東方見雲録

東方見雲録

2023.08.18
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カテゴリ: 建築



松江市殿町の島根県庁にはかつて「幻の別館」の建設計画があった。場所は県庁西側で、現在の職員駐車場。世界的建築家、菊竹清訓氏(1928~2011年)の構想が実現していれば、日本初の超高層ビルが城山近くに立ち、今とはまったく違う景観となっていたかもしれない。

 菊竹氏は江戸東京博物館(東京都)など全国の名建築を手掛け、県庁周辺では県立の図書館、武道館、旧博物館を設計した。

 県庁別館は周辺整備の一つで、1960年代に100メートル近い超高層ビル案を県側に提案。島根県庁周辺整備誌によれば「20階程度の規模で、現在の県庁舎とほぼ同じ容積規模を持ち、3階と地階で本庁舎と連結する高層建築物」とされる。日本初の超高層ビル「霞が関ビルディング」(東京都)の完成前の話だ。

 突拍子もない計画とも取れるが、菊竹氏は本気だった。証拠は、建設予定地を挟み込むように建つ図書館と武道館にある。

 図書館の床下に床暖房の配管を埋設。武道館にも配管をはわせようとした痕跡があった。描いたのは、まだ国内に例がなかった「地域冷暖房」のプラント。別館を起点に周辺施設へ冷温水を供給する構想だった。

 結果的に計画は幻となり、床暖房用配管は一度も使われずじまい。それでも菊竹氏や、島根県邑南町出身の建築家・安田臣(かたし)氏(1911~77年)が手がけた県庁周辺の戦後モダニズム建築群は今なお残り、数少ない「聖地」として全国のファンが熱い視線を注ぐ。
(白築昂)
引用サイト:山陰中央新報   こちら





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Last updated  2023.08.18 08:00:09
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