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2025年05月16日
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岩手県奥州市水沢、この街にはかつて蝦夷達の集落が広がっていました。そこに朝廷が兵を送り、徐々に支配を強め、延暦21年(802年)には田村麻呂によって胆沢城が築かれます。胆沢城は鎮守府として機能し、奥州支配の拠点として重要な場所とされ、数百人の兵が常駐していたとされています。胆沢城には兵士だけでなく各職人たち・陰陽師なども配されており、胆沢城内だけでもある程度の職務をこなせるようになっていたんではないでしょうか。
そんな鎮守府の中に勧請された八幡宮が鎮守八幡宮です。現在は鎮守府の塀の外にあたる土地に境内を構えています。

2024.11.2
鎮守府八幡宮


胆沢城跡の方形の土地に対角線を引くかの如く、国道270号が伸びています。その道沿いに一際目立つ赤鳥居。これが鎮守府八幡宮の一之鳥居です。



一之鳥居をくぐりあぜ道を行きます。恐らくこの参道も胆沢城跡の外縁に沿ったものと思われます。少し行くと直ぐに二之鳥居が見えてきます。



ご由緒です。




鎮守府八幡宮 略記

 当宮御祭神は国家を鎮護し、学問産業を盛んにし、災いを除き人の一生を守り給ふ八幡の大神とまをし誉田別尊(十五代応神天皇)・息長帯姫命(十四代神功皇后)・市杵島姫命の三柱にまします。
 桓武天皇、延暦20年(801年)に坂上田村麻呂をして東奥鎮撫のとき崇敬勧請せらる。宇佐八幡神霊この地に鎮まり給ひ、鎮守府八幡宮と号して東北開拓経営の守護神となられ給ふ。国家の崇敬厚く、嵯峨天皇より宸筆の八幡宮印を賜る。

 源頼義・源義家・奥州藤原氏は共に神威を蒙り報賽するに神領神宝をもってす。

 豊臣秀吉及び伊達氏も亦厚く崇敬し社殿を奉納す。
 文化年中(1804~1818年)伊達藩奥七郡の総寄進をもって現社殿を造営す。

 明治9年御巡行のとき、明治天皇の御代拝を賜る。朝廷将軍領主庶民の崇敬厚きにより県社に列す。

祭日
・例祭:9月15日
・加勢祭:旧正月8日



この由緒だけでは少々印象が不明瞭なので、公式サイトの由緒、特に年表の方を紹介したいと思います。こちらには詳細な事蹟が記載されています。
延暦20年(801年)


弘仁元年(810年)
 国家の崇敬厚く、嵯峨天皇より宸筆の八幡宮寳印をたまわりました。

嘉祥3年(850年)
 当宮別当職円仁(慈覚大師)は宮と宮附属の安国寺にて最勝王経を講じ、修正会、修二会、放生会、八講等の諸祭をおこない、これを恒例としました。
 天慶3年(941年)藤原秀郷は平将門征討のおり、当宮に神領ならび神剣を奉納し戦勝を祈願しました。

康平5年(1063年)
 源頼義また源義家は鎮守府将軍として当宮に戦勝を祈願しました。

治承元年(1177年)
 奥州平泉藤原氏は当宮を尊崇し十六羅漢像をはじめ社殿の造営、広大な神領、数多くの神宝を奉納し厚く崇敬しました。

文治5年(1189年)
 源頼朝は殊に欽仰し当宮を第ニ殿と号し全神事ことごとく鎌倉幕府の御願とし、陸奥出羽両国の所済物(税)をもって盛儀諸祭を執行しこれを恒例としました。中世には奥州伊澤八幡宮とも称され奥州総奉行の葛西氏や葛西氏の重臣、柏山氏の崇敬をうけました。

建武3年(1336年)
 北畠顕家は鎮守府将軍として祈願参拝しました。

延元2年(1337年)
 南北朝騒乱の兵火に遇い壮麗を極めた社殿群や多数の神宝什物はことごとく廃塵に帰しました。

貞和4年(1348年)
 北朝奥州探題吉良貞家は胆沢、江刺、和賀、気仙、斯波の五郡の棟別銭をもって南北朝騒乱期に焼失した社殿群を新に造営再建しました。
 明徳元年(1390年)天台宗 我等山 安国寺を修験道に改めました。

天正19年(1591年)
 豊臣秀吉も厚く崇敬し浅野弾正長政をして社殿の造営と多数の境内社の修造をおこない広大な境内地の神領を安堵しました。

寛永6年(1629年)・寛文2年(1662年)・貞享2年(1685年)・元禄7年(1694年)・宝永6年(1709年)・享保2年(1717年)
 江戸時代には仙台藩伊達氏の厚い保護を受け仙台藩筆頭の八幡神として崇敬せられ、藩費をもって社殿の造営修復をしました。

寛永14年(1637年)
 伊達政宗の正室愛姫は慶長洪水のため決潰した社地の修造と社殿を現在地に遷座しました。

文化8年(1811年)
 藩主、藩士、仙台城以北奥七郡406ヶ村の大肝入、肝入、検断、村々の総勧化(寄付)をもって現社殿を造営しました。
 当宮は奥州街道沿いに鎮座することもあって、街道を往く幕府巡見使や仙台藩主、盛岡藩主さらに幕末には函館奉行所へ赴任する幕府役人を始め近藤重蔵など歴史に名を残している者が多数参詣しています。

明治9年(1876年)
 明治天皇は東北御巡幸のみぎり、右大臣岩倉具視、宮内卿徳大寺實則、内閣顧問木戸孝允を遣わして御代拝あらせられました。

大正11年(1922年)
 県社に列しました。数ある神宝のなかで特に嵯峨天皇宸筆の八幡宮寳印、坂上田村麻呂奉納の宝剣と鏑矢、源義家奉納の御弓、伊達氏奉納の太刀などがあります。
 江戸時代の紀行家菅江真澄も当宮を参詣し最霊石や宝剣と鏑矢を拝し、その絵を残しています。

因みに​ 神社の公式サイト ​では、坂上田村麻呂が奉納したとされる宝剣・鏑矢をご覧になれます。注目すべくは宝剣の方。こちらは不動明王の諸刃の剣にそっくりなんです。仏教との強い関りが感じられる一品でした。
当社にも菅江真澄は訪れていたんですね!下に関連する部分を引用したいと思います。
岩手の山

天明8年(1788年)6月21日


天明8年(1788年)6月22日
 雨はやんだが朝の空はなおくもっているので、どうしようかとためらっているうち、またふりだしてきた。きょうは岩谷堂(江刺市)という村までわたろうと思ったが、この北上川の水がたいそうふかく、舟は出すまいと人が言うので、しかたなく、どのようにして江刺郡に行こうかと、ひとり空ばかりあおいで考えていた。
 八幡神社に詣で、この由緒ぶかい祭神の神秘な霊力に接し奉りたいと、これから御社に行こうと思ったとき、大声で渡船をしらせる声がきこえた。「これで北上川の往来はあるでしょう、お急ぎなさい」と人々が言うので、不本意ながら八幡神社詣ではやめて、舟のほうに出むいた。もっとも、昨年、一昨年とこの神社には幣を奉っている。
 主人に別れて八幡村を離れて川辺に行くと、「お急ぎなさい、舟が出る」とばかり、さかまく波に舟棹を何人もの力でついた。
​平凡社 ワイド版東洋文庫68 菅江真澄遊覧記2 80.81ページ より引用

ご由緒を見た方はもうお察しの通り、当社も神仏混淆の形態がとられていた様です。別当は現存しませんが、鎮守府八幡宮境内にはその痕跡らしき石碑が沢山残っています(一説には 黒石寺 ​が鎮守府八幡宮・岩手堰神社両宮の神宮寺だったという話もあるようです)。




梵字の石碑の他にも様々な石碑が置かれています。その数、数10基!かなり大量です。神明宮・​ 古峯神社 ​・庚申・金華山・湯殿山など様々な種類の石碑がありました。



参道は曲がりくねっています。この橋を越すと手水舎が置かれています。



手水舎です。今でも清浄な水が滴っていました。



そして人止めがされている謎のエリアがあります。奥には結界に囲まれた石、手前には3つの小祠が置かれていますね。







観音像もそうですが、奥の石も気になりますねぇ。なんだか独特の雰囲気です。



拝殿脇までやってきました。こちらには幾つか末社が置かれています。
そんでこちらには一本の大木が生えており、根本には祠が建っています。



明かな神木感。恐らくはそれを祀った社でしょう。



親切に解説まで書かれていました。

鎮守府八幡宮境内社
若木(若気)社の神木

 この神木は根際の3つの幹がねじれ絡んでいるように見え、上に伸び合わさり1つの樹になっています。この様な樹形は他所には無く大変不思議な形をしており、推定樹齢は1150年、幹周りは6.5m、推定樹高は29m。杉の巨木としては当地方で最大のものと言われております。
 古来より夫婦和合・子孫繁栄・恋愛成就に特別に強い信仰があり、また悪縁を切り良縁に変える神威が有り、いろんな悪縁切りにも高い御神力があると言われています。
 お宮の扉を開けて拝んでいたただくとともに神木の霊気を感じ取って自分の体に樹魂を受け入れ日々の安寧と心に願うことを御祈願下さい。
 お参りの後は扉を閉めて他言しないように。他人に喋ると望が叶わないと言い伝えられております。





若木社の隣には山神宮。なかなか大きな社殿です。小さな観音堂位あります。



扁額はこんな感じ。変わった書体です。



更に隣には稲荷社が置かれています。



稲荷社の後ろにはこれまで使われていたであろう石祠・石碑が集められていました。それにしてもかなりの数ですねぇ



拝殿です。秋も深まる11月に参拝したので、鮮やかに色づいた銀杏の葉に飾られています。



扁額です。社号標の字体と同じですよね。



本殿です。
拝殿と同じく荘厳ながらシックな外観です。



横からも見てみましょう。こうした素晴らしい建築を前にして、それを語る言葉が無いというのは非常に悲しいことです。まだまだ勉強していかなくてはいけませんね。



斜めから。
創建から今日まで、数々の有力者の庇護を受け存続してきた由緒ある八幡宮でした。当社にも坂上田村麻呂創建の伝説が残りますが、ここの場合は真実味がありますよね!史跡胆沢城跡とも関りの深い八幡宮をぜひご参拝ください



今回貰った御朱印です。
ここの御朱印は面白いシステムを取っていて、朱印紙の色・判を数種類の中から自分で組み合わせることが出来るんです。下の御朱印もその一例でしかありません。ぜひご自身で参拝して、いろいろな組み合わせをお楽しみください



公式サイトへのリンクです。
・鎮守府八幡宮

以上です。






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最終更新日  2026年06月22日 21時14分38秒
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