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2026年06月27日
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直ぐ運休になることで有名な五能線は木造駅。当地域を代表する土偶 遮光器土偶を前面に押し出した駅舎が有名です。電車が来ると目が光るというギミックも備え、かなりの異彩を放っています。僕自身通学で使っていたこともあり、この駅前通りは思い入れのある道であります。
今回紹介する寺院は、この駅前通りからすぐの所に境内を構える日蓮宗寺院です。寺院ではありますが、ある有名な大明神を祀ることでも有名なのです。見ていきましょう。



2025.5.31
法光山 実相寺


駅前通りから路地に逸れますと、曲線が美しい医薬門が参拝者を出迎えます。



門には花の装飾と共に金縁の寺号額がさがります。



門をくぐって境内左側。こちらにはズラリと並んだ組木が美しい鐘楼が置かれています。巨大な梵鐘を支えるために鐘楼自体もかなりの大きさです。



境内右側も見てみましょう。
こちらには風情ほとばしる手水。禅宗寺院に合いそうな設備ですね。



本堂です。

現在の本堂はおそらく失火後再建されたもので、1856年に建立されたものだと思われます。雪深い地故、木材の痛みが早いんですが、かえって外観の風情は増すという・・・良いんだか悪いんだか分からない環境です。御堂前面の扉も趣があり良し。



法光山 実相寺

日蓮宗 大光山本圀寺末寺
開山:日道上人?
開基:お妙の方
中興開山:実相院日成上人
本尊:十界曼荼羅

実相寺縁起について
 東日流(つがる)の朝日(五所川原市飯詰)に居館を構えていた十代高楯城城主 朝日左衛門尉藤原行安が、天正16年(1588年)6月、津軽為信に攻められ、主従のほとんどが討ち死にした。その時、城主の後室お妙の方は身ごもっていたため、城主の命により家老とわずかな供を連れ立って間道を通り城から大原(つがる市柏下古川)の地に逃げ延び男子を出産。その後、慶長2年(1597年)大原に主従の霊を弔うため落飾し庵を建て供養した。この庵は法華庵と呼ばれ実相寺の開基である。
 50年ほど経て寛文年間(1661~1672年)のころ讃岐(香川県)生まれの実相院日成上人は布教伝道の為この地を訪れ、特に木作(木造)地方の多くの人の信望を得たので、住持していた法華庵を元禄2年(1689年)に現在の地に移し本行寺の末寺となった。
 元禄14(1701年)本堂・庫裡の改装工事が完了し、法光山 実相寺の寺山号を公称した。


 安政2年(1855年)12月13日、失火のため堂塔・伽藍を焼失してしまったが、檀信徒の喜捨によって翌年再建された。明治6年10月、本圀寺日禎貫首の勧めにより京都本圀寺末寺に編入され、この時から永聖跡が許された。
 現住職は木造町永田出身で昭和8年に二十一世住職となった。



■水虎(すいこ)大明神について
 江戸時代末期、当山十八世 大音院日順上人の頃、木作(木造)地方は湿地帯であったので川が多く子供の水死事故が頻繁に起こった。上人はこれを憂い子供の水死事故を防ぐために水虎大明神を勧請、祈願して広く水虎信仰を広めた。
 当山は、近在における水虎信仰の源であり、民俗信仰研究にとって貴重な存在となっている。
日蓮宗 / 法光山 実相寺 ​ より引用

飯詰城とも称される高楯城の城主 朝日左衛門尉藤原行安の奥方が開基したと伝わる寺院です。飯詰城は現在の飯詰南方 妙竜寺のすぐ上に跡地があります。朝日左衛門尉藤原行安の足跡などは不明な点が多いんですが、弟の樺沢団右衛門は​ 飯詰八幡宮 ​を創建したとも伝わり、他にも所縁の神社仏閣が有るのかも知れません。
法華庵開基後、数十年を経て住持となったのが実相院日成上人。讃岐の人ですが、彼が実質の開山だと思います。本寺院は元は弘前の妙法山 本行寺末、19世紀ごろに京都本圀寺末となっています。

そしてお待ちかね、水虎大明神について見ていきましょう。
本堂内陣の須弥壇には、幾つもの仏像から成る立体曼荼羅が祀られています。その姿はあまりに荘厳で、地方寺院である事を忘れてしまいそうになる程です。その曼荼羅の片隅、小さな厨子の中に1体の神像が収められています。住職に詳しくお話を聞いたんですが、これが水虎大明神の原点となった像なんだとか。
そもそも水虎とは何なのかというと、中国由来の水怪だそうで、それが日本にも伝わり一般化したようです。河童とも同一視されている向きがありますが、本来は異なるものだったのではないでしょうか。
では何故、そんな水怪が神として祀られているのかというと、近代の当地域の環境が起因しています。現在のつがる市や北津軽郡の各部落が広がる十三湖南岸の平野部は、かつて入海だったこともあり、広大な湿地帯となっていました。そこを新田とするために牛馬を支給して開発を進め、現在のような田園地帯に変わるのです。その際、田んぼに引水するための水路を幾筋も掘らなければならず、集落の周辺には複雑な水路網が張り巡らされる事になりました。そうすると子供たちがその水路に落ち、命を落とす事故が頻発するようになります。この原因が水虎に引かれたためだとされたのです。水虎による被害を抑えるために神格化し、それを畔の祠堂に祀ります。当然これで被害が抑えられるはずもないんですが、米の生産を増やすためにも田んぼは減らせない・・・事故もしょうがないもの・・・といった悲しい状況も、水虎大明神が成立する背景になっているのでは、と思っております。

像の外観も見ておきましょう。
猿のような顔をした不動明王風の神格が、輪王座にも似た姿勢で座し、合掌印を結んでいます。光背はおそらく逆巻く水で、水神である事を示しているんだと思われます。
この様な像容の他にも、立像や女神型のものも見られ、かなりバラエティーに富んでいるみたいです。津軽地域の神社・仏閣の祠の中をふと覗いてみると、これらの像が置かれています。




多分身延山久遠寺八十六世 日静上人の筆になるんではないでしょうか。



斜めから。
新田開発にまつわる面白い神格が祀られている古刹でした。今回アポなしで伺いましたが、快く水虎さまの解説をしてくださり、本当に助かりました。勇壮な本尊、厳かな本堂と、見所あふれる寺院を是非ともご参拝ください



今回貰った御首題です。



以上です。






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最終更新日  2026年06月27日 09時51分47秒
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