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2026年06月03日
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陸前高田町を代表する禅刹 普門寺。気仙三十三観音霊場の札所に選定されています。
名峰 氷上山の南麗に境内を開いており、三陸道のインターからも近いです。駐車場も広いので、車でも安心。是非天気の良い日に御参拝ください!
境内の詳しい様子は 奥州三十三観音霊場の札所記事 ​にて書きましたので、今回は寺宝に付いて詳しく見ていきたいと思います。

2025.7.13
気仙三十三観音霊場二十九番札所:海岸山 普門寺 観音堂


駐車場に車を停めて、二本杉に飾られた寺門をくぐります。ここにはかつて楼門形式の山門があったようなんですが、開山以来数度の火災に巻き込まれているため、現存はしていません。山門に収められていた仁王像だけは、今でも本尊と共に観音堂内に収められていますよ。
因みに寺門脇の二本杉も、当寺院中興開山の如幻充察大和尚お手植えと伝わる古木になります。



寺門をくぐり参道を進みます。薬医門形式の山門の先には、五百羅漢像が点在する杉並木が広がっているのです。



杉並木を抜けるといよいよ本堂です。




記外和尚が宋の皇帝から譲り受けたとされる品は次の5つ。聖観世音菩薩、愛染明王の掛け軸、紺紙金泥梵字十三仏の掛け軸、青磁の香炉、堆朱の香合です。

この内聖観音菩薩が当寺院の本尊として祀られ、各巡礼の札所本尊になっています。今は本堂では無く裏手の観音堂に安置されており、特に決まった時期の御開帳などは無い様です。​ 岩手文化情報大辞典 というサイトにて、像容を確認することができますよ。
この聖観音像は正式名称を「木造伝聖観音菩薩坐像」と言い、胎内には中興開基:千葉(浜田)宗綱が父母供養の為に奉納した旨や、永禄2年(1559年)住持充察、仏師:受請など関連する人名の記入があります。
本像の面白い所は、”伝”聖観音・・・と呼ばれていることで、 正確にはどの仏なのか特定できていない という点にあります。一般に聖観音像は右手で 施無畏印 ​を結び、左手には未開の蓮を持つ像様をしています。日本ではこうした姿が一般的かつよく見られ、それ以外の姿は少数派です(浄土宗の場合、阿弥陀如来の脇侍として合掌印の聖観音が伴う)。本像はどうでしょう。像容を見るに釈迦如来がよくとる禅定印を結んでいる事以外は、一般的な聖観音と同じような外観です。
ここに来て指摘したいのは、本像は宝冠釈迦如来ではないのか、という点です。禅宗、主に臨済宗では宝飾した姿の釈迦如来、つまり宝冠釈迦如来を祀る事があります。当国最初の例でいうと鎌倉円覚寺が挙げられます(現在それよりも以前に造像されたものが甲府の東禅寺にて見つかっています)が、これは大陸にて臨済宗と華厳宗とが互いに影響し合った結果生まれた仏像らしいのです。今でこそ宝冠釈迦如来と呼ばれていますが、円覚寺の本尊はもともと毘盧遮那仏と呼ばれており、当初は釈迦如来と明言されていなかったようですね。大陸にて毘盧遮那仏と釈迦如来が同一視された事、毘盧遮那仏は荘厳を尽くした外観をしている事が影響し、日本にも宝飾した釈迦如来が生まれたのです。
この宝冠釈迦如来と当寺院の本尊は、外観は完全に一致しています。更に開山僧の記外和尚は臨済僧、且つ渡宋経験があり、本像も宋国由来と伝わります。ここまでくると本像も宝冠釈迦如来と言えそうなんですが、1つ気がかりなことがあります。円覚寺が開山された頃の宋国で一般的だった毘盧遮那仏は禅定印ではなく説法印が一般的だったそうなのです。そうすると、本像も日本で造像された可能性が出て来てしまいますし、宝冠釈迦如来であると結論付けることも難しくなりそうです。
つらつらと語りましたが、僕自身浅学であり、結論付けることはかないません。ですが、本尊が宝冠釈迦如来であるという可能性自体は、あるのではないかと考えています。また、宝冠釈迦如来に関する情報は、山梨日日新聞社 「山梨県立博物館 開館20周年記念特別展 山梨の禅宗文化 おのれと向きあう」山梨県立博物館に事細かに載っていますので、是非購入をご検討ください。山梨県の禅宗文化の形成と、それらを支えた高僧の記録が図版付きで楽しめてしまう最高の一冊です。

因みに現在本堂に置かれている仏像も、本尊同様禅定印を結んだ聖観音なんです。こちらも詳細は不明ですが、相当の古仏に見えます。



​​ 岩手文化情報大辞典 というサイトにて実物を見れちゃいます。
このサイトの記述を引用してみます。
絹本著色愛染明王画像

・縦184cm。
・横98cm。

 布地、彩色の画像である。
 この仏画の像客は、三眼六臂の忿怒相で、頂に獅子冠を戴き、体は火のように赤く、手にはそれぞれ鈴、杵、弓、箭、蓮、珠を持ち、宝瓶の上の赤色の蓮華上に趺坐する愛染明王坐像である。六臂の持ち物配置は、瑜祇経説による。
室町時代の作である。

室町時代の作とまで特定されているんですね。それにしても古い逸品です。愛染明王は今では縁結びの仏というイメージが強いですが、本来の属性は怒れる明王の一尊という事で、軍神としての信仰もあるんだとか。本像も恐ろし気なる多臂の姿を描いています。

残りの3つは検索しても特に引っかからず・・・。見てみたいんですが・・・。

本尊が収められた観音堂。傍らには観音堂が建ちます。奥州三十三観音霊場・気仙三十三観音霊場両巡礼の札所です。




陸前高田町には、当寺院以外にも曹洞宗の古刹が幾つかあり、東北の中でも曹洞宗の伝播は結構早かったんではないでしょうか。参拝してみたら想像以上の古刹だったなんてことも結構ありましたし、また訪れたい町です。



御詠歌
ありがたや あまねき門に法を立て 至る嬉しき 彼の岸の寺

本尊:聖観音 आर्यावलोकितेश्वर

以上です。






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最終更新日  2026年06月03日 17時48分57秒
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