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世界ソムリエコンクール公開決勝戦。前回は『赤ワインのデキャンテイング&サービス』の様子をレポートしましたが。今回は最初の課題『シャンパーニュ3種類のサービス』の実技について。 画像は優勝したスイス代表パオロ・バッソ氏カウンター席に座る3名の男性客役の審査員がそれぞれ違う特徴を持つシャンパーニュを望んでいるので、それぞれの要望に合わせてシャンパーニュを選びグラスで提供する課題。3種類のシャンパーニュは全てモエ・シャンドン社のもので、銘柄やヴィンテージが異なる3種類のみがシャンパン用のワインクーラーに入れられているので、その中から希望するキャラクターのものを選ぶとう趣向。3種類の中から選んだものは、全ての選手が同じ組み合わせをチョイスしたのでここでは差がつかなかったと思う。差が出たのはお客にサービスする順番や会話も含めてどのようにサービスするかというところだった。1番目に登場したベルギー代表アリスティード・スピーズ氏は、笑顔絶やさぬ丁寧な仕事ぶりながら、決勝戦初出場のためか(はたまた若さのせいか)、コンクールといった場面に少し不慣れな様子を露呈してしまったようだ。例えば、ボトルのキャップシールをはがしたものを右側のポケットにしまっていたが、2本目のボトルのキャップシールを外すためにソムリエナイフを取り出そうとしたときに、最初に外したキャップシールが一緒にポケットから出てきてしまうミスを犯した。3本目の時は慎重にポケットの中を探ってソムリエナイフを取りだしたが、動きのスムースさ・エレガントさに欠けるように見えた。グラスにシャンパーニュを注ぐ場面では、ボトルを持っていない方の手が細かく震えているのがスクリーンの映像で確認できた。この課題を終えて次の課題に移る場面では、手に持ったキャップシールに対して「どこでもいいからそのへんに置いてください」と進行役のジェラール氏に言われてしまっていた。(会場から少し笑いが起きた) ベルギー代表アリスティード・スピーズ氏2番目に登場したカナダ代表ヴェロニク・リヴェスト氏は、キャップシールを外すのにもコルク栓を開けるのにも時間がかかり過ぎた。特にコルク栓の方は慎重になり過ぎたのか、はたまた決勝戦の重圧のせいか、見ている方がどうしたのだろうと心配になるほど時間がかかっていた。そのため、彼女は残念ながら3人目のグラスに注ぐ前に制限時間をむかえてしまう。コンクールというプレッシャーのかかる舞台のせいか、課題を何度も聞き直したりして緊張を隠せないヴェロニク氏は、他の課題中も表情が硬いように感じられた。しかし、この最初の課題終了後、注ぐ事が出来なかった3人目へのシャンパーニュをコンクールの課題とは関係なくグラスに注ぐ時、彼女は「しかたない」といったあきらめの表情とともに笑顔を見せた。それは、普段の彼女の仕事場での様子を彷彿させるかのような素敵な笑顔だった。 カナダ代表ヴェロニク・リヴェスト氏3人目のパオロ・バッソ氏はこの課題を無難に、しかも正確&スピーディーにこなしているように見えた。ところで、最初の二人は、シャンパンのボトルの栓を抜くとき、キャップシールをはがした後に、コルク栓を止めている金具を緩め、そのまま取り外さずに金具を付けたまま栓をひねっていた。いわゆる「ものの本」には、金具を取り外し布をかぶせて・・・、などと記載されているように思うので、彼らのやり方は少し気になった。実はあちらこちらは、彼らと同じ方法でスパークリングワインの栓を抜いている。移動してすぐスパークリングの栓を開けた時に、金具を外した瞬間にコルクが飛び出してしまったことがあり、それからは用心して金具を取り外さないようにしている。 ここからは深読みモードです。某国のソムリエ認証試験(ソムリエ協会系ではありません)の実技で、よくシェイクしてあるスパークリングワインの抜栓をさせたことがあったそうです。ほとんどの受験者が金具を取り外した瞬間にコルク栓を飛ばしてしまったそう。もしかしたら、そんな意地悪設定を意識しているのかも。(ちなみにその認証試験のもうひとつの課題は、キャップシールがボトルに見事に張り付いているボトルの抜栓だったそうで、こちらはなかなか取れないキャップシールをなんとか外そうとして血まみれになる人もいたとか)
April 3, 2013
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先日行われた世界最優秀 ソムリエコンクールの公開決勝戦。その様子をあちらこちらの視点で振り返ってみます。準決勝に残った12名から決勝は3名が進出。 くじ引きで順番を決めるベルギー代表アリスティード・スピーズ氏、カナダ代表ヴェロニク・リヴェスト氏、スイス代表パオロ・バッソ氏の順番に決まる。決勝戦はひとりの選手が6つの課題を連続してこなしていき、舞台奥のスクリーンにその様子がアップで映し出されるので臨場感(緊張感も)たっぷり。その中で選手の差が一番はっきりと表れたのが赤ワインのデキャンテイングとサービスの実技。この課題は8名のお客にボルドーの赤ワインをデキャンテイングしてグラスに注いで行くものだが、時間の制約があり、しかもテーブルとワインやグラスの用意してある場所が離れていること、さらにいくつかの「意地悪な」条件が設定されている難しいもの。先ず、用意されているワインは24時間前に立てておいたものが2本(ヴィンテージは1995年のもので、当然オリがボトルの底に沈んでいるであろうという設定)サービスしなくてはならない人数が8人と言うのも、微妙に多い設定で、しかもワイングラスも離れたテーブルから運んで行かなくてはならない。グラスやデカンタ容器も数種類置いてあるため、瞬時に最適なものを選んで使用しなくてはならない。一番手に登場したアリスティード・スピーズ氏は、柔らかな笑顔を絶やさず、丁寧でエレガントなサービスながら、おしくも時間切れ。選んだデキャンタ容器が不安定な持ちづらいものだったので、左手に持ったデキャンタへボトルからワインを移す様子がスクリーンに打ちしだされた映像は、見ていてハラハラさせられた。 ベルギー代表アリスティード・スピーズ氏二番手のヴェロニク・リヴェスト氏は、ホスト役の審査員がせっかくオリを瓶底に沈めてあるボトルを横にしたりシェイクしたりしてボトルのオリを舞わせてしまうという、この課題最大のポイントを唯一適正な対処してみせた。(同じヴィンテージであるもう1本のボトルに替えてそちらを抜栓しなければならない)しかし、彼女の悲劇はそのあとに待っていた。ボトルのキャップシールをはがしてソムリエナイフをねじ込んで行くと、なんとコルクがクルクルと回り始めてしまったのだ。つまり、これも「意地悪な設定」のひとつで、コルクがかなり柔らかくてボトル内壁に固定されていないために、ソムリエナイフのスクリューがうまくねじ込んで行けないようになっているのだ。スクリーンに大写しになるボトルの先端。コルクがまわってしまうのでスクリューがなかなか入って行かない。ソムリエナイフの先端の部分をボトルのフチにひっかけて引き上げようとするが、予想以上にコルクが長く抜けきれない。柔らかいコルクなので強引に引き抜くとコルクがちぎれてしまうリスクがある。もう一度スクリューをねじ込もうとするがコルクが回ってしまい、やはりうまく入らない。大写しされたコルクの側面からねじ込んだスクリューが視認できる。つまり悪いことにまっすぐにスクリューが差し込めていないのだ。もう一度引き抜こうとするが、やはり抜けない。ソムリエナイフで抜くのをあきらめ、あらかた姿を現しているコルクを指で引き抜く作戦に変更。慎重に左右に揺らして行くが、それでも抜けない。時間はどんどん過ぎて行き、会場内は固唾をのむような異様な雰囲気。指で慎重にコルクを揺らしていくと、ついに抜けた!しかし、不幸なことに彼女の服に付けてあるマイクが、コルクの抜ける「ポン」という音を明瞭に拾ってしまった。会場からはコルクが抜けたことへの拍手が少し起きるが、審査員が静かにという身ぶりでそれを押さえる。ワインの状態を確認するために、自分のグラスに少し注いで確認しようとするが、ボトルを持つ手も、グラスを持つほうの手もわなわなと大きく震え、本来なんでもないようなこの作業がうまく行えず、またしても会場の視線がスクリーンにくぎ付けになり、彼女の心の動揺が会場全員にはっきりと伝わる。そして、ここで時間となり課題は打ち切られてしまった!先行する二人が課題の途中で時間切れとなるなか、最後に登場したパオロ・バッソ氏は、唯一課題を最後までやり終えることができた。しかし、まったく順調に終えた訳ではなかった。8人分のグラスを銀色の丸いトレイに乗せようとするが、ボルドーワイン用のグラスはサイズが大きく全員分は乗せきらないようになっている。しかし、彼は強引に8個をトレイに乗せてしまった。そのため最後のグラスは外側にななめに傾いている!恐らくトレイには7個のグラスを乗せ、手にもう一つを持って運ぶのが正解ではないかと思う(最初のアリスティード・スピーズ氏はそのように対処していた)しかし、パオロ・バッソ氏はトレイの上で傾いているグラスに気づいてなかったようだ。もし気づいていれば、その斜めのグラスから最初に配り始めると思うが、他のグラスからお客のもとへ置き始めた。半分以上のグラスをトレイから移すと、ついに押し出されて傾いていたグラスが垂直になった。ここが今回の決勝戦の最大のポイントだったと思う。トレイに全部のグラスを乗せたのは当然減点の対象になる場面だと思うが、もしもグラスが倒れたり落ちたりしていたらパオロ・バッソ氏の優勝はなかったであろう。彼もコルクが回ってしまうという「意地悪な設定」に足をすくわれるかに見えたが、彼は冷静に対処した。白い布を被せて指で慎重に、しかしあまり時間をかけずに抜ききった。実は、そこにも彼のある戦略が幸運にも功を奏したように思う。ボトルのキャップシールをはがすのに、普通はソムリエナイフの刃を横に半周づつまわして切れ込みを入れ、さらに刃を使って削ぎ上げていくのだが、彼は刃で縦に一本切れ込みを入れ、指で剥がしてしまうという「荒技」に打って出た(すくなくともエレガントではない)。恐らく時間を使わずに、しかも確実にキャップシールを剥がすために選択した作戦だと思うが、普通のやり方はキャップシールの下の部分は取り外さないのだが、この方法だとキャップシールを全部むき取ってしまうのでコルクの長さを視認することが出来る。つまり、二番手のヴェロニク・リヴェスト氏がハマってしまった「コルクの長さが分からないため、どれだけスクリューが入っているか判断つかない」ことからくるミスを回避できたのだ。グラスを光にかざして汚れをチェックするのも、デキャンテイングする様子も、ワインをグラスに注いで行く様子も、なんだかあわただしくエレガントさは感じさせないパオロ・バッソ氏の実技ではあったが、最後に登場した彼だけが時間内に終了することができた。しかも大きなミスなく。この課題を終えたところで、会場の全ての人が彼の勝利を確信したのではないだろうか? 最初の課題3種類のシャンパンを提供でも 彼は素早かった最後から二番目の課題はワイン4種類、スピリッツ類6種類のテイステイングだった。パオロ・バッソ氏はワインからスピリッツ類へのテイステイングに移る間にミネラルウォーターがほしいと要求した。試験のホスト役のジェラール・バッセ氏は、最初裏方に指示を出したが、すでに終了した課題のテーブル上にミネラルウオーターのボトルが置いてあるのに気づき、自らパオロ・バッソ氏のコップに水を注いだ。前回の優勝者であるジェラール氏から、ほぼ今回の優勝を手中に収めているであろうパオロ・バッソ氏への水のサービスが、このコンクールの結果を暗示させる象徴的な出来事のように思えた。 優勝者発表!笑顔はじけるパオロ・バッソ氏 メダルを首に掛け感無量! 客席の奥さんを一足先に駆け付けた娘さんとともに呼ぶ 家族もそろって祝福される 歴代優勝者の名前が刻まれたトロフィー 今後3年間は彼のもとにあり その後次回の優勝者に引き継がれることになる
April 1, 2013
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