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【本日の一冊】舞姫通信ラストシーンは、もう始まっているのかもしれない。人は、誰でも、気づかないうちに人生のラストシーンを始めている。17歳で死んだ「自殺志願」のタレント城真吾にとっては、16歳は晩年だった。城真吾は教えてくれた。人は死ねる。いつ。いつか。いつでも―。でも、僕は思う。僕の教え子の君たちの「いつか」が、ずっとずっと、遠い日でありますように。教師と、生徒と、生と死の物語。 本書あとがきで、重松氏のフリーライターの初仕事が岡田有希子(*)さんの本だったことを知りました。(*)80年代のアイドル歌手その後、岡田さんが自殺。 その3年後に重松氏は友人を自殺によって亡くしています。身近でおきた自殺による死と、重松氏自身の「教師」という体験が、この物語の底にあるようです。「死ぬ」という普遍的な真理を前にして、「生きるとは?」と考えさせてくれる一冊です。
2007年06月26日
【本日の一冊】いつか、虹の向こうへ尾木遼平、46歳、元刑事。職も家族も失った彼に残されたのは、3人の居候たちとの奇妙な同居生活だけだった。家出中の少女が彼の家に転がり込んできたことがきっかけで、ある殺人事件に巻き込まれてしまい…。新人離れした筆力で綴り上げた、痛みと再生の物語。第25回横溝正史ミステリ大賞&テレビ東京賞W受賞作。 久々にハードボイルド小説を読みました!ハードボイルドにありがちな設定というか、まさにハードボイルドという構成要素が逆に小気味よかったりしました。ミステリとしてはいまひとつ、という感じですが、全体としておもしろかったです。145gの孤独 ←これも気になります。
2007年06月24日
【本日の一冊】夜の電話のあなたの声は女、三十代。つきあっている男はいても、独りの気ままさが好きだった。けれども突然、男から別れを告げられ、自らの心の弱さに直面する。驚き、怒り、喪失感、そして…。恋と孤独を愛する女たちの“別れのあと”にゆれる心を、繊細な筆致で描く三篇。表題作のほか「雨の夜にホテルへ」「男のいない男の部屋で」を収録。 三篇とも一方的に別れを告げられた女性の話。突然の別れなんて、男が悪い! と言い切れないのが 藤堂志津子のおもしろいところ(笑)捨てられた三十代独身女性は、それだけしたたかで強い。独身男性が読んだら、女って怖い、と思うかもしれませんね。三十も過ぎるとキレイごとだけの恋愛はないと、まあそういうことですかね。 いや、あるかもしれませんが(^^;)
2007年06月22日
【本日の一冊】輪廻(rinkai)茨城の旧家に嫁いだ香苗は愛娘・真穂をもうけたが、なぜか義母がその孫娘に苛烈な仕打ちを加える。それに耐えかね、離婚した香苗は大久保に住む実母・時枝のもとに帰るが、やがて真穂の体には痣や瘤が…。東京、茨城、新潟を点と線で結び、「累」の恐怖を織り込んだ明野ホラーの原点ともいえる第7回松本清張賞受賞作。先日『痛いひと』を読んで、この作家の長編を読んでみたいな~と思い購入したものです。『痛いひと』は いまひとつ、という感じでしたが、本書は楽しめました!「累」の物語をご存知の方はより楽しめるかと思います。嫁姑の諍いは…まあ、何かしらの因縁なんでしょうなぁ~、と物語とは別の意味で思いを馳せた私でした(笑)
2007年06月18日
【本日の一冊】感じて。息づかいを。恋愛の渦中にある人間の息づかいが聞こえてくる名作八篇を、川上弘美が独自の視点で厳選。【目次】桜の森の満開の下(坂口安吾)/武蔵丸(車谷長吉)/花のお遍路(野坂昭如)/とかげ(よしもとばなな)/山桑(伊藤比呂美)/少年と犬(H.エリスン)/可哀相(川上弘美)/悲しいだけ(藤枝静男) 川上さんが選んだ恋愛小説ということで読んでみました。川上さんの作品は既読でしたが、他作品は初めて読むものばかりでした。坂口安吾、車谷長吉、と読み進めて「おおっ!これはっ!」とかなり高ぶりましたが、次あたりから、ちょっと好みが微妙にずれてきて…(^^;)頭とお尻の2篇ずつでビシッと決まっている短篇集です。(あくまでも私の好みですが)
2007年06月16日
【本日の一冊】 『羊をめぐる冒険』から四年、激しく雪の降りしきる札幌の街から「僕」の新しい冒険が始まる。奇妙で複雑なダンス・ステップを踏みながら「僕」はその暗く危険な運命の迷路をすり抜けていく。七〇年代の魂の遍歴を辿った著者が八〇年代を舞台に、新たな価値を求めて闇と光の交錯を鮮やかに描きあげた話題作。 失われた心の震えを回復するために、「僕」は様々な喪失と絶望の世界を通り抜けていく。渋谷の雑踏からホノルルのダウンタウンまで―。そこではあらゆることが起こりうる。羊男、美少女、娼婦、片腕の詩人、映画スター、そして幾つかの殺人が―。デビュー十年、新しい成熟に向かうムラカミ・ワールド。 購入して一年以上もあたためておいた本たち。久々に村上ワールドに迷い込みました(笑) 余談ですが…登場人物に「牧村拓」(まきむら ひらく)という名前が出てきますが、これは「村上春樹」(むらかみ はるき)のアナグラムなんだそうです。MAKIMURAHIRAKU MURAKAMIHARUKIほぉ… たしかに。 この「牧村拓」が「作家」として描かれているのも、おもしろいですね。楽しめました。
2007年06月11日
【本日の一冊】痛いひとあなたの隣にいませんか?一人で妄想するひと、突然怒るひと、イヤなときに必ずいるひと、死んでいるのに自覚がないひと…不思議で奇妙で怖い人たち。いつどこで出逢うかわからない―逢いたくないけどもう逢ってしまっているかもしれない「あのひと」と「あなた」のストーリー八編を収録。【目次】パンドラの匣/脳の傷に酒がしみる/それだけは言わないで/充実/見つめてごらん/伝染さないで/降臨/汝の隣人愛すべし プチホラーとでも言ったらいいのでしょうか。 (でも、そんなに怖い話でもないけど)日常にありがちなことを別の目線…というか、ある意味づけをするとこうなるのかも。ただ、先が読めてしまう展開ばかりなので やや面白みにかけました。タイトルの「痛いひと」というのは、なるほど、と思います。 さくっと読める一冊なので、ちょっとした時間つぶしによいでしょう(笑)
2007年06月10日
【本日の一冊】群青の夜の羽毛布丘の上の家でひっそり暮らす不思議な女性・さとるに惹かれていく大学生の鉄男。しかし次第に、母親に怯え、他人とうまくつきあえない不安定な彼女の姿に疑問を募らせていく。母娘三人の憎悪が噴出するときに見えてくる、戦慄の情景とは―。恋愛の先にある家族の濃い闇を描いて、読者の熱狂的支持を受け続ける傑作長編小説。これはちょっと他人事ではないな、という感じで読みました。さすがに、ここまでではないものの私の実家も「複雑な家庭の事情」というものがありまして(笑)異常に厳しい母親という意味では、本書の母親に勝るとも劣らないのではないかと…まあ、そんなわけで、さとるの気持ちもわからないでもないわけです。 いや、わからないところの方が多いのですが私はひたすら家を出る事(=自立)を考えていましたね~ あ~、若かった頃。私はあまり従順ではない娘だったので、家出も経験しましたが(^^;)・・・などど昔を振り返って、複雑な気持ちになった一冊でした。
2007年06月07日
【本日の二冊】ダヤンと王の塔 ダヤン、タシルに帰るダヤンの「定められた務め」とは?タシルの街は救われるのか?そして、ジタンの運命は…?ダヤンの長編ファンタジーシリーズ第6弾と完結編!『不思議の国わちふぃーるど創世の秘密を解き明かす大長編物語』ついに完結してしまいました~もう、読み始めたら一気です! 笑いあり、涙あり、はらはらどきどき、そして心温まるファンタジー。ダヤン、かわいすぎるぅ~ジタンもバニラもセもマーシィも…みんな、みんなかわいい~~あ、もちろんかわいいだけでなく、内容もおもしろいんですが(^^;)これで終わりっていうのも寂しいわ。 続編が出ないかな~
2007年06月04日
【本日の一冊】おとぎ話の忘れ物作家・小川洋子と、画家・樋上公実子が織りなす、極上の世界。忘れられたおとぎ話の中で、オオカミは腹を裂かれ、少女は行き先を見失う。幻想的なイラストと、それをモチーフに紡ぎだされた残酷で可憐の物語。小川洋子さんの物語に樋上さんが絵をつけたのかと思いきや、樋上さんが描いた絵に小川さんがお話を書かれたという短編集。表情のない少女のエロティックなイラストと 決して「めでたし、めでたし」という結末を迎えないお話が不思議と調和しているようです。倉橋さんの『大人のための残酷童話』のようなものかと思いましたが、それほど毒はなく、「残酷」というほどでもないような…ほんの短いお話なので、ちょっと暇つぶしにいい一冊でした。
2007年06月02日
【本日の一冊】香水18世紀のパリ。孤児のグルヌイユは生まれながらに図抜けた嗅覚を与えられていた。真の闇夜でさえ匂いで自在に歩める。異才はやがて香水調合師としてパリ中を陶然とさせる。さらなる芳香を求めた男は、ある日、処女の体臭に我を忘れる。この匂いをわがものに…欲望のほむらが燃えあがる。稀代の“匂いの魔術師”をめぐる大奇譚。 映画『パフューム』の原作というので読んでみました。むむむむ… 意外な結末。 映画も原作に忠実なんだろうか?どんなふうに映像化しているんだろうか?…とても興味があります。
2007年06月01日
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