KUROうさぎの『コンサートを聴いて』

KUROうさぎの『コンサートを聴いて』

2022.10.02
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カテゴリ: オペラ


入場料:4,950円(D席 3階L列)

【主催】(財)新国立劇場

新国立劇場2022/2032シーズン
オペラ『ジュリオ・チェーザレ』
ヘンデル作曲

全3幕(イタリア語上演/日本語及び英語字幕付)
会場:新国立劇場オペラパレス



スタッフ
指 揮  :リナルド・アレッサンドリーニ
演出・衣裳:ロラン・ペリー
美 術  :シャンタル・トマ
照 明  :ジョエル・アダム
ドラマトゥルク:アガテ・メリナン
演出補  :ローリー・フェルドマン
舞台監督 :髙橋尚史
合唱指揮 :冨平恭平
合 唱  :新国立劇場合唱団
管弦楽  :東京フィルハーモニー交響楽団
通奏低音 :チェンバロ)桒形亜樹子
      チェロ)懸田貴嗣
      テオルボ)上田朝子、瀧井レオナルド


出演
ジュリオ・チェーザレ:マリアンネ・ベアーテ・キーランド
クーリオ  :駒田敏章
コルネーリア:加納悦子
セスト   :金子美香
クレオパトラ:森谷真理
トロメーオ :藤木大地
アキッラ  :ヴィタリ・ユシュマノフ
ニレーノ  :村松稔之


感想
 2020年4月当時チケットを取り楽しみにしていた本公演、リハーサル直前まで行って新型コロナ感染の影響で中止となったバロック・オペラ「ジュリオ・チェーザレ」の公演があるとのことで、夏日の中、初台まで出掛けた。

 客席は1階前2列の空席を除き満席。オケピットにはチェンバロ、テオルボ、リコーダ等のバロック楽器が入っている。
 暗転、指揮者が楽譜を持って登場。指揮者のリナルド・アレッサンドリーニはコンチェルト・イタリアーノの主催者でチェンバロ奏者でもあり、歌手が歌った後の間のとり方も絶妙で
音楽をどんどん進めていく。弦楽は現代楽器をピリオド奏法。3幕冒頭のホルンが危なそうだったが、大きな事故もなく、演奏されていた。

 今回の演出はロラン・ペリーの2011年パリオペラ座初演のもので、現代の博物館の倉庫が舞台。博物館の職員達により大きな彫像が運びこまれ、動かされる中で歌手が登場し当時の衣装でアリアを歌う。大きなエジプト彫像が本物の様に見え、その彫像に絡んで歌うのでエジプトが思い浮かべて来て違和感なく聞こえる。博物館職員は衣装を変えずに、場面に合わせ宮廷の家来や兵士を演じる。
 2幕では大きな絵画が運び込まれ、クレオパトラがその風景画の前でポーズを取る、更に額縁が前にずれて、額縁と絵画の間に入るので、そのまま絵画の中に描かれている様に見せる。
 更に絵画の後ろから華やかなドレスを着た女性のバンダが登場し、バロック楽器を使って演奏をすると、中世宮廷の広間で演奏を聞いている気分にさせる。
 2幕でオケピット内の人数が少々減ったと思っていたら、そのまま衣装に着替えてバンダで舞台に登場されたようで、皆さんお美しいのに驚かされた。

 博物館の演出はユーモアが散りばめられており、1幕では机上の頭部の彫像の口が合唱に合わせて動いて歌っている様に見せる。ポンペーオの首が大きな頭部の彫像が木枠に吊るされ、その周囲でコルネーリアとセストが泣き悲しみ復讐を誓うアリアを歌う。
 2幕の絵画の中にヘンデルの肖像画があったり、3幕クレオパトラ軍とトロメーオ軍との戦いは椅子に座った、クレオパトラとトロメーオを博物館職員が騎馬戦のように担ぎ、左右に動くことで戦闘を表す。トロメーオがセストに刺される場面ではあっけなく倒れ、更にフィナーレで全員で歌うところでは、運搬台車に載せられたトロメーオの死体も歌っていた。
 場面転換も歌手がアリアを繰り返している最中に彫像や絵画を動かし、歌い終わったら直ぐに次の場面へ。METライブビューイングで本オペラを観たが、その際は舞台を2,3箇所に分けて、歌手が次々と移動することで場面転換を行い大変そうで、今回の演出の巧さを感じた。
 同じ博物館設定で意味不明の演出だった先日の某オペラとは大きな違い。

 歌手は皆さん良く歌えていた。タイトルロール役のマリアンネ・ベアーテ・キーランドは、本来カストラート設定のため、1幕は音域低く聞こえづらかったが、2幕、3幕と進む程に良くなり、繰り返しの装飾技巧は素晴らしかった。また精悍な顔つきとスタイルでシーザー役に合っていた。クレオパトラ役の森谷真理は、顔立ち、スタイルがぴったり。METでもナタリー・デセイが演じており、やはり美人でないと。歌の方は、繰り返し部分で一部ベルカントの様に歌い上げてバロック的でなかったが、装飾部分なので良いのでしょう。一番良かったのはトロメーオ役の藤木大地で、素晴らしい歌声。やはり音域的にカウンターテナーが合う。同じくカウンタテナーのニレーノ役の村松稔之も良かった。

 バロックオペラは歌手がレチタティーヴォの後にダ・カーポ・アリアを歌い、繰り返しが多く、時間も長い(今回休憩入れ約4時間半)ので退屈になりそうだが、演出が工夫され最後まで楽しんで聞くことが出来た。
 月末には神奈川県立音楽堂でファビオ・ビオンディ指揮のエウローパ・ガランテで「シッラ」日本初演を聞く予定で今から楽しみに。


End





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最終更新日  2022.10.04 21:30:00
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