ」(手本とおりになぞったよ。)どろす→おっちょこちょい。例:「あのどろすぼ、また忘れ物してたわ」(あのおっちょこちょい、また忘れ物したな。)「な行」なかにし→北西の風。なっとしょう→どうしよう。なんですって!なっとな→何だって?なっともならん→どうしようもない。ならいや→塾。なんかなしに→なんとなく。なんきちげんならん→何の役にもたたない。なんね→何か?なんば→玉蜀黍。にあいに→すごく。例:「今日はにあいにようけ獲れた」(今日はすごく獲れた。)にいやん→お兄さん。にしはき→炊事洗濯。にしゃ子→ひねた子。にしゃあ→アホ。にすい→まずい、弱い。にじくる→塗りつける。にっすい→にぶい。にやす→沸かす。ぬかす→「言う」を罵って言うことば。ぬくたい→あたたかい。ねき→直ぐ近く。ねっから→一向に。のう→あなた。例:「誰がやんの」「のうがやれ」(「誰がするの?」「あなたがやれ」)のう→縫う。のぐ→脱ぐ。のたる→腹ばいになる。のぶとい→人の言うことを聞かない。「は行」ぱーろく→ばか。はきつかん→はっきりしない。はこ→うんこ。はさかる→挟まる。はざん→いけない。例:「私一人暮らしたいんやけど」「そや、はざんてや」(「私一人暮らししたいのだが」「それはいけないよ」。)はしかい→痒い。はだてる→行動する。はちくま→お転婆。はめて→(仲間に)入れて。はりこ→マリ。はりみじく→張り倒す。はんまくわす→すっぽかす。はんじかん→30分。びーたん→虫の内臓。ひげあめ→霧雨。ひしゃげる→つぶれる。ひなずな→弱く丈夫でない。ひやかい→冷たい。ふたかわ目→二重瞼。ふくろび→綻び。ふっちにしとる→散らかしている。ぶぶ→湯。べぇ→いや。否定。拒否。へいすけどり→梟。へたばる→疲れて動けなくなる。へりこ→隅の方。へれ→ヘルメット。へんどろこい→まずい。弱い。ほうばい→友達。ほうたろ→蛍。ほたえる→ふざける。騒ぐ。ほっこりせん→はっきりしない。ぼっさい→ださい。例:「こんなぼっさい服いやや」(こんなダサい服いやです。)ほったりする→骨が折れる。ぼら→穴。ほる→捨てる。ほんとにえぇ→そうですか。「ま行」まいすをこく→ゴマをする。まいすこき→お世辞を言う者。まいつくまる→絡まる。まいまい→蝸牛。まえかぜ→東風。まかる→こぼれる。まける→こぼす。例:「よそ目して注ぐでまけたるわさ」(よそ目して注ぐから、こぼしたじゃないか。)またい→確実。例:「明日の雨は、またいやろ」(明日、雨は確実だ。)まだまん→まだ。まばゆい→眩しい。まめなかぁ→元気ですか。まわし→用意。例:「明日のまわししたんか」(明日の用意したのか。)まんべ→平等。みがいる→筋肉痛。みじゃく→こわす。むさんこに→無闇に。むしくる→手でかき取る。むっくりおき→起き抜け。むかう→座る。例:「そこにむかわんせ」(そこに座りなさい。)めめる→幼児が泣き顔になる。めめこい→小さい。めぼ→ものもらい。めれたい→めでたい。めんぱち→めだか。めんめ→めいめい。もけた→生まれた。例:「あの人、女の子もけたんやって」(あの人、女の子生まれたそうです。)もっけもねぇ顔→ぽかんとした顔。例:「なっとしたん、もっけもねぇ顔して」(どうしたの?ぽかんとした顔をして。)もじく→(果物の実などを)もぐ。もどく→捌く。ももぐる→くしゃくしゃにする。~もんじゃで→~なものだから。「や行」やからきる→ヤンチャを言う。やけつりする→火傷する。やぐい→脆い。やしやなぁ→インチキくさいなぁ。やにこい→やりにくい。やめる→痛む。やらかい→柔らかい。ゆうざけ→夕食のこと。ゆわい→祝い。ようけ→たくさん。ようせん→できない。よくぼし→欲張り。よさり→夜更け。よして→(仲間に)入れて。よぼる→呼ぶ。よんで→ご馳走して。例:「あれ、美味ししそうなお菓子あるがん。ちょっとよんでさぁ」(あれ、美味しそうなお菓子があるじゃないか、ちょっとご馳走してちょうだい。)「ら行」らちいかん→解決しない。らちがあかない。らっしもない→つまらない。ろれろれ→呂律がまわらず。言葉がもつれる。わやくもん→怠け者。わやくちゃ→むちゃくちゃ。わるわれた→叱られた。われとら→君たち。
2005年02月15日
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