東方見雲録

東方見雲録

2023.10.21
XML
カテゴリ: 政経

リーマンショック発生直前、桜が咲き誇るFRB(2008年3月25日撮影、FRBのサイトより)
© JBpress 提供
(FRB=連邦準備制度理事会)

米FRB 利上げ見送り 日経平均株価400円以上値下がり NHK こちら

百年に一度の大恐慌到来で、日本の対外純資産は全消失の危機に  山﨑 養世  JBpress   こちら

米国株大暴落から始まる世界大恐慌が日本を直撃する時の被害の中心となるのが、直近の運用資産額が219兆円と世界最大の年金基金であるGPIF(年金管理運用独立行政法人)であり、GPIFが厚生労働省から、厚労省は国民から預かって運用している公的年金(厚生年金+国民年金)である。


 世界最大の年金基金であるGPIFの運用方針は、制度的にGPIFに準じた運用が規定されている公務員年金や、同じく「公的資金」とされる300兆円規模の郵政資金、さらには、企業年金、保険、信託など、日本の「長期国民資金」を資産運用する「受託機関」に大きな影響を与えている。

 GPIFは、世界一の「対外純資産大国」日本の「国富」と国力の中心といってよい。



 これまで、GPIFによる国民の年金資産の運用は、日本史上空前の規模の財政と経済社会への貢献をしてきた。

 2001年に発足したGPIFがこれまで「市場運用」で上げてきた「運用収益」の累積は、直近のディスクロージャーによれば127兆円に達する。
・・・・
資産運用の基本的な「政策」は、まず厚労省が策定し、「基本ポートフォリオ」などの経営計画をGPIFの経営委員会が決定する。

 GPIFの執行部は、万能の権限を与えられているのではなく、経営委員会が「5年に1度」決定した「基本ポートフォリオ」に沿った資産運用実務の「執行」を行うに過ぎない。

 企業で言えば、取締役会が決定した経営方針を執行部が実行するのに似ている。

・・・・
2014年にリスク資産である外国資産と株式資産の割合を大きく増加させることを決定して以来、ここまで一貫して「株式資産」と「外国資産」の割合を増やしてきた。

 そのことが、現在127兆円に上る巨大な「累積収益」を上げることに大きく貢献してきた。

 国債100%ではない「基本ポートフォリオ」に基づくリスク運用による巨大な「累積収益」を背景に、直近の2020年4月に策定された現在の「基本ポートフォリオ」は、国内株式、外国株式、国内債券、外国債券に、それぞれ各4分の1の約25%を固定的に配分しており、実際の資産配分もその割合に極めて近く、個々の資産クラスの運用の中身も、その9割以上が個別の判断を要しないインデックス運用である。

 過去10年の空前の米国株が牽引する外国株式の上昇、そして、直近の米国でのインフレと金利高による米ドル高と円安による外国資産の上昇、そして、日本株の最近の上昇により、GPIFの資産は空前の上昇を示してきた。



・・・・
リーマンショックの時には、「米中経済同盟」を中核とするグローバリゼーションが米国内外で機能しており、米国内の統治機構は、FRBもホワイトハウスも議会も超党派で一致してリーマンショックから大恐慌となる危機を克服した。

 国際的には、米中も、米欧日も最大限の国際協力をして経済危機を克服した。

 このため、リーマンショックは大恐慌にならなかったに過ぎない。

 つまり、リーマンショックが襲来した時には、米国中心の世界平和と繁栄を可能にした戦後の「世界システム」である「パクスアメリカーナ」は機能していたから、大恐慌の危機を米国も世界も克服できた。



 しかし、「パクスアメリカーナ」はすでに崩壊している。

 一つには、リーマンショックからほとんど無傷であった中国の台頭が、米国の「中産階級」の中心だった内陸部の工業地帯の経済を破壊する一方、独占的な収益を上げるGAMFAや政府に救済してもらってから巨額の収益と報酬を謳歌するグローバル金融機関への「99%の国民」の怒りを買い、 その怒りが2016年のドナルド・トランプ大統領を生んだ。

 2024年の米大統領選挙ではトランプ、ジョー・バイデンの2人の大統領経験者が、「グローバリゼーション」をかなぐり捨てて「アメリカファースト」を連呼することが確定している。

 米中の軍事的緊張も両国民の敵意に拍車をかけている。

 だから、世界の「インフレが来ない」原動力であった「体制を超えて一番安いところで生産する」という「グローバリゼーション」は過去のものであり、「インフレはすでに来ている」。

 インフレ→高金利→リスク資産の大暴落→大不況、というサイクルは始まっているのだ。

 国際的にも「パクスアメリカーナ」は崩壊している。
・・・・
戦後世界の「パクスアメリカーナ」という「世界システム」が崩壊したことは明らかだ。


 それなのに、米国株は史上最高値圏にあり、米ドルも近来にない高値圏だ。崩壊と大暴落が近い。

 それがGPIFの「危機の本質」である。

 そうなると、GPIFが厚生省から預かっている国民資金の運用は「5年に1度の見直し」による「基本ポートフォリオ」に忠実な「執行」から、「必要ならいつでもリスクオフする有事即応体制」に移行しなくてはいけない。

 具体的には、世界の国家ファンドや巨大年金の多くが導入している、資産全体の「戦略的アセットアロケーション」をGPIFが行える体制に移行することだ。

 GPIFにとっての「戦略的アセットアロケーション」とは、資産暴落の危険性が高いと判断される時に、5年に1度変更される「基本ポートフォリオ」で許容されている変更範囲(乖離幅という)を超えて、「リスクオフ」することだ。

 具体的には、米国株などの株式資産や外国資産のリスクを除くために、リスク資産を「一時的に売却」あるいは、先物市場や相対取引で「ヘッジ」することだ。

 こうした一時的な売却やヘッジそのものは、巨大な投資銀行やファンドでは、クリスマス休暇を控えた「期末」などの時期には例年行うことであり、そうした巨大金融機関のポートフォリオも「総額」ではGPIFと同様に数百兆円のサイズになるから、「平時」であればGPIFでも実行可能である。

・・・・
「リスクオフ」期間が長引くほど、年金財政の損失は拡大する。

 したがって、「非常事態」である「戦略的アセットアロケーション」を的確に行うには、優れた情報収集、判断能力、そして果断な決断力と実行力を持った人材とチームが必要となる。

 現在のGPIFのCIO以下の運用執行チームは日本の年金運営機関としては最高度の人材を揃えているはずだが、「戦略的アセットアロケーション」の専門チームを至急組織する必要が出てくる。

 今の日本で参考になる組織は、「5年に1度」ではなく、「年に8回」は開かれている日銀の金融政策決定会合だろう。

・・・・
GPIFの「戦略的アセットアロケーション」の責任者には、世界的なレベルでの判断力、決断力と実行力、そして、実績が求められるはずだ。

 だが、いまのGPIFは、こうした「戦略的アセットアロケーション」を行うことが、そもそも制度的に不可能である。

 まず、「戦略的アセットアロケーション」をGPIFが行うためには、GPIFに「5年に1度」の「基本ポートフォリオ」の作成を義務付け、その「基本ポートフォリオ」に忠実な資産運用の「執行」しか認めない方針での資産運用を「委託」している厚労省の「政策変更」が必要になる。

 単なる「受託者」であるGPIFにはそのような重要な「政策変更」を行う権限はないからだ。

 そうした重要な「公的年金資産運用の政策変更」は、医療健康や社会福祉や労働を主な業務とする厚労省だけでなく、政府各部門や日銀、さらに、民間などから、本当に物事の本質をよく分かった精鋭を集めた「タスクフォース」を至急組織して、厚労省をサポートすべきだ。

 その際には「省益争い」や「党派争い」は厳禁だ。

引用サイト: こちら

2023.10.22.追記
【財務省の埋蔵金】外為特会の含み益50兆円、日銀買い付けETFの含み益20兆円、年金積立金の含み益も100兆円
こちら





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2025.03.03 06:51:17
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: