東方見雲録

東方見雲録

2023.09.03
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カテゴリ: 政経



逝去したフランスの経済学者・思想家、ダニエル・コーエン氏(写真:Alain DENANTES/Gamma-Rapho/Getty Images)
© 東洋経済オンライン

経済成長が停滞しても、現代社会は存続するのだろうか。日本は1990年代の金融危機以来、力強い経済成長を取り戻そうと努力してきただけに、この問いは日本にとってきわめて重要だろう。

実際に、ヨーロッパ諸国やアメリカなど、先進国全体の経済成長率は低迷している。フランスの経済成長率は、3%、1.5%、0.5%と、10年ごとに低下している。アメリカの経済成長率がフランスより高いのは確かだ。
だが、トマ・ピケティの研究によって明らかになったように、アメリカでは、経済成長の果実の大部分は、所得上位10%の懐に収まり、国民の90%は購買力の上昇とは無縁だった。ちなみに、所得上位1%は、経済成長の果実の55%を手中にした。

このような格差を目の当たりにし、われわれはそのような経済成長のあり方に疑問を抱かざるをえない。経済学者たちの間では、現状の解釈について激しい議論が巻き起こった。見解は大きく分かれている。
・・・・
現在の革命により、社会はこれまでにない二極化構造になる。社会の頂点に立つ指導者たちは、スマートフォンを用いてほぼ自分たちだけで組織を動かせるようになった。

一方、価値連鎖の末端に位置する対人サービス業などでは、雇用は創出されるが、生産性が低く、低賃金を強いられる。



この観点に立ち、アメリカの社会的な富がどこにあるのかを考えてみたい。というのは、アメリカはコンピュータ革命の影響を知るうえでの実験場といえるからだ。アメリカの中産階級は過去30年間で衰弱し、社会全体に占める彼らの割合は、10%から15%減少した。そしてアメリカの中位所得は、ほとんど上昇しなかった。
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今後、われわれは悲観主義者として生きるべきなのか。私はそうは思わない。近い将来、人間とテクノロジーの新たな補完関係が登場するだろう。そうなれば、コンピュータに対し、人間は独創力を発揮できるはずだ。

しかしながら、現代社会の逃れられない根源的な問題は、富をこれまでとは別の方法で考察することにある。経済成長率という統計の数値に囚われることよりも、社会が生み出すべき基本的な財について考えをめぐらせることのほうが急務なのだ。すなわち、医療、教育、環境である。それらの財は、統計にはコストとしてしか表れないが、われわれが何としても守るべき最も重要な財なのである。

引用サイト:東洋経済  こちら





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Last updated  2023.09.03 08:00:10
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