東方見雲録

東方見雲録

2023.01.04
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カテゴリ: まちづくり



「空中権移転」という“秘策”を講じ、東京駅のレンガ駅舎保存・復原に貢献した人物として、2代目JR東日本社長だった松田昌士が挙げられます。松田は、「500億円で東京駅の余っている容積率を買ってくれないか」と三菱地所に持ち掛け、三菱地所は「ウインウインの関係」と応じました。このことはNHKのドキュメンタリーで松田本人が語っています。
 松田案によって、レンガ駅舎保存・復原は一気に進展することになったのです。
 ここで松田が語っている「余っている容積率」が、東京駅の空中権のこと。これを移転することで、他の土地の都市計画で定められた容積率を緩和できるからこそ、三菱地所が応じたわけです。

保存・復原の財源策も具体的に動き出します。八十島委員会の容積率移転提案を受け、東京駅のためにわざわざ法制化したのが「特例容積率適用区域制度」です。同制度は2001(平成13)年5月、歴史的建造物の未利用の容積率を活用し、建造物の保存と土地の高度利用を図ろうというもの。「大手町・丸の内・有楽町地区(大丸有地区)」の指定区域内であれば、離れていても容積率移転が可能という融通無碍の新制度です。空中権を売ったJR東日本、買った三菱地所、さらには認可した都も得をします。政官民一体の「打ち出の小づち」政策の象徴的制度として誕生したのです。

翌2002(平成14)年1月、駅舎保存・復原、駅前広場整備、特例容積率適用区域制度の活用などを骨子とする報告書が、都の委員会から提出されました。これを受けて、翌月には松田の後任となった3代目JR東日本社長・大塚陸毅と石原が会談し、合意、調印します。ここに至って、駅空間創造の潜在力が法的な裏付けをもって市民権を得ることになるのです。
“魔術”は東京駅以外でも使われている
 石原・大塚会談の駅舎保存合意を前もって織り込んでいるような仕掛けも、まだあります。並行してレンガ駅舎の保存・復原を前提にした国の重要文化財指定の動きです。大正時代を代表する歴史的建造物で、レンガを主体とした建造物の最大規模の建築として「意匠的に優秀なもの、歴史的価値の高い」貴重な建築とした文化審議会の答申を受け、2003(平成15)年5月に重要文化財指定がなされました。
 さらに東京都は、特例容積率適用区域制度内の重要文化財について、容積率を500%アップするというプレミアムまで用意して、東京駅を厚遇しました。
 東京駅レンガ駅舎の保存・復原には、さまざまな思惑が入りまじり、実現にまでこぎ着けました。そしてこの仕掛けは、「日本橋周辺の再開発」と「明治神宮外苑再開発」といった現在に至る一連の流れの源にもなっています。
引用サイト:乗り物ニュース  ​こちら





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Last updated  2023.07.17 15:22:01
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